急性リンパ性白血病に対するCAR-T細胞医療「CTL019」の有効性と安全性を評価する臨床試験
治験の募集状況は、「医薬品情報データベース 臨床試験情報」ページでご確認ください。
治験名
CTL019の第IIIb相試験
急性リンパ芽球性白血病の小児/若年成人患者における有効性と安全性を検討する単群、非盲検、多施設共同臨床試験
疾患解説:急性リンパ性白血病
白血病は、血液細胞ががん化する血液のがんです。
白血病は、造血幹細胞のうち骨髄系とリンパ系の2つと症状の違いによる急性と慢性の2つの分類から、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病の4つに大きく分類されます(表1)。
国立がん研究センターのがん統計によると2014年に白血病に罹患した人は、約12000人です。
急性リンパ性白血病は、年間10万人に2~3人程度が発症するといわれ、小児がんの急性白血病の80%が急性リンパ性白血病で、成人では白血病のうち約20%といわれています。
急性リンパ性白血病は、白血球の一種であるリンパ球が未熟な段階でがん化し、骨髄中の白血病細胞が25%以上になると急性リンパ性白血病と診断されます。
急性リンパ性白血病の主な症状は、正常な血液が作られなくなることで起こるものと腫瘍化した細胞がリンパ節や臓器に集まって現れるものがあります。
正常な白血球が作られなくなるとウイルスや細菌などに対する抵抗力低下し感染症にかかりやすくなります。赤血球の減少は、だるさ、眠気、疲れやすさ、動悸、息切れといった症状がでます。血小板の減少は、鼻血はあざができやすくなり、出血しやすくなります。
リンパ節で増殖するとリンパ節が腫れ、しこりができたり、肝臓や脾臓が張れお腹が張ったり済ます。
症状が全く出ない人もおり、健康診断などで血液の異常を指摘され、初期に病気が判明することが少なくありません。

表1 白血病の主な分類
骨髄性 | リンパ性 | |
急性 | 急性骨髄性白血病 (AML: acute myeloid leukemia) | 急性リンパ性白血病 (ALL: acute lymphoblastic leukemia) |
慢性 | 慢性骨髄性白血病 (CML: chronic myelogenous leukemia) | 慢性リンパ性白血病 (CLL: chronic lymphocytic leukemia) |
治験薬: CTL019
CAR-T療法は、患者さん自身の血液から採取したT細胞を、がん細胞を攻撃するように遺伝子を導入したあと、患者さんに戻す免疫細胞療法です。CTL019は、患者さんから採取した血液を細胞加工施設でT細胞だけを分離して、がん細胞を攻撃するように加工され増殖して作られます。がん細胞を攻撃するように、キメラ抗原受容体(CAR)という遺伝子をT細胞に導入するために、人工的に遺伝子操作をしています。
患者さん自身の採取された血液から作られるため、完全テーラーメイドの治療薬です。
主な治験参加条件
対象となる人 |
---|
|
対象とならない人 |
|
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIやUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIやUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。
試験概要詳細
試験の名称 | CTL019の第IIIb相試験 |
試験の概要 | 急性リンパ芽球性白血病の小児/若年成人患者における有効性と安全性を検討する単群、非盲検、多施設共同臨床試験 |
疾患名 | 再発/難治性急性リンパ芽球性白血病の小児/若年成人患者 |
試験薬剤名 | CTL019 |
用法・用量 | 体重1 kgあたり2.0 – 5.0 X 10(6)個(最大2.5 X 10(8)個 |
試験のフェーズ | 第IIIb相試験 |
試験のデザイン | 単群、非盲検、多施設共同臨床試験 |
目標症例数 | 130 |
適格基準 |
|
除外基準 |
|
主要な評価項目 | |
主要な評価方法 | |
副次的な評価項目 | |
副次的な評価方法 | |
予定試験期間 | 2018年8月1日~2020年3月31日 |