進行子宮体がんに対するレンバチニブ+ペムブロリズマブ併用の治験
治験の募集状況は、「jRCT 臨床研究等提出・公開システム」ページでご確認ください。
治験名
進行子宮体がん患者を対象にレンバチニブおよびペムブロリズマブの併用療法と治験担当医師選択治療の有効性および安全性を比較する第3相無作為化多施設共同非盲検試験
治験概要:
進行子宮体がんに対する治験。再発、転移または切除不能な病変に対して、プラチナ製剤を含む全身化学療法を1レジメン施行後に疾患進行した患者さんが対象です。 レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法とドキソルビシンまたはパクリタキセルを比較して、無増悪生存期間や全生存期間などで評価する臨床試験です。 登録予定数は、780人。 フェーズは、第3相臨床試験。 試験デザインは、多施設共同、無作為化、並行群間、実薬対照、非盲検試験。 比較する対象は 試験群:レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法 対照群:ドキソルビシンまたはパクリタキセル で主要評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、副次的評価項目は奏効率、健康関連QOLなどで評価します。疾患解説:子宮体がん
国立がん研究センターのがん統計によると2017年に子宮体がんに罹患した人は、2526人です。40代後半から徐々に増えはじめ、70歳前後がピークで、閉経後お女性に多いのが特徴です。 子宮にできるがんには、子宮頸がんと子宮体がんがあります。子宮頸部は子宮の入り口部分で、子宮体部はその奥の部分です。子宮体がんは、主に子宮体部の内側を覆っている子宮内膜から発生します。 子宮体がんは、女性ホルモンが関与するタイプと関与しないタイプがあり、閉経後に発症する子宮体がんの多くは、女性ホルモンが関与しないタイプです。 主な症状は、不正性器出血です。特に閉経後に少量ずつ長く続く取穴は注意が必要です。 子宮体がんの進行期分類は、「手術進行期分類」といって、手術を行った後に摘出した検体の病理検査を行った上で、最終的な治療方針が決定されます。がんが子宮体部にとどまっているものがI期です。がんが子宮体部にとどまらず、子宮頸部にまで広がった場合がII期となります。III期は、がんが子宮外に出ているが骨盤内にあるもの、または骨盤リンパ節あるいは傍大動脈リンパ節に転移があるものです。IV期は、がんが骨盤の外に広がるか膀胱や直腸に浸潤するもの、または肺や肝臓などの遠隔臓器に転移があるものです。治験薬:レンバチニブ
レンバチニブは、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体と繊維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、Transfectionがん原遺伝子(RET)を阻害する分子標的薬です。 VEGF受容体1~3を阻害することで、血管新生を抑制し抗腫瘍効果を発揮します。また、ほかの血管新生阻害薬では標的とならなかった、FGF受容体も阻害するため、より強力に血管新生を抑制します。治験薬:ペムブロリズマブ
ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。
対照薬:ドキソルビシン
ドキソルビシンは、細胞内のDNAに結合することでDNAやRNAの合成を阻害するアントラサイクリン系の殺細胞性抗がん薬です。 アントラサイクリン系抗がん薬は、DNA鎖を延長させる酵素の阻害、DNA鎖の切断作用により、DNAやRNAの合成を阻害することで、抗腫瘍効果を発揮します。対照薬:パクリタキセル
パクリタキセルは、イチイ科の植物の成分から開発されたタキサン系と呼ばれる微小管阻害薬です。 細胞が増殖するために細胞分裂を行うときに、微小管という物質がばらばらになる必要があります。パクリタキセルは、この微小管がばらばらにならないように安定化させ過剰に形成を起こすことで、細胞分裂を阻害して抗腫瘍効果を発揮する殺細胞性の抗がん薬です。主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータスPS 0 | 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 | 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 | 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 | 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
Karnofsky パフォーマンスステータススコア | 患者の状態 | |
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない | 100 | 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし |
90 | 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能 | |
80 | かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能 | |
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする | 70 | 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能 |
60 | 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要 | |
50 | 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要 | |
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある | 40 | 動けず、適切な医療および看護が必要 |
30 | 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない | |
20 | 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要 | |
10 | 死期が切迫している | |
0 | 死 |
スコア | 患者の状態 |
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0 | 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える |
1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など |
2 | 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす |
3 | 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
4 | 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす |
5 | 死亡 |
出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。
試験概要詳細
試験の名称 | 進行子宮体癌患者を対象にE7080及びMK-3475の併用療法と治験担当医師選択治療の有効性及び安全性を比較する第III相無作為化多施設共同非盲検試験 |
試験の概要 | 本試験は、進行子宮体癌患者を対象とした、E7080及びMK-3475の併用療法と治験担当医師選択治療(ドキソルビシン又はパクリタキセル)の比較試験である 被験者は無作為にいずれかの群に割り付けられる 主要仮説:E7080及びMK-3475併用療法群が治験担当医師選択治療群に対して無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)を延長する |
疾患名 | 子宮体癌 |
試験薬剤名 | MK-3475、E7080 |
用法・用量 | E7080 20mg(経口、QD)及び MK-3475 200mg(IV、Q3W)最大35サイクルペメトレキセド:術前補助療法期の各コース1日目に、500mg/m2を3週間間隔で静脈内投与 |
対照薬剤名 | パクリタキセル、ドキソルビシン |
用法・用量 | ドキソルビシン60mg/m2Q3W、又はパクリタキセル80mg/m2週1回投与、3週投与1週休薬 |
試験のフェーズ | フェーズ3(第3相臨床試験) |
試験のデザイン | 施設共同、無作為化、並行群間、実薬対照、非盲検試験 |
目標症例数 | 780 |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | 無増悪生存期間(PFS) |
主要な評価方法 | PFSは無作為割付けから最初に記録された疾患進行(PD)[盲検下の中央画像判定機関(BICR)による固形がんの治療効果判定のためのガイドラインversion 1.1(RECIST 1.1)に基づく評価]又は原因を問わない死亡のいずれか早い時点までの期間と定義する |
主要な評価項目 | 全生存期間(OS) |
主要な評価方法 | OSは無作為割付けから原因を問わない死亡までの期間と定義する |
副次的な評価項目 | 奏効率(ORR) |
副次的な評価方法 | RRはBICRがRECIST 1.1に基づき判定する完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)の最良総合効果を得た患者の割合と定義する |
副次的な評価項目 | 健康関連QOL |
副次的な評価方法 | QOLはEORTC QLQ-C30のグローバルスコアを用いて評価する |
副次的な評価項目 | 安全性及び忍容性 |
副次的な評価方法 | 治療下で発現した有害事象(TEAE)、重篤な有害事象(SAE)、及び免疫関連有害事象の発現割合 TEAEによって治験薬の投与を中止した患者の割合 毒性による治療脱落までの期間 |
副次的な評価項目 | E7080の薬物動態の特性 |
副次的な評価方法 | E7080の血漿中濃度 |
副次的な評価項目 | 有効性/安全性に関するE7080の曝露−応答関係 |
副次的な評価方法 | モデルにより推定したE7080のクリアランス及び濃度−時間曲線下面積(AUC) |
予定試験期間 | 2018年6月1日~2022年1月1日 |