切除不能なステージIV尿路上皮がんに対するデュルバルマブ単剤およびトレメリムマブ併用療法の治験
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治験名
切除不能なステージIV尿路上皮癌患者を対象とする一次療法としてのMEDI4736単剤療法及びtremelimumabとの併用療法を標準治療の化学療法と比較する第3相国際多施設共同無作為化非盲検比較対照試験
治験概要
この臨床試験は、切除不能なステージIV尿路上皮がん患者さんを対象とする一次療法としてのMEDI4736(デュルバルマブ)単剤療法およびtremelimumab(トレメリムマブ)との併用療法を標準治療の化学療法と比較する第3相、国際多施設共同、無作為化、非盲検、比較対照試験です。
疾患解説尿路上皮がん
尿路がんは、膀胱、尿管、腎盂、尿道にできたがんの総称です。このうち最も発生頻度の高いのが、膀胱がんです。尿路がんの約95%は尿路上皮と呼ばれる粘膜から発生し、尿路上に多発したり、再発を繰り返すのが特徴です。尿路上皮組織から発生するがんを尿路上皮がんといいます。
厚生労働省大臣官房統計情報部の人口動態統計によると、膀胱がんによる死亡数は、2002年に5138人、2006年に6126人、2010年に6804人、腎盂がんによる死亡数は2002年に781人、2006年に1200に人、2010年に1558人、尿管がんの死亡数も2002年に852人、2006年に1105人、2010年に1593人と増加傾向にあります。
膀胱がんの主な自覚症状は、血尿と頻尿、排尿時の痛みなどがありますが、早期にはこうした症状がないこともあります。
腎盂・尿管がんで最も多い症状も血尿です。尿管がふさがったり、がんが周囲へ浸潤した場合は、腰、背中、脇腹などに痛みがおこることがあり、尿管結石に似た症状が起こることがあります。
低リスク | 単発、初発、3cm未満、Ta、ローグレード、上皮内がん併発なしのすべてを満たす |
中リスク | Ta-1、ローグレード、上皮内がん併発なし、多発性あるいは大きさが3cm以上 |
高リスク | T1、ハイグレード、上皮内がん(上皮内がん併発も含む)、多発、再発のいずれかを含む |
出典:日本泌尿器学会,編:膀胱がん診療ガイドライン2015年版,医学図書出版,2015.

治験薬デュルバルマブ
デュルバルマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬トレメリムマブ
トレメリムマブは、抗CTLA-4抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
がん細胞を攻撃するT細胞の表面に発現するCTLA-4とT細胞を抑制するCD80/86が結合しないようにするのが抗CTLA-4抗体です。これにより、T細胞は活性化したままがん細胞に誘導されます。また、がん細胞は、過剰な免疫応答にブレーキをかける制御性T細胞を誘導し、攻撃を抑制します。制御性T細胞に発現しているCTLA-4と抗CTLA-4抗体が結合し、排除することで、免疫抑制を解除します。
抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体との併用療法薬として効果が期待されています。
主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
ステロイドの鼻腔内投与、吸入または局所投与、あるいは局所的なステロイド注射(関節内注射など)、生理学的用量の全身性ステロイド投与で、プレドニゾロン10 mg/日相当を超えない場合、過敏症反応に対する前投薬としてのステロイド(CTスキャンの前投薬など) ステロイドの鼻腔内投与、吸入または局所投与、あるいは局所的なステロイド注射(関節内注射など)、生理学的用量の全身性ステロイド投与で、プレドニゾロン10 mg/日相当を超えない場合、過敏症反応に対する前投薬としてのステロイド(CTスキャンの前投薬など) |
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できていいるわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、日本国内では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールに基づき、行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで進められます。治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを正しく理解しましょう。
試験詳細
試験の名称 | 切除不能なステージIV尿路上皮癌患者を対象とする一次療法としてのMEDI4736単剤療法及びtremelimumabとの併用療法を標準治療の化学療法と比較する第3相国際多施設共同無作為化非盲検比較対照試験 |
試験の概要 | 切除不能なステージIV尿路上皮癌患者を対象とする一次療法としてのMEDI4736単剤療法及びtremelimumabとの併用療法を標準治療の化学療法と比較する第3相国際多施設共同無作為化非盲検比較対照試験 |
疾患名 | 尿路上皮癌 |
試験薬剤名 | MEDI4736,tremelimumab |
用法・用量 | 点滴静注 |
対照薬剤名 | シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン |
用法・用量 | 点滴静注 |
試験のフェーズ | フェーズ3(第3相臨床試験) |
試験のデザイン | 無作為化、安全性/有効性、多施設共同、非盲検 |
目標症例数 | |
適格基準 |
Cockcroft-Gault式(体重実測値を使用)により推算、又は24時間蓄尿により測定したクレアチニンクリアランス(推定値又は実測値)< 60mL/min、CTCAEグレード2以上の聴覚検査で確認した難聴、CTCAEグレード2の末梢性ニューロパチー、ニューヨーク心臓協会心機能分類でIII度の心不全 |
除外基準 |
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主要な評価項目 | |
主要な評価方法 | |
副次的な評価項目 | |
副次的な評価方法 | |
予定試験期間 |