再発食道がん・食道胃接合部腺がんを対象にペムブロリズマブと標準治療を比較する治験
治験の募集状況は、「医薬品情報データベース 臨床試験情報」ページでご確認ください。
治験名
1次治療を受け疾患進行が認められた切除不能進行又は再発食道癌(腺癌又は扁平上皮癌)の患者を対象としたMK-3475単独療法と治験担当医師選択のパクリタキセル、ドセタキセル又はイリノテカン単独療法を比較する第III相無作為化非盲検試験(KEYNOTE-181)
治験概要
この治験は、切除不能進行または再発食道がん(腺がんまたは扁平上皮がん)もしくは切除不能進行または再発Siewert分類typeI食道胃接合部腺がんの標準治療を受けた患者さんを対象にMK-3475(ペムブロリズマブ)を投与し、治験担当医師選択のパクリタキセル、ドセタキセルまたはイリノテカンとの比較を行う試験です。同試験の主要仮説は、ペムブロリズマブは、標準治療と比較して、無増悪生存期間(PFS)および/または全生存期間(OS)を延長するというものです。
疾患解説食道がん、食道胃接合部腺がん
国立がん研究センターのがん登録・統計の2013年の全国推計値によると、食道がんにかかる人は、10万人あたり17.9人です。男性は、10万人あたり31人、女性は、5.6人で男性に多い傾向です。
早期の食道がんではほとんど自覚症状がありませんが、がんの進行につれ、胸の違和感、食物の使える感じ、胆汁減少、胸や背中の痛み、声のかすれなどの症状が起こります。
日本人の食道がんの約半数は、食道の中央付近、次の食道の下部に多くでき、組織型は扁平上皮がんが90%以上で、腺がんは5%以下です。
食道の内側の粘膜から発生したがんは、粘膜下層、固有筋層、外膜へと浸潤していきます。粘膜内に留まるものを早期食道がん、粘膜下層までにとどまるものを表在食道がん、それ以上浸潤しているものを進行食道がんといいます。
食道胃接合部がんは、食道と胃のつなぎ目の食道胃接合部の上下2cmの範囲にできるがんです。リンパ節転移の広がりが、がんのできた場所によるため、食道胃接合部がんという分類がされるようになってきています。

治験薬ペムブロリズマブ
MK-3475(ペムブロリズマブ)は、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。
PS 0 | 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 | 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 | 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 | 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、日本国内では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールに基づき、行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで進められます。治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを正しく理解しましょう。
試験詳細
試験の名称 | 1次治療を受け疾患進行が認められた切除不能進行又は再発食道癌(腺癌又は扁平上皮癌)の患者を対象としたMK-3475単独療法と治験担当医師選択のパクリタキセル、ドセタキセル又はイリノテカン単独療法を比較する第III相無作為化非盲検試験(KEYNOTE-181) |
試験の概要 | 本治験は、切除不能進行又は再発食道癌(腺癌又は扁平上皮癌)若しくは切除不能進行又は再発Siewert分類typeI食道胃接合部腺癌の標準治療を受けた患者を対象にMK-3475を投与し、治験担当医師選択のパクリタキセル、ドセタキセル又はイリノテカンとの比較を行う試験である。 本試験の主要仮説は、MK-3475は、標準治療と比較して、無増悪生存期間(PFS)及び/又は全生存期間(OS)を延長することである。 |
疾患名 | 食道癌、食道胃接合部腺癌 |
試験薬剤名 | MK-3475 |
用法・用量 | MK-3475 200mgの3週間間隔静脈内投与 |
対照薬剤名 | パクリタキセル |
対照薬用法・用量 | パクリタキセル 80~100mg/m2の各コース[28日間(4週間)]の1、8及び15日目静脈内投与 |
対照薬剤名 | ドセタキセル |
対照薬用法・用量 | ドセタキセル 75mg/m2の各コース[21日間(3週間)]の1日目静脈内投与 |
対照薬剤名 | イリノテカン |
対照薬用法・用量 | イリノテカン 180mg/m2の各コース[14日間(2週間)]の1日目静脈内投与 |
試験のフェーズ | フェーズ3(第3相臨床試験) |
試験のデザイン | 無作為化、並行群間比較、非盲検試験 |
目標症例数 | 600 |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | 無増悪生存期間(PFS) |
主要な評価方法 | 治験開始から5年までのPFSを調査する |
主要な評価項目 | 全生存期間(OS) |
主要な評価方法 | 治験開始から5年までのOSを調査する |
副次的な評価項目 | 奏効率(ORR) |
副次的な評価方法 | 治験開始から5年までのORRを調査する |
予定試験期間 | 2015年12月~2020年3月 |