進行性または転移性胆道がんに対するバリチニブとカペシタビン併用療法の治験

治験の募集状況は、「jRCT 臨床研究等提出・公開システム外部リンク」ページでご確認ください。

上記ページにアクセスし、条件欄から「研究の名称」を選択、このページの「試験概要詳細」の「試験の名称」をコピーして、キーワード欄に貼り付け、検索してください。

治験名

進行性または転移性の胆道がんに対するバリチニブとカペシタビンを併用する、多施設、二重盲検、無作為化、プラセボ対照の臨床試験

A MULTICENTER, DOUBLE-BLIND, RANDOMIZED, PLACEBO CONTROLLED STUDY OF VARLITINIB PLUS CAPECITABINE VERSUS PLACEBO PLUS CAPECITABINE IN PATIENTS WITH ADVANCED OR METASTATIC BILIARY TRACT CANCER AS SECOND-LINE SYSTEMIC THERAPY

治験概要:

進行性または転移性の胆道がんに対する治験。1次治療としてゲムシタビン6回投与を受けた管内胆管がん、肝外胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がん患者さんが対象です。
バリチニブ+カペシタビン併用療法とプラセボ+カペシタビンを比較して、無増悪生存期間、全生存期間、奏効率などで評価する第2/3相試験です。
登録予定数は490人。
試験デザインは、多施設、二重盲検、無作為化、プラセボ対照。
フェーズは、フェーズ2/3(第2/3相臨床試験)。
比較する対象は
治験群:バリチニブ+カペシタビン併用療法
対照群:プラセボ+カペシタビン
で主要評価項目は、無増悪生存期間、全生存率、奏効率などで評価します。

疾患解説:胆道がん(胆管がん・胆のうがん)

国立がん研究センターのがん統計によると2016年に胆のう・胆管がんに罹患した人は、17962人です。男女差はほぼなく、60代後半から増加し始めます。
胆管がんは、胆管の上皮ががん化する悪性腫瘍です。どこの胆管にできたかで、肝内胆管がん、肝外胆管がんにわけられ、肝内胆管がんは肝臓がんとして扱われます。
胆のうがんは、胆のうや胆のう管にできるがんです。
肝外胆管がんと胆のうがん、十二指腸乳頭部がんをあわせて胆道がんといいます。
主な症状は、黄疸、腹痛、体重減少や発熱、食欲不振、全身倦怠感などです。黄疸は、がんにより胆汁が流れにくくなることで起こり、皮膚や白目部分が黄色くなります。

治験薬:バリチニブ

バリチニブは、上皮成長因子受容体(EGFR)を含むEGFRと似た構造の物質(ErbBファミリー/HERファミリー)のうち、EGFR、HER2、HER4を標的とする経口の分子標的薬です。
ErbBファミリーは、EGFR(ErbB1/HER1)、HER2(ErbB2)、HER3(ErbB3)、HER4(ErbB4)に4つに分類されます。
上皮成長因子受容体は、細胞の増殖や成長にかかわるたんぱく質で、増殖シグナルを伝達するチロシンキナーゼを活性化させます。遺伝子変異によってこのチロシンキナーゼが異常活性を起こすことで、がん細胞は異常な増殖を起こします。バリチニブは、EGFR、HER2、HER4を阻害することで細胞の増殖を抑制します。どちらか1つのみを阻害する薬剤より有効性が期待されます。

治験薬:カペシタビン

カペシタビンは、細胞の増殖に必要なDNA合成を阻害する代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)と呼ばれる抗がん剤です。
細胞増殖に必要なピリミジン塩基という物質が必要で、DNAが合成されるときピリミジン塩基と似た構造のピリミジン拮抗薬が代わりに取り込まれることで抗腫瘍効果を発揮します。
ピリミジン系抗がん剤には、カペシタビンのほか、フルオロウラシル、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、シタラビン、ゲムシタビンなどがあります。
カペシタビンは、体内に吸収されたのち肝臓や腫瘍組織でフルオロウラシルに変化するプロドラッグといわれる製剤です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 肝内、肝外胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がんで切除不能または転移性の胆道がん
  • 1次治療としてゲムシタビン治療を受け不能となった患者
  • 1次治療としてゲムシタビンを少なくとも6回投与されている
  • 測定可能な病変がある
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0または1
  • インフォームドコンセントへの署名
  • 適切な器官と血液機能がある
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 3週間以内に抗がん剤治療をうけていた、もしくは抗がん剤治療中
  • 3週間以内に放射線治療または局所治療を受けている
  • 腹膜転移または腹水の兆候がある(悪性ではない原因による腹水は除外)
  • 14日前に大手術を受けた
  • 症状に関わらず脳転移がある
  • 吸収不良症候群、胃腸機能に重大な影響をおぼす疾患、胃または小腸の切除、または研究者の意見で調査結果の有効性を危険にさらす可能性がある経口薬で保持することが困難
  • 進行中または活動性の感染症、不安定狭心症、心臓不整脈、糖尿病、高血圧、または精神疾患が認められる
  • 1年以内に寛解していない他の悪性腫瘍の既往がある
  • 妊娠中または授乳中の女性患者
  • バリチニブまたはカペシタビンによる全身治療を受けたことがある
  • ヒト免疫不全ウイルス、C型肝炎、B型肝炎ウイルスへの感染
  • 過去1年以内に薬物中毒の既往歴
  • ステロイドまたは現在の肺炎を必要とする(非感染性)肺炎の既往があるか、間質性肺疾患または現在の間質性肺疾患の病歴がある
  • 臨床的に重要な心臓血管、呼吸器、肝臓、腎臓、血液学、胃腸管、内分泌学、免疫学的、皮膚科学的、神経学的または精神医学的疾患が認められる

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※ここに掲載した多くの情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。

試験概要詳細

試験の名称A MULTICENTER, DOUBLE-BLIND, RANDOMIZED, PLACEBO CONTROLLED STUDY OF VARLITINIB PLUS CAPECITABINE VERSUS PLACEBO PLUS CAPECITABINE IN PATIENTS WITH ADVANCED OR METASTATIC BILIARY TRACT CANCER AS SECOND-LINE SYSTEMIC THERAPY
試験の概要進行性又は転移性の胆道癌患者を対象とした二次治療における 全身療法としてのvarlitinib+カペシタビンとプラセボ+カペシタビンを比較する多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験
疾患名進行性又は転移性胆道癌(肝内胆管癌、肝外胆管癌、胆嚢癌、及びファーター乳頭部癌)
試験薬剤名 varlitinib
用法・用量 varlitinib300mg又はプラセボを1日2回連日経口投与する。カペシタビン1000mg/m2をDay1からDay14まで1日2回連日経口投与し、その後7日間休薬する。これを21日ごとに繰り返す
試験のフェーズ
試験のデザイン
目標症例数
適格基準
  • clinicaltrials.gov参照
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • clinicaltrials.gov参照
主要な評価項目
主要な評価方法
副次的な評価項目
副次的な評価方法
予定試験期間参加募集中

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより