局所進行頭頸部がんに対するペムブロリズマブ+化学放射線療法の治験

治験名

KEYNOTE-412

局所進行頭頸部扁平上皮がん患者を対象に化学放射線療法と併用後に維持療法として用いたペムブロリズマブを化学放射線療法単独と比較する無作為化第3相試験

治験概要:

局所進行の頭頸部扁平上皮がんに対する治験。中咽頭p16陽性または陰性、咽頭、下咽頭、切除不能の口腔がんの患者さんが対象です。 ペムブロリズマブ+化学放射線療法とプラセボ+化学放射線療法を比較して、無イベント生存期間や全生存期間で評価する臨床試験です。 登録予定数は、780人。 フェーズは、3相臨床試験。 試験デザインは、二重盲検、プラセボ対照試験。 比較する対象は 試験群:ペムブロリズマブ+化学放射線療法 対照群:プラセボ+化学放射線療法 無イベント生存期間、全生存期間などで評価します。

疾患解説:頭頸部がん

頭頸部がんは、文字通り「頭部」と「頸部(首の部分)」、脳より下鎖骨より上にできたがんの総称です。主な種類は、咽頭がん、口腔がん、喉頭がん、鼻、副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がんなどがあります。咽頭は、さらに詳細に上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分類されます。脳腫瘍は、頭頸部がんには分類されません。 頭頸部がんのうち口腔がん、咽頭がんの罹患数は、2013年の国立がん研究センターのがん統計によると男性で約13200人、女性で約5800人、男女合計で約19000人、全部位の約2%程度です。死亡数も男性で約5000人、女性で約2000人、合計で約7000人と、部位別でみると比較的少ないですが、発生原因や治療法、予後が異なるのが特徴です。 頭頸部がんのほとんどは、扁平上皮という組織ががん化したものです。がんが発生した器官の違いによって症状はさまざまです。口腔がんである舌がんでは、舌がしみたり痛みがあるなどの症状があることもありますが、ほとんどの頭頸部がんでは初期には自覚症状がみられないこともあります。首のしこりやのどの違和感など、すこしでも気になる症状があれば検査を受けることが大切です。

治験薬:ペムブロリズマブ

ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 新たに扁平上皮がんと診断され、以下の患者 a. 中咽頭のp16陽性、またはb. 中咽頭のp16陰性、またはc. 喉頭/下咽頭/口腔(p16状態を問わない)口腔がんの場合は、切除不能な病変があること
  • コア生検または切除生検により、PD-L1のバイオマーカー解析用に組織が提供できる患者
  • CTまたはMRIにより腫瘍量が評価可能な患者
  • 根治的化学放射線療法に適格で、一次手術を予定していない患者
  • 全身状態(Performance status:PS)が0または1の患者
  • 妊娠可能な女性の場合は、治験薬投与開始前72時間以内の尿または血清による妊娠検査が陰性であること
  • 生殖可能な患者は、男女とも治験期間中および治験薬の投与終了後180日間までの間、適切な避妊法を用いることに同意しなければならない
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 治験薬の初回投与前4週間以内に他の治験薬または医療機器を用いた臨床試験へ参加している、または治療を受けている患者
  • 抗PD-1薬、抗PD-L1薬、抗PD-L2薬、または他の共抑制性T細胞受容体を標的とする薬剤による治療歴がある、もしくは過去にペムブロリズマブの治験に参加した患者
  • 治験薬の初回投与前30日以内に生ワクチンを接種した患者
  • 中咽頭、喉頭、下咽頭および口腔の外側のがんがある患者
  • 本治験で対象とする頭頸部がんに対する全身療法、標的治療、放射線療法、または根治的手術の治療歴がある患者
  • 大手術の既往がある患者は、治験薬の投与開始前までに前治療による毒性や合併症から十分に回復していること
  • 活動性のB型肝炎またはC型肝炎がある患者
  • ヒト免疫不全症ウイルスの既往がある患者
  • 免疫不全症と診断された患者または治験薬初回投与前7日以内に全身性のステロイド療法や他の免疫抑制療法を受けた患者
  • 間質性肺疾患/肺臓炎を合併、もしくはステロイド投与が必要な間質性肺疾患/肺臓炎の既往がある患者。なお、間質性肺疾患/肺臓炎には放射線肺臓炎も含む
  • 過去2年間に全身療法を必要とした活動性の自己免疫疾患がある患者。補充療法は、全身療法とはみなさない
  • 造血器悪性腫瘍または原発性固形腫瘍の診断または治療の既往を有し、無作為化前に寛解となって5年以上経過していない患者
  • 中枢神経系の活動性転移やがん性髄膜炎がある患者
  • 同種異系の組織/臓器移植を受けた患者
  • 全身治療を要する活動性の感染症がある患者
  • ペムブロリズマブ、シスプラチン、放射線療法、またはそれらの類似治療に対する重度の過敏症反応の既往がある患者
  • 妊娠中、授乳中の女性患者、またはスクリーニング来院から治験薬最終投与後180日までの治験期間中に本人またはパートナーの妊娠を希望する患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータス  
PS 0 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない 100 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80 かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある 40 動けず、適切な医療および看護が必要
30 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10 死期が切迫している
0
WHO パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
0 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5 死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。 ※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称 局所進行頭頸部扁平上皮癌患者を対象に化学放射線療法と併用後に維持療法として用いたMK-3475[ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)]を化学放射線療法単独と比較する無作為化第III相試験(KEYNOTE-412)
試験の概要 目的:局所進行頭頸部扁平上皮癌患者(LA HNSCC)を対象に、CRT と併用してMK-3475を投与した患者とプラセボを投与した患者で、盲検下の独立中央画像判定機関(BICR)がRECIST(固形がんの治療効果判定のためのガイドライン)1.1に基づき評価した無イベント生存期間(EFS)を比較する 仮説:BICR がRECIST 1.1に基づき評価したEFS に関して、CRT と併用してMK-3475を投与した方がプラセボを投与した場合より優れている
疾患名 頭頸部癌
試験薬剤名 MK-3475
用法・用量 MK-3475 200mgの3週間間隔投与(各コースの1日目投与)+化学放射線療法(CRT)。化学放射線療法:シスプラチン100mg/m2の3週間間隔投与(各1~3コースの8日目)+放射線治療70Gyを35分割で照射[加速分割照射法の場合は6週間(2~7週目)、又は通常分割照射法の場合は7週間(2~8週目)]。MK-3475のプライミング投与はCRT開始前に実施し、CRT期間中にMK-3475を2回、シスプラチンを3回まで投与する。その後、維持療法としてMK-3475を14回投与することで、計17回を投与する
対照薬剤名 プラセボ(生理食塩水)
用法・用量 プラセボの3週間間隔投与(各コースの1日目投与)+化学放射線療法(CRT)。化学放射線療法:シスプラチン100mg/m2の3週間間隔投与(各1~3コースの8日目)+放射線治療70Gyを35分割で照射[加速分割照射法の場合は6週間(2~7週目)、又は通常分割照射法の場合は7週間(2~8週目)]。プラセボのプライミング投与はCRT開始前に実施し、CRT期間中にプラセボを2回、シスプラチンを3回まで投与する。その後、維持療法としてプラセボを14回投与することで、計17回を投与する
試験のフェーズ フェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン 二重盲検、プラセボ対照試験
目標症例数 780
適格基準
  • 新たに扁平上皮癌と診断され、以下が病理学的に証明された患者 a. 中咽頭のp16陽性、又はb. 中咽頭のp16陰性、又はc. 喉頭/下咽頭/口腔(p16状態を問わない) 注記:口腔癌の場合は、切除不能な病変を有すること
  • コア生検又は切除生検(穿刺吸引生検は不可)により、PD-L1のバイオマーカー解析用に組織が提供できる患者
  • RECIST version 1.1に基づいて、CT又はMRIにより腫瘍量(測定可能及び/又は測定不能な腫瘍病変)が評価可能な患者
  • 治験担当医師の判断で、根治的CRTに適格であり、一次手術を予定していない患者
  • 治験薬の初回投与開始前10日以内に実施したEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance status(PS)が0又は1の患者
  • 妊娠可能な女性の場合は、治験薬投与開始前72時間以内の尿又は血清による妊娠検査が陰性であること
  • 生殖可能な患者は、男女とも治験期間中及び治験薬の投与終了後180日間までの間、適切な避妊法を用いることに同意しなければならない
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 治験薬の初回投与前4週間以内に他の治験薬又は医療機器を用いた臨床試験へ参加している、又は治療を受けている患者
  • 抗PD-1薬、抗PD-L1薬、抗PD-L2薬、又は他の共抑制性T細胞受容体(CTLA-4、OX-40、CD137、又は他の免疫チェックポイント阻害薬など)を標的とする薬剤による治療歴を有する、若しくは過去にMK-3475の治験に参加した患者
  • 治験薬の初回投与前30日以内に生ワクチンを接種した患者
  • 中咽頭、喉頭、下咽頭及び口腔の外側の癌(鼻咽頭、静脈洞、他の副鼻腔、又は他の未知な頭頸部癌)を有する患者
  • 本治験で対象とする頭頸部癌に対する全身療法、標的治療、放射線療法、又は根治的手術の治療歴を有する患者
  • 大手術の既往がある患者は、治験薬の投与開始前までに前治療による毒性や合併症から十分に回復していること
  • 活動性のB型肝炎又はC型肝炎を有する患者
  • ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)の既往を有する患者
  • 免疫不全症と診断された患者又は治験薬初回投与前7日以内に全身性のステロイド療法や他の免疫抑制療法を受けた患者
  • 間質性肺疾患/肺臓炎を合併、若しくはステロイド投与が必要な(非感染性の)間質性肺疾患/肺臓炎の既往を有する患者。なお、間質性肺疾患/肺臓炎には放射線肺臓炎も含む
  • 過去2年間に全身療法を必要とした活動性の自己免疫疾患を有する患者。補充療法(は、全身療法とはみなさない
  • 造血器悪性腫瘍又は原発性固形腫瘍の診断又は治療の既往を有し、無作為化前に寛解となって5年以上経過していない患者
  • 中枢神経系(CNS)の活動性転移や癌性髄膜炎を有する患者
  • 同種異系の組織/臓器移植を受けた患者
  • 全身治療を要する活動性の感染症を有する患者
  • MK-3475、シスプラチン、放射線療法、又はそれらの類似治療に対する重度の過敏症反応の既往を有する患者
  • 妊娠中、授乳中の女性患者、又はスクリーニング来院から治験薬最終投与後180日までの治験期間中に本人又はパートナーの妊娠を希望する患者
主要な評価項目 無イベント生存期間(EFS) [最長5年]
主要な評価方法 EFSの主要解析は、無作為割付けから次のいずれかのイベントが最初に記録されるまでの期間と定義する。本プラセボ対照無作為化盲検試験におけるイベントとは、BICRがRECIST1.1に基づき評価した疾患進行(PD)又は死亡である
副次的な評価項目 全生存期間(OS)
副次的な評価方法 最長5年までの全生存期間を調査する
予定試験期間 2017/04/01~2021/04/01

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより