ステージ2~3大腸がんの術後補助化学療法による末梢神経障害に対するCalmangafodipirの治験

治験名

POLAR-A試験

術後補助化学療法を実施する結腸・直腸がん患者を対象としたSP-04/PledOxのがん化学療法誘発性末梢神経障害の発現抑制効果を検討する第3相・国際共同試験

治験概要:

ステージ2~3の結腸または直腸がんに対する治験。術後補助化学療法としてmFOLFOX6療法を実施する患者さんが対象です。
mFOLFOX6療法でオキサリプラチンを投与する10分前に、約5分かけてCalmangafodipirを静脈投与し、プラセボと比較して化学療法誘発性の末梢神経障害の発現抑制効果で評価する臨床試験です。
登録予定数は、280人。
フェーズは、第3相臨床試験。
比較対象は、
試験群:Calmangafodipir(5μmol/kg)
対照群:プラセボ
で主要評価項目は中等度または重度の慢性のがん化学療法誘発性末梢神経障害、副次的評価項目は慢性のがん化学療法誘発性末梢神経障害などで評価します。

疾患解説:大腸がん

国立がん研究センターのがん統計2014年によると、大腸がんに罹った人は、男性77504人、女性57930人、合計135434人で男性が多い傾向です。40代後半から徐々に増えはじめ、男性は70代をピークにその後は減少しますが、女性は、いったん70代で平行線になり、80代からさらに増加していきます。
大腸がんの発生原因は、生活習慣や身体的な特徴と関連があるといわれています。生活習慣では、喫煙、飲酒、牛・豚・羊などの赤肉の摂取、ベーコン・ハム・ソーセージなどの加工肉の摂取などです。身体的な特徴は、体脂肪率の高い人、腹部の肥満、高身長などがあります。また、家族歴や遺伝子にも関連があるといわれています。
大腸がんの症状は、早期の段階では自覚症状はなく、進行するにしたがって症状がでてきます。血便、下血、便が細くなる、便が残る感じがするなどの症状がでます。排便に伴う自覚症状が多く、特に便に血が混じる血便や腸内のがんからの出血による赤色の便、もしくは赤黒い便、便の表面に血液が付着する下血が多く現れます。しかし、血便や下血は痔の症状でもみられるため、必ずしも大腸がんの症状とはかぎりません。
大腸は、小腸から続く約2mの消化管です。口側から「虫垂」、「盲腸」、「結腸」、「直腸S状部」、「直腸」で構成され、括約筋がある肛門管に続きます。結腸は、盲腸から上に向かう「上行結腸」、左上腹部へ向かう「横行結腸」、S状結腸に向かって下る「下行結腸」、S状のカーブを描く「S状結腸」に区別されています。さらに、S状結腸と直腸の間を「直腸S状部」、直腸の上部を「上部直腸」、下部を「下部直腸」に区別されます。大腸がんのそれぞれの部位で発生頻度は異なります。2000~2002年にかけて大腸がん手術を行った17449の症例報告から、大腸がんの部位別発生率では、直腸がんとS状結腸がんが多くなっています。
大腸がんは、がん化した元の細胞の組織の違いによって、腺がん、扁平上皮がん、腺扁平上皮がんの3種類に分類されます。3つのうち、多くは腺がんで、腺がんはさらに6種類に分類されます。
大腸がんは、内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜の5つの層で構成されており、大腸がんは、一番内側の粘膜から発生し進行するほど外側の層へ浸潤していきます。この5つの層のどこまでがんが広がっているかを示すのが深達度です。深達度は6段階に分類されます。
大腸がんのステージ分類は、この深達度にリンパ節への転移の程度、遠隔臓器への転移の程度で決定されます。

腸の構造

大腸の部位別発生頻度

大腸の部位発生頻度
直腸がん26.4%
S状結腸がん26.4%
上行結腸がん13.6%
直腸S状部がん12.5%
横行結腸がん9.2%
盲腸がん6.5%
下行結腸がん4.8%

大腸癌全国登録(大腸癌研究会)より作成

大腸がんの深達度

大腸がんの進行度分類

遠隔転移M0M1
リンパ節転移N0N1(N1a/N1b)N2aN2b/N3M1aM1bM1c
壁深達度Tis0Nに関係なく
T1a・T1bIIIIAIIIAIIIBIVAIVBIVC
T2IIIAIIIBIIIB
T3IIAIIIBIIIBIIIC
T4aIIBIIIBIIICIIIC
T4bIICIIICIIICIIIC

大腸癌取扱い規約(第9版)より作成

治験薬:Calmangafodipir

Calmangafodipirは、がん化学療法に伴う末梢神経障害に対する薬剤です。
白金製剤などにより誘発された酸化ストレスにより、神経細胞が損傷を受けることで末梢神経障害が起こることがあります。
Calmangafodipirは、細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素のスーパーオキシドディスムターゼの類似物質で、神経細胞を薬物誘発性の酸化ストレスから保護することで、末梢神経障害を抑制します。

使用薬:オキサリプラチン

オキサリプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。オキサリプラチンは、第2世代の白金製剤にさらに改変が行われ、新たな適応を獲得した第3世代の白金製剤です。

主な治験参加条件

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


対象となる人
  • 結腸または直腸の腺がんと確定診断されたステージ2~3の患者
  • 治癒切除を無作為化前12週間以内に実施している患者
  • 術後CEA値が基準値上限の1.5倍以下である患者/li>
  • 局所直腸がんに対する放射線治療またはフッ化ピリミジン単剤を併用する化学放射線療法を除き過去に結腸・直腸がん治療を受けていない患者
  • オキサリプラチンを含む化学療法を最長6か月実施予定であり,神経学的検査で病理学的所見が認められていない患者
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0または1の患者
  • 男性および妊娠可能な女性患者で,治験薬の初回投与から治験薬の最終投与後少なくとも6か月間,適切な避妊方法を講じられる患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称術後補助化学療法を実施する結腸・直腸がん患者を対象としたSP-04/PledOxのがん化学療法誘発性末梢神経障害の発現抑制効果を検討する第3相・国際共同試験
試験の概要術後補助化学療法としてmodified FOLFOX6療法を実施する結腸・直腸がん患者を対象に,SP-04/PledOxのがん化学療法誘発性末梢神経障害の発現抑制効果を二重盲検・国際多施設共同・プラセボ対照試験デザインで検討する。被験者を1:1の比率で以下の2群に無作為化する:A群:SP-04/PledOx(5μmol/kg),B群:プラセボ
疾患名がん化学療法誘発性末梢神経障害
試験薬剤名SP-04/PledOx(calmangafodipir)
用法・用量Calmangafodipirとして5μmol/kgをmodified FOLFOX6療法でオキサリプラチンを投与する約10分前に約5分間かけて静脈内投与する。Modified FOLFOX6療法の各サイクルでこれを繰り返す
対照薬剤名プラセボ
用法・用量Modified FOLFOX6療法でオキサリプラチンを投与する約10分前に約5分間かけて静脈内投与する。Modified FOLFOX6療法の各サイクルでこれを繰り返す
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン第3相・国際多施設共同・二重盲検・プラセボ対照試験
目標症例数280
適格基準
  • 18歳以上の男性又は女性
  • 治癒切除(R0)を無作為化前12週間以内に実施している患者
  • 術後CEA値が基準値上限の1.5倍以下である患者
  • 局所直腸がんに対する放射線治療又はフッ化ピリミジン単剤を併用する化学放射線療法を除き過去に結腸・直腸がん治療を受けていない患者
  • オキサリプラチンを含む化学療法を最長6か月実施予定であり,神経学的検査で病理学的所見が認められていない患者
  • ECOG Performance Statusが0又は1の患者
  • 男性及び妊娠可能な女性患者で,治験薬の初回投与から治験薬の最終投与後少なくとも6か月間,適切な避妊方法を講じられる患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
主要な評価項目中等度又は重度の慢性のがん化学療法誘発性末梢神経障害
主要な評価方法
副次的な評価項目慢性のがん化学療法誘発性末梢神経障害
副次的な評価方法
副次的な評価項目冷刺激に対する感受性、手足の痛み
副次的な評価方法
副次的な評価項目オキサリプラチンの累積投与量
副次的な評価方法
副次的な評価項目振動感受性、非利き手の機能
副次的な評価方法
副次的な評価項目末梢神経障害の発現抑制効果の持続性
副次的な評価方法
副次的な評価項目無病生存期間/td>
副次的な評価方法
副次的な評価項目有害事象、臨床検査値、バイタルサイン
副次的な評価方法
予定試験期間2018/11/01~2021/09/01

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより

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