高リスクの局所進行子宮がんに対するペムブロリズマブ+同時化学放射線療法の治験
治験の募集状況は、「jRCT 臨床研究等提出・公開システム」ページでご確認ください。
治験名
KEYNOTE-A18/ENGOT-cx11
高リスクの局所進行子宮頸がん患者さんを対象としたペムブロリズマブと同時化学放射線療法の併用療法および同時化学放射線療法の単独療法を比較する二重盲検、無作為化、第3相試験
治験概要:
高リスク局所進行子宮頸がんに対する治験。ステージ1B2~4Aまでの患者さんが対象です。
ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法とプラセボ+同時化学放射線療法を比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、980人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、無作為化、並行群間、二重盲検。
試験群:ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法
対照群:プラセボ+同時化学放射線療法
無増悪生存期間、全生存期間、2年無増悪生存率、3年生存率、奏効率、QOL、有害事象などで評価します。
疾患解説:子宮頸がん
国立がん研究センターのがん統計によると2014年に子宮頸がんに罹患した人は、11293人です。20代後半から増えはじめ40代前半でピークとなり、その後は減少傾向になります。
子宮頸がんは、子宮の入口の子宮頸部に発生するがんです。多くの子宮頸がんの発生にはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関わっているといわれ、子宮頸がんの患者さんの90%以上からHPVが検出されています。HPVの持続感染は、子宮頸がんやその前がん病変の発生に関係があると考えられています。
子宮頸がんの進行度は、ステージ1期~4期で分類され、さらにそれぞれのステージでA期、B期などに細分化されます。ステージは、がんの大きさ、広がり、子宮頸部周囲への浸潤、周辺や遠隔臓器への転移などで決められます。1期以前の子宮頸がんの前がん病変という段階は「子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)」と呼ばれ、CIN1(軽度)、CIN2(中等度)、CIN3(高度)に分けられています。
初期の子宮頸がんではほとんど症状がありません。進行してくると、月経中でないとき、性行為中の出血、普段と違うおりもの、月経量の増加や長引くなどの症状がでることがあります。
治験薬:ペムブロリズマブ
ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:シスプラチン
シスプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。シスプラチンは、第1世代の白金製剤です。
主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。
ECOG パフォーマンスステータス
PS 0 | 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 | 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 | 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 | 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
Karnofsky パフォーマンスステータス
スコア | 患者の状態 | |
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない | 100 | 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし |
90 | 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能 | |
80 | かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能 | |
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする | 70 | 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能 |
60 | 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要 | |
50 | 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要 | |
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある | 40 | 動けず、適切な医療および看護が必要 |
30 | 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない | |
20 | 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要 | |
10 | 死期が切迫している | |
0 | 死 |
WHO パフォーマンスステータス
スコア | 患者の状態 |
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0 | 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える |
1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など |
2 | 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす |
3 | 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
4 | 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす |
5 | 死亡 |
出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。
試験概要詳細
試験の名称 | 高リスクの局所進行子宮頸癌患者を対象とした MK-3475と同時化学放射線療法の併用療法及び同時化学放射線療法の単独療法を比較する二重盲検、無作為化、第III相試験(KEYNOTE-A18 / ENGOT-cx11) |
試験の概要 | 本治験は、局所進行子宮頸癌患者を対象にMK-3475と同時化学放射線療法の併用療法及び同時化学放射線療法の単独療法の有効性と安全性を比較評価する 主要仮説:MK-3475併用同時化学放射線療法は、プラセボ併用同時化学放射線療法と比較して、PFSおよびOSをそれぞれ延長する 治験の目的を達成した又は治験が終了した場合、患者は本治験を中止して継続試験に移行することにより試験で規定した評価及び投与を継続する |
疾患名 | 高リスクの局所進行子宮頸癌 |
試験薬剤名 | 化学療法+ペムブロリズマブ |
用法・用量 | MK-3475200mgIVQ3W5コースを実施後、400mgIVQ6W15コースを実施する。Q3Wの投与中に同時化学放射線療法を実施する。標準的な同時化学放射線療法には週1回のシスプラチン40mg/m2IV5回投与、外部照射(45~50Gy)、及びその後の内部照射(25~30Gy)が含まれる。外部照射は開始後40日以内に完了しなければならない。すべての同時化学放射線療法(外部照射及び内部照射)の期間は56日間を超えないこととする |
対照薬剤名 | 化学療法+プラセボ |
用法・用量 | プラセボIVQ3W5コースを実施後、プラセボIVQ6W15コースを実施する。Q3Wの投与中に同時化学放射線療法を実施する。標準的な同時化学放射線療法には週1回のシスプラチン40mg/m2IV5回投与、外部照射(45~50Gy)、及びその後の内部照射(25~30Gy)が含まれる。外部照射は開始後40日以内に完了しなければならない。すべての同時化学放射線療法(外部照射及び内部照射)の期間は56日間を超えないこととする |
試験のフェーズ | フェーズ3/phase3 |
試験のデザイン | 無作為化、並行群間、二重盲検 |
目標症例数 | 980 |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | 有効性/efficacy |
主要な評価方法 | PFS:無作為割付けから最初に記録された疾患進行(PD)又は原因を問わない死亡のいずれか早い時点までの期間 OS:無作為割付けから原因を問わない死亡までの期間 |
副次的な評価項目 | 安全性/safety 有効性/efficacy |
副次的な評価方法 | 2年無増悪生存率 3年生存率 同時化学放射線療法実施後、12週目時点のCR 客観的奏効:CR又は部分奏効(PR) OS PFS PFS2 EORTC QLQ-C30のGlobal Score及びPhysical Function subscale EORTC QLQ-CX24のSymptom Specific scale 有害事象 有害事象による治験薬の投与中止 |
予定試験期間 | 2020年8月6日~2024年12月7日 |