再発・難治性多発性骨髄腫に対するイキサゾミブ併用療法の観察研究

治験名

再発または難治性の多発性骨髄腫患者を対象としたイキサゾミブとレナリドミドおよびデキサメタゾン併用療法の多施設共同前向き観察研究

治験概要:

再発・難治性の多発性骨髄腫の治験です。
日常診療の中で、イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾンの併用療法を前向きに観察することで、有効性と安全性を評価します。さらに、探索的にバイオマーカーの検討も行われます。
観察期間は、36か月で、個別症例の観察期間は24ヵ月後まで、死亡または同意撤回までのいずれか早い日までです。
登録予定数は300人。
試験デザインは、非介入(観察)、国内、前向き、多施設共同研究。
フェーズは、第4相臨床試験。
被験薬:イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用療法
を日常診療の使用下での有効性と安全性を前向き観察により評価します。

疾患解説:再発・難治性多発性骨髄腫

国立がん研究センターのがん統計によると、2014年に多発性骨髄腫と診断された人は、男性3488人女性3075人、合計6563人です。高齢者に多い病気なので、高齢者が増えている日本では増加しています。かつては人口10万人当たり3人ほどでしたが、現在は10万人あたり5人以上と増加傾向にあります。
多発性骨髄腫は抗体を作る形質細胞ががん化する病気で、高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変などの症状が起きる病気です。赤血球、血小板、白血球など血液を構成する細胞のうちの白血球の1つであるB細胞から分化して作られる形質細胞ががん化することで起こります。
形質細胞ががん化してできた骨髄腫細胞は、骨髄内で異常に増殖するため、正常な造血機能が抑えられてしまいます。そのため、赤血球が不足すると貧血が起き、白血球が不足すると感染症、血小板の不足は出血するなどのさまざまな症状が起きます。
新規薬剤の登場により、多発性骨髄腫は長期間にわたって病気をコントロールすることが可能になっています。

造血幹細胞と血液の分化

治験薬:イキサゾミブ

イキサゾミブは、プロテアソームという酵素を阻害する第3世代のプロテアソーム阻害薬です。
がん細胞が増殖するために分裂するとき、さまざまなたんぱく質が関与しています。細胞分裂が終わると、そうしたたんぱく質が不要になるため、プロテアソームという酵素が分解しています。
イキサゾミブは、このプロテアソームという酵素を阻害することで、がん細胞が分裂したときに発生する不要なたんぱく質を分解させず、がん細胞に蓄積させていきます。不要なたんぱく質が蓄積したがん細胞は、分裂することができなくなり、やがて細胞死が誘導されます。
プロテアソーム阻害薬は、第1世代のボルテゾミブ、第2世代のカルフィルゾミブ、第3世代のイキサゾミブの3剤があります。このうち、ボルテゾミブとカルフィルゾミブは注射剤ですが、イキサゾミブは経口薬です。

治験薬:レナリドミド

レナリドミドは、セレブロンというたんぱく質と結合して効果を示す免疫調整薬です。免疫調整薬は、サイトカイン産生調整作用や造血器腫瘍細胞お増殖抑制作用、血管新生阻害作用をもつ薬剤です。
レナリドミドとセレブロンが結合すると細胞内の遺伝子発現を変化させ、がん細胞の増殖を抑制します。また、免疫細胞に働きかけることで免疫を賦活させる作用もあります。
現在、多発性骨髄腫に対する免疫調整薬は、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミドの3剤あります。

治験薬:デキサメタゾン

デキサメタゾンは、ステロイド系抗炎症薬の1つです。原因に関係なく炎症反応や免疫反応を抑制するお薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 登録時の年齢が20歳以上の男女
  • 再発または難治性の多発性骨髄腫患者
  • イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法の開始を予定している患者
  • 本研究手順開始前に、自由意思で同意・説明文書に署名ができる患者
  • 本研究の内容を理解し、それを遵守する能力があると研究責任者または研究者が判断した患者
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 授乳中または妊娠中の女性
  • イキサゾミブの投与歴がある患者
  • イキサゾミブ、レナリドミドまたはデキサメタゾンの成分に過敏症のある患者
  • 活動性の重複がんがある患者
    (同時性重複がんおよび無病期間が5年以内の異時性重複がん。ただし、局所治療により治癒と判断される上皮内がん、または粘膜内がん相当の病変は、活動性の重複がんには含めない)
  • 適正管理手順に登録し遵守できない患者
  • 研究責任者または研究者が不適当と判断した患者

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象としたイキサゾミブとレナリドミド及びデキサメタゾン併用療法の多施設共同前向き観察研究
試験の概要本臨床研究の被験薬はイキサゾミブであり、イキサゾミブは再発又は難治性の多発性骨髄腫(RRMM)患者の治療に用いられる。本臨床研究は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象にした非介入(観察)、国内、前向き、多施設共同の研究である。本研究の目的は、日常診療の使用実態下での再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に対するイキサゾミブとレナリドミド及びデキサメタゾン併用(IRd)療法の有効性及び安全性を検討することである。また、探索的にバイオマーカーの検討を行う。 計画研究対象者数は300例で、全ての研究対象者に日常診療の使用範囲でイキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾンを投与する。 本研究は日本で実施され、全体の観察期間は36ヵ月である。個別症例の観察期間はIRd療法開始から最終登録例の登録日の24ヵ月後まで、死亡又は同意撤回までのいずれか早い日までとする
疾患名再発又は難治性の多発性骨髄腫
試験薬剤名イキサゾミブ、レナリドミド、デキサメタゾン
用法・用量研究対象者に日常診療の使用範囲でイキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾンを投与する。イキサゾミブ、レナリドミド及びデキサメタゾンの用法・用量は本臨床研究実施計画書に定めず、各薬剤の添付文書に従う
試験のフェーズフェーズ4(第4相臨床試験)
試験のデザイン非介入(観察)、国内、前向き、多施設共同研究
目標症例数300
適格基準
  • 1. 登録時の年齢が20歳以上の男女
  • 2. 再発又は難治性の多発性骨髄腫と診断されている患者
  • 3. IRd療法の開始を予定している患者
  • 4. 本研究手順開始前に、自由意思で同意・説明文書に署名ができる患者
  • 5. 本研究の内容を理解し、それを遵守する能力があると研究責任者又は研究者が判断した患者
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 1. 授乳中又は妊娠中の女性
  • 2. イキサゾミブの投与歴がある患者
  • 3. イキサゾミブ、レナリドミド又はデキサメタゾンの成分に過敏症のある患者
  • 4. 活動性の重複がん(注)を有する患者
    注) 同時性重複がん及び無病期間が5年以内の異時性重複がんである。ただし、局所治療により治癒と判断されるcarcinoma in situ(上皮内癌)又は粘膜内癌相当の病変は、活動性の重複がんには含めない
  • 5. 適正管理手順に登録し遵守できない患者
  • 6. 研究責任者又は研究者が不適当と判断した患者
主要な評価項目無増悪生存期間(PFS)
主要な評価方法PFSは、日常診療下におけるIRd療法開始から病勢進行(PD)が最初に確認された日又は死亡(死因は問わない)のいずれか早い時点までの期間と定義する。PFSは国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)の基準に従い評価する。IMWG基準では、PD:以下の項目いずれかが最も低下したときより25%以上増加;血清M蛋白が絶対量で0.5 g/dL以上の増加(もしM蛋白が5 g/dL以上からスタートした場合は1 g/dL以上の増加で再発と診断)、and/or尿中M蛋白が絶対量で200 mg/24 hr以上の増加があり、and/or血清や尿中でM蛋白が測定できない患者のみ:involved FLCとuninvolved FLCの差が絶対量で10 mg/dLの増加、血清や尿中でM蛋白が測定できず、FLCでも測定できない患者では骨髄の形質細胞が10%以上増加、新規の骨病変・軟部組織病変の出現、又は骨病変・軟部組織病変の増大、形質細胞疾患による高カルシウム血症 評価期間:最長36ヵ月
副次的な評価項目12ヵ月及び24ヵ月時点でのPFS rate
副次的な評価方法PFS:日常診療下におけるIRd療法開始から病勢進行(PD)が最初に確認された日又は死亡(死因は問わない)のいずれか早い時点までの期間。PFSはIMWGの基準に従い評価する
評価期間:12ヵ月及び24ヵ月
副次的な評価項目全生存期間(OS)
副次的な評価方法OS:日常診療下におけるIRd療法開始からから死亡(死因は問わない)が確認された日までの期間
評価期間:最長36ヵ月
副次的な評価項目Best responseを達成又は維持した研究対象者の割合
副次的な評価方法Best response:IRd療法開始後におけるIMWGの基準による最良総合効果(PR、VGPR、CR)の当該サイクルまでの累積研究対象者数とする。IMWG基準では、PR(partial response):血清M蛋白が50%以上減少し、かつ24時間尿中M蛋白が90%減少又は200mg未満まで減少、M蛋白が検出されない場合、腫瘍由来FLCと非腫瘍由来FLCとの差が50%以上減少、FLCが検出されない場合は、ベースラインの骨髄形質細胞割合が30%以上であれば治療後に形質細胞が50%以上減少、上記に加え、ベースラインに軟部組織形質細胞腫瘤があればサイズが50%以上減少。VGPR(very good PR):血清及び尿中の免疫固定法が陽性だが電気泳動は陰性若しくは血清M蛋白が90%上減少し、かつ24時間尿中M蛋白が100mg未満。CR(complete response):血清及び尿の免疫固定法が陰性かつ軟部組織形質細胞腫瘤の消失かつ骨髄中の形質細胞の割合が5%未満
評価期間:最長36ヵ月
副次的な評価項目次治療までの期間(TTNT)
副次的な評価方法TTNT:日常診療下におけるIRd療法開始から次治療開始又は死亡(死因は問わない)のいずれか早い方までの期間
評価期間:最長36ヵ月
副次的な評価項目治療期間(DOT)
副次的な評価方法DOT:IRd療法の期間
評価期間:最長36ヵ月
副次的な評価項目12ヵ月及び24ヵ月時点でのイキサゾミブ継続率
副次的な評価方法12ヵ月及び24ヵ月時点でのイキサゾミブによる治療を継続している研究対象者の割合
評価期間:12ヵ月及び24ヵ月
副次的な評価項目全奏効率(ORR)
副次的な評価方法ORR:IRd療法開始後におけるIMWGの基準による最良総合効果がPR以上(厳格な完全奏効(stringent complete response;sCR)、VGPR、PR)である研究対象者の割合
評価期間:最長36ヵ月
副次的な評価項目最良部分奏効(VGPR)以上の研究対象者の割合(CR+VGPR rate)
副次的な評価方法CR+VGPR:IRd療法開始後におけるIMWGの基準による最良総合効果がVGPR以上(厳格な完全奏効(stringent complete response;sCR)、CR、VGPR)である研究対象者の割合
評価期間:最長36ヵ月
副次的な評価項目EORTC QOL-C30による健康関連QOL(HRQoL)
副次的な評価方法EORTC QLQ-30は機能の5尺度(身体機能、役割機能、情緒機能、認知機能、社会機能)、症状の9尺度(疲労感、悪心・嘔吐、疼痛、呼吸困難、不眠、食欲不振、便秘、下痢、経済的困難)、全般的健康状態・生活の質に関する質問からなる。EORTC QLQ-30は28の質問(1:まったくない~4:とても多い、の4レベルから回答)と2つの質問(7点の数値的評価(1:とても悪い、7:とてもよい)から回答)からなる。素点を評価尺度0~100に変換する。機能尺度及び全般的健康状態・生活の質に関する質問は点数が高い程、症状尺度の質問は低い程、生活の質が良いことを示す
評価期間:最長36ヵ月
副次的な評価項目EORTC QLQ-MY20による健康関連QOL(HRQoL)
副次的な評価方法EORTC QLQ-MY20は4つの独立下位尺度、2つの機能的下位尺度(身体像、将来の展望)及び2つの症状下位尺度(疾患症状、治療の副作用)の、全20項目が含まれ、素点の平均を評価尺度0~100に変換する。将来の展望の項目:高ければ高い程に展望が良い。身体像:高ければ高いほど良い。疾患症状は高い程、兆候レベルが高いことを示す
評価期間:最長36ヵ月
副次的な評価項目完全奏効(CR)患者における骨髄微小残存病変(MRD)の検出頻度
副次的な評価方法MRDの検出頻度はMRD判定で陰性である研究対象者の割合により算出する
評価期間:最長36ヵ月
副次的な評価項目相対用量強度(RDI)
副次的な評価方法RDI:計画投与量と実投与量の比に100を乗じた数値で示される。実投与量は、開始時の実投与量×サイクル毎の実投与回数×治療サイクルの回数
評価期間:最長36ヵ月
副次的な評価項目骨病変がみられた研究対象者の割合(骨評価)
副次的な評価方法評価期間:最長36ヵ月
副次的な評価項目有害事象(TEAEs)の発現研究対象者数
副次的な評価方法有害事象とは、医薬品が投与された研究対象者に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごと。必ずしも当該医薬品の投与との因果関係が明らかなもののみを示すものではない。TEAEsは医薬品投与後の有害事象を示す
評価期間:最長36ヵ月
予定試験期間2018年4月2日~2021年3月31日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより