進行性胃腺がん・食道胃接合部腺がんの1次治療としてペムブロリズマブ/TS-1/オキサリプラチン併用療法とペムブロリズマブ/TS-1/シスプラチン併用療法を比較する治験

治験名

進行性胃腺癌又は食道胃接合部腺癌患者を対象とした1次治療としてのMK-3475、TS-1及びオキサリプラチンの併用療法とMK-3475、TS-1及びシスプラチンの併用療法の第II相試験(KEYNOTE-659)

治験概要

この治験では、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)発現陽性およびヒト上皮成長因子受容体2(HER-2)/neu陰性の進行性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの患者さんを対象に、胃がんの1次治療としてのペムブロリズマブ(Pembrolizumab(MK-3475))+オキサリプラチン+TS-1の併用療法と、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab(MK-3475))+シスプラチン+TS-1の併用療法の奏効率(ORR)を推定します。

疾患解説胃がん、食道胃接合部がん

国立がん研究センターのがん統計の2014年の全国推計値によると、胃がんにかかる人は、10万人あたり99.0人です。男性は、10万人あたり140.1人、女性は、60.2人で男性に多い傾向です。

胃がんは、早期には自覚症状があらわれることがあまりなく、進行しても無症状の場合もあり注意が必要です。胃がんの代表的な症状は、胃がんに特有なものではなく、胃の痛みや不快感、吐き気など、胃炎や胃潰瘍と似た症状です。

胃がんのほとんどは、腺がんです。細胞の分化度によって「分化型」と「未分化型」に分けられ、分化型は進行が緩やか、未分化型は進行が速いといわれます。未分化型は、特殊なタイプの胃がんの「スキルス胃がん」と誤解されることがありますが、未分化型であっても深達度の浅い早期がんである可能性もあり、逆に分化型でもあってもスキルス胃がんになる場合があります。

食道胃接合部がんは、食道と胃のつなぎ目である食道胃接合部の上下2cmの範囲にできるがんです。リンパ節転移の広がりが、がんのできた場所によって異なるため、食道胃接合部がんという分類がされるようになってきています。

治験薬ペムブロリズマブ

MK-3475(ペムブロリズマブ)は、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。

免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。

がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 登録時のEastern Cooperative Oncology Group (ECOG) Performance Statusが0または1の患者さん
  • 組織学的または細胞学的に切除不能な局所進行性または転移性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんと診断された患者さん
  • 中央測定機関にてImmunohistochemistry(IHC)法によりPD-L1陽性が確認された患者さん
  • 治験担当医師により、RECIST 1.1に基づく測定可能病変を有することが確認された患者さん
    過去の放射線治療の照射野内やその他の局所療法が影響する範囲に存在する病変は、増悪を示した場合に限り測定可能病変とすることができます
  • 妊娠の可能性がある女性患者さんの場合、治験薬最終投与後120日まで、適切な避妊法を実施することに同意する患者さん
  • 妊娠させる可能性のある男性患者さんの場合、治験薬投与開始から最終投与後120日まで、適切な避妊法を使用することに同意する患者さん
  • 適切な臓器機能が保持された患者さん
  • 年齢:18歳以上75歳以下
  • 性別:男女
対象とならない人
  • 扁平上皮または未分化胃がんのある患者さん
  • HER-2/neu陽性の患者さん・割付け前72時間以内の尿妊娠検査が陽性であった妊娠可能な女性の患者さん
  • 切除不能な局所進行性または転移性胃がんまたは食道胃接合部がんに対する治療歴を有する患者さん。術前または術後補助化学療法は少なくとも登録6か月前までに完了していること
  • 尿検査が陽性である、または陰性が確定できない場合は、血清妊娠検査が必要です。
  • プラチナ系抗悪性腫瘍剤の投与歴がある患者さん
  • 登録前28日以内に大手術、切開生検または重大な外傷を受けた、もしくは治験期間中に大手術を受ける必要があると考えられる患者さん
  • 登録前14日以内に放射線療法を受けた患者さん
  • 過去5年以内に別の悪性腫瘍が進行したまたは別の悪性腫瘍に対して治療が必要であった患者さん
    ただし、根治的治療を受けた皮膚基底細胞がんもしくは皮膚扁平上皮がん、または根治的切除術を受けた上皮内がんは除きます
  • 活動性の中枢神経系(CNS)への転移またはがん性髄膜炎を有する患者さん
  • 過去2年以内に全身性の治療を要した活動性の自己免疫疾患を有する患者さん
  • 免疫不全症と診断された患者さん、または治験薬投与開始前7日以内に全身ステロイド療法や他の免疫抑制療法による治療を受けた患者さん
  • ステロイド投与が必要な(非感染性の)肺臓炎の既往または活動性の肺臓炎を有する患者さん
  • 全身性の治療を必要とする活動性の感染症のある患者さん
  • 登録時にフルシトシンを使用している患者さん
  • Grade 2以上の末梢性感覚ニューロパチーのある患者さん
  • コントロール不良な下痢(水様便、薬剤での便通コントロールが困難である、Grade 2以上、排便回数5回/日以上など)の患者さん
  • 登録前2週間以内にドレーンによる体腔液排液を要する胸水、腹水または心嚢液貯留のある患者さん
  • 治験担当医師の判断により、治験結果に影響を与える、患者の治験の完遂を妨げる、または患者さんの治験の参加が患者さんの利益とならないと考えられるあらゆる疾患[例:ジヒドロピリミジン脱水素酵素欠損症(DPD)であることが判明している]、治療歴または臨床検査異常の既往または合併を有する患者さん
  • 治験の実施に影響を与える可能性があると判断された精神疾患または物質乱用障害のある患者さん
  • 妊娠中、授乳中またはスクリーニング時から治験薬の最終投与後120日までに、本人またはパートナーの妊娠を希望する患者さん

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

全身状態(Performance Status)は、患者さんが自分で身のまわりのことをどこまでこなせるかを表す尺度です。ECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンス ステータス(ECOG PS)

ECOG Performance Statusは、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。

PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、日本国内では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールに基づき、行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで進められます。治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを正しく理解しましょう。

試験詳細

試験の名称進行性胃腺癌又は食道胃接合部腺癌患者を対象とした1次治療としてのMK-3475、TS-1及びオキサリプラチンの併用療法とMK-3475、TS-1及びシスプラチンの併用療法の第II相試験(KEYNOTE-659)
試験の概要本治験は、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)発現陽性及びヒト上皮成長因子受容体2(HER-2)/neu陰性の進行性胃腺癌又は食道胃接合部腺癌の患者を対象に、胃がんの1次治療としてのPembrolizumab(MK-3475)+オキサリプラチン+TS-1の併用療法と、Pembrolizumab(MK-3475)+シスプラチン+TS-1の併用療法の奏効率(ORR)を推定する。
疾患名胃癌
試験薬剤名Pembrolizumab+オキサリプラチン+TS-1(tegafur+gimeracil+oteracil potassium)
用法・用量Cohort 1:Pembrolizumab 200mg固定用量3週毎投与法(Q3W)+オキサリプラチン130mg/m2 Q3Wの静脈内投与+TS-1の1日2回14日間連続経口投与後7日間休薬
試験薬剤名Pembrolizumab+シスプラチン+TS-1(tegafur+gimeracil+oteracil potassium)
用法・用量Cohort 2:Pembrolizumab 200mg固定用量Q3W+シスプラチン60mg/m2 Q3Wの静脈内投与+TS-1の1日2回14日間連続経口投与後7日間休薬
試験のフェーズフェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン非盲検
目標症例数90
適格基準
  • 登録時のEastern Cooperative Oncology Group (ECOG) Performance Statusが0又は1の患者
  • 組織学的又は細胞学的に切除不能な局所進行性又は転移性胃腺癌又は食道胃接合部腺癌と診断された患者
  • 中央測定機関にてImmunohistochemistry(IHC)法によりPD-L1陽性が確認された患者
  • 治験担当医師により、RECIST 1.1に基づく測定可能病変を有することが確認された患者
  • 過去の放射線治療の照射野内やその他の局所療法が影響する範囲に存在する病変は,増悪を示した場合に限り測定可能病変とすることができる.
  • 妊娠の可能性がある女性患者の場合、治験薬最終投与後120日まで、適切な避妊法を実施することに同意する患者
  • 妊娠させる可能性のある男性患者の場合、治験薬投与開始から最終投与後120日まで、適切な避妊法を使用することに同意する患者
  • 適切な臓器機能が保持された患者
  • 年齢:18歳以上75歳以下
  • 性別:両方
除外基準
  • 扁平上皮又は未分化胃癌を有する患者
  • HER-2/neu陽性の患者・割付け前72時間以内の尿妊娠検査が陽性であった妊娠可能な女性
  • 切除不能な局所進行性又は転移性胃癌又は食道胃接合部癌に対する治療歴を有する患者.術前又は術後補助化学療法は少なくとも登録6ヶ月前までに完了していること
  • 尿検査が陽性である、又は陰性が確定できない場合は、血清妊娠検査が必要となる。
  • プラチナ系抗悪性腫瘍剤の投与歴がある患者
  • 登録前28日以内に大手術、切開生検又は重大な外傷を受けた、若しくは治験期間中に大手術を受ける必要があると考えられる患者
  • 登録前14日以内に放射線療法を受けた患者
  • 過去5年以内に別の悪性腫瘍が進行した又は別の悪性腫瘍に対して治療が必要であった患者
    ただし、根治的治療を受けた皮膚基底細胞癌若しくは皮膚扁平上皮癌、又は根治的切除術を受けた上皮内癌は除く
  • 活動性の中枢神経系(CNS)への転移又は癌性髄膜炎を有する患者
  • 過去2年以内に全身性の治療を要した活動性の自己免疫疾患を有する患者
  • 免疫不全症と診断された患者、又は治験薬投与開始前7日以内に全身ステロイド療法や他の免疫抑制療法による治療を受けた患者
  • ステロイド投与が必要な(非感染性の)肺臓炎の既往又は活動性の肺臓炎を有する患者
  • 全身性の治療を必要とする活動性の感染症を有する患者
  • 登録時にフルシトシンを使用している患者
  • Grade 2以上の末梢性感覚ニューロパチーを有する患者
  • コントロール不良な下痢(水様便、薬剤での便通コントロールが困難である、Grade 2以上、排便回数5回/日以上等)を有する患者
  • 登録前2週間以内にドレーンによる体腔液排液を要する胸水、腹水又は心嚢液貯留を有する患者
  • 治験担当医師の判断により、治験結果に影響を与える、患者の治験の完遂を妨げる、又は患者の治験の参加が患者の利益とならないと考えられるあらゆる疾患[例:ジヒドロピリミジン脱水素酵素欠損症(DPD)であることが判明している]、治療歴又は臨床検査異常の既往又は合併を有する患者
  • 治験の実施に影響を与える可能性があると判断された精神疾患又は物質乱用障害を有する患者
  • 妊娠中、授乳中又はスクリーニング時から治験薬の最終投与後120日までに、本人又はパートナーの妊娠を希望する患者
  • PD-1、PD-L1、PD-L2を標的とした抗体薬、若しくは他の刺激性又は共阻害性T細胞受容体を標的とした薬剤の治療歴を有する患者
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の既往を有する患者
  • 活動性のB型肝炎又はC型肝炎を有する患者
  • 現時点で他の治験に参加し治験薬投与を受けている、若しくは治験薬投与開始前4週間以内に他の治験に参加し治験薬又は治験用の医療機器を用いた、又は用いている患者
  • 治験薬投与開始前30日以内に生ワクチンの投与を受けた患者
主要な評価項目奏効率(ORR)
主要な評価方法中央画像判定機関が独立にRECIST 1.1に基づき評価した抗腫瘍効果を基に算出した奏効率(ORR)を評価する。
副次的な評価項目奏効期間(DOR)
副次的な評価方法中央画像判定機関がRECIST 1.1及びiRECISTに基づき評価した抗腫瘍効果を基に算出した奏効期間(DOR)を評価する。
予定試験期間2018年2月1日~2020年12月31日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより