頭頸部扁平上皮がんに対するアベルマブと化学放射線の併用療法の治験

治験名

JAVELIN HEAD AND NECK 100

未治療の局所進行頭頸部扁平上皮癌患者を対象としたアベルマブと標準的化学放射線療法(シスプラチンおよび根治的放射線療法)の併用と標準的化学放射線療法を比較する無作為化、二重盲検、第3相試験

治験概要:

未治療の局所進行頭頸部扁平上皮がん患者さんを対象とした治験。アベルマブと標準的な化学放射線療法の併用療法と標準的な化学放射線療法を比較して無増悪生存期間を評価する第3相試験です。
登録予定数は640人。
試験デザインは、無作為化、非盲検、並行群間試験。
フェーズは、第3相臨床試験。
比較する対象は
対象群1:アベルマブ+化学放射線療法
対象群2:プラセボ+化学放射線療法
で主要評価項目は無増悪生存期間、副次的な評価項目は、全生存期間、完全奏効、奏効期間などで評価します。

疾患解説:頭頸部扁平上皮がん

頭頸部がんは、文字通り「頭部」と「頸部(首の部分)」、脳より下鎖骨より上にできたがんの総称です。主な種類は、咽頭がん、口腔がん、喉頭がん、鼻、副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がんなどがあります。咽頭は、さらに詳細に上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分類されます。脳腫瘍は、頭頸部がんには分類されません。
頭頸部がんのうち口腔がん、咽頭がんの罹患数は、2013年の国立がん研究センターのがん統計によると男性で約13200人、女性で約5800人、男女合計で約19000人、全部位の約2%程度です。死亡数も男性で約5000人、女性で約2000人、合計で約7000人と、部位別でみると比較的少ないですが、発生原因や治療法、予後が異なるのが特徴です。
頭頸部がんのほとんどは、扁平上皮という組織ががん化したものです。がんが発生した器官の違いによって症状はさまざまです。口腔がんである舌がんでは、舌がしみたり痛みがあるなどの症状があることもありますが、ほとんどの頭頸部がんでは初期には自覚症状がみられないこともあります。首のしこりやのどの違和感など、すこしでも気になる症状があれば検査を受けることが大切です。

治験薬:アベルマブ

アバルマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 口腔、中咽頭、下咽頭または喉頭における扁平上皮がん患者
  • ヒトパピローマウイルス(HPV)陰性のステージIII、IVa、IVb 期患者
  • 中咽頭以外のHPV 陽性のステージIII、IVa、IVb 期患者
  • HPV陽性のT4、N2c、N3期患者
  • 頭頸部扁平上皮がんの前治療歴がなく、根治を目的とする根治的化学放射線療法に適格となる患者
  • 提出用腫瘍組織検体が得られているか、腫瘍組織生検を施行する意思のある患者
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0または1の患者
  • 十分な骨髄機能、腎機能、肝機能がある患者
  • 妊娠可能な患者の場合、スクリーニング時に妊娠検査が陰性である患者
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 過去に抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2、抗CD137、抗CTLA-4抗体(イピリムマブを含む)、またはT細胞共刺激もしくは免疫チェックポイント経路を標的とするその他の抗体または薬剤による免疫療法を受けたことのある患者
  • 4週間以内に大手術を受けた患者
  • 他の悪性腫瘍の診断を5年以内に受けた患者
    ただし、以下の悪性腫瘍を除く
    内視鏡下で完全切除した食道表在がん(TISまたはT1a)
    根治的に治療したかまたは治療の必要がないと判断される前立腺がん(グリソンスコア:6以下)
    根治治療を完了した乳管上皮内がん
    適切な治療を受けた皮膚基底細胞がん
    皮膚扁平上皮細胞がん
    子宮頸部上皮内がん
    膀胱上皮内がん
  • 活動性の自己免疫疾患がる患者
  • 6か月以内に以下の既往がある患者
    心筋梗塞
    重度/不安定狭心症
    冠動脈/末梢動脈バイパス術
    症候性うっ血性心不全
    脳血管発作
    一過性脳虚血発作または症候性肺塞栓症
  • 全身療法を要する活動性の感染症がある患者
  • 免疫抑制剤を割付時に投与されている患者
  • 同種幹細胞移植を含む臓器移植歴のある患者
  • 免疫不全症の既往、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する疾患がある患者
  • B型肝炎ウイルス(HBV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)感染が認められる患者
  • 4週間以内にワクチンを投与された患者
  • 他の抗がん薬を使用中または使用する必要があると予想される患者
  • 妊娠中の患者、授乳中の患者、ならびに生殖能力を有する男性患者および妊娠の可能性のある女性患者で、本治験期間中およびシスプラチンの最終投与から少なくとも6か月かアベルマブ/プラセボの最終投与から少なくとも60日間のいずれか遅い時点まで、2種類の効果の高い避妊法を併用する意思のない者、あるいは使用することができない者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。

PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
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試験概要詳細

試験の名称局所進行頭頸部扁平上皮癌患者を対象としたアベルマブと標準的化学放射線療法の併用と標準的化学放射線療法を比較する試験(JAVELIN HEAD AND NECK 100)
試験の概要本試験は未治療の局所進行頭頸部扁平上皮癌患者を対象に、アベルマブと標準的化学放射線療法の併用と標準的化学放射線療法を比較する無作為化、プラセボ対照、第3 相試験である。
疾患名頭頸部扁平上皮癌
試験薬剤名アベルマブ
用法・用量導入期:アベルマブ10mg/kgIVをDay1に投与する。化学放射線療法併用期:アベルマブ10mg/kgIVをDay8、Day25およびDay39に投与する。維持療法期:アベルマブ10mg/kgIVを12ヵ月間にわたり2週間隔で投与する。
試験薬剤名プラセボ
用法・用量導入期:プラセボIVをDay1に投与する。化学放射線療法併用期:プラセボIVをDay8、Day25およびDay39に投与する。維持療法期:プラセボIVを12ヵ月間にわたり2週間隔で投与する。
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン無作為化、非盲検、並行群間試験
目標症例数640
適格基準
  • 口腔、中咽頭、下咽頭または喉頭における扁平上皮癌と組織学的に診断された患者
  • ヒトパピローマウイルス(HPV)陰性のIII、IVa、IVb 期患者、中咽頭以外のHPV 陽性のIII、IVa、IVb 期患者およびHPV陽性のT4、N2c、N3期患者
  • 頭頸部扁平上皮癌の前治療歴がなく、根治を目的とする根治的CRT に適格となる患者
  • 提出用腫瘍組織検体が得られているか、腫瘍組織生検を施行する意思のある患者
  • ECOG PSが0または1の患者
  • 十分な骨髄機能、腎機能、肝機能を有する患者
  • 妊娠可能な患者の場合、スクリーニング時に妊娠検査が陰性である患者
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 過去に抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2、抗CD137、抗CTLA-4抗体(イピリムマブを含む)、またはT細胞共刺激もしくは免疫チェックポイント経路を標的とするその他の抗体または薬剤による免疫療法を受けたことのある患者
  • 無作為化前4週間以内に大手術を受けた患者
  • 他の悪性腫瘍の診断を無作為化前5年以内に受けた患者。ただし、内視鏡下で完全切除した食道表在癌(TISまたはT1a)、根治的に治療したかまたは治療の必要がないと判断される前立腺がん(グリソンスコア:6以下)、根治治療を完了した乳管上皮内癌、適切な治療を受けた皮膚基底細胞癌、皮膚扁平上皮細胞癌、子宮頸部上皮内癌、膀胱上皮内癌を除く
  • 活動性の自己免疫疾患を有する患者
  • 無作為化の6ヵ月以内に以下の既往を有する患者:心筋梗塞、重度/不安定狭心症、冠動脈/末梢動脈バイパス術、症候性うっ血性心不全、脳血管発作、一過性脳虚血発作または症候性肺塞栓症
  • 全身療法を要する活動性の感染症を有する患者
  • 免疫抑制剤を割付時に投与されている患者
  • 同種幹細胞移植を含む臓器移植歴のある患者
  • 免疫不全症の既往、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連する疾患を有する患者
  • B型肝炎ウイルス(HBV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)感染が認められる患者
  • 無作為化前4週間以内にワクチンを投与された患者
  • 他の抗癌薬を使用中または使用する必要があると予想される患者
  • 妊娠中の患者、授乳中の患者、ならびに生殖能力を有する男性患者および妊娠の可能性のある女性患者で、本治験期間中およびシスプラチンの最終投与から少なくとも6ヵ月かavelumab/プラセボの最終投与から少なくとも60日間のいずれか遅い時点まで、2種類の効果の高い避妊法を併用する意思のない者、あるいは使用することができない者
主要な評価項目無増悪生存期間
主要な評価方法
副次的な評価項目・全生存期間
・切除標本における病理学的完全奏効、頸部郭清
・局所領域での進行、客観的奏効、遠隔再発および奏効期間
・薬物動態パラメータ
 アベルマブ:Cmax、Ctrough
 シスプラチン:AUC0-tau、Cmax、CL、tmax、t1/2、Vz
・アベルマブの抗薬物抗体または中和抗体の力価
・患者報告アウトカム:EQ 5D-5L、FHNSI-22
・腫瘍組織由来のバイオマーカー
・頸部郭清の病理学的評価
副次的な評価方法
予定試験期間2016年11月~2021年4月

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより