局所進行または転移性非小細胞肺がんに対するオシメルチニブ単剤およびデュルバルマブ併用に関する治験

治験名

上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤による治療歴を有する上皮成長因子受容体T790M変異陽性の局所進行又は転移性非小細胞肺癌患者を対象に、AZD9291単剤投与とMEDI4736との併用投与での有効性及び安全性を比較検討する、第3相多施設共同非盲検無作為化試験(CAURAL)

治験概要

この臨床試験は、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤による治療歴を有する上皮成長因子受容体T790M変異陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がん患者さんを対象に、AZD9291(オシメルチニブ)単剤投与とMEDI4736(デュルバルマブ)との併用投与での有効性と安全性を比較検討する第3相多施設共同非盲検無作為化試験です。

疾患解説非小細胞肺がん

国立がん研究センターのがん統計によると2014年に肺がんに罹患した人は、約11万5000人です。男性は、50代くらいから増加し始め、70歳前後をピークに、その後は減少します。女性は、80代前半までは同様ですが、80代後半に再び増加します。

肺がんは、気管支や肺胞の細胞ががん化した悪性腫瘍で、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つの組織型に分けられます。非小細胞肺がんは、さらに扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんの3つに分類されます。このうち腺がんが肺がん全体の60%を占め、次いで扁平上皮がん、大細胞がんと小細胞肺がんの割合な少なくなります。

特に非小細胞肺がんでは特定の遺伝子変異にあわせた治療薬ができたことで、治療法も異なるため、組織型や遺伝子変異を見極めることが必要になっています。

治験薬オシメルチニブ

オシメルチニブは、上皮成長因子受容体(EGFR)をターゲットとした分子標的薬です。上皮成長因子(EGF)は、細胞の増殖や成長にかかわる物質で、細胞膜上に発現しているEGFRと結合することで細胞の分化や増殖などが起こります。EGFRの遺伝子に変異があると正常な分化や増殖がおこなわれず、がん化するといわれています。

オシメルチニブは、このEGFRを不可逆的に阻害します。同様にEGFRを阻害する分子標的薬には、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブがあます。このうちゲフィチニブ、エルロチニブは第1世代、アファチニブは第2世代のEGFR阻害薬です。第1世代、第2世代のEFGR阻害薬では、T790Mという耐性が起こり、薬の効果が減衰します。

オシメルチニブは、EGFR遺伝子変異とともにこのT790耐性変異も阻害するように設計されており、中枢神経系への転移に対する活性もあります。

治験薬デュルバルマブ

デュルバルマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。

免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。

がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 根治的手術療法または放射線療法適応外の局所進行または転移性NSCLC患者さん
  • NSCLCの初回診断後に、EGFR-TKI感受性との関連が知られているEGFR遺伝子変異が確認されている患者さん
  • 既承認のEGFR-TKIによる過去の治療中に病勢進行したことが放射線画像診断によって確認されている患者さん。その他の前治療歴は問いません。なお、患者さんは全例、本治験への組入れ前の直近の治療中に実施された放射線画像診断によって、病勢進行が確認されていなければなりません
  • 直近の治療レジメン施行中に病勢進行が認められた後に採取した生検サンプルにて、中央検査機関による検査でT790M+が確認された患者さん
  • ベースライン時にコンピュータ断層撮影法(CT)検査または磁気共鳴画像法(MRI)検査により正確に測定された、最長径10mm以上(リンパ節の場合は短径15mm以上)の、放射線未照射かつスクリーニング時の生検が実施されていない測定可能病変を1つ以上有する患者さん
  • 世界保健機関(WHO)基準によるPerformance Statusが0~1であり、評価時点の前2週間にわたりPerformance Statusの悪化が認められておらず、12週間以上の生存が期待される患者さん
  • 妊娠可能な女性の場合、適切な避妊措置を行うことに同意し、治験薬投与開始前の妊娠検査結果が陰性である患者さん
  • 年齢:18歳以上(日本では20歳以上)
  • 性別:男女
対象とならない人
  • 治験薬初回投与前に、EGFR-TKIによる治療を当該EGFR-TKIの半減期の約5倍以内に受けた患者さん。治験薬初回投与前14日以内に細胞毒性を有する化学療法、治験薬または他の抗剤治療を受けた患者さん。チトクロームP450(CYP)3A4に対する強力な阻害作用または誘導作用を示すことが明らかな薬剤を併用中の患者さん。AZD9291またはEGFR T790M変異陽性NSCLCを特異的に標的とする他の薬剤による治療歴のある患者さん。一次治療のEGFR-TKI治療の開始前6か月以内に、術前または術後補助化学療法による治療歴のある患者さん。他の抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体および抗PD-L2抗体等による免疫療法の施行歴がある患者(がん治療ワクチンを除く)さん。無作為割付けの前4週間以内に骨髄の30%以上に対する放射線治療または広範囲照射の放射線治療を受けた患者さん。治験薬初回投与前4週間以内に大手術を受けた患者さん
  • MEDI4736初回投与前14日以内に免疫抑制薬による治療歴があるまたは治療中の患者さん。ただし、鼻腔内、吸入用、もしくは外用ステロイドの使用、またはステロイドの局所注射は除きます
  • 前治療による毒性が持続している患者さん
  • 活動性の原発性免疫不全症候群の既往歴がある患者さん
  • 髄膜転移または脊髄圧迫がある患者さん
  • コントロール不良の併発疾患を有する患者さん。コントロール不良の高血圧、活動性出血性素因を含みます
  • 心疾患を有する患者さん
  • 難治性の悪心および嘔吐、慢性胃腸疾患、または胃腸切除等の既往歴のある患者さん
  • 間質性肺疾患、薬剤性間質性肺疾患、ステロイド治療を必要とした放射線性肺臓炎の既往歴がある、または活動期間質性肺疾患の所見が認められる患者さん
  • 別の原発性悪性腫瘍の既往歴のある患者さん
  • 活動性の自己免疫疾患または炎症性疾患に罹患しているか、または治験薬投与前の過去3年以内にこれらの疾患の既往歴がある患者さん
  • 免疫抑制剤を必要とする臓器移植歴のある患者さん
  • 結核の臨床診断歴のある患者さん
  • MEDI4736初回投与前30日以内に弱毒性生ワクチンを使用した患者さん
  • 骨髄機能および臓器機能が不十分な患者さん

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、日本国内では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP) 」という厳しいルールに基づき、行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで進められます。治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを正しく理解しましょう。

試験詳細

試験の名称上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤による治療歴を有する上皮成長因子受容体T790M変異陽性の局所進行又は転移性非小細胞肺癌患者を対象に、AZD9291単剤投与とMEDI4736との併用投与での有効性及び安全性を比較検討する、第3相多施設共同非盲検無作為化試験(CAURAL)
試験の概要上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤による治療歴を有する上皮成長因子受容体T790M変異陽性の局所進行又は転移性非小細胞肺癌患者を対象に、AZD9291単剤投与とMEDI4736との併用投与での有効性及び安全性を比較検討する、第3相多施設共同非盲検無作為化試験
疾患名非小細胞肺癌上皮成長因子受容体T790M変異陽性の局所進行又は転移性非小細胞肺癌患者
試験薬剤名AZD9291, MEDI4736
用法・用量AZD9291: 80mgを1日1回経口投与する。MEDI4736:10mg/kgにて2週間に1回点滴静注する。
対照薬剤名
用法・用量
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン有効性及び安全性を比較検討する非盲検無作為化試験
目標症例数
適格基準
  • 根治的手術療法又は放射線療法適応外の局所進行又は転移性NSCLC患者
  • NSCLCの初回診断後に、EGFR-TKI感受性との関連が知られているEGFR遺伝子変異が確認されている患者
  • 既承認のEGFR-TKIによる過去の治療中に病勢進行したことが放射線画像診断によって確認されている患者。その他の前治療歴は問わない。なお、患者は全例、本治験への組入れ前の直近の治療中に実施された放射線画像診断によって、病勢進行が確認されていなければならない
  • 直近の治療レジメン施行中に病勢進行が認められた後に採取した生検サンプルにて、中央検査機関による検査でT790M+が確認された患者
  • ベースライン時にコンピュータ断層撮影法(CT)検査又は磁気共鳴画像法(MRI)検査により正確に測定された、最長径10mm以上(リンパ節の場合は短径15mm以上)の、放射線未照射かつスクリーニング時の生検が実施されていない測定可能病変を1つ以上有する患者
  • 世界保健機関(WHO)基準によるPerformance Statusが0~1であり、評価時点の前2週間にわたりPerformance Statusの悪化が認められておらず、12週間以上の生存が期待される患者
  • 妊娠可能な女性の場合、適切な避妊措置を行うことに同意し、治験薬投与開始前の妊娠検査結果が陰性である患者
  • 年齢:18歳以上、ただし、日本は20歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 治験薬初回投与前に、EGFR-TKIによる治療を当該EGFR-TKIの半減期の約5倍以内に受けた患者。治験薬初回投与前14日以内に細胞毒性を有する化学療法、治験薬又は他の抗癌剤治療を受けた患者。チトクロームP450(CYP)3A4に対する強力な阻害作用又は誘導作用を示すことが明らかな薬剤を併用中の患者。AZD9291又はEGFR T790M変異陽性NSCLCを特異的に標的とする他の薬剤による治療歴のある患者。一次治療のEGFR-TKI治療の開始前6カ月以内に、術前又は術後補助化学療法による治療歴のある患者。他の抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体及び抗PD-L2抗体等による免疫療法の施行歴がある患者(癌治療ワクチンを除く)。無作為割付けの前4週間以内に骨髄の30%以上に対する放射線治療又は広範囲照射の放射線治療を受けた患者。治験薬初回投与前4週間以内に大手術を受けた患者
  • MEDI4736初回投与前14日以内に免疫抑制薬による治療歴がある又は治療中の患者。ただし、鼻腔内、吸入用、もしくは外用ステロイドの使用、又はステロイドの局所注射は除く
  • 前治療による毒性が持続している患者
  • 活動性の原発性免疫不全症候群の既往歴がある患者
  • 髄膜転移又は脊髄圧迫がある患者
  • コントロール不良の併発疾患を有する患者。コントロール不良の高血圧、活動性出血性素因を含む
  • 心疾患を有する患者
  • 難治性の悪心及び嘔吐、慢性胃腸疾患、又は胃腸切除等の既往歴のある患者
  • 間質性肺疾患、薬剤性間質性肺疾患、ステロイド治療を必要とした放射線性肺臓炎の既往歴がある、又は活動期間質性肺疾患の所見が認められる患者
  • 別の原発性悪性腫瘍の既往歴のある患者
  • 活動性の自己免疫疾患又は炎症性疾患に罹患しているか、又は治験薬投与前の過去3年以内にこれらの疾患の既往歴がある患者
  • 免疫抑制剤を必要とする臓器移植歴のある患者
  • 結核の臨床診断歴のある患者
  • MEDI4736初回投与前30日以内に弱毒性生ワクチンを使用した患者
  • 骨髄機能及び臓器機能が不十分な患者
主要な評価項目
主要な評価方法
副次的な評価項目
副次的な評価方法
予定試験期間

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより