FGF/FGFR変異がある切除不能な胆管がんに対するペミガチニブの治験
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治験名
過去に奏効しなかったFGFR2転座を伴う進行/転移または切除不能な胆管がん被験者を対象としてペミガチニブの有効性および安全性を評価する非盲検、単群、多施設共同、第2相試験
治験概要:
FGFR2転座を伴う進行/転移または切除不能な胆管がんに対する治験。少なくとも過去1回以上の治療で奏効しなかった患者さんが対象です。 融合パートナーが確認されたFGFR2転座ありの患者群、他のFGF/FGFR変異ありの患者群、FGF/FGFR変異なしの患者群の3つにわけ、ペミガチニブを1日1回2週間投与して、全奏効率、無増悪生存期間、安全性、忍容性などで評価する臨床試験です。 登録予定数は、140人。 フェーズは、2相臨床試験。 試験デザインは、単剤療法、非盲検単群、治療。 試験群:ペミガチニブを1日1回2週間投与(融合パートナーが確認されたFGFR2転座あり) 試験群:ペミガチニブを1日1回2週間投与(他のFGF/FGFR変異あり) 試験群:ペミガチニブを1日1回2週間投与(FGF/FGFR変異なし) 奏効率、無増悪生存期間、全生存期間、奏功期間、病勢コントロール率、治療成功期間、安全性、薬物動態などで評価します。疾患解説:胆道がん(胆管がん・胆のうがん)
国立がん研究センターのがん統計によると2016年に胆のう・胆管がんに罹患した人は、17962人です。男女差はほぼなく、60代後半から増加し始めます。 胆管がんは、胆管の上皮ががん化する悪性腫瘍です。どこの胆管にできたかで、肝内胆管がん、肝外胆管がんにわけられ、肝内胆管がんは肝臓がんとして扱われます。 胆のうがんは、胆のうや胆のう管にできるがんです。 肝外胆管がんと胆のうがん、十二指腸乳頭部がんをあわせて胆道がんといいます。 主な症状は、黄疸、腹痛、体重減少や発熱、食欲不振、全身倦怠感などです。黄疸は、がんにより胆汁が流れにくくなることで起こり、皮膚や白目部分が黄色くなります。 〇治験薬:ペミガチニブ
ペミガチニブは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の活性を阻害する分子標的薬です。 FGFは、血管新生など成長因子の一種で、細胞の増殖や分化において重要な役割を担っています。主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータスPS 0 | 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 | 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 | 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 | 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
Karnofsky パフォーマンスステータススコア | 患者の状態 | |
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない | 100 | 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし |
90 | 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能 | |
80 | かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能 | |
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする | 70 | 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能 |
60 | 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要 | |
50 | 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要 | |
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある | 40 | 動けず、適切な医療および看護が必要 |
30 | 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない | |
20 | 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要 | |
10 | 死期が切迫している | |
0 | 死 |
スコア | 患者の状態 |
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0 | 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える |
1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など |
2 | 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす |
3 | 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
4 | 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす |
5 | 死亡 |
出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。
試験概要詳細
試験の名称 | 過去に奏効しなかったFGFR2転座を伴う進行/転移又は切除不能な胆管癌被験者を対象としてINCB054828の有効性及び安全性を評価する非盲検、単群、多施設共同、第II相試験 |
試験の概要 | 本治験の主要目的は、少なくとも過去1回以上の治療で奏効しなかった線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)2の転座を伴う進行/転移又は切除不能な胆管癌被験者におけるINCB054828の有効性を評価する |
疾患名 | 胆管癌 |
試験薬剤名 | INCB054828 |
用法・用量 | コホートA:中央検査室の報告書で融合パートナーが確認されたFGFR2転座あり 2週間投与(1日1回投与)/1週間休 |
試験薬剤名 | INCB054828 |
用法・用量 | コホートB:他のFGF/FGFR変異あり 2週間投与(1日1回投与)/1週間休薬 |
試験薬剤名 | INCB054828 |
用法・用量 | コホートC(米国のみ):FGF/FGFR変異なし 2週間投与(1日1回投与)/1週間休薬 |
試験のフェーズ | フェーズ2(第2相臨床試験) |
試験のデザイン | 単剤療法、非盲検単群、治療 |
目標症例数 | 140 |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | FGFR2転座が認められた被験者における全奏効率(ORR)の決定 |
主要な評価方法 | ORRはRECIST v 1.1に基づき、完全奏効(CR: すべての標的病変の消失)又は部分奏効(PR: ベースライン長径和と比較して標的病変の最長径の和が 30% 以上減少)と定義。臨床反応は独立中央放射線画像判定委員会が評価する |
副次的な評価項目 | 1. FGFR2転座以外の FGF/FGFR変異がある被験者(コホートB)のORR FGF/FGFR変異がある被験者のORR(コホートA及びB) FGF/FGFR変異がない被験者のORR [コホートC(米国のみ)] 2.無増悪生存期間 3.有害事象(AE)の発現頻度、持続期間、及び重症度を観察することによる、安全性及び忍容性の評価 |
副次的な評価方法 | 1. ORRはRECIST v 1.1に基づき、完全奏効(CR: すべての標的病変の消失)又は部分奏効(PR: ベースライン長径和と比較して標的病変の最長径の和が 30% 以上減少)と定義。臨床反応は独立中央放射線画像判定委員会が評価する 2. 無増悪生存期間は治験薬投与の初日から死亡又はRECIST v1.1に基づいた中央放射線画像判定委員会の評価による病勢進行(いずれか早い)までの時間と定義されている |
予定試験期間 | 2016年10月1日~2019年6月1日 |