切除不能な胸膜中皮腫を対象にニボルマブ/イピリムマブ併用療法とペメトレキセド/シスプラチンまたはカルボプラチン併用療法の有効性と忍容性を比較する治験

治験名

切除不能な胸膜中皮腫患者を対象に、一次治療としてのニボルマブとイピリムマブの併用療法をペメトレキセドとシスプラチン又はカルボプラチンの併用療法と比較するランダム化オープンラベル第3相試験

治験概要

この試験は、切除不能な胸膜中皮腫患者さんを対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法と、ペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用療法における有効性と忍容性を比較するランダム化オープンラベル第3相試験です。

疾患解説中皮腫

肺や心臓など胸部の臓器や、胃腸など腹部の臓器は、胸膜、心膜、腹膜という膜に包まれ、体の内面もこれらの膜でおおわれています。この膜は中皮(ちゅうひ)と呼ばれ、中皮細胞が並んでいます。この中皮細胞から発生するがんを中皮腫といいます。その発生場所によって、胸膜中皮腫、心膜中皮腫、腹膜中皮腫などがあります。過去には、中皮腫は悪性と良性があると説明されていました。しかし現在では、中皮腫といえば悪性腫瘍を意味します。

胸膜中皮腫では、胸痛、せき、大量の胸水(きょうすい)による呼吸困難や胸部圧迫感が起こります。また、原因不明の発熱や体重減少がみられる場合もあります。腹膜中皮腫では腹水(ふくすい)によって腹部が張ります。しかし、これらはいずれも中皮腫に特徴的な症状ではなく、早期発見が難しい疾患です。

治験薬ニボルマブ

ニボルマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。

免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。

がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬イピリムマブ

イピリムマブは、抗CTLA-4抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。

イピリムマブは、がん細胞を攻撃する活性化T細胞とT細胞を制御する制御性T細胞状に発現するCTLA-4と抗原提示細胞状に発現しているCD80とCD86との結合を阻害することで、がんを攻撃するT細胞を増強します。

また、がん細胞を攻撃するT細胞を抑制する制御性T細胞を抑制することで、がん免疫反応を促進させます。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 18歳以上の男女
  • 根治的治療の対象とならない組織学的に悪性胸膜中皮腫の診断が確定した患者さん
  • ECOG Performance Statusが0または1の患者さん
  • 検査用腫瘍組織検体が得られている患者さん
  • 十分な血液機能を有する患者さん
対象とならない人
  • 原発性の腹膜、心膜および精巣鞘膜中皮腫の患者さん
  • 悪性胸膜中皮腫に対して全身抗がん剤による治療歴のある患者さん
  • 抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2もしくは抗CTLA-4抗体で治療したことのある患者さん
  • 他の悪性腫瘍を患ったことのある患者さん(ただし、3年以上前に完全寛解を達成している場合は除く)
  • 活動性で未治療の脳転移のある患者さん

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

全身状態(Performance Status)は、患者さんが自分で身のまわりのことをどこまでこなせるかを表す尺度です。ECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンス ステータス(ECOG PS)

ECOG Performance Statusは、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。

PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、日本国内では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールに基づき、行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで進められます。治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを正しく理解しましょう。

試験詳細

試験の名称切除不能な胸膜中皮腫患者を対象に、一次治療としてのニボルマブとイピリムマブの併用療法をペメトレキセドとシスプラチン又はカルボプラチンの併用療法と比較するランダム化オープンラベル第3相試験
試験の概要切除不能な胸膜中皮腫患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法と、ペメトレキセドとシスプラチン又はカルボプラチンの併用療法における有効性と忍容性を比較する
疾患名悪性胸膜中皮腫
試験薬剤名ニボルマブ、イピリムマブ
用法・用量ニボルマブ+イピリムマブを静脈内投与
試験薬剤名ペメトレキセド、カルボプラチン又はシスプラチン
用法・用量ペメトレキセドとシスプラチン又はカルボプラチンを静脈内投与
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザインランダム化オープンラベル第3相試験
目標症例数600
適格基準
  • 18歳以上の男女
  • 根治的治療の対象とならない組織学的に悪性胸膜中皮腫の診断が確定した患者
  • ECOG Performance Statusが0又は1の患者
  • 検査用腫瘍組織検体が得られている患者
  • 十分な血液機能を有する患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 原発性の腹膜、心膜及び精巣鞘膜中皮腫の患者
  • 悪性胸膜中皮腫に対して全身抗癌剤による治療歴のある患者
  • 抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2若しくは抗CTLA-4抗体による治療歴がある患者
  • 他の悪性腫瘍の既往を有する患者(ただし、3年以上前に完全寛解を達成している場合は除く)
  • 活動性で未治療の脳転移のある患者
主要な評価項目無増悪生存期間(PFS)
全生存期間(OS)
主要な評価方法
副次的な評価項目奏効率(ORR)
病勢コントロール率(DCR)
PD-L1発現状況と有効性の相関
副次的な評価方法
予定試験期間2016年10月~2021年8月

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより