頭頸部扁平上皮がんの一次治療としてのデュルバルマブ単剤/トレメリムマブ併用療法の治験

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治験名

再発性又は転移性頭頸部扁平上皮癌患者を対象とした一次治療におけるMEDI4736単剤療法及びtremelimumabとの併用療法を標準治療と比較する第3相無作為化非盲検国際多施設共同試験

治験概要

この臨床試験は、再発性または転移性頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)の患者さんで、再発巣または転移巣に対する全身化学療法歴のない患者さんを対象にMEDI4736(デュルバルマブ)単剤療法およびtremelimumab(トレメリムマブ)との併用療法の有効性および安全性をSoC(EXTREME レジメン)と比較して検証する第3相、無作為化、非盲検、国際多施設共同3群比較試験です。

疾患解説頭頸部扁平上皮がん

頭頸部がんは、文字通り「頭部」と「頸部(首の部分)」、脳より下鎖骨より上にできたがんの総称です。主な種類は、咽頭がん、口腔がん、喉頭がん、鼻、副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がんなどがあります。咽頭は、さらに詳細に上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分類されます。脳腫瘍は、頭頸部がんには分類されません。

頭頸部がんのうち口腔がん、咽頭がんの罹患数は、2013年の国立がん研究センターのがん登録・統計によると男性で約13200人、女性で約5800人、男女合計で約19000人、全部位の約2%程度です。死亡数も男性で約5000人、女性で約2000人、合計で約7000人と、部位別でみると比較的少ないですが、発生原因や治療法、予後が異なるのが特徴です。

頭頸部がんのほとんどは、扁平上皮という組織ががん化したものです。がんが発生した器官の違いによって症状はさまざまです。口腔がんである舌がんでは、舌がしみたり痛みがあるなどの症状があることもありますが、ほとんどの頭頸部がんでは初期には自覚症状がみられないこともあります。首のしこりやのどの違和感など、すこしでも気になる症状があれば検査を受けることが大切です。

治験薬デュルバルマブ

デュルバルマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。

免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。

がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬トレメリムマブ

トレメリムマブは、抗CTLA-4抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。

がん細胞を攻撃するT細胞の表面に発現するCTLA-4とT細胞を抑制するCD80/86が結合しないようにするのが抗CTLA-4抗体です。これにより、T細胞は活性化したままがん細胞に誘導されます。また、がん細胞は、過剰な免疫応答にブレーキをかける制御性T細胞を誘導し、攻撃を抑制します。制御性T細胞に発現しているCTLA-4と抗CTLA-4抗体が結合し、排除することで、免疫抑制を解除します。

抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体との併用療法薬として効果が期待されています。

主な治験参加条件

対象となる人
  • スクリーニング時の年齢が18歳以上である患者さん
  • 組織診により再発性または転移性SCCHN(口腔がん、中咽頭がん、下咽頭がん、または喉頭がん)と確定診断されている患者さん
  • 新たに採取した腫瘍組織または保存組織の提供が可能である患者さん。なお、新たに採取する腫瘍生検に用いる腫瘍病変は、RECIST1.1に基づく標的病変として使用する病変と同一であってはなりません。ただし、生検に適した病変が他にない場合はこの限りではありません
  • 再発性または転移性SCCHNに対する全身化学療法歴のない患者さん
  • 組入れ時点におけるWHO/ECOG Performance Statusが0または1である患者さん
  • 免疫療法歴のない患者さん
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:男女
対象とならない人
  • 選択基準で規定されていない頭頸部の他の主要な解剖学的部位の扁平上皮がんと組織診または細胞診により確定診断された患者さん、原発部位不明のSCCHN患者さん、または組織型が非扁平上皮がん(鼻咽頭、唾液腺などに生じたがん)である患者さん
  • 白金製剤の最終投与から6か月以内に腫瘍の増悪または再発が認められた患者さん
  • 治験薬の初回投与前30日以内にがんの治療を目的とした放射線療法またはホルモン療法を受けた患者さん
  • 活動性の自己免疫疾患または炎症性疾患

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、日本国内では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールに基づき、行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで進められます。治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを正しく理解しましょう。

試験詳細

試験の名称再発性又は転移性頭頸部扁平上皮癌患者を対象とした一次治療におけるMEDI4736単剤療法及びtremelimumabとの併用療法を標準治療と比較する第3相無作為化非盲検国際多施設共同試験
試験の概要本治験は、再発性又は転移性SCCHN患者で、再発巣又は転移巣に対する全身化学療法歴のない患者を対象にMEDI4736単剤療法及びtremelimumabとの併用療法の有効性及び安全性をSoC(EXTREME レジメン)と比較して検証する第3相無作為化非盲検国際多施設共同3群比較試験である。
疾患名頭頸部扁平上皮癌
試験薬剤名MEDI4736, tremelimumab
用法・用量MEDI4736単剤療法: 1500mg 静脈内投与、 MEDI4736 + tremelimumab併用療法: MEDI4736: 1500mg 静脈内投与、 tremelimumab: 75mg IV infusion
対照薬剤名
用法・用量
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン無作為化、安全性/有効性、並行群間、オープン
目標症例数
適格基準
  • スクリーニング時の年齢が18 歳以上である患者
  • 組織診により再発性又は転移性SCCHN(口腔癌、中咽頭癌、下咽頭癌、又は喉頭癌)と確定診断されている患者
  • 新たに採取した腫瘍組織又は保存組織の提供が可能である患者。なお、新たに採取する腫瘍生検に用いる腫瘍病変は、RECIST 1.1 に基づく標的病変として使用する病変と同一であってはならない。ただし、生検に適した病変が他にない場合はこの限りではない。
  • 再発性又は転移性SCCHN に対する全身化学療法歴のない患者
  • 組入れ時点におけるWHO/ECOG Performance Status が0 又は1 である患者
  • 免疫療法歴のない患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 免疫療法歴がある患者
  • 過去12か月以内に肝性脳症の既往歴を有する、あるいは脳症を予防又はコントロールする薬剤を必要とする
  • 12か月以内に胃腸出血(例:食道静脈瘤出血、潰瘍出血)を来したことがある
  • 予定初回投与前6ヶ月以内に非薬理学的介入が必要となる腹水、あるいは症状のコントロールを維持するために薬理学的介入の拡大が必要となる腹水
  • 門脈本幹に血栓(Vp4)が画像検査で確認されている
  • 癌治療を目的とした化学療法、免疫療法又は生物学的療法若しくはホルモン療法を並行して受けている患者
  • 一部の例外を除き活動期の自己免疫疾患又は炎症性疾患がある、又は過去に確認されている患者
  • 一部の例外を除き免疫抑制剤を現在投与されている、又は過去14日以内に投与された患者
主要な評価項目
主要な評価方法
副次的な評価項目
副次的な評価方法
予定試験期間

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより