一次治療の進行胆道がんに対するデュルバルマブの治験

治験名

TOPAZ-1

一次治療の進行胆道がん患者を対象としたゲムシタビン+シスプラチンとの併用療法におけるデュルバルマブを評価する第3相無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同試験

治験概要:

進行または転移性の胆道がんに対する治験。切除不能で未治療の患者さん、手術後6か月超に再発した患者さん、術後補助療法の終了後6か月超に再発した患者さんが対象です。
デュルバルマブ+ゲムシタビン+シスプラチンとプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチンを比較して、有効性と安全性、薬物動態で評価する臨床試験です。
登録予定数は、474人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、二重盲検試験。
試験群:デュルバルマブ+ゲムシタビン+シスプラチン
対照群:プラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン
有効性、安全性、薬物動態などで評価します。

疾患解説:胆道がん

国立がん研究センターのがん統計によると2016年に胆のう・胆管がんに罹患した人は、17962人です。男女差はほぼなく、60代後半から増加し始めます。
胆管がんは、胆管の上皮ががん化する悪性腫瘍です。どこの胆管にできたかで、肝内胆管がん、肝外胆管がんにわけられ、肝内胆管がんは肝臓がんとして扱われます。
胆のうがんは、胆のうや胆のう管にできるがんです。
肝外胆管がんと胆のうがん、十二指腸乳頭部がんをあわせて胆道がんといいます。
主な症状は、黄疸、腹痛、体重減少や発熱、食欲不振、全身倦怠感などです。黄疸は、がんにより胆汁が流れにくくなることで起こり、皮膚や白目部分が黄色くなります。

治験薬:デュルバルマブ

デュルバルマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:ゲムシタビン

ゲムシタビンは、細胞の増殖に必要なDNA合成を阻害する代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)と呼ばれる抗がん剤です。
細胞増殖に必要なピリミジン塩基という物質が必要で、DNAが合成されるときピリミジン塩基と似た構造のピリミジン拮抗薬が代わりに取り込まれることで抗腫瘍効果を発揮します。
ピリミジン系抗がん剤には、ゲムシタビンのほか、フルオロウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、シタラビン、カペシタビンなどがあります。
ゲムシタビンは、細胞内で代謝され、DNA合成を直接的、間接的に阻害します。

治験薬:シスプラチン

シスプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。シスプラチンは、第1世代の白金製剤です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 胆管がん(肝内胆管がんまたは肝外胆管がん)および胆のうがんを含む、組織学的に切除不能な進行または転移性の胆道系腺がんであることが確認されている患者
  • 初期診断時に切除不能または転移性となった場合は、未治療の疾患がある患者を適格とする
  • 根治目的の手術を行った場合は6か月超を経過した後に再発した患者、および該当する場合は術後補助療法の終了後6か月超を経過した時点で再発した患者を適格とする
  • 全身状態Performance Status:PS)が0または1である患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 別の原発性悪性腫瘍の既往がある患者
  • 脳転移または脊髄圧迫がある患者
  • コントロール不良の併発疾患がある患者
  • 治験薬の初回投与前28日以内に、大手術を施行された患者
  • 放射線塞栓療法等の局所領域療法を受けたことがある患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称一次治療の進行胆道癌患者を対象としたゲムシタビン+シスプラチンとの併用療法におけるデュルバルマブを評価する第III相無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同試験
試験の概要intravenous infusion
疾患名胆道癌
試験薬剤名デュルバルマブ
用法・用量静脈内投与
対照薬剤名プラセボ
用法・用量静脈内投与
試験のフェーズフェーズ3/phase3
試験のデザイン二重盲検試験
目標症例数474
適格基準
  • 胆管癌(肝内胆管癌又は肝外胆管癌)及び胆嚢癌を含む、組織学的に切除不能な進行又は転移性の胆道系腺癌であることが確認されている患者
  • 初期診断時に切除不能又は転移性となった場合は、未治療の疾患を有する患者を適格とする
  • 根治目的の手術を行った場合は6カ月超を経過した後に再発した患者、及び該当する場合は術後補助療法(化学療法及び/又は放射線療法)の終了後6カ月超を経過した時点で再発した患者を適格とする
  • 組入れ時に世界保健機関(WHO)/ECOG PSが0又は1である患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 別の原発性悪性腫瘍の既往がある患者
  • 脳転移又は脊髄圧迫を有する患者
  • コントロール不良の併発疾患を有する患者
  • 治験薬の初回投与前28日以内に、大手術を施行された患者
  • 放射線塞栓療法等の局所領域療法を受けたことがある患者
主要な評価項目有効性/efficacy
主要な評価方法
副次的な評価項目安全性/safety
有効性/efficacy
薬物動態/pharmacokinetics
副次的な評価方法
予定試験期間2019年4月1 日~2022年4月30日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより