局所進行または転移性胆道がんに対する、M7824の治験

治験名

1次治療のプラチナ系化学療法に不応または不耐であった、局所進行または転移性胆道がん患者を対象に、M7824単剤療法の臨床的有効性を検討する第2相多施設共同非盲検試験

治験概要:

局所進行または転移性の胆道がんに対する治験。1次治療のプラチナ系化学療法に不応または不耐の患者さんが対象です。 試験の1日目から病勢進行までの期間、M7824を1回当たり1200mgを2週ごとに静脈内投与して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。 登録予定数は、141人。 フェーズは、第2相臨床試験。 試験デザインは、非盲検,単群,オープン試験 。 試験群:M7824を1回当たり1200mgを2週ごとに静脈内投与 有効性、安全性などで評価します。

疾患解説:胆道がん

国立がん研究センターのがん統計によると2016年に胆のう・胆管がんに罹患した人は、17962人です。男女差はほぼなく、60代後半から増加し始めます。 胆管がんは、胆管の上皮ががん化する悪性腫瘍です。どこの胆管にできたかで、肝内胆管がん、肝外胆管がんにわけられ、肝内胆管がんは肝臓がんとして扱われます。 胆のうがんは、胆のうや胆のう管にできるがんです。 肝外胆管がんと胆のうがん、十二指腸乳頭部がんをあわせて胆道がんといいます。 主な症状は、黄疸、腹痛、体重減少や発熱、食欲不振、全身倦怠感などです。黄疸は、がんにより胆汁が流れにくくなることで起こり、皮膚や白目部分が黄色くなります。

治験薬:M7824

M7824は、TGF-βtrapと抗PD-L1という2つの免疫療法を融合させた薬剤です。 TGF-βは、細胞から放出されるサイトカインの一種で、さまざまな作用により抗腫瘍免疫応答を阻害し、がん細胞の増殖や転移に抑制がきかない状態にします。 M7824は、このTGF-βtrapという作用で、免疫応答の阻害を抑制します。さらに、がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合を阻害する抗PD-L1作用で、免疫応答の抑制も阻害します。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 局所進行または転移性胆道がんが確定されている患者
  • 原発巣または転移巣の、保存腫瘍検体または新たな生検検体の提出が必須である
  • プラチナ系薬剤を使用した全身1次化学療法に不応または不耐の胆道がん患者でなければならない
  • 一方向測定可能な病変を1つ以上がある
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0~1 である
  • 12週間以上の生存が見込まれる
  • 以下に定義する十分な血液機能:白血球数3×109/L以上で、好中球絶対数(1.5×109/L以上、リンパ球数0.5×109/L以上、血小板数75×109/L以上、およびヘモグロビン量9 g/dL以上 以下に定義する十分な肝機能:総ビリルビンが基準値上限の1.5 倍以下、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼが基準値上限の2.5 倍以下、およびアラニンアミノトランスフェラーゼ値が基準値上限の2.5 倍以下。腫瘍の肝浸潤がある患者の場合は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼが基準値上限の5.0 倍以下およびアラニンアミノトランスフェラーゼが基準値上限の5.0 倍以下であれば容認される
  • 以下に定義する十分な凝固機能:プロトロンビン時間または国際標準比が基準値上限の1.5 倍以下
  • アルブミン値が3.0g/dL以上
  • B型肝炎ウイルスデオキシリボ核酸陽性患者の場合、安定用量の抗ウイルス薬の投与を受けている必要がある
  • 以下に定義する十分な腎機能:クレアチニンが基準値上限の1.5 倍以下、またはCockcroft-Gault 法で求めた推定クレアチニンクリアランスが40mL/min以上、若しくは24時間蓄尿によるクレアチニンクリアランス
  • その他の適格基準を満たしている
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 乳頭部がんは除外される
  • 重大な急性または慢性感染がある患者
  • 免疫賦活薬の投与により悪化する可能性のある活動性自己免疫疾患がある
  • 間質性肺疾患がある。またはその既往がある
  • 1次全身化学療法を受けていない、または不適格であった患者
  • 治験薬の初回投与前21日以内の抗がん療法
  • 禁止薬を使った併用療法
  • M7824の臨床試験への参加歴がある
  • その他の免疫療法や、抗PD-1、抗PD-L1、抗細胞傷害性T リンパ球抗原4抗体などの免疫チェックポイント阻害薬による治療歴
  • 妊娠または授乳中
  • その他の除外基準に該当しない

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータス  
PS 0 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない 100 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80 かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある 40 動けず、適切な医療および看護が必要
30 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10 死期が切迫している
0
WHO パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
0 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5 死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。 ※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称 1次治療のプラチナ系化学療法に不応又は不耐であった、局所進行又は転移性胆道癌患者を対象に、M7824単剤療法の臨床的有効性を検討する第II 相多施設共同非盲検試験
試験の概要 1次治療の化学療法に不応又は不耐であった、局所進行又は転移性胆道癌患者を対象として、M7824単剤療法を評価する試験
疾患名 胆道癌
試験薬剤名 M7824
用法・用量 試験のDay1から病勢進行までの期間、M7824を1回当たり1200mg、2週ごとに静脈内投与する
対照薬剤名
用法・用量
試験のフェーズ フェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン 非盲検,単群,オープン試験
目標症例数 141
適格基準
  • 組織学的又は細胞学的に、局所進行又は転移性BTCが確定されている患者
  • 原発巣又は転移巣の、保存腫瘍検体又は新たな生検検体(治験薬の初回投与前28日以内に採取)の提出が必須である
  • プラチナ系薬剤を使用した全身1L化学療法に不応又は不耐のBTC患者でなければならない
  • 疾患は、RECIST第1.1 版に基づき、一方向測定可能な病変を1つ以上有していなければならない
  • Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のPSが0~1 である
  • 治験担当医師の判定により、12週間以上の生存が見込まれる
  • 以下に定義する十分な血液機能:白血球(WBC)数3×109/L以上で、好中球絶対数(ANC)1.5×109/L以上、リンパ球数0.5×109/L以上、血小板数75×109/L以上、及びヘモグロビン(Hgb)量9g/dL以上
  • 以下に定義する十分な肝機能:総ビリルビンが基準値上限(ULN)の1.5倍以下、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)がULNの2.5倍以下、及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値がULNの2.5倍以下。腫瘍の肝浸潤を有する患者の場合は、ASTがULNの5.0倍以下及びALTがULNの5.0倍以下であれば容認される
  • 以下に定義する十分な凝固機能:プロトロンビン時間(PT)又は国際標準比(INR)がULNの1.5倍以下(患者が抗凝固療法を受けている場合を除く)
  • アルブミン値が3.0g/dL以上
  • B型肝炎ウイルス(HBV)デオキシリボ核酸(DNA)陽性患者の場合、安定用量の抗ウイルス薬の投与を受けている必要がある
  • 以下に定義する十分な腎機能:クレアチニンがULNの1.5倍以下、又はCockcroft-Gault 法で求めた推定クレアチニンクリアランス(CCr)が40mL/min以上、若しくは24時間蓄尿によるCCr
  • その他の適格基準を満たしている
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 乳頭部癌は除外される
  • 重大な急性又は慢性感染を有する患者
  • 免疫賦活薬の投与により悪化する可能性のある活動性自己免疫疾患がある
  • 間質性肺疾患がある。又はその既往がある
  • 1L全身化学療法を受けていない、又は不適格であった患者
  • 治験薬の初回投与前21日以内の抗癌療法
  • 禁止薬を使った併用療法
  • M7824の臨床試験への参加歴がある
  • その他の免疫療法や、抗PD-1、抗PD-L1、抗細胞傷害性T リンパ球抗原4(CTLA-4)抗体などの免疫チェックポイント阻害薬による治療歴
  • 妊娠又は授乳中
  • その他の除外基準に該当しない
主要な評価項目 安全性 / safety 有効性 / efficacy
主要な評価方法 固形がんの治療効果判定のためのガイドライン第1.1版(RECIST 1.1)に基づき、独立判定委員会(IRC)が判定した確定した客観的奏効(OR))[期間:初回投与から、予定されたORの最終評価までの期間、2.5年時点と予測される]
副次的な評価項目 安全性 / safety 有効性 / efficacy
副次的な評価方法
予定試験期間 2019年3月8日~2021年9月5日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより