ステージ3・4Aの頭頸部がんに対するペムブロリズマブの治験
治験の募集状況は、「医薬品情報データベース 臨床試験情報」ページでご確認ください。
治験名
ステージ3または4Aの切除可能な局所進行頭頸部扁平上皮がん患者を対象としたペムブロリズマブによる術前補助療法およびペムブロリズマブと標準療法の併用による術後補助療法を評価する無作為化非盲検第3相試験
治験概要:
切除可能な局所進行頭頸部扁平上皮がんに対する治験。ステージ3または4Aの患者さんが対象です。
ペムブロリズマブ+シスプラチン併用とシスプラチン単独を比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、704人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、多施設共同、並行群間、無作為化、非盲検試験。
試験群:ペムブロリズマブ+シスプラチン併用
対照群:シスプラチン単独
無イベント生存期間、全生存期間、完全奏効率、全般的健康状態、有害事象などで評価します。
疾患解説:頭頸部がん
頭頸部がんは、文字通り「頭部」と「頸部(首の部分)」、脳より下鎖骨より上にできたがんの総称です。主な種類は、咽頭がん、口腔がん、喉頭がん、鼻、副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がんなどがあります。咽頭は、さらに詳細に上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分類されます。脳腫瘍は、頭頸部がんには分類されません。
頭頸部がんのうち口腔がん、咽頭がんの罹患数は、2013年の国立がん研究センターのがん統計によると男性で約13200人、女性で約5800人、男女合計で約19000人、全部位の約2%程度です。死亡数も男性で約5000人、女性で約2000人、合計で約7000人と、部位別でみると比較的少ないですが、発生原因や治療法、予後が異なるのが特徴です。
頭頸部がんのほとんどは、扁平上皮という組織ががん化したものです。がんが発生した器官の違いによって症状はさまざまです。口腔がんである舌がんでは、舌がしみたり痛みがあるなどの症状があることもありますが、ほとんどの頭頸部がんでは初期には自覚症状がみられないこともあります。首のしこりやのどの違和感など、すこしでも気になる症状があれば検査を受けることが大切です。

治験薬:ペムブロリズマブ
ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。
治験薬:シスプラチン
シスプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。
薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。シスプラチンは、第1世代の白金製剤です。
主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した多くの情報は、JAPIC-CTIやUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。
試験概要詳細
試験の名称 | Stage III又はIV Aの切除可能な局所進行頭頸部扁平上皮癌患者を対象としたMK 3475による術前補助療法及びMK 3475と標準療法の併用による術後補助療法を評価する無作為化非盲検第III相試験 |
試験の概要 | 治験は、StageIII又はIVAの切除可能な局所進行頭頸部扁平上皮癌患者を対象としたMK3475による術前補助療法、及びMK3475と標準療法(放射線治療±シスプラチン)の併用による術後補助療法を評価する、無作為化、実薬対照、非盲検試験である 有効性の結果はプログラム細胞死リガンド1(PD-L1)の状態によって層別化される 主要仮説:MK-3475の術前補助療法及び放射線治療±シスプラチンとの併用による外科的切除後の術後補助療法は、標準療法である放射線治療±シスプラチンによる外科的切除後の術後補助療法と比較して、EFSで優越性を示す |
疾患名 | 頭頸部 |
試験薬剤名 | 術前補助療法(MK3475)+術後補助療法(MK3475+標準療法) |
用法・用量 | 術前:MK-3475IV200mgQ3W(2コース)、術後:MK-3475IV200mgQ3W(15コース)+放射線療法±シスプラチン100mg/m2Q3W(3コース) |
対照薬剤名 | 術後補助療法(標準療法) |
用法・用量 | 術後:放射線療法±シスプラチン100mg/m2Q3W(3コース) |
試験のフェーズ | フェーズ3/phase3 |
試験のデザイン | 多施設共同、並行群間、無作為化、非盲検試験 |
目標症例数 | 704 |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | 有効性/efficacy |
主要な評価方法 | Major Pathological Response(mPR):中央判定病理医により手術時点でmPRを達成したと評価された患者の割合。mPRは、原発腫瘍の切除検体及び切除されたすべての所属リンパ節において、浸潤性扁平上皮癌細胞が10%以下であることとする 無イベント生存期間(EFS):無作為割付けから、以下のイベントのいずれかが最初に記録されるまでの期間とする:疾患進行、画像又は生検に基づく局所又は遠隔再発、あらゆる原因による死亡 |
副次的な評価項目 | 安全性/safety 有効性/efficacy |
副次的な評価方法 | OS:無作為割付けから、あらゆる原因による死亡日までの期間とする pCR:中央判定病理医により手術時点でpCRを達成したと評価された患者の割合。pCRは、原発腫瘍の切除検体及び切除されたすべての所属リンパ節において、浸潤性扁平上皮癌細胞の残存が認められないこととする EORTC QLQ-C30の全般的健康状態/QOLスケール(項目29及び30) EORTC QLQ-C30の身体機能スケール(項目1~5) EORTC QLQ-H&N35の項目31~38、46、53~54 有害事象 有害事象による治験薬の投与中止 |
予定試験期間 | 2019年11月14日~2025年7月30日 |