進行・再発子宮内膜がんに対するデュルバルマブ+オラパリブ+化学療法併用の治験

治験の募集状況は、「jRCT 臨床研究等提出・公開システム外部リンク」ページでご確認ください。

上記ページにアクセスし、条件欄から「研究の名称」を選択、このページの「試験概要詳細」の「試験の名称」をコピーして、キーワード欄に貼り付け、検索してください。

治験名

DUO-E

新たに診断された進行子宮内膜がんまたは再発子宮内膜がん患者さんを対象に、一次治療としてのカルボプラチン パクリタキセルとデュルバルマブの併用療法およびその後のオラパリブ併用または非併用下でのデュルバルマブ維持療法を検討する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第3相試験

治験概要:

進行子宮内膜がんまたは再発子宮内膜がんに対する治験。新たに診断された患者さんが対象です。
化学療法、デュルバルマブ+化学療法、デュルバルマブ+オラパリブ+化学療法を比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、56人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、無作為化並行群間二重盲検プラセボ対照。
試験群1:デュルバルマブ+オラパリブ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)
試験群2:デュルバルマブ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)
対照群:化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)
有効性と安全性などで評価します。

疾患解説:子宮体がん

国立がん研究センターのがん統計によると2017年に子宮体がんに罹患した人は、2526人です。40代後半から徐々に増えはじめ、70歳前後がピークで、閉経後お女性に多いのが特徴です。
子宮にできるがんには、子宮頸がんと子宮体がんがあります。子宮頸部は子宮の入り口部分で、子宮体部はその奥の部分です。子宮体がんは、主に子宮体部の内側を覆っている子宮内膜から発生します。
子宮体がんは、女性ホルモンが関与するタイプと関与しないタイプがあり、閉経後に発症する子宮体がんの多くは、女性ホルモンが関与しないタイプです。
主な症状は、不正性器出血です。特に閉経後に少量ずつ長く続く取穴は注意が必要です。
子宮体がんの進行期分類は、「手術進行期分類」といって、手術を行った後に摘出した検体の病理検査を行った上で、最終的な治療方針が決定されます。がんが子宮体部にとどまっているものがI期です。がんが子宮体部にとどまらず、子宮頸部にまで広がった場合がII期となります。III期は、がんが子宮外に出ているが骨盤内にあるもの、または骨盤リンパ節あるいは傍大動脈リンパ節に転移があるものです。IV期は、がんが骨盤の外に広がるか膀胱や直腸に浸潤するもの、または肺や肝臓などの遠隔臓器に転移があるものです。

治験薬:デュルバルマブ

デュルバルマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:オラパリブ

オラパリブは、損傷したDNAを修復するPARPと呼ばれる酵素を阻害する分子標的薬です。
正常な細胞でDNAに損傷が起こると、PARPが修復します。PARP阻害薬で修復を妨げても、PARP以外のBRCA1とBRCA2という遺伝子が、たんぱく質を生成し損傷したDNAを修復します。しかし、BRCA1/2遺伝子に変異があると、損傷したDNAの修復が行われないため細胞死を誘導します。
オラパリブは、BRCA1/2遺伝子変異によってDNAが修復できずがん化した細胞に特異的に働き、PARPを阻害することでがん細胞のDNA損傷の修復をさせず細胞死を誘導します。

治験薬:カルボプラチン

カルボプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。カルボプラチンは、シスプラチンの構造を変えることで吐き気や腎臓への障害、神経障害が軽減された第2世代の白金製剤です。

治験薬:パクリタキセル

クリタキセルは、イチイ科の植物の成分から開発されたタキサン系と呼ばれる微小管阻害薬です。
細胞が増殖するために細胞分裂を行うときに、微小管という物質がばらばらになる必要があります。パクリタキセルは、この微小管がばらばらにならないように安定化させ過剰に形成を起こすことで、細胞分裂を阻害して抗腫瘍効果を発揮する殺細胞性の抗がん薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 組織診により上皮性子宮内膜がんと確定診断された者。がん肉腫を含むすべての組織型を組入れ可能だが、肉腫は不可
  • 以下のいずれかに分類される子宮内膜がんの者
    新たに診断された3期子宮内膜がん
    新たに診断された4期子宮内膜がん
    手術単独または併用療法により根治する可能性の低い再発子宮内膜がん
  • 全身抗がん療法による一次治療歴のない者。再発子宮内膜がん患者においてのみ、化学療法歴は、アジュバント療法として投与され、かつ化学療法の最終投与日からその後の再発までの期間が12か月以上の場合に限り可
  • FFPE腫瘍検体がMMR評価のために利用可能であること
  • 治験薬投与開始前7日以内全身状態(performancestatus:PS)が0または1
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:女性
対象とならない人
  • 髄膜がん腫症の既往歴がある患者
  • 脳転移または脊髄圧迫が認められる患者
  • PARP阻害薬による治療歴のある患者
  • 免疫チェックポイント阻害薬による治療歴のある者または刺激性もしくは共抑制性T細胞受容体を標的とした薬剤による治療歴のある患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。

試験概要詳細

試験の名称新たに診断された進行子宮内膜癌又は再発子宮内膜癌患者を対象に、一次治療としてのカルボプラチン パクリタキセルとデュルバルマブの併用療法及びその後のオラパリブ併用又は非併用下でのデュルバルマブ維持療法を検討する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III 相試験
試験の概要この試験では、新たに診断された進行子宮内膜癌又は再発子宮内膜癌患者を対象に、白金製剤を含む化学療法(カルボプラチン、パクリタキセル)とデュルバルマブの併用療法及びその後のオラパリブ併用又は非併用下でのデュルバルマブ維持療法の有効性及び安全性を評価する
疾患名子宮内膜癌
試験薬剤名デュルバルマブ、デュルバルマブ プラセボ、オラパリブ、オラパリブ プラセボ、カルボプラチン、パクリタキセル
用法・用量 A群(対照群):デュルバルマブ プラセボ、オラパリブ プラセボ、カルボプラチン、パクリタキセル
B群(デュルバルマブ+プラセボ群):デュルバルマブ、オラパリブ プラセボ、カルボプラチン、パクリタキセル
C群(デュルバルマブ+オラパリブ群):デュルバルマブ、オラパリブ、カルボプラチン、パクリタキセル
対照薬剤名
用法・用量
試験のフェーズフェーズ3/phase3
試験のデザイン無作為化並行群間二重盲検プラセボ対照
目標症例数56
適格基準
  • スクリーニング時に年齢が18歳以上である女性
  • 組織診により上皮性子宮内膜癌と確定診断された者。癌肉腫を含むすべての組織型を組入れ可とする。肉腫は不可とする
  • 以下のいずれかに分類される子宮内膜癌の者
    1.新たに診断されたIII期子宮内膜癌(手術又は診断的生検後にRECIST第1.1版に基づく測定可能病変あり)
    2.新たに診断されたIV期子宮内膜癌(手術又は診断的生検後に病変あり又はなし)
    3.手術単独又は併用療法により根治する可能性の低い再発子宮内膜癌(RECIST第1.1版に基づく測定可能病変又は測定不能病変あり)
  • 全身抗癌療法による一次治療歴のない者。再発子宮内膜癌患者においてのみ、化学療法歴は、アジュバント療法として投与され(術前/アジュバント抗癌治療の一環として、化学放射線療法と同時又はその後でもよい)、かつ化学療法の最終投与日からその後の再発までの期間が12カ月以上の場合に限り可とする
  • FFPE腫瘍検体がMMR評価のために利用可能であること
  • 治験薬投与開始前7日以内のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)performancestatusが0又は1であること
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 髄膜癌腫症の既往歴がある患者
  • 脳転移又は脊髄圧迫が認められる患者
  • PARP阻害薬による治療歴のある患者
  • 免疫チェックポイント阻害薬による治療歴のある者又は刺激性若しくは共抑制性T細胞受容体を標的とした薬剤(抗PD-1薬、抗PD-L1薬、若しくは抗PD-L2薬は除く)による治療歴のある患者
主要な評価項目有効性/efficacy
バイオアベイラビリティ/bioavailability
主要な評価方法
副次的な評価項目安全性/safety
有効性/efficacy
副次的な評価方法
予定試験期間2020年7月01日~2024年12月31日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより