難治性の褐色細胞腫に対する3-ヨードベンジルグアニジン(131I)の治験

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治験名

難治性の褐色細胞腫(パラガングリオーマを含む)患者を対象とした3-ヨードベンジルグアニジン(131I)の第2相臨床試験

治験概要:

難治性の褐色細胞腫に対する治験。パラガングリオーマの患者さんも対象です。 3-ヨードベンジルグアニジン(131I)を約1時間かけて静注し、安全性と有効性を評価する臨床試験です。 登録予定数は、13人。 フェーズは、2相臨床試験。 試験デザインは、非盲検、非対照、多施設共同。 試験群:3-ヨードベンジルグアニジン(131I) で主要評価項目は尿中カテコールアミン類の奏効率、副次的評価項目は尿中カテコールアミンの奏効率、尿中カテコールアミン代謝産物の奏効率、尿中カテコールアミンの経時推移、客観的奏効率などで評価します。

疾患解説:褐色細胞腫

2009年の厚生労働省の調査では、褐色細胞腫の推計患者数は約3000人で、男女差はなく10歳から80歳まで幅広い年代で確認されています。 褐色細胞腫は、副腎の中心部の副腎髄質に発生する腫瘍です。悪性と良性があり、悪性は約10%程度という調査があります。 主な症状は、高血圧、頭痛、動悸、発汗過多、顔面蒼白、振戦、悪心、便秘、体重減少、胸痛などさまざまな症状起こります。

治験薬:3-ヨードベンジルグアニジン(1311)

3-ヨードベンジルグアニジン(1311)は、ノルアドレナリンと似たメタヨードベンジルグアニジンに放射性ヨウ素(1311)を結合させた治療用放射性医薬品です。 ノルアドレナリンは、アドレナリンと受容体と結合する副腎髄質や交感神経終末で生合成されるホルモンです。ノルアドレナリンの類似物質であるメタヨードベンジルグアニジンもノルアドレナリンと同じメカニズムで、がん細胞に取り込まれ、放射性ヨウ素の1311から放出されるβ線によって、がん細胞を死滅させます。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 難治性褐色細胞腫と診断されている
  • 測定可能病変を1つ以上ある
  • スクリーニング時に実施されたCT(またはMRI)画像で確認された標的病変の1つ以上で、スクリーニング時に実施された123I-MIBGシンチグラフィで集積陽性が確認されている
  • スクリーニング時の以下の尿中カテコールアミン類について、いずれかの検査値が基準値上限の3倍以上を示す
  • スクリーニング時の検査値が以下のすべての基準を満たす 1)骨髄機能:顆粒球コロニー刺激因子製剤非投与下で白血球数≧3,000/mm3、非輸血下でヘモグロビン≧9.0g/dL、非輸血下で血小板数≧100,000/mm3 2)腎機能:推定糸球体濾過量≧30mL/min/1.73 m2 3)肝機能:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ<100IU/L、アラニンアミノトランスフェラーゼ<100IU/L、乳酸脱水素酵素<400IU/L 4)心機能:NYHA心機能分類が1度以下 5)糖尿病・内分泌疾患:HbA1c<8.0%(NGSP値) 6)呼吸状態:大気中における血中酸素飽和度(SpO2)≧96%
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0または1
  • 6か月以上の生存が期待できる
  • 核医学治療病室内隔離期間中、摂食、排泄および睡眠の自立が見込める
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • これまでにMIBG内照射療法を受けたことがある
  • 登録前8週以内に、手術療法、CVD療法、肝転移に対する経カテーテル肝動脈塞栓術、骨転移に対する薬物療法、または放射線外照射療法を受けたことがある
  • コントロール困難なカテコールアミン発作の既往がある
  • 致死性不整脈もしくは心静止の既往がある
  • 妊娠中、産後28日以内、または授乳中のいずれかに該当する女性
  • 治験薬投与後6か月間避妊することに合意できない
  • ヨウ化カリウム内服によるアレルギー症状、あるいはその疑いの既往がある
  • 同意日の前3か月以内に、他の治験に参加している
  • その他、治験責任医師または治験分担医師が本治験の対象として適切ではないと判断した患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータス  
PS 0 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない 100 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80 かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある 40 動けず、適切な医療および看護が必要
30 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10 死期が切迫している
0
WHO パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
0 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5 死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。

試験概要詳細

試験の名称 難治性の褐色細胞腫(パラガングリオーマを含む)患者を対象としたF-1614の第2相臨床試験
試験の概要 難治性褐色細胞腫(パラガングリオーマを含む)患者を対象として、F-1614による内照射療法を実施した時の有効性及び安全性を評価する
疾患名 難治性褐色細胞腫(パラガングリオーマを含む)
試験薬剤名 F-1614:3-ヨードベンジルグアニジン(131I)
用法・用量 7.4 GBqを約1時間かけて静注(単回投与)。7.4 GBqを投与できない施設では、5.55GBqを最低量として投与する
試験のフェーズ フェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン 非盲検、非対照、多施設共同
目標症例数 13
適格基準
  • 難治性褐色細胞腫と診断されている
  • RECIST規準(version 1.1)に則った測定可能病変を1つ以上有する
  • スクリーニング時に実施されたCT(又はMRI)画像で確認された標的病変の1つ以上で、スクリーニング時に実施された123I-MIBGシンチグラフィで集積陽性が確認されている
  • スクリーニング時の以下の尿中カテコールアミン類について、いずれかの検査値が基準値上限の3倍以上を示す(なお、検査値については、2回の検査のいずれも基準値上限の3倍以上を示す必要がある) アドレナリン、ノルアドレナリン、 メタネフリン、ノルメタネフリン
  • スクリーニング時の検査値が以下のすべての基準を満たす 1)骨髄機能:顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤非投与下で白血球数≧3,000/mm3、非輸血下でヘモグロビン≧9.0g/dL、非輸血下で血小板数≧100,000/mm3 2)腎機能:推定糸球体濾過量(eGFR)≧30mL/min/1.73 m2 3)肝機能:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)<100IU/L、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)<100IU/L、乳酸脱水素酵素(LDH)<400IU /L 4)心機能:NYHA心機能分類が1度以下 5)糖尿病・内分泌疾患:HbA1c <8.0%(NGSP値) 6)呼吸状態:大気中における血中酸素飽和度(SpO2)≧96%
  • ECOG Performance Statusが0又は1
  • 6ヶ月以上の生存が期待できる
  • 核医学治療病室内隔離期間中、摂食、排泄及び睡眠の自立が見込める
  • 同意時の年齢が20歳以上の日本人
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • これまでにMIBG内照射療法を受けたことがある
  • 登録前8週以内に、手術療法、CVD療法、肝転移に対する経カテーテル肝動脈塞栓術、骨転移に対する薬物療法、又は放射線外照射療法を受けたことがある
  • コントロール困難なカテコールアミン発作の既往がある
  • 致死性不整脈もしくは心静止の既往がある
  • 妊娠中、産後28日以内、又は授乳中(ただし、授乳婦は治験薬投与開始後から投与6ヶ月後まで授乳を中断することに合意できる場合を除く)のいずれかに該当する女性
  • 治験薬投与後6ヶ月間避妊することに合意できない
  • ヨウ化カリウム内服によるアレルギー症状、あるいはその疑いの既往がある
  • 同意日の前3ヶ月以内に、他の治験に参加している
  • その他、治験責任医師又は治験分担医師が本治験の対象として適切ではないと判断した患者
主要な評価項目 有効性/efficacy
主要な評価方法 尿中カテコールアミン類の奏効率
副次的な評価項目 安全性/safety 有効性/efficacy
副次的な評価方法 尿中カテコールアミンの奏効率 尿中カテコールアミン代謝産物の奏効率 尿中カテコールアミンの経時推移 RECIST 1.1による客観的奏効率 I-123 MIBGシンチグラフィによる奏効率 QOL評価 安全性
予定試験期間 2017年11月1日~2019年12月31日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより