再発/転移性頭頸部扁平上皮がんの一次治療患者さんを対象としたペムブロリズマブの治験

治験名

再発又は転移性頭頸部扁平上皮癌の一次治療患者を対象としたMK-3475の第III相試験

治験概要

この試験では、再発または転移性頭頸部扁平上皮がん患者さんを、ペムブロリズマブ(MK-3475)単剤、MK-3475+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)+5-フルオロウラシル(5-FU)、またはセツキシマブ+プラチナ製剤+5-フルオロウラシルを無作為に割り付けます。試験の主要仮説は、MK-3475は、標準療法と比較し、無増悪生存期間(PFS)を延長するというものです。

疾患解説頭頸部がん

頭頸部がんは、文字通り「頭部」と「頸部(首の部分)」、脳より下鎖骨より上にできたがんの総称です。主な種類は、咽頭がん、口腔がん、喉頭がん、鼻、副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がんなどがあります。咽頭は、さらに詳細に上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分類されます。脳腫瘍は、頭頸部がんには分類されません。

頭頸部がんのうち口腔がん、咽頭がんの罹患数は、2013年の国立がん研究センターのがん登録・統計によると男性で約13200人、女性で約5800人、男女合計で約19000人、全部位の約2%程度です。死亡数も男性で約5000人、女性で約2000人、合計で約7000人と、部位別でみると比較的少ないですが、発生原因や治療法、予後が異なるのが特徴です。

頭頸部がんのほとんどは、扁平上皮という組織ががん化したものです。がんが発生した器官の違いによって症状はさまざまです。口腔がんである舌がんでは、舌がしみたり痛みがあるなどの症状があることもありますが、ほとんどの頭頸部がんでは初期には自覚症状がみられないこともあります。首のしこりやのどの違和感など、すこしでも気になる症状があれば検査を受けることが大切です。

治験薬ペムブロリズマブ

MK-3475(ペムブロリズマブ)は、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。

免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。

がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人

1.再発または転移性の組織学的または細胞学的に確認された頭頸部扁平上皮がんで、局所療法では治癒できないと考えられる患者さん
 -再発または転移に対して過去に全身性の治療を受けたことがない患者さん。ただし、局所進行がんの集学的治療の一環として全身治療を受けており、かつ同意取得の6か月以上前に治療が完了している場合は適格とします。
 -原発巣が中咽頭、口腔、下咽頭または喉頭である患者さん、または組織型に関わらず、上咽頭がんを有していない患者さん
2.測定可能病変を有する患者さん
3.Eastern Cooperative Oncology Group (ECOG) performance statusが0または1の患者さん
4.適切な臓器機能を有する患者さん
5.コア生検または切除生検(穿刺吸引生検は不可)による腫瘍組織検体をPD-L1のバイオマーカー解析のために提出できる患者さん。注記:新たに検体を採取することが望ましいが(治験薬の初回投与前90日以内以内)、保存腫瘍組織検体の提出も許容される
6.妊娠の可能性のある女性患者さんで、治験期間を通じて、治験薬の最終投与後180日まで、適切な二重の避妊方法による避妊、不妊手術を行う、または異性間行為をしないことに同意する患者さん
7.治験薬初回投与から治験薬の最終投与後180日までの間、適切な避妊方法を行うことに同意した男性患者さん
年齢:18歳以上
性別:両方

対象とならない人

1.治癒を目的とした局所治療の適応となる疾患を有する患者さん
2.局所進行性の頭頸部扁平上皮がんに対する治癒目的の治療完了後6か月以内に疾患進行した患者さん
3.他の治験に参加している患者さんまたは治験薬初回投与前4週間以内に他の治験薬あるいは医療機器を用いた臨床試験に参加した患者さん
4.免疫不全症と診断された患者さんまたは治験薬初回投与前7日以内に全身性のステロイド療法や他の免疫抑制療法を受けた患者さん
治験依頼者との協議により、生理的用量のコルチコステロイドの使用が許可される場合があります。
5.進行性または治療が必要な重複がんを有する患者さん
ただし、根治治療を受けた皮膚の基底細胞がんまたは皮膚扁平上皮がんの患者さん、根治治療開始から5年間再発がない子宮頚部上皮内がんの患者さんは組入れ可です。
6.活動性の中枢神経系(CNS)への転移またはがん性髄膜炎を有する患者さん
7.過去2年以内に全身性の治療を必要とした活動性の自己免疫疾患を有する患者さん。補充療法は、全身性の治療とはみなしません。
8.ステロイド投与が必要な非感染性間質性肺炎の既往を有する人。または間質性肺疾患を合併している患者さん
9.全身性の治療を必要とする活動性の感染症を有する患者さん
10.治験実施に影響を与える可能性がある精神疾患または物質乱用障害を有する患者さん
11.妊娠中または授乳中、もしくは、スクリーニング来院から治験薬最終投与後180日までの間に妊娠する可能性のある女性患者さんあるいはパートナーが妊娠する可能性のある男性患者さん
12.過去にPD-1、PD-L1またはPD-L2阻害剤の治療を受けた、あるいは過去にMK-3475の臨床試験に参加した患者さん
13.Human immunodeficiency virus (HIV)の感染の病歴を有する患者さん
14.活動性のB型肝炎またはC型肝炎を有する患者さん
15.治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンの投与を受けた患者さん

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

全身状態(Performance Status)は、患者さんが自分で身のまわりのことをどこまでこなせるかを表す尺度です。ECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンス ステータス(ECOG PS)

ECOG Performance Statusは、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。

PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、日本国内では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールに基づき、行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで進められます。治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを正しく理解しましょう。

試験詳細

試験の名称再発又は進行性転移性尿路上皮癌患者を対象とした、Pembrolizumab(MK-3475)とパクリタキセル、ドセタキセル又はVinflunineを比較する無作為化非盲検第III相試験
試験の概要プラチナ製剤併用化学療法後に再発又は進行した転移性又は局所進行性/切除不能尿路上皮癌患者に、pembrolizumab(MK-3475)もしくは、治験担当医師が選択したパクリタキセル、ドセタキセル又はvinflunineを無作為に割り付ける。
本試験の主要仮説は、MK-3475は、パクリタキセル、ドセタキセル又はvinflunineと比較し、全生存期間(OS)及び無増悪生存期間(PFS)を、延長することである。
疾患名再発又は転移性頭頸部癌
試験薬剤名MK-3475
用法・用量MK-3475、200mgを3週間間隔で24ヵ月間、静脈内投与
試験薬剤名MK-3475, シスプラチン, 5-フルオロウラシル(5-FU)
用法・用量MK-3475、200mg を3週間間隔で24ヵ月間、静脈内投与+シスプラチン100mg/m^2を3週間間隔で、最大6コースまで静脈内投与+5-FU 1000mg/m^2/日を1-4日間、3週間間隔で最大6コースまで静脈内持続投与
試験薬剤名MK-3475, カルボプラチン, 5-フルオロウラシル(5-FU)
用法・用量MK-3475、200mgを3週間間隔で24ヵ月間、静脈内投与+カルボプラチンAUC 5を3週間間隔で、最大6コースまで静脈内投与+5-FU 1000mg/m^2/日を1-4日間、3週間間隔で最大6コースまで静脈内持続投与
試験薬剤名セツキシマブ
用法・用量セツキシマブ 初回400mg/m^2 を、以降は250mg/m^2を疾患の進行又は許容できない毒性が認められない限り、1週間間隔で静脈内投与++シスプラチン100mg/m2又はカルボプラチンAUC 5を3週間間隔で、最大6コースまで静脈内投与+5-FU 1000mg/m^2/日を1-4日間、3週間間隔で最大6コースまで静脈内持続投与
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン無作為化非盲検実薬対照試験
目標症例数825
適格基準 1.再発又は転移性の組織学的又は細胞学的に確認された頭頸部扁平上皮癌で、局所療法では治癒できないと考えられる患者
-再発又は転移に対して過去に全身性の治療を受けたことがない患者。ただし、局所進行癌の集学的治療の一環として全身治療を受けており、かつ同意取得の6ヵ月以上前に治療が完了している場合は適格とする。
-原発巣が中咽頭、口腔、下咽頭又は喉頭である患者、又は組織型に関わらず、上咽頭癌を有していない患者
2.測定可能病変を有する患者
3.Eastern Cooperative Oncology Group (ECOG) performance statusが0又は1の患者
4.適切な臓器機能を有する患者
5.コア生検又は切除生検(穿刺吸引生検は不可)による腫瘍組織検体をPD-L1のバイオマーカー解析のために提出できる患者。注記:新たに検体を採取することが望ましいが(治験薬の初回投与前90日以内以内)、保存腫瘍組織検体の提出も許容される
6.妊娠の可能性のある女性患者で、治験期間を通じて、治験薬の最終投与後180日まで、適切な二重の避妊方法による避妊、不妊手術を行う、又は異性間行為をしないことに同意する患者
7.治験薬初回投与から治験薬の最終投与後180日までの間、適切な避妊方法を行うことに同意した男性患者
年齢:18歳以上
性別:両方
除外基準 1.治癒を目的とした局所治療の適応となる疾患を有する患者
2.局所進行性の頭頸部扁平上皮癌に対する治癒目的の治療完了後6ヵ月以内に疾患進行した患者
3.他の治験に参加している患者又は治験薬初回投与前4週間以内に他の治験薬あるいは医療機器を用いた臨床試験に参加した患者
4.免疫不全症と診断された患者又は治験薬初回投与前7日以内に全身性のステロイド療法や他の免疫抑制療法を受けた患者
治験依頼者との協議により、生理的用量のコルチコステロイドの使用が許可される場合がある。
5.進行性又は治療が必要な重複癌を有する患者
ただし、根治治療を受けた皮膚の基底細胞癌又は皮膚扁平上皮癌の患者、根治治療開始から5年間再発がない子宮頚部上皮内癌の患者は組入れ可とする。
6.活動性の中枢神経系(CNS)への転移又は癌性髄膜炎を有する患者
7.過去2年以内に全身性の治療を必要とした活動性の自己免疫疾患を有する患者。補充療法は、全身性の治療とはみなさない。
8.ステロイド投与が必要な非感染性間質性肺炎の既往を有する者。又は間質性肺疾患を合併している患者
9.全身性の治療を必要とする活動性の感染症を有する患者
10.治験実施に影響を与える可能性がある精神疾患又は物質乱用障害を有する患者
11.妊娠中又は授乳中、若しくは、スクリーニング来院から治験薬最終投与後180日までの間に妊娠する可能性のある女性患者あるいはパートナーが妊娠する可能性のある男性患者
12.過去にPD-1、PD-L1又はPD-L2阻害剤の治療を受けた、あるいは過去にMK-3475の臨床試験に参加した患者
13.Human immunodeficiency virus (HIV)の感染の病歴を有する患者
14.活動性のB型肝炎又はC型肝炎を有する患者
15.治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンの投与を受けた患者
主要な評価項目RECIST 1.1に基づきPDL1陽性患者を盲検下の中央画像判定機関(BICR)が評価した無増悪生存期間(PFS)
主要な評価方法RECIST 1.1に基づきPDL1陽性患者の中央画像判定機関が評価した無増悪生存期間(PFS)を調査する
主要な評価項目PDL1陽性患者の全生存期間(OS)
主要な評価方法PDL1陽性患者の全生存期間(OS)を調査する
主要な評価項目RECIST 1.1に基づき全被験者を中央画像判定機関(BICR)が評価した無増悪生存期間(PFS)
主要な評価方法RECIST 1.1に基づき全被験者の中央画像判定機関が評価した無増悪生存期間(PFS)を調査する
主要な評価項目全被験者の全生存期間(OS)
主要な評価方法全被験者の生存期間を調査する
副次的な評価項目RECIST 1.1に基づき中央画像判定機関(BICR)が評価した6ヶ月時点における無増悪生存期間(PFS)
副次的な評価方法immune-related RECIST(irRECIST)に基づき中央画像判定機関が評価したPFSを調査する
副次的な評価項目RECIST 1.1に基づき中央画像判定機関(BICR)が評価した奏効率(ORR)
副次的な評価方法中央画像判定機関が評価した奏効率(ORR)を調査する
副次的な評価項目RECIST 1.1に基づき中央画像判定機関(BICR)が評価した12ヶ月時点における無増悪生存期間(PFS)
副次的な評価方法中央画像判定機関が評価したPFSを調査する
副次的な評価項目EORTC QLQ-C30を用いて評価した健康に関連する生活の質(QOL)のベースラインからの変化
副次的な評価方法全般的な健康状態/QOLをQOL-C30質問票を用いて評価する
予定試験期間2015年3月~2018年9月

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより