6~17歳の高悪性度神経膠腫を対象としたダブラフェニブとトラメチニブ併用療法の治験
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治験名
BRAFV600変異陽性の再発または難治性高悪性度神経膠腫を有する小児および青少年患者を対象にトラメチニブとの併用によるダブラフェニブの効果を評価する第2相、非盲検、国際共同試験
治験概要:
高悪性度神経膠腫の小児および青年を対象とした治験。BRAFV600変異陽性で再発または難治性の6歳から17歳の患者さんが対象です。
高悪性度の神経膠腫のすべての患者さんは、ダブラフェニブとトラメチニブ併用療法を受け、低悪性度の患者さんは、2対1の割合で、ダブラフェニブとトラメチニブ併用療法とカルボプラチンとビンクリスチンによる化学療法に割付けられ、ダブラフェニブとトラメチニブの併用投与の有効性および安全性を評価する試験です。
登録予定数は142人。
試験デザインは、非盲検、国際共同試験。
フェーズは、第2相臨床試験。
比較する対象は
対象群1:ダブラフェニブとトラメチニブ併用療法
対象群2:ボプラチンとビンクリスチンによる化学療法
で主要評価項目は奏効率などで評価します。
疾患解説:脳腫瘍(神経膠腫)
国立がん研究センターのがん統計によると2014年に脳腫瘍(脳・中枢神経系)に罹患した人は、約5230人です。
脳腫瘍は、脳実質(中枢神経)や脳神経(末梢神経)、髄膜、脳下垂体などの組織ががん化した腫瘍で、頭の中にできるすべての腫瘍の総称で原発性脳腫瘍といいます。肺がん、大腸がん、乳がんなど別のがんが脳に転移したものは、転移性脳腫瘍といいます。
原発性の脳腫瘍は、良性の腫瘍と悪性の腫瘍に分類されますが、ほかのがんのようにがんの大きさやリンパ節への転移、他臓器への遠隔転移などによるTNM分類やステージ分類というものはありません。脳腫瘍の悪性度(グレード)により1~4段階の4つに分類されます。グレード1は良性、2~4は悪性腫瘍となります。
脳腫瘍は、病理学的に細かく分類すると100種類以上あります。
脳腫瘍の内、中枢神経から発生するものは、神経膠腫、髄芽腫、血管芽腫という種類があります。脳神経、髄膜、脳下垂体から発生するものは、髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腺腫という種類があります。
このうち悪性腫瘍の代表的なものが神経膠腫で、神経膠腫はさらに星細胞腫と乏突起膠腫の2つのタイプとこの2つが混在した乏突起星細胞腫の3つに分類されます。星細胞腫や乏突起膠腫、乏突起星細胞腫は悪性度が2で、これらの悪性度が3になるとそれぞれ退形成性星細胞腫と退形成性乏突起膠腫、退形成性乏突起星細胞腫になります。星細胞腫で最も悪性度の高い4が、膠芽腫です。
脳腫瘍の主な症状は、脳のむくみによるものと腫瘍が発生した場所の脳が障害されて起こる局所的なものがあります。
脳のむくみによるものは、頭痛、吐き気、意識障害などがあります。局所的な脳の障害によるものは、障害された部分によって運動機能や感覚、思考、言語障害などさまざまな症状がおこります。
主な原発性脳腫瘍の分類
原発性脳腫瘍 | 脳実質内 (中枢神経) | 神経膠腫 |
髄芽腫 | ||
血管芽腫 | ||
脳実質外 (脳神経、髄膜、脳下垂体) | 髄膜腫 | |
神経鞘腫 | ||
下垂体腺腫 |
治験薬:ダブラフェニブ
ダブラフェニブは、BRAFを阻害する分子標的薬です。
がん細胞の分化や増殖で重要なシグナル伝達経路にMAPK経路があります。MAPK経路は、細胞膜上の増殖因子受容体に増殖因子が結合することで、細増殖シグナルが核に向けて伝達されます。伝達経路は、RAS→BRAF→MEK→ERK→核と順番に伝達されますが、RASからBRAFを飛ばしてMEKへバイパス経路で伝達されることもあります。ダブラフェニブは、このMAPK経路の内BRAFを阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。
治験薬:トラメチニブ
トラメチニブは、MEKを阻害する分子標的薬です。
がん細胞の分化や増殖で重要なシグナル伝達経路にMAPK経路があります。MAPK経路は、細胞膜上の増殖因子受容体に増殖因子が結合することで、細増殖シグナルが核に向けて伝達されます。伝達経路は、RAS→BRAF→MEK→ERK→核と順番に伝達されますが、RASからBRAFを飛ばしてMEKへバイパス経路で伝達されることもあります。トラメチニブは、このMAPK経路の内MEK1とMEK2の活性化とキナーゼ活性を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。
主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。
試験概要詳細
試験の名称 | BRAFV600変異陽性の再発又は難治性高悪性度神経膠腫(HGG)を有する小児及び青少年患者を対象にトラメチニブとの併用によるダブラフェニブの効果を評価する第II相、非盲検、国際共同試験 |
試験の概要 | BRAFV600変異陽性の再発又は難治性HGGを有する小児患者を対象とするダブラフェニブとトラメチニブの併用投与の有効性及び安全性試験 |
疾患名 | 神経膠腫 |
試験薬剤名 | ダブラフェニブ |
用法・用量 | 経口 |
試験薬剤名 | トラメチニブ |
用法・用量 | 経口 |
試験のフェーズ | フェーズ2(第2相臨床試験) |
試験のデザイン | |
目標症例数 | |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | 奏効率(ORR) |
主要な評価方法 | |
副次的な評価項目 | |
副次的な評価方法 | |
予定試験期間 | 2018年3月~2024年11月 |