胃がんに対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法の治験

治験名

ONO-4538第3相試験

胃がんまたは胃食道接合部がんに対するニボルマブ+イピリムマブの併用療法とニボルマブ+化学療法の併用療法と化学療法を比較する多施設共同第3相無作為化非盲検試験

治験概要:

治療歴がない進行性または転移性の胃がんと胃食道接合部がん患者を対象にした2つの併用療法と化学療法を比較する治験。比較する対象群は3つ、ニボルマブ+イピリムマブの併用療法、ニボルマブ+化学療法の併用療法、化学療法の全生存期間を比較する。
登録予定数は1266人。
試験デザインは、多施設共同無作為化非盲検試験。
フェーズは、第3相臨床試験。
3つ治療を比較する試験で
対象群1:ニボルマブ+イピリブマブ
対象群2:ニボルマブ+化学療法
対象群3:化学療法
で、全生存期間を比較検討します。

疾患解説:胃がん、胃食道接合部がん

国立がん研究センターのがん登録・統計の2014年の全国推計値によると、胃がんに罹った人は、男性89094人、女性40145人、合計129239人で女性に比べて男性が2倍以上多くなっています。50代で徐々に増えはじめ、男性は70代をピークにその後は減少しますが、女性は、80代からさらに増加していきます。
胃がんのリスク要因は、喫煙、塩分の多い食事や野菜などの不足、生活習慣などいくつもあるといわれていますが、ヘリコバクターピロリ菌の持続感染がリスクを高めるといわれています。
早期の胃がんではほとんど自覚症状がありませんが、がんの進行につれて起こる、胃痛、胸やけ、吐き気、食欲不振などが代表的な症状です。こうした気になる症状があれば医療施設で検査を受けてください。
胃がん検診は、対策型検診と任意型検診があります。対策型検診は、会社などで加入している健康保険組合や自治体が定期的に行うもので、任意型検診は、個人の希望で行う検診です。いずれの検診でも、有効性評価に基づくがん検診ガイドラインでは、50歳以上を対象として、問診と胃部X線検査(当分は1年に1回)か胃内視鏡検査を2年に1回受けることが推奨されています。
胃は内側から粘膜層、粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜の5つの層からできています。多くの胃がんは一番内側にある粘膜層から発生し、次第に胃壁の外側に向かって進行していきます。胃がんのステージ分類は、がんが5つの層のどこまで達しているかという深達度、リンパ節への転移、遠隔臓器への転移の3つの要素で決定されます。
早期胃がんの治療では、体への負担が外科的手術より少ない内視鏡を使った手術も可能な場合もあります。大まかにいうと、ステージII程度の進行度なら「容易に手術が可能」と判断し、ステージIII程度の進行度なら「ギリギリ切除可能」と判断され、ステージIVに至ると「根治切除ができない」となります。ただし、ステージだけでは治療方針は決まりません。 手術と薬物療法を組み合わせることで、従来は治癒が難しかった胃がんも治療の対象となっています。今後、新しい薬剤と手術を組み合わせた臨床試験が進むことで、胃がんの手術療法の治療成績は、さらに向上していくと考えられています。

胃がんの深達度
胃がんの深達度

胃がんの治療方針の基本の考え方
胃がんの治療方針の基本の考え方

治験薬:ニボルマブ

ニボルマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:イピリブマブ

イピリムマブは、抗CTLA-4抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 イピリムマブは、がん細胞を攻撃する活性化T細胞とT細胞を制御する制御性T細胞状に発現するCTLA-4と抗原提示細胞状に発現しているCD80とCD86との結合を阻害することで、がんを攻撃するT細胞を増強します。また、がん細胞を攻撃するT細胞を抑制する制御性T細胞を抑制することで、がん免疫反応を促進させます。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 手術不能な進行性、局所進行性または転移性胃がんもしくは胃食道接合部がん患者
  • 6か月以内に術前補助療法または術後補助療法(化学療法、放射線療法および化学放射線療法)を受けていない患者
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0または1の患者
  • 腫瘍組織を提供できる患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 未治療の中枢神経系転移があることが確認されている患者
  • 活動性自己免疫疾患がある患者、自己免疫疾患の疑いのある患者
  • 重篤またはコントロール不良の疾患または活動性感染症がある患者
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性の既往が確認されている、または後天性免疫不全症候群(AIDS)が確認されている患者
  • 急性感染または慢性感染であることを示すB 型肝炎ウイルス又はC 型肝炎ウイルス陽性の患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。

PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称 ONO-4538第3相試験
試験の概要治療歴のない進行性又は転移性胃がん若しくは胃食道接合部がん患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法又はニボルマブと化学療法の併用療法と化学療法の全生存期間を比較する。
疾患名胃がん、胃食道接合部がん
試験薬剤名ニボルマブ、イピリムマブ、オキサリプラチン、カペシタビン、ロイコポリン、フルオロウラシル
用法・用量静脈内投与
試験薬剤名オキサリプラチン、カペシタビン、ロイコポリン、フルオロウラシル
用法・用量静脈内投与、経口投与
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン多施設共同無作為化非盲検試験
目標症例数1266〇
適格基準
  • 手術不能な進行性、局所進行性又は転移性胃がん若しくは胃食道接合部がん患者
  • 6カ月以内に術前補助療法又は術後補助療法(化学療法、放射線療法及び化学放射線療法)を受けていない患者
  • ECOG PS スコアが0又は1の患者
  • 腫瘍組織を提供できる患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 未治療の中枢神経系転移があることが確認されている患者
  • 活動性自己免疫疾患を有する患者、自己免疫疾患の疑いのある患者
  • 重篤又はコントロール不良の疾患又は活動性感染症を有する患者
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性の既往が確認されている又は後天性免疫不全症候群(AIDS)を有することが確認されている患者
  • 急性感染又は慢性感染であることを示すB 型肝炎ウイルス又はC 型肝炎ウイルス陽性の患者
主要な評価項目 PD-L1陽性例における全生存期間(OS)
主要な評価方法
副次的な評価項目全ての被験者におけるOS 、PD-L1陽性例及び全ての被験者における無増悪生存期間(PFS)、PD-L1陽性例及び全ての被験者における胃がん下位尺度(GaCS)を用いて評価した症状悪化までの期間(TTSD)
副次的な評価方法
予定試験期間2016年10月~2020年10月

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより