進行胆道がんに対するレスミノスタット+S-1併用療法の治験

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治験名

ゲムシタビン+プラチナ製剤不応の進行胆道がん患者を対象としたS-1+レスミノスタット併用療法とS-1+プラセボ療法の第2相二重盲検比較試験

治験概要:

切除不能または再発胆道がんに対する治験。1次治療としてゲムシタビンおよびプラチナ製剤を含む化学療法歴が1レジメンのみの患者さんが対象です。 レミノスタット+S-1併用療法とプラセボ+S-1で比較して、無増悪生存期間や全生存期間などで評価する臨床試験です。 登録予定数は、100人。 試験デザインは、無作為化、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照試験。 フェーズは、第2相臨床試験。 試験群:レミノスタット+S-1併用療法 試験群:プラセボ+S-1 で主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、奏効率、病勢コントロール率、安全性などで評価します。

疾患解説:胆道がん

国立がん研究センターのがん統計によると2016年に胆のう・胆管がんに罹患した人は、17962人です。男女差はほぼなく、60代後半から増加し始めます。 胆管がんは、胆管の上皮ががん化する悪性腫瘍です。どこの胆管にできたかで、肝内胆管がん、肝外胆管がんにわけられ、肝内胆管がんは肝臓がんとして扱われます。 胆のうがんは、胆のうや胆のう管にできるがんです。 肝外胆管がんと胆のうがん、十二指腸乳頭部がんをあわせて胆道がんといいます。 主な症状は、黄疸、腹痛、体重減少や発熱、食欲不振、全身倦怠感などです。黄疸は、がんにより胆汁が流れにくくなることで起こり、皮膚や白目部分が黄色くなります。

治験薬:レスミノスタット

レスミノスタットは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻害する経口薬です。 HDACは、様々な遺伝子発現を調整する働きがあり、細胞周期の進行や分化に関わる酵素です。 HDACを阻害は、がん細胞のDNA構造を変化させ抗腫瘍効果とともに、がん細胞に分化と細胞死を誘導する作用により、がん細胞の増殖を抑制します。

治験薬:S-1

S-1は、DNAを構成するピリミジン塩基という成分と同じ構造をもつ成分に変換される薬が配合された代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)です。テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウムの3つの配合剤です。 テガフールは、体内で徐々にDNA合成やRNA機能障害を起こすフルオロウラシルに変換され細胞死に至らす作用があります。ギメラシルは、フルオロウラシルを分解する酵素を阻害しフルオロウラシルの血中濃度を維持させます。オテラシルカリウムは、消化管粘膜障害を軽減する作用があります。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 切除不能または再発胆道がん(肝内胆管がん、肝外胆管がん、胆嚢がん、Vater膨大部がん)
  • 胆道がんに対して1次治療としてゲムシタビンおよびプラチナ製剤を含む全身化学療法歴(1レジメン)のみがある
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0または1
  • 薬剤の経口投与が可能
  • 年齢:20歳以上79歳以下
  • 性別:両方
対象とならない人
  • ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤の投与歴がある
  • 妊婦または授乳婦および妊娠している可能性のある女性、あるいは適切な方法より避妊することに同意しない患者
  • 脳転移があるまたは臨床的な症状から脳転移が疑われる

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータス  
PS 0 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない 100 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80 かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある 40 動けず、適切な医療および看護が必要
30 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10 死期が切迫している
0
WHO パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
0 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5 死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。

試験概要詳細

試験の名称 ゲムシタビン+プラチナ製剤不応の進行胆道癌患者を対象としたS-1+Resminostat併用療法とS-1+プラセボ療法の第II相二重盲検比較試験
試験の概要 胆道癌患者を対象に、S-1+プラセボ群を対照として、S-1+Resminostat併用療法の有効性を評価する
疾患名 胆道癌
試験薬剤名 YHI-1001+S-1
用法・用量 経口
対照薬剤名 プラセボ
用法・用量 経口
試験のフェーズ フェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン 無作為化、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照試験
目標症例数 100
適格基準
  • 切除不能又は再発胆道癌(肝内胆管癌、肝外胆管癌、胆嚢癌、Vater 膨大部癌)である
  • 胆道癌に対して一次治療としてゲムシタビンおよびプラチナ製剤を含む全身化学療法歴(1レジメン)のみを有する
  • ECOGのPSが0又は1である
  • 薬剤の経口投与が可能である
  • 年齢:20歳以上79歳以下
  • 性別:両方
除外基準
  • HDAC 阻害剤の投与歴を有する
  • 妊婦又は授乳婦及び妊娠している可能性のある女性、あるいは適切な方法より避妊することに同意しない患者
  • 脳転移を有する又は臨床的な症状から脳転移が疑われる
主要な評価項目 無増悪生存期間
主要な評価方法
副次的な評価項目 全生存期間、奏効率、病勢コントロール率、安全性
副次的な評価方法
予定試験期間 2018年3月1日~2020年5月1日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより