FLT3変異のある初発急性骨髄性白血病に対するミドスタウリンの治験

治験名

FLT3変異を伴う初発急性骨髄性白血病患者を対象に、ミドスタウリンを1日2回の経口投与にて、ダウノルビシン/シタラビンによる寛解導入療法および高用量シタラビンによる地固め療法としてミドスタウリンとの併用投与、ならびに継続療法としてミドスタウリン単剤投与した場合の有効性および安全性を評価するアジアおよびロシア、第2相、ランダム化、二重盲検、多施設共同、プラセボ対照試験

治験概要:

初発の急性骨髄性白血病に対する治験。FLT3変異がある患者さんが対象です。 ミドスタウリンを、ダウノルビシン/シタラビンによる寛解導入療法および高用量シタラビンによる地固め療法としてミドスタウリンとの併用投与、ならびに継続療法としてミドスタウリン単剤投与した場合の有効性および安全性を評価する臨床試験です。 登録予定数は、36人。 フェーズは、2相臨床試験。 試験デザインは、ランダム化、二重盲検、多施設共同、プラセボ対照。 比較する対象は 試験群:ミドスタウリン 対照群:プラセボ で主要評価項目は無再発生存期間、副次的評価項目は、全生存期間、完全寛解率、累積再発率、安全性、薬物動態、QOLなどで評価します。

疾患解説:急性骨髄性白血病

白血病は、血液細胞ががん化する血液のがんです。 白血病は、造血幹細胞のうち骨髄系とリンパ系の2つと症状の違いによる急性と慢性の2つの分類から、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病の4つに大きく分類されます(表1)。 国立がん研究センターのがん統計によると2014年に白血病に罹患した人は、約12000人です。 急性骨髄性白血病は、年間10万人に2~3人程度が発症するといわれ、高齢になるほど増加します。 急性骨髄性白血病は、未熟な血液細胞が何らかの原因の遺伝子異常によりがん化し、無制限に増加することで発症します。骨髄中の白血病細胞がWHO分類で20%以上、FAB分類で30%以上になると急性骨髄性白血病と診断されます。 急性骨髄性白血病の主な症状は、正常な血液が作られなくなることで起こるものと腫瘍化した細胞が臓器に浸潤して現れるものがあります。 正常な白血球が作られなくなるとウイルスや細菌などに対する抵抗力が低下し感染症にかかりやすくなります。赤血球の減少は、倦怠感、動悸、息切れといった症状がでます。血小板の減少は、鼻血がでたりあざができやすくなり、出血しやすくなります。 臓器に浸潤すると、肝臓や脾臓が腫れ、お腹が張ったり痛みが起こります。骨に浸潤すると、腰痛や関節痛、髄膜への浸潤では頭痛がおこります。

表1 白血病の主な分類

骨髄性 リンパ性
急性 急性骨髄性白血病 (AML: acute myeloid leukemia) 急性リンパ性白血病 (ALL: acute lymphoblastic leukemia)
慢性 慢性骨髄性白血病 (CML: chronic myelogenous leukemia) 慢性リンパ性白血病 (CLL: chronic lymphocytic leukemia)

治験薬:ミドスタウリン

ミドスタウリンは、FLT3を標的とした分子標的薬です。 FLT3は、造血前駆細胞の増殖と生存、早期B前駆細胞の分化にかかわる受容体チロシンキナーゼです。 ミドスタウリンは、FLT3の2つの遺伝子変異である遺伝子内縦列重複変異(ITD)とチロシンキナーゼドメイン変異(TKD)の2つを阻害することで、シグナル伝達を抑制し、がん細胞の増殖を抑制します。

治験薬:ダウノルビシン

ダウノルビシンは、アントラサイクリン系の殺細胞性の抗がん剤です。 細胞の増殖には、遺伝情報伝えるためにDNAやRNAの合成が必要です。アントラサイクリン系の抗がん剤は、細胞内のDNAに結合することで、DNAやRNAの合成を阻害し、DNA鎖を延長させる酵素であるDNAポリメラーゼを阻害したり、DNA鎖を切断します。こうした作用により、抗腫瘍効果発揮します。

治験薬:シタラビン

シタラビンは、細胞増殖に必要なDNA合成を阻害する代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)です。 細胞増殖を行うためにはDNAの合成が必要です。DNAは主にアデニン、グアニン、シトシン、ミチン、ウラシルという5つの成分で構成されています。 シタラビンは、このうちシトシンという物質と似た構造をしています。がん細胞が増殖するため、DNA合成を行うとき、シトシンと間違えてシタラビンを取り込むことで、DNA合成が正しく行えず、がん細胞の増殖が阻害されます。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 急性骨髄性白血病と診断されている患者。ただし、PML-RARAを伴う急性前骨髄球性白血病の患者は除く
  • FLT3遺伝子におけるITDおよび/またはTKD活性化変異の存在が明らかになっている患者
  • 年齢:18歳以上64歳以下
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 中枢神経系白血病を示唆する神経症状がある患者。ただし、腰椎穿刺により中枢神経系白血病の可能性が除外されている場合を除く。CSF液中の急性骨髄性白血病芽球が陽性の患者は本治験に適格ではない
  • 急性骨髄性白血病以外のがんまたは疾患に対し放射線療法または化学療法による前治療を行った後に治療関連の急性骨髄性白血病を発症した患者
  • 胸部X線検査の異常所見がある患者
  • ミドスタウリンの吸収を著しく変化させる可能性がある既知の消化器機能障害または消化器疾患がる患者
  • 心臓または心再分極の異常を認める患者

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。 ※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称 FLT3変異を伴う初発急性骨髄性白血病(AML)患者を対象に、midostaurinを1日2回の経口投与にて、ダウノルビシン/シタラビンによる寛解導入療法及び高用量シタラビンによる地固め療法としてmidostaurinとの併用投与、並びに継続療法としてmidostaurin単剤投与した場合の有効性及び安全性を評価するアジア及びロシア、第II相、ランダム化、二重盲検、多施設共同、プラセボ対照試験
試験の概要 FLT3変異を伴う初発急性骨髄性白血病(AML)患者を対象に、midostaurinを、ダウノルビシン/シタラビンによる寛解導入療法及び高用量シタラビンによる地固め療法において併用投与、並びに継続療法としてmidostaurin を単剤投与した場合の有効性及び安全性を評価する
疾患名 急性骨髄性白血病(AML)
試験薬剤名 midostaurin
用法・用量 50mgを1日2回経口投与
試験のフェーズ フェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン ランダム化、二重盲検、多施設共同、プラセボ対照
目標症例数 36
適格基準
  • AMLと診断されている患者(WHO分類2016に基づき、骨髄中の芽球が20%以上の患者)。ただし、PML-RARAを伴うAPL(急性前骨髄球性白血病)の患者は除く
  • 指定検査機関の検査で、FLT3遺伝子におけるITD及び/又はTKD活性化変異の存在が明らかになっている患者(日本の安全性パートに登録する患者は除く)
  • 年齢:20歳以上64歳以下
  • 性別:両方
除外基準
  • 中枢神経系白血病を示唆する神経症状を有する患者。ただし,腰椎穿刺により中枢神経系白血病の可能性が除外されている場合を除く。CSF液中のAML芽球が陽性の患者は本治験に適格ではない
  • AML以外のがん又は疾患に対し放射線療法(RT)又は化学療法による前治療を行った後に治療関連のAMLを発症した患者
  • 胸部X線検査の異常所見を有する患者(臨床的に重要ではない所見は除く)
  • Midostaurinの吸収を著しく変化させる可能性がある既知の消化器(GI)機能障害又は消化器疾患を有する患者
  • 心臓又は心再分極の異常を認める患者
主要な評価項目 無再発生存期間
主要な評価方法 安全性評価パート:日本人初発AML患者を対象に、midostaurinをダウノルビシン/シタラビンによる寛解導入療法及び高用量シタラビンによる地固め療法と併用したときの安全性及び忍容性を評価する ランダム化パート:FLT3変異を伴う初発AML患者を対象に、ダウノルビシン/シタラビンによる寛解導入療法、高用量シタラビンによる地固め療法と併用投与し、その後継続療法としてmidostaurin又はプラセボを単剤併用した場合の有効性を無再発生存期間に基づき評価する
副次的な評価項目 全生存期間、完全寛解率、累積再発率、安全性、薬物動態、QOL
副次的な評価方法
予定試験期間 2017年8月1日~2022年6月30日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより