FLT3変異陰性の初発急性骨髄性白血病に対するミドスタウリンの治験

治験の募集状況は、「医薬品情報データベース 臨床試験情報外部リンク」ページでご確認ください。

上記ページにアクセスし、条件欄から「試験の名称」を選択、このページの「試験概要詳細」の「試験の名称」をコピーして、キーワード欄に貼り付け、検索してください。

治験名

FLT3変異陰性の初発急性骨髄性白血病(AML)患者を対象に、ダウノルビシンまたはイダルビシンとシタラビンによる寛解導入療法および中間用量シタラビンによる地固め療法をミドスタウリンまたはプラセボと併用する第3相、ランダム化、二重盲検試験

治験概要:

FLT3変異陰性の急性骨髄性白血病に対する治験。初発の患者さんが対象です。
ミドスタウリンとプラセボを比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、502人。
フェーズは、第2/3相臨床試験。
試験デザインは、ランダム化、二重盲検、多施設共同、プラセボ対照。
試験群:ミドスタウリン
対照群:プラセボ
無再発生存期間、完全寛解率、累積再発率、累積死亡率、安全性および忍容性などで評価します。

疾患解説:急性骨髄性白血病

白血病は、血液細胞ががん化する血液のがんです。
白血病は、造血幹細胞のうち骨髄系とリンパ系の2つと症状の違いによる急性と慢性の2つの分類から、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病の4つに大きく分類されます(表1)。
国立がん研究センターのがん統計によると2014年に白血病に罹患した人は、約12000人です。
急性骨髄性白血病は、年間10万人に2~3人程度が発症するといわれ、高齢になるほど増加します。
急性骨髄性白血病は、未熟な血液細胞が何らかの原因の遺伝子異常によりがん化し、無制限に増加することで発症します。骨髄中の白血病細胞がWHO分類で20%以上、FAB分類で30%以上になると急性骨髄性白血病と診断されます。
急性骨髄性白血病の主な症状は、正常な血液が作られなくなることで起こるものと腫瘍化した細胞が臓器に浸潤して現れるものがあります。
正常な白血球が作られなくなるとウイルスや細菌などに対する抵抗力が低下し感染症にかかりやすくなります。赤血球の減少は、倦怠感、動悸、息切れといった症状がでます。血小板の減少は、鼻血がでたりあざができやすくなり、出血しやすくなります。
臓器に浸潤すると、肝臓や脾臓が腫れ、お腹が張ったり痛みが起こります。骨に浸潤すると、腰痛や関節痛、髄膜への浸潤では頭痛がおこります。

表1 白血病の主な分類

骨髄性リンパ性
急性急性骨髄性白血病
(AML: acute myeloid leukemia)
急性リンパ性白血病
(ALL: acute lymphoblastic leukemia)
慢性慢性骨髄性白血病
(CML: chronic myelogenous leukemia)
慢性リンパ性白血病
(CLL: chronic lymphocytic leukemia)

治験薬:ミドスタウリン

ミドスタウリンは、FLT3を標的とした分子標的薬です。
FLT3は、造血前駆細胞の増殖と生存、早期B前駆細胞の分化にかかわる受容体チロシンキナーゼです。
ミドスタウリンは、FLT3の2つの遺伝子変異である遺伝子内縦列重複変異(ITD)とチロシンキナーゼドメイン変異(TKD)の2つを阻害することで、シグナル伝達を抑制し、がん細胞の増殖を抑制します。

治験薬:ダウノルビシン

ダウノルビシンは、アントラサイクリン系の殺細胞性の抗がん剤です。
細胞の増殖には、遺伝情報伝えるためにDNAやRNAの合成が必要です。アントラサイクリン系の抗がん剤は、細胞内のDNAに結合することで、DNAやRNAの合成を阻害し、DNA鎖を延長させる酵素であるDNAポリメラーゼを阻害したり、DNA鎖を切断します。こうした作用により、抗腫瘍効果発揮します。

治験薬:イダルビシン

イダルビシンは、アントラサイクリン系の殺細胞性の注射剤タイプの抗がん剤です。
細胞の増殖には、遺伝情報伝えるためにDNAやRNAの合成が必要です。アントラサイクリン系の抗がん剤は、細胞内のDNAに結合することで、DNAやRNAの合成を阻害し、DNA鎖を延長させる酵素であるDNAポリメラーゼを阻害したり、DNA鎖を切断します。こうした作用により、抗腫瘍効果発揮します。

治験薬:シタラビン

シタラビンは、細胞増殖に必要なDNA合成を阻害する代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)です。
細胞増殖を行うためにはDNAの合成が必要です。DNAは主にアデニン、グアニン、シトシン、ミチン、ウラシルという5つの成分で構成されています。
シタラビンは、このうちシトシンという物質と似た構造をしています。がん細胞が増殖するため、DNA合成を行うとき、シトシンと間違えてシタラビンを取り込むことで、DNA合成が正しく行えず、がん細胞の増殖が阻害されます。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 急性骨髄性白血病と診断されており、骨髄中の芽球の割合が20%以上の患者。ただし、PML-RARA陽性の急性前骨髄球性白血病患者は除外
  • 変異型対野生型のシグナル比の臨床カットオフ値を0.05とし、FLT3遺伝子に遺伝子内縦列重複変異およびコドンD835およびI836にチロシンキナーゼドメイン活性化変異が存在しないことが記録されている患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 中枢神経系白血病がある患者
  • 治療に伴う二次性急性骨髄性白血病がある患者
  • 孤発性の髄外白血病がある患者

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称FLT3変異陰性の初発急性骨髄性白血病(AML)患者を対象に,ダウノルビシン又はイダルビシンとシタラビンによる寛解導入療法及び中間用量シタラビンによる地固め療法をMidostaurin又はプラセボと併用する第III相,ランダム化,二重盲検試験
試験の概要FLT3変異を伴わない初発急性骨髄性白血病(AML)患者を対象に、midostaurinを、ダウノルビシン又はイダルビシンとシタラビンによる寛解導入療法及び中間用量シタラビンによる地固め療法において併用投与、並びに継続療法としてmidostaurinを単剤投与した場合の有効性及び安全性を評価する
疾患名急性骨髄性白血病
試験薬剤名midostaurin
用法・用量1回50mgを1日2回経口投与する
対照薬剤名
用法・用量
試験のフェーズフェーズ2・3/phase2・3
試験のデザインランダム化、二重盲検、多施設共同、プラセボ対照
目標症例数502
適格基準
  • AMLと診断されている患者[世界保健機関(WHO)分類2016に基づき、骨髄中の芽球の割合が20%以上の患者)。ただし、PML-RARA陽性の急性前骨髄球性白血病(APL)患者は除外する
  • 変異型対野生型のシグナル比の臨床カットオフ値を0.05とし、FLT3遺伝子に遺伝子内縦列重複(ITD)変異及びコドンD835及びI836にチロシンキナーゼドメイン(TKD)活性化変異が存在しないことが記録されている患者
  • 治験実施計画書に定めた、他の選択基準も適用される
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 中枢神経系(CNS)白血病を有する患者
  • 治療に伴う二次性AMLを有する患者
  • 孤発性の髄外白血病を有する患者
  • 治験実施計画書に定めた、他の除外基準も適用される
主要な評価項目有効性/efficacy
主要な評価方法無再発生存期間(EFS)が改善するかどうかを検討する
副次的な評価項目安全性/safety
有効性/efficacy
探索性/exploratory
薬物動態/pharmacokinetics
副次的な評価方法完全寛解(CR+血球数の十分な回復を伴うCRi)率を2つの治療群で比較する
MRD陰性を達成した患者の割合を2つの治療群で比較する
継続療法期においてMRD陰性を達成した患者の割合を2つの治療群で比較する
骨髄でMRD陰性が確認されるまでの期間を2つの治療群で比較する
無病生存期間(DFS)、累積再発率(CIR)、累積死亡率(CID)を2つの治療群で比較する
CR又は血球数の十分な回復を伴うCRiが達成されるまでの期間を2つの治療群で比較する
好中球数が回復するまでの期間を2つの治療群で比較する
血小板数が回復するまでの期間を2つの治療群で比較する
Midostaurinを化学療法と併用したとき及び継続療法期に単剤投与したときの安全性及び忍容性を評価する
Midostaurin、CGP52421、CGP62221の薬物動態をさらに明らかにする
予定試験期間2018年6月26日~2026年9月29日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより