切除不能な局所進行性または転移性の悪性軟部腫瘍に対するエボフォスファミド+ドキソルビシン併用の治験
治験の募集状況は、「jRCT 臨床研究等提出・公開システム」ページでご確認ください。
治験名
EMR 200592-008
切除不能な局所進行性または転移性の悪性軟部腫瘍患者を対象に、エボフォスファミドとドキソルビシンを併用投与する単群多施設共同国内第2相試験
治験概要:
切除不能の局所進行性または転移性の悪性軟部腫瘍に対する治験。標準的根治治療がなく、ドキソルビジン単剤治療が適切と考えられる患者さんが対象です。
エボフォスファミドとドキソルビシンを併用とドキソルビジン単剤を比較して、安全性と忍容性、有効性を評価する臨床試験です。
登録予定数は、640人。
フェーズは、第2相臨床試験。
試験デザインは、無作為化、平行群間、非盲検。
比較する対象は
試験群:エボフォスファミド+ドキソルビシン併用
対照群:ドキソルビシン単剤
で主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は安全性で評価します。
疾患解説:軟部肉腫
2012年度の全国軟部腫瘍登録の統計では、1年間で軟部肉腫に罹患した人は10万人あたり約3人の希少がんです。
肉腫のタイプでは、脂肪肉腫が最も多く、次いで悪性繊維性組織球腫、平滑筋肉腫、粘液性繊維肉腫の順に多くみられます。横紋筋肉腫、軟部発生ユーイング肉腫、滑膜肉腫は10歳代から20歳代の若年者に、その他の軟部肉腫は中高年以降に多い傾向です。若年者に多い円形細胞肉腫は、抗がん剤の効果が期待出ることが多いため化学療法と手術を組み合わせた治療が行われます。非円形細胞肉腫の治療の基本は、手術です。完全に切除できない、または局所再発リスクが高い場合は、放射線治療が追加されることもあります。
軟部肉腫の主な症状は、痛みを伴わないしこりや腫れですが、しこりが大きくなり神経を圧迫したり、神経そのものにしこりができると、しびれや麻痺などの神経症状がでることもあります。
治験薬:エボフォスファミド
エボフォスファミドは、低酸素状態のがん細胞を標的とした抗がん薬です。
がん細胞は酸素分圧が低下しているため、低酸素状態のがん細胞に到達したエボフォスファミドは、低酸素環境下でアルキル化剤を放出します。
アルキル化剤は、アルキル基という原子が、DNAと結合した状態で細胞分裂や増殖を行うとDNAが破壊され細胞死が起こります。この作用により、抗腫瘍効果を発揮します。
治験薬:ドキソルビシン
ドキソルビシンは、細胞内のDNAに結合することでDNAやRNAの合成を阻害するアントラサイクリン系の殺細胞性抗がん薬です。
アントラサイクリン系抗がん薬は、DNA鎖を延長させる酵素の阻害、DNA鎖の切断作用により、DNAやRNAの合成を阻害することで、抗腫瘍効果を発揮します。
主な治験参加条件
対象となる人 |
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。
ECOG パフォーマンスステータス
PS 0 | 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 | 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 | 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 | 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
Karnofsky パフォーマンスステータス
スコア | 患者の状態 | |
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない | 100 | 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし |
90 | 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能 | |
80 | かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能 | |
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする | 70 | 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能 |
60 | 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要 | |
50 | 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要 | |
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある | 40 | 動けず、適切な医療および看護が必要 |
30 | 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない | |
20 | 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要 | |
10 | 死期が切迫している | |
0 | 死 |
WHO パフォーマンスステータス
スコア | 患者の状態 |
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0 | 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える |
1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など |
2 | 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす |
3 | 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
4 | 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす |
5 | 死亡 |
出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。
試験概要詳細
試験の名称 | 切除不能な局所進行性または転移性の悪性軟部腫瘍患者を対象に、TH-302とドキソルビシンを併用投与する単群多施設共同国内第II相試験(EMR 200592-008) |
試験の概要 | 本治験は、悪性軟部腫瘍患者でのTH-302とドキソルビシン併用投与の安全性、忍容性、および有効性を評価する |
疾患名 | 切除不能の局所進行性または転移性の悪性軟部腫瘍患者 |
試験薬剤名 | TH-302 |
用法・用量 | TH-302 300mg/m2 を各サイクル(21日間)のDay 1 およびDay 8に約30分かけて静脈内投与する |
試験薬剤名 | ドキソルビシン |
用法・用量 | ドキソルビシン75mg/m2 を各サイクル(21日間)のDay 1に急速静注(5分以上かけて)または6~96時間かけて持続点滴静注する |
試験のフェーズ | フェーズ2(第2相臨床試験) |
試験のデザイン | |
目標症例数 | |
適格基準 |
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除外基準 | |
主要な評価項目 | |
主要な評価方法 | |
副次的な評価項目 | |
副次的な評価方法 | |
予定試験期間 |