進行または切除不能な胆道がんに対するペムブロリズマブ併用の治験
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治験名
進行または切除不能な胆道がん患者を対象とした一次治療としてのペムブロリズマブおよびゲムシタビン/シスプラチンの併用療法とプラセボおよびゲムシタビン/シスプラチンの併用療法を比較する第3相無作為化二重盲検試験
治験概要:
進行または切除不能な胆道がんに対する治験。身性の治療歴がない患者さんが対象です。
ペムブロリズマブ+ゲムシタビン+シスプラチンとプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチンを比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、788人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、無作為化、並行群間、二重盲検。
試験群:ペムブロリズマブ+ゲムシタビン+シスプラチン
対照群:プラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン
無増悪生存期間、全生存時間、奏効率、奏効期間、安全性、忍容性などで評価します。
疾患解説:胆道がん(胆管がん・胆のうがん)
国立がん研究センターのがん統計によると2016年に胆のう・胆管がんに罹患した人は、17962人です。男女差はほぼなく、60代後半から増加し始めます。
胆管がんは、胆管の上皮ががん化する悪性腫瘍です。どこの胆管にできたかで、肝内胆管がん、肝外胆管がんにわけられ、肝内胆管がんは肝臓がんとして扱われます。
胆のうがんは、胆のうや胆のう管にできるがんです。
肝外胆管がんと胆のうがん、十二指腸乳頭部がんをあわせて胆道がんといいます。
主な症状は、黄疸、腹痛、体重減少や発熱、食欲不振、全身倦怠感などです。黄疸は、がんにより胆汁が流れにくくなることで起こり、皮膚や白目部分が黄色くなります。
治験薬:ペムブロリズマブ
ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:ゲムシタビン
ゲムシタビンは、細胞の増殖に必要なDNA合成を阻害する代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)と呼ばれる抗がん剤です。
細胞増殖に必要なピリミジン塩基という物質が必要で、DNAが合成されるときピリミジン塩基と似た構造のピリミジン拮抗薬が代わりに取り込まれることで抗腫瘍効果を発揮します。
ピリミジン系抗がん剤には、ゲムシタビンのほか、フルオロウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、シタラビン、カペシタビンなどがあります。
ゲムシタビンは、細胞内で代謝され、DNA合成を直接的、間接的に阻害します。
治験薬:シスプラチン
シスプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。シスプラチンは、第1世代の白金製剤です。
主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。
試験概要詳細
試験の名称 | 進行又は切除不能な胆道癌患者を対象とした一次治療としてのMK-3475及びゲムシタビン/シスプラチンの併用療法とプラセボ及びゲムシタビン/シスプラチンの併用療法を比較する第III相無作為化二重盲検試験 |
試験の概要 | 本治験は、進行又は切除不能な胆道癌患者を対象とした一次治療としてのMK-3475及びゲムシタビン/シスプラチンの併用療法とプラセボ及びゲムシタビン/シスプラチンの併用療法を比較する第III相無作為化二重盲検試験である 本試験では2つの主要仮説を評価する。仮説1:BICRがRECIST1.1に基づき評価したPFSについて、MK-3475及びゲムシタビン/シスプラチンの併用は、プラセボ及びゲムシタビン/シスプラチンの併用に対して優越性を示す。仮説2:OSについて、MK-3475及びゲムシタビン/シスプラチンの併用は、プラセボ及びゲムシタビン/シスプラチンの併用に対して優越性を示す |
疾患名 | 胆道癌患者 |
試験薬剤名 | MK-3475+ゲムシタビン+シスプラチン |
用法・用量 | 1日目にMK-3475200mgIV3週間間隔(Q3W)+1日目及び8日目にゲムシタビン1000mg/m2IV及びシスプラチン25mg/m2IVQ3W |
対照薬剤名 | プラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン |
用法・用量 | 1日目にプラセボ(生理食塩液)IVQ3W+1日目及び8日目にゲムシタビン1000mg/m2IV及びシスプラチン25mg/m2IVQ3W |
試験のフェーズ | フェーズ3/phase3 |
試験のデザイン | 無作為化、並行群間、二重盲検 |
目標症例数 | 788 |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | 有効性/efficacy |
主要な評価方法 | 目的:盲検化された中央画像判定機関(BICR)がRECIST1.1に基づき評価した無増悪生存期間(PFS)について、MK-3475及びゲムシタビン/シスプラチンの併用群とプラセボ及びゲムシタビン/シスプラチンの併用群を比較する PFS:無作為割付けから最初に記録された疾患進行(PD)又は原因を問わない死亡のいずれか早い時点までの期間 目的:全生存時間(OS)について、MK-3475及びゲムシタビン/シスプラチンの併用群とプラセボ及びゲムシタビン/シスプラチンの併用群を比較する OS:無作為割付けから原因を問わない死亡までの期間 |
副次的な評価項目 | 安全性/safety 有効性/efficacy |
副次的な評価方法 | 目的:BICRがRECIST1.1に基づき評価した奏効率(ORR)について、MK-3475及びゲムシタビン/シスプラチンの併用群とプラセボ及びゲムシタビン/シスプラチンの併用群を比較する。奏効:完全奏効(CR)又は部分奏効(PR) 目的:BICRがRECIST1.1に基づき評価した奏効期間(DOR)を評価する DOR:CR又はPRが確定した患者で、CR又はPRが最初に記録されてからPD又は原因を問わない死亡のいずれか早い時点までの期間 目的:MK-3475及びゲムシタビン/シスプラチンの併用療法の安全性及び忍容性プロファイル(有害事象、有害事象による治験薬の投与中止)を評価する |
予定試験期間 | 2019年11月15日~2023年8月31日 |