【治験】転移性去勢抵抗性前立腺がんに対する臨床試験 アテゾリズマブとエンザルタミドの併用療法の全生存期間を評価

治験名

転移性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした,アテゾリズマブ及びエンザルタミドの併用とエンザルタミドを比較する第III相試験(IMbassador250)

疾患解説:転移性去勢抵抗性前立腺がん

前立腺がんは、男性ホルモンの刺激によって増殖する性質があるため、手術やホルモン療法(内分泌療法)で男性ホルモンの分泌を抑え、去勢状態にする治療が行われます。ホルモン療法を続けていくと薬の効果が薄れ、がんが再び勢いをましていきます。こうした状態を去勢抵抗性といいます。転移性去勢抵抗性前立腺がんは、去勢抵抗性でなおかつ転移のある前立腺がんの状態です。去勢抵抗性前立腺がんを対象とした治療薬は、現在4剤と、去勢抵抗性前立腺がんの骨転移に対する治療薬が1剤、承認されています。

一般名(製品名)投与法副作用など
抗アンドロゲン薬エンザルタミド(イクスタンジ)経口高血圧、疲労感。痙攣性発作、脳梗塞などの既往のある患者さんで強い発作が現れることがある
アビラテロン(ザイティガ)心疾患、糖尿病の合併症を悪化させる場合がある。肝機能障害。プレドニンを併用する
抗がん剤ドセタキセル(タキソテール)点滴悪心・嘔吐、脱毛、骨髄抑制、末梢神経障害
カバジタキセル(ジェブタナ)骨髄抑制、発熱性好中球減少症、下痢
放射線治療薬ラジウム223(ゾーフィゴ)静脈注射貧血、血小板減少、骨痛、下痢など

治験薬:アテゾリズマブ

アテゾリズマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 全身状態(PS )が0または1の患者
  • 3か月以上の生存が期待できる患者
  • 前立腺がんが組織学的に確認されている患者
  • 両側精巣摘除または治験期間中アンドロゲン除去療法下にあり,血清テストステロン値50 ng/dL以下の既知の去勢抵抗性疾患を有する患者
  • 内科的または外科的去勢状態での直近の治療中か治療後にPCWG3規準に基づくPSAかは画像検査によってスクリーニング前に病勢進行が認められた患者
  • 転移性去勢抵抗性前立腺がんに対するタキサンを含む1種類のレジメンによる前治療歴があるか、タキサンを含むレジメンを拒否または同レジメンに不適な患者
  • 前立腺がんに対するアンドロゲン合成阻害薬による1種類のレジメンによる前治療歴がある患者
  • 中央検査によるPD-L1の状態の決定に適した照射歴のない部位の代表腫瘍検体がある患者
  • 適切な血液及び主要臓器機能を有している患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:男性
対象とならない人
  • 治験薬投与開始前4週間以内に既承認の抗がん剤(化学療法,免疫療法,放射性医薬品,ホルモン療法[アビラテロンは除く]を含む)を受けた患者
  • 治験薬投与開始前2週間以内のアビラテロンの投与歴がある患者
  • 切迫骨折を示唆する構造的に不安定な骨病変がある患者
  • 脳転移が確認されているか疑われる、活動性の軟膜・髄膜疾患がある患者
  • 治験薬投与開始前4週間以内に診断以外の目的による大手術を受けたか,治験期間中に大手術が必要になると予想される患者
  • 活動性の自己免疫疾患もしくは免疫不全、その既往歴がある患者
  • 同種幹細胞移植または臓器移植の前歴がある患者
  • 特発性肺線維症/炎症の既往歴がある患者
  • HIV検査陽性,活動性結核,活動性のB型またはC型肝炎ウイルス感染がある患者
  • CD137アゴニストまたは抗CTLA-4、抗PD-1、抗PD-L1抗体薬などの免疫チェックポイント阻害薬の投与歴がある患者
  • 治験薬投与開始前4週間,または薬剤の半減期の5倍のいずれか短い方の期間以内に免疫賦活剤の全身投与を受けた患者
  • 治験薬投与開始前2週間以内に免疫抑制剤の全身投与を受けた患者
  • エンザルタミドまたはより新しい他のホルモンアンドロゲン受容体阻害剤による前治療歴のある患者
  • 治験12か月以内に,発作,または原因不明の意識消失または一過性脳虚血発作の既往歴などの発作の素因となり得る状態の既往歴がある患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。

PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できていいるわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細


試験の名称転移性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした,アテゾリズマブ及びエンザルタミドの併用とエンザルタミドを比較する第III相試験(IMbassador250)
試験の概要去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とし,アテゾリズマブとエンザルタミドの併用療法の有効性と安全性を,エンザルタミド単独療法との比較で評価する。
疾患名前立腺癌
試験薬剤名アテゾリズマブ
用法・用量1200 mgを21日間隔で点滴静注
試験薬剤名エンザルタミド
用法・用量160mgを1日1回経口投与
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン多施設共同ランダム化非盲検試験
目標症例数730
適格基準
  • ECOG PS 0又は1の患者
  • 3カ月以上の生存が期待できる患者
  • 前立腺癌が組織学的に確認されている患者
  • 両側精巣摘除又は治験期間中アンドロゲン除去療法下にあり,血清テストステロン値50 ng/dL以下の既知の去勢抵抗性疾患を有する患者
  • 内科的又は外科的去勢状態での直近の治療中又は治療後にPCWG3規準に基づくPSA又は画像検査によってスクリーニング前に病勢進行が認められた患者
  • mCRPCに対するタキサンを含む1種類のレジメンによる前治療歴を有する又はタキサンを含むレジメンを拒否又は同レジメンに不適な患者
  • 前立腺癌に対するアンドロゲン合成阻害薬による1種類のレジメンによる前治療歴を有する患者
  • 中央検査によるPD-L1の状態の決定に適した照射歴のない部位の代表腫瘍検体がある患者
  • 適切な血液及び主要臓器機能を有している患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:男性
除外基準
  • 治験薬投与開始前4週間以内に既承認の抗癌療法(化学療法,免疫療法,放射性医薬品,ホルモン療法[アビラテロンは除く]を含む)を受けた患者
  • 治験薬投与開始前2週間以内のアビラテロンの投与歴がある患者
  • 切迫骨折を示唆する構造的に不安定な骨病変を有する患者
  • 脳転移が確認されている若しくは疑われる又は活動性の軟膜・髄膜疾患を有する患者
  • 治験薬投与開始前4週間以内に診断以外の目的による大手術を受けたか,治験期間中に大手術が必要になると予想される患者
  • 活動性の自己免疫疾患若しくは免疫不全又はその既往歴を有する患者
  • 同種幹細胞移植又は臓器移植の前歴がある患者
  • 特発性肺線維症/炎症の既往歴を有する患者
  • HIV検査陽性,活動性結核,活動性のB型又はC型肝炎ウイルス感染を有する患者
  • CD137アゴニスト又は抗CTLA-4,抗PD-1,抗PD-L1抗体薬などの免疫チェックポイント阻害薬の投与歴がある患者
  • 治験薬投与開始前4週間,又は薬剤の半減期の5倍のいずれか短い方の期間以内に免疫賦活剤の全身投与を受けた患者
  • 治験薬投与開始前2週間以内に免疫抑制剤の全身投与を受けた患者
  • エンザルタミド又はより新しい他のホルモンアンドロゲン受容体阻害剤による前治療歴のある患者
  • 治験治療12カ月以内に,発作,又は原因不明の意識消失又は一過性脳虚血発作の既往歴などの発作の素因となり得る状態の既往歴を有する患者
主要な評価項目・全生存期間(OS)
主要な評価方法観察
副次的な評価項目・12及び24カ月時点の生存率
・癌関連疼痛無増悪期間
・最初の症候性の骨格系事象(SSE)までの期間
・PCWG3規準に基づき治験責任(分担)医師が評価するrPFS
・6及び12カ月時点のrPFS率
・治験責任(分担)医師が評価するimmune-modified rPFS
・PSA奏効率
・PSA無増悪期間
・PCWG3規準及びimmune-modified RECISTに基づき治験責任(分担)医師が評価する奏効率
・有害事象の発現率
・アテゾリズマブの血清中濃度データ(最小値[Cmin]及び最大値[Cmax])
・血漿中エンザルタミド濃度
・アテゾリズマブに対する抗薬物抗体の発現率
・癌疼痛に対するオピオイド鎮痛薬の使用開始又は増加までの期間
副次的な評価方法観察,PCWG3規準,RECIST ver1.1,immuno-modified RECIST
予定試験期間2017年1月~2022年7月

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより