肛門がん、食道がん、頭頸部がんに対する化学放射線治療におけるS-1の治験

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治験名

化学放射線治療における、5FUからS-1変更による有効性の検証

治験概要:

肛門がん、食道がん、頭頸部がんに対する治験。フルオロウラシル持続投与を含む化学放射線治療の適応となる患者さんが対象です。 化学放射線治療で、フルオロウラシル持続投与を、S-1経口投与に変更した場合の安全性と有効性を評価する臨床試験です。 登録予定数は、30人。 フェーズは、第2相臨床試験。 試験群:放射線治療+S-1 試験群:放射線治療+フルオロウラシル で主要評価項目は治療完遂割合、副次的評価項目は急性期有害事象発生割合、完全奏功割合、無増悪生存期間、全生存期間、3年生存割合などで評価します。

疾患解説:肛門がん

国立がん研究センターの地域がん登録データによる発表では、2014年に肛門がんに罹患した人は男性で10万当たり0.45人、女性で0.35人と罹患率は低く、希少がんの1つです。 肛門がんの大部分は扁平上皮がんで、残りは総排泄腔腫瘍です。主な症状は、出血や肛門周囲のしこりで、便が出にくくなったり細くなることがあります。 発生リスク因子は、50歳以上、ヒトパピローマウイルス感染、痔瘻、喫煙習慣などの可能性があります。

疾患解説:食道がん

国立がん研究センターのがん統計の2013年の全国推計値によると、食道がんにかかる人は、10万人あたり17.9人です。男性は、10万人あたり31人、女性は、5.6人で男性に多い傾向です。 早期の食道がんではほとんど自覚症状がありませんが、がんの進行につれ、胸の違和感、食物の使える感じ、胆汁減少、胸や背中の痛み、声のかすれなどの症状が起こります。 日本人の食道がんの約半数は、食道の中央付近、次の食道の下部に多くでき、組織型は扁平上皮がんが90%以上で、腺がんは5%以下です。 食道の内側の粘膜から発生したがんは、粘膜下層、固有筋層、外膜へと浸潤していきます。粘膜内に留まるものを早期食道がん、粘膜下層までにとどまるものを表在食道がん、それ以上浸潤しているものを進行食道がんといいます。

疾患解説:頭頸部がん

頭頸部がんは、文字通り「頭部」と「頸部(首の部分)」、脳より下鎖骨より上にできたがんの総称です。主な種類は、咽頭がん、口腔がん、喉頭がん、鼻、副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がんなどがあります。咽頭は、さらに詳細に上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分類されます。脳腫瘍は、頭頸部がんには分類されません。 頭頸部がんのうち口腔がん、咽頭がんの罹患数は、2013年の国立がん研究センターのがん統計によると男性で約13200人、女性で約5800人、男女合計で約19000人、全部位の約2%程度です。死亡数も男性で約5000人、女性で約2000人、合計で約7000人と、部位別でみると比較的少ないですが、発生原因や治療法、予後が異なるのが特徴です。 頭頸部がんのほとんどは、扁平上皮という組織ががん化したものです。がんが発生した器官の違いによって症状はさまざまです。口腔がんである舌がんでは、舌がしみたり痛みがあるなどの症状があることもありますが、ほとんどの頭頸部がんでは初期には自覚症状がみられないこともあります。首のしこりやのどの違和感など、すこしでも気になる症状があれば検査を受けることが大切です。

治験薬:S-1

S-1は、DNAを構成するピリミジン塩基という成分と同じ構造をもつ成分に変換される薬が配合された代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)です。テガフール、ギメラシル、オテラシルカリウムの3つの配合剤です。 テガフールは、体内で徐々にDNA合成やRNA機能障害を起こすフルオロウラシルに変換され細胞死に至らす作用があります。ギメラシルは、フルオロウラシルを分解する酵素を阻害しフルオロウラシルの血中濃度を維持させます。オテラシルカリウムは、消化管粘膜障害を軽減する作用があります。

対照薬:フルオロウラシル

フルオロウラシルは、DNAの合成阻害、RNAの機能障害によるがん細胞を細胞死に誘導する代謝拮抗薬です。 DNAを構成する主な成分はピリミジン塩基といわれ、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルなどです。フルオロウラシルは、このピリミジン塩基と似たような構造で、DNAが合成されるときにピリミジン塩基の代わりに取り込まれることで、DNA合成を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。

主な治験参加条件

対象となる人
  • フルオロウラシル持続投与を含む化学放射線治療の適応となる症例
  • 患者本人から文章による同意が得られている症例
  • 年齢:制限なし
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 経口摂取または経管投与が困難な症例
  • フェニトイン、ワルファリンカリウム、フルシトシンを使用している症例
  • コントロール不良な糖尿病がある症例
  • 重篤な精神障害があり、試験への参加が困難であると考えられる症例
  • 重篤な薬物アレルギーがある症例
  • その他、担当医師が本研究の登録に不適当と判断した症例

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。

試験概要詳細

試験の名称 化学放射線治療における、5FUからS-1変更による有効性の検証
試験の概要 化学放射線治療における5FU持続静注をS-1経口投与に変更することの安全性と有効性を示すことを目的とする
疾患名 肛門癌、食道癌、頭頸部癌
試験薬剤名 ティーエスワン(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合カプセル):TS-1
用法・用量 day1-14、1日2回、朝夕経口内服、60mg/sqm
対照薬剤名 フルオロウラシル:5-FU
用法・用量 day1-4(5)、持続静注、750-1000mg/sqm
試験のフェーズ フェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン
目標症例数 30
適格基準
  • 5FU持続投与を含む化学放射線治療の適応となる症例
  • 患者本人から文章による同意が得られている症例
  • 年齢:制限なし
  • 性別:両方
除外基準
  • 経口摂取または経管投与が困難な症例
  • フェニトイン、ワルファリンカリウム、フルシトシンを使用している症例
  • コントロール不良な糖尿病を有する症例
  • 重篤な精神障害があり、試験への参加が困難であると考えられる症例
  • 重篤な薬物アレルギーを有する症例
  • その他、担当医師が本研究の登録に不適当と判断した症例
主要な評価項目 治療完遂割合
主要な評価方法
副次的な評価項目 急性期有害事象発生割合、完全奏功割合、無増悪生存期間、全生存期間、3年生存割合
副次的な評価方法
予定試験期間 2018年3月12日~2026年12月31日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより