急性骨髄性白血病、骨髄異形性症候群または慢性骨髄単球性白血病に対するグアデシタビンの継続投与の治験
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治験名
グアデシタビンの先行臨床試験に参加した被験者を対象とした非盲検、多施設共同、継続試験
治験概要:
急性骨髄性白血病、骨髄異形性症候群または慢性骨髄単球性白血病を対象とした治験。Astex社が治験依頼者であるグアデシタビンの先行臨床試験に参加してグアデシタビンを投与され、かつ先行試験のデータベース固定時にグアデシタビン投与が継続されている患者さんが対象です。 グアデシタビン投与の有効性が認められた患者さんにグアデシタビンを継続投与し、長期安全性情報を収集するための第2相試験です。 登録予定数は250人。 試験デザインは、多施設共同、非盲検、継続試験。 フェーズは、第2相臨床試験。 対象は 対象群:グアデシタビン で主要評価項目は有害事象に基づく安全性、副次的な評価項目は、先行試験でのグアデシタビン初回投与からの生存期間で評価します。疾患解説:急性骨髄性白血病
白血病は、血液細胞ががん化する血液のがんです。 白血病は、造血幹細胞のうち骨髄系とリンパ系の2つと症状の違いによる急性と慢性の2つの分類から、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病の4つに大きく分類されます(表1)。 国立がん研究センターのがん統計によると2014年に白血病に罹患した人は、約12000人です。 急性骨髄性白血病は、年間10万人に2~3人程度が発症するといわれ、高齢になるほど増加します。 急性骨髄性白血病は、未熟な血液細胞が何らかの原因の遺伝子異常によりがん化し、無制限に増加することで発症します。骨髄中の白血病細胞がWHO分類で20%以上、FAB分類で30%以上になると急性骨髄性白血病と診断されます。 急性骨髄性白血病の主な症状は、正常な血液が作られなくなることで起こるものと腫瘍化した細胞が臓器に浸潤して現れるものがあります。 正常な白血球が作られなくなるとウイルスや細菌などに対する抵抗力が低下し感染症にかかりやすくなります。赤血球の減少は、倦怠感、動悸、息切れといった症状がでます。血小板の減少は、鼻血がでたりあざができやすくなり、出血しやすくなります。 臓器に浸潤すると、肝臓や脾臓が腫れ、お腹が張ったり痛みが起こります。骨に浸潤すると、腰痛や関節痛、髄膜への浸潤では頭痛がおこります。表1 白血病の主な分類
骨髄性 | リンパ性 | |
急性 | 急性骨髄性白血病 (AML: acute myeloid leukemia) | 急性リンパ性白血病 (ALL: acute lymphoblastic leukemia) |
慢性 | 慢性骨髄性白血病 (CML: chronic myelogenous leukemia) | 慢性リンパ性白血病 (CLL: chronic lymphocytic leukemia) |
疾患解説:骨髄異形性症候群
骨髄異形成症候群の国内の患者数は、10万人あたり1~2人前後と推定されており、60歳を超えると急激に増加します。 骨髄異形成症候群は、血液細胞の元となる造血幹細胞に異常が起こった、骨髄系細胞に由来する血液がんの1つで、さまざまな病態があるため症候群と呼ばれています(図1)。骨髄系細胞由来の血液がんは、急性骨髄性白血病や慢性骨髄性白血病があります。 がん化した骨髄異形成症候群の造血幹細胞は、機能の異常や形状の異常が認められます。そのため未熟なまま分化がとまったり、成熟したように見えても細胞が壊れたりすることで血液細胞が減っていきます。赤血球、白血球、血小板に同時に異常が発生することもありますが、それぞれ分化する過程で異常が生じて、徐々に進行していく場合もあります。 発症原因のほとんどは不明ですが、全症例の約10%前後は治療関連骨髄異形成症候群といわれています。治療関連骨髄異形成症候群は、殺細胞性抗がん剤や放射線治療を受けた数年後に発症した症例です。 骨髄異形成症候群の症状は、血液細胞の減少と正常に機能しなくために起こります。赤血球が減少すると倦怠感、動悸、息切れなどがあらわれ、好中球が減少すると感染症にかかりやくなり発熱が起こります。血小板が減少すると、鼻血や皮膚・粘膜に点状の出血が現れることがあります。
疾患解説:慢性骨髄単球性白血病
慢性骨髄単球性白血病は、単球の増加を特徴とした骨髄増殖性腫瘍と骨髄異形症候群の性質を併せ持つ白血病です。骨髄内で異常に白血球の一種である単球が増殖することで、白血球、赤血球、血小板などの正常な血液細胞が締め出されることでさまざまな症状が起こります。 主な症状は、倦怠感、体重減少、発熱、寝汗のほか、感染症や出血などがあります。白血球が増加している場合は、肝腫大や脾腫大を伴うこともあります。治験薬:グアデシタビン
グアデシタビンは、次世代の低分子DNAメチル化阻害薬です。注射用デシタビンと比べ、体内で長く作用するようにデザインされている少量を皮下注射する薬剤です。 がん細胞では、DNAのメチル化が活性しているため、がん抑制遺伝子が抑制されています。グアデシタビンは、DNAの低メチル化を誘導することで、がん抑制遺伝子を発現させることで、抗腫瘍効果を発揮します。主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。
試験概要詳細
試験の名称 | グアデシタビンの先行臨床試験に参加した被験者を対象とした非盲検、多施設共同、継続試験 |
試験の概要 | Astex社が治験依頼者である先行臨床試験でグアデシタビン投与のベネフィットが認められた被験者にグアデシタビンを継続投与し、長期安全性情報を収集する |
疾患名 | 急性骨髄性白血病、骨髄異形性症候群又は慢性骨髄単球性白血病 |
試験薬剤名 | グアデシタビン |
用法・用量 | 60mg/m2を1日1回5日間 (1日目-5日目)皮下投与 、1サイクル28日間 |
試験のフェーズ | フェーズ2(第2相臨床試験) |
試験のデザイン | 多施設共同、非盲検、継続試験 |
目標症例数 | |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | 有害事象に基づく安全性 |
主要な評価方法 | |
副次的な評価項目 | 先行試験でのグアデシタビン初回投与からの生存期間 |
副次的な評価方法 | |
予定試験期間 | 2018年6月1日~2020年12月1日 |