食道がんに対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法の治験
治験の募集状況は、「jRCT 臨床研究等提出・公開システム」ページでご確認ください。
治験名
ニボルマブ第3相試験(CheckMate648)
治療歴のない切除不能進行性、再発または転移性の食道がんを対象とした、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法、ニボルマブ+フルオロウラシル+シスプラチン併用療法、フルオロウラシル+シスプラチン併用療法と比較する無作為化第3相試験
治験概要:
治療歴のない切除不能な進行性または再発・転移性の食道がん(扁平上皮がん)を対象とした治験です。ニボルマブ+イピリムマブ併用療法とニボルマブ+フルオロウラシル+シスプラチン併用療法をフルオロウラシル+シスプラチン併用療法と比較し有効性を評価する第3相臨床試験です。
登録予定数は939人。
試験デザインは、多施設共同無作為化非盲検試験。
フェーズは、第3相臨床試験。
3つ併用療法を比較する試験で
対象群1:ニボルマブ+イピリムマブ併用療法
対象群2:ニボルマブ+フルオロウラシル+シスプラチン併用療法
対象群3:フルオロウラシル+シスプラチン併用療法
主要評価項目は、PD-L1陽性例における全生存期間と無増悪生存期間です。
疾患解説:食道がん
国立がん研究センターのがん登録・統計の2013年の全国推計値によると、食道がんにかかる人は、10万人あたり17.9人です。男性は、10万人あたり31人、女性は、5.6人で男性に多い傾向です。
早期の食道がんではほとんど自覚症状がありませんが、がんの進行につれ、胸の違和感、食物の使える感じ、胆汁減少、胸や背中の痛み、声のかすれなどの症状が起こります。
日本人の食道がんの約半数は、食道の中央付近、次の食道の下部に多くでき、組織型は扁平上皮がんが90%以上で、腺がんは5%以下です。
食道の内側の粘膜から発生したがんは、粘膜下層、固有筋層、外膜へと浸潤していきます。粘膜内に留まるものを早期食道がん、粘膜下層までにとどまるものを表在食道がん、それ以上浸潤しているものを進行食道がんといいます。
治験薬:ニボルマブ
ニボルマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:イピリムマブ
イピリムマブは、抗CTLA-4抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 イピリムマブは、がん細胞を攻撃する活性化T細胞とT細胞を制御する制御性T細胞状に発現するCTLA-4と抗原提示細胞状に発現しているCD80とCD86との結合を阻害することで、がんを攻撃するT細胞を増強します。また、がん細胞を攻撃するT細胞を抑制する制御性T細胞を抑制することで、がん免疫反応を促進させます。
主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。
PS 0 | 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 | 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 | 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 | 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。
試験概要詳細
試験の名称 | Nivolumab第3相試験(CheckMate648) |
試験の概要 | 食道がん患者において、ニボルマブとイピリムマブの併用療法又はニボルマブとフルオロウラシル及びシスプラチンの併用療法とフルオロウラシル及びシスプラチンの併用療法の有効性を評価する。 |
疾患名 | 食道がん |
試験薬剤名 | ニボルマブ、イピリムマブ、フルオロウラシル、シスプラチン |
用法・用量 | 静脈内投与 |
試験薬剤名 | フルオロウラシル、シスプラチン |
用法・用量 | 静脈内投与 |
試験のフェーズ | フェーズ3(第3相臨床試験) |
試験のデザイン | 多施設共同無作為化非盲検試験 |
目標症例数 | 939 |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | PD-L1陽性例における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS) |
主要な評価方法 | |
副次的な評価項目 | 全ての被験者におけるOS、PFS.PD-L1陽性例又はすべての被験者における奏効率 |
副次的な評価方法 | |
予定試験期間 | 2017年6月~2021年12月 |