切除不能の悪性胸膜中皮腫に対するAd-SGE-REICの治験
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治験名
Ad-SGE-REIC第2相臨床試験
治験概要:
2次治療以降の悪性胸膜中皮腫に対する治験。切除不能な患者さんが対象です。
遺伝子治療用薬Ad-SGE-REICを局所投与して、有効性と安全性を評価する臨床試験です。
登録予定数は、30人。
フェーズは、2相臨床試験。
試験デザインは、非盲検非対照多施設共同試験。
試験群:Ad-SGE-REIC
で主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は奏効率、全生存期間、安全性などで評価します。
疾患解説:悪性胸膜中皮腫
国立がん研究センターがん対策情報センターの2008年~2011年の院内がん登録によると、悪性中皮腫の罹患率は10万人あたり0.75人と推定されています。
肺や心臓などの胸部臓器、胃腸や肝臓などの腹部臓器は、臓器ごとに胸膜、心膜、腹膜といった膜で包まれています。この膜の表面を覆っているのが中皮で、この中皮から発生した腫瘍を中皮腫といいます。
悪性胸膜中皮腫は、胸膜の中皮に発生した腫瘍で、発生原因としてアスベストが関与しているといわれています。
主な症状は、胸痛、咳、胸水による呼吸困難や胸部圧迫感が起こります。
治験薬:Ad-SGE-REIC
Ad-SGE-REICは、がん抑制遺伝子REIC/Dkk-3を治療遺伝子として使用する遺伝子治療用製剤です。
選択的にがん細胞を直接攻撃する効果と抗がん免疫の活性化を同時に誘導する遺伝子治療薬として、がんの転移巣への間接作用が期待されています。
主な治験参加条件
対象となる人 |
- 悪性胸膜中皮腫であることが確認された切除不能な病変がある患者
- 測定可能病変を1つ以上ある患者
- 全身状態(Performance Status:PS)が1以下の患者
- 主要臓器の機能が保持されている患者
- 文書による同意が得られている患者
- 年齢:20歳以上
- 性別:両方
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対象とならない人 |
- 悪性胸膜中皮腫以外の同時性または異時性腫瘍がある患者、もしくは当該腫瘍が根治しているが、無病期間が2年未満の患者
- 活動性感染症がある患者
- 症状があるまたは治療を要する脳転移がある患者
- 明らかな肺線維症または間質性肺炎がある患者
- 治療を必要とする心嚢液がある患者
- 全身性の副腎皮質ホルモンを含む免疫抑制剤の投与を必要とする疾患がある患者
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。
ECOG パフォーマンスステータス
PS 0 |
全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 |
肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 |
歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 |
限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 |
全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
Karnofsky パフォーマンスステータス
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スコア |
患者の状態 |
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない |
100 |
正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし |
90 |
軽い臨床症状はあるが、正常活動可能 |
80 |
かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能 |
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする |
70 |
自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能 |
60 |
自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要 |
50 |
病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要 |
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある |
40 |
動けず、適切な医療および看護が必要 |
30 |
全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない |
20 |
非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要 |
10 |
死期が切迫している |
0 |
死 |
WHO パフォーマンスステータス
スコア |
患者の状態 |
0 |
全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える |
1 |
肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など |
2 |
歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす |
3 |
限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
4 |
全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす |
5 |
死亡 |
出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した多くの情報は、JAPIC-CTIやUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。
試験概要詳細
試験の名称 |
Ad-SGE-REIC第II相臨床試験 |
試験の概要 |
二次治療以降の悪性胸膜中皮腫患者を対象として、Ad-SGE-REICの有効性及び安全性を検討する |
疾患名 |
悪性胸膜中皮腫 |
試験薬剤名 |
Ad-SGE-REIC |
用法・用量 |
胸膜腫瘍に対する局所投与、3×10^12vp/回 |
試験のフェーズ |
フェーズ2(第2相臨床試験) |
試験のデザイン |
非盲検非対照多施設共同試験 |
目標症例数 |
30 |
適格基準 |
- 組織診により悪性胸膜中皮腫であることが確認された切除不能な病変を有する患者
- 測定可能病変を1つ以上有する患者
- ECOG PS≦1の患者
- 主要臓器の機能が保持されている患者
- 文書による同意が得られている患者
- 年齢:20歳以上
- 性別:両方
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除外基準 |
- 悪性胸膜中皮腫以外の同時性又は異時性腫瘍を有する患者、若しくは当該腫瘍が根治しているが、無病期間が2年未満の患者
- 活動性感染症を有する患者
- 症状を有する又は治療を要する脳転移がある患者
- 明らかな肺線維症又は間質性肺炎を有する患者
- 治療を必要とする心嚢液を有する患者
- 全身性の副腎皮質ホルモンを含む免疫抑制剤の投与を必要とする疾患を有する患者
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主要な評価項目 |
無増悪生存期間(PFS) |
主要な評価方法 |
中央判定を用いる |
副次的な評価項目 |
奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、安全性など |
副次的な評価方法 |
中央判定を用いる |
予定試験期間 |
2018年7月25日~ |
出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより