脳腫瘍に対するニボルマブと放射線治療を併用する治験

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治験名

ONO-4538/BMS-936558第3相試験

初発のMGMT非メチル化成人膠芽腫患者を対象に、放射線療法をそれぞれ併用し、ニボルマブとテモゾロミドを比較する無作為化第3相非盲検試験

治験概要:

初発のMGMT遺伝子がメチル化していない膠芽腫患者に対する治験です。ニボルマブ+放射線療法とテモゾロミド+放射線療法で比較して全生存期間で評価する第3相試験です。
登録予定数は550人。
試験デザインは、無作為化非盲検試験。
フェーズは、第3相臨床試験。
比較する対象は
対象群1:ニボルマブ+放射線療法
対象群2:テモゾロミド+放射線療法
で主要評価項目は全生存期間、副次的な評価項目は無増悪生存期間と24か月時点での全生存期間で評価します。

疾患解説:膠芽腫

国立がん研究センターのがん統計によると2014年に脳腫瘍(脳・中枢神経系)に罹患した人は、約5230人です。
脳腫瘍は、脳実質(中枢神経)や脳神経(末梢神経)、髄膜、脳下垂体などの組織ががん化した腫瘍で、頭の中にできるすべての腫瘍の総称で原発性脳腫瘍といいます。肺がん、大腸がん、乳がんなど別のがんが脳に転移したものは、転移性脳腫瘍といいます。
原発性の脳腫瘍は、良性の腫瘍と悪性の腫瘍に分類されますが、ほかのがんのようにがんの大きさやリンパ節への転移、他臓器への遠隔転移などによるTNM分類やステージ分類というものはありません。脳腫瘍の悪性度(グレード)により1~4段階の4つに分類されます。グレード1は良性、2~4は悪性腫瘍となります。
脳腫瘍は、病理学的に細かく分類すると100種類以上あります。
脳腫瘍の内、中枢神経から発生するものは、神経膠腫、髄芽腫、血管芽腫という種類があります。脳神経、髄膜、脳下垂体から発生するものは、髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腺腫という種類があります。
このうち悪性腫瘍の代表的なものが神経膠腫で、神経膠腫はさらに星細胞腫と乏突起膠腫の2つのタイプとこの2つが混在した乏突起星細胞腫の3つに分類されます。星細胞腫や乏突起膠腫、乏突起星細胞腫は悪性度が2で、これらの悪性度が3になるとそれぞれ退形成性星細胞腫と退形成性乏突起膠腫、退形成性乏突起星細胞腫になります。星細胞腫で最も悪性度の高い4が、膠芽腫です。

主な原発性脳腫瘍の分類

原発性脳腫瘍脳実質内
(中枢神経)
神経膠腫
髄芽腫
血管芽腫
脳実質外
(脳神経、髄膜、脳下垂体)
髄膜腫
神経鞘腫
下垂体腺腫

神経膠腫の主なタイプと悪性度

悪性度(グレード)星細胞腫系乏突起膠腫系乏突起星細胞腫系
グレード2びまん性星細胞腫乏突起膠腫乏突起星細胞腫
グレード3退形成性星細胞腫退形成性乏突起膠腫退形成性乏突起星細胞腫
グレード4膠芽腫

脳腫瘍の主な症状は、脳のむくみによるものと腫瘍が発生した場所の脳が障害されて起こる局所的なものがあります。
脳のむくみによるものは、頭痛、吐き気、意識障害などがあります。局所的な脳の障害によるものは、障害された部分によって運動機能や感覚、思考、言語障害などさまざまな症状がおこります。

治験薬:ニボルマブ

ニボルマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 初発の膠芽腫患者
  • MGMT遺伝子がメチル化していないことが検査で確認された患者
  • 自分自身の世話ができる患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 膠芽腫に対する外科手術以外の治療歴がある患者
  • 脳以外の部位に腫瘍がある患者
  • 再発または二次性の膠芽腫と診断された患者
  • 活動性の自己免疫疾患の合併または疑いのある患者
  • 生検のみ(20%未満の切除)が実施された患者

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※ここに掲載した多くの情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。

試験概要詳細

試験の名称初発のMGMT(腫瘍内O-6-メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ)非メチル化成人膠芽腫患者を対象に,放射線療法をそれぞれ併用し,ニボルマブとテモゾロミドを比較する無作為化第3相非盲検試験
試験の概要初発のMGMT(腫瘍内O-6-メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ)非メチル化成人膠芽腫患者を対象に、放射線療法をそれぞれ併用し、ニボルマブとテモゾロミドを比較する無作為化第3相非盲検試験
疾患名膠芽腫
試験薬剤名ニボルマブ
用法・用量静脈内投与
試験薬剤名テモゾロミド
用法・用量標準的な用法・用量
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン無作為化非盲検試験
目標症例数550
適格基準
  • 初発の膠芽腫患者
  • MGMT非メチル化であることが検査で確認された患者
  • Karnofsky Performance Statusが70以上の患者(自分自身の世話ができる患者)
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 膠芽腫に対する治療歴を有する患者(外科的切除は除く)
  • 再発又は二次性の膠芽腫と診断された患者
  • 活動性の自己免疫疾患の合併又は疑いのある患者
  • 生検のみ(20%未満の切除)が実施された患者
主要な評価項目全生存期間(OS)
主要な評価方法
副次的な評価項目無増悪生存期間(PFS)、24カ月時点でのOS
副次的な評価方法
予定試験期間2016年2月~2019年10月

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより