再発または転移性頭頸部がんに対するペムブロリズマブ単独または併用の治験

治験名

KEYNOTE-669/ECHO-304

再発または転移性頭頸部扁平上皮がんの一次治療患者を対象としたペムブロリズマブおよびエパカドスタット併用療法、ペムブロリズマブ単剤療法、EXTREMEレジメンの有効性および安全性を評価する無作為化非盲検第3相試験

治験概要:

再発または転移性の頭頸部扁平上皮がんに対する治験。1次治療患者さんが対象です。 ペムブロリズマブ+エパカドスタット併用、ペムブロリズマブ単独とEXTREMEレジメン(セツキシマブ、シスプラチン、カルボプラチン、フルオロウラシル)を比較して、有効性と安全性を評価する臨床試験です。 登録予定数は、625人。 フェーズは、3相臨床試験。 試験デザインは、多施設共同、無作為化、実薬対照、非盲検試験。 比較する対象は 試験群:ペムブロリズマブ+エパカドスタット併用 試験群:ペムブロリズマブ単独 対照群:EXTREMEレジメン(セツキシマブ、シスプラチン、カルボプラチン、フルオロウラシル) 全生存期間、無増悪生存期間、奏功率、安全性および忍容性などで評価します。

疾患解説:頭頸部がん

頭頸部がんは、文字通り「頭部」と「頸部(首の部分)」、脳より下鎖骨より上にできたがんの総称です。主な種類は、咽頭がん、口腔がん、喉頭がん、鼻、副鼻腔がん、唾液腺がん、甲状腺がんなどがあります。咽頭は、さらに詳細に上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんに分類されます。脳腫瘍は、頭頸部がんには分類されません。 頭頸部がんのうち口腔がん、咽頭がんの罹患数は、2013年の国立がん研究センターのがん統計によると男性で約13200人、女性で約5800人、男女合計で約19000人、全部位の約2%程度です。死亡数も男性で約5000人、女性で約2000人、合計で約7000人と、部位別でみると比較的少ないですが、発生原因や治療法、予後が異なるのが特徴です。 頭頸部がんのほとんどは、扁平上皮という組織ががん化したものです。がんが発生した器官の違いによって症状はさまざまです。口腔がんである舌がんでは、舌がしみたり痛みがあるなどの症状があることもありますが、ほとんどの頭頸部がんでは初期には自覚症状がみられないこともあります。首のしこりやのどの違和感など、すこしでも気になる症状があれば検査を受けることが大切です。

治験薬:ペムブロリズマブ

ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:エパカドスタット

エパカドスタットは、IDO1阻害薬という種類のお薬です。 インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)は、免疫反応を調節する主要な免疫抑制酵素です。免疫監視機構を回避することにより、腫瘍の増殖を促します。エパカドスタットはこのIDO1を阻害する開発中のお薬で、強力かつ選択的にIDO1を阻害します。 これまでに、切除不能または転移性悪性黒色腫や非小細胞肺がん、腎細胞がん、扁平上皮頭頸部がん、膀胱がん患者さんを対象に、エパカドスタットと免疫チェックポイント阻害剤との併用療法の臨床試験で、その薬効が探索的に検討されています。また、エパカドスタットと抗CTLA-4抗体「イピリムマブ」または抗PD-1抗体「ペムブロリズマブ」や「ニボルマブ」との併用療法では、免疫チェックポイント阻害剤単独療法と比較して、奏効率の改善が認められました。

対照薬:セツキシマブ

セツキシマブは、上皮成長因子受容体(EGFR)を選択的に結合する分子標的薬です。 EGFRは、細胞増殖に必要なシグナルを受けとる受容体です。がん細胞の表面にあるEGFRにシグナルが伝わり異常な細胞増殖を起こします。セツキシマブは、がん細胞の表面にあるEGFRと結合することで、細胞増殖に関わるシグナルを阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。

対照薬:シスプラチン

シスプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。 薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。シスプラチンは、第1世代の白金製剤です。

対照薬:カルボプラチン

カルボプラチンは、細胞増殖に必要なDNAと結合して、DNAの複製を阻害したり、がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することで抗腫瘍効果を発揮する抗がん薬です。 薬の構造中に白金(プラチナ)があるため、白金製剤やプラチナ製剤とよばれることもあります。カルボプラチンは、シスプラチンの構造を変えることで吐き気や腎臓への障害、神経障害が軽減された第2世代の白金製剤です。

対照薬:フルオロウラシル

フルオロウラシルは、DNAの合成阻害、RNAの機能障害によるがん細胞を細胞死に誘導する代謝拮抗薬です。 DNAを構成する主な成分はピリミジン塩基といわれ、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルなどです。フルオロウラシルは、このピリミジン塩基と似たような構造で、DNAが合成されるときにピリミジン塩基の代わりに取り込まれることで、DNA合成を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制します。

主な治験参加条件

対象となる人
  • CTまたはMRI画像で、測定可能病変がる患者
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0または1の患者
  • プロトコールに示す適切な臓器機能がある患者
  • 中咽頭がんの場合には、HPV感染状態の結果がある患者
  • 以前に放射線照射を受けていない、ベースラインの保存腫瘍検体またはコア生検または切除生検による腫瘍検体を提出可能な患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 原発腫瘍として、鼻咽頭、唾液腺、原発不明または扁平上皮以外の組織型の悪性腫瘍がある患者
  • 局所進行性の頭頸部扁平上皮がんに対する治癒目的で施行した全身性の治療完了後6か月以内に疾患進行した患者
  • プロトコールに記載された併用禁止薬のいずれかを現在使用している患者
  • 過去3年以内に進行性または全身性の治療を必要とした他の悪性腫瘍がある患者
  • 活動性の中枢神経系への転移またはがん性髄膜炎がある患者
  • 過去2年以内に全身性の治療を要した活動性の自己免疫疾患に罹患した患者
  • ヒト免疫不全ウイルスの感染歴がある患者
  • 活動性のB型肝炎またはC型肝炎があるまたは病歴がある患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータス  
PS 0 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない 100 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80 かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある 40 動けず、適切な医療および看護が必要
30 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10 死期が切迫している
0
WHO パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
0 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5 死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。 ※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称 再発又は転移性頭頸部扁平上皮癌の一次治療患者を対象としたMK-3475及びINCB024360併用療法、MK-3475単剤療法、EXTREMEレジメンの有効性及び安全性を評価する無作為化非盲検第III相試験 (KEYNOTE-669/ECHO-304)
試験の概要 再発又は転移性頭頸部扁平上皮癌の一次治療患者を対象としたMK-3475とINCB024360の併用療法、MK-3475単剤療法、EXTREMEレジメンの有効性及び安全性を評価する
疾患名 再発又は転移性頭頸部扁平上皮癌
試験薬剤名 MK-3475,、INCB024360
用法・用量 投与群1(MK-3475及びINCB024360併用):MK-3475 200mg IV Q3Wを最大35コース、かつINCB024360 100mg PO BIDを最大35コース
試験薬剤名 MK-3475
用法・用量 投与群2(MK-3475単剤):MK-3475 200mg IV Q3Wを最大35コース
対照薬剤名 Cetuximab,、Cisplatin、Carboplatin、5-Fluorouracil
用法・用量 投与群3(EXTREMEレジメン):セツキシマブ初回(1コース1日目)400mg/m2 IV、以降はセツキシマブ250mg/m2 IV週に1回(QW)を、BICR判定による画像評価に基づくPD又は許容できない毒性が認められるまで、かつ シスプラチン100mg/m2 IV Q3W、又はカルボプラチン曲線下面積5(AUC 5)IV Q3Wを最大6コース、かつ5-FU 1000mg/m2/日の連続IV(1日目から4日目まで)Q3Wを最大6コース
試験のフェーズ フェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン 多施設共同、無作為化、実薬対照、非盲検試験
目標症例数 625
適格基準
  • 治験実施医療機関がRECIST 1.1に基づき評価したCT又はMRI画像で、測定可能病変を有する患者
  • 無作為割付け前7日以内のECOG Performance Status が0又は1の患者
  • プロトコールに示す適切な臓器機能を有する患者
  • 中咽頭癌の場合には、HPV感染状態の結果を有する患者
  • 以前に放射線照射を受けていない、ベースラインの保存腫瘍検体又はコア生検又は切除生検による腫瘍検体を提出可能な患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 原発腫瘍として、鼻咽頭、唾液腺、原発不明又は扁平上皮以外の組織型の悪性腫瘍を有する患者
  • 局所進行性の頭頸部扁平上皮癌に対する治癒目的で施行した全身性の治療完了後6ヵ月以内に疾患進行した患者
  • プロトコールに記載された併用禁止薬のいずれかを現在使用している患者
  • 過去3年以内に進行性又は全身性の治療を必要とした他の悪性腫瘍を有する患者
  • 活動性の中枢神経系(CNS)への転移又は癌性髄膜炎を有する患者
  • 過去2年以内に全身性の治療(疾患修飾薬、コルチコステロイド又は免疫抑制剤)を要した活動性の自己免疫疾患に罹患した患者
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染歴を有する患者
  • 活動性のB型肝炎(HBs 抗原陽性)又はC型肝炎[HCV RNA(定性)が検出される]を有する又は病歴を有する患者
主要な評価項目 生存期間(OS)
主要な評価方法 MK-3475及びINCB024360併用療法とEXTREMEレジメン(セツキシマブ+プラチナ製剤+5-FU)において、OSを比較する。(約37か月)
主要な評価項目 無増悪生存(PFS)
主要な評価方法 MK-3475及びINCB024360併用療法とEXTREMEレジメンにおいて、PFSを比較する。(約29か月)
副次的な評価項目 奏効率(ORR)
副次的な評価方法 MK-3475及びINCB024360併用療法とEXTREMEレジメンにおいて、ORRを比較する。(約24か月)
副次的な評価項目 安全性及び忍容性
副次的な評価方法 MK-3475及びINCB024360併用療法、MK-3475単剤療法、EXTREMEレジメンの安全性及び忍容性を評価する 有害事象を発現した患者数(最大2年) 有害事象により治験薬の投与を中止した患者数(最大2年)
副次的な評価項目 全般的な健康状態/QoLスコアのベースラインからの平均変化量及び悪化までの期間(TTD)
副次的な評価方法 MK-3475及びINCB024360併用療法とEXTREMEレジメンにおいて、(EORTC QLQ-C30のスケールに基づく)全般的な健康状態/QoLスコアのベースラインからの平均変化量を評価し、比較する。(最大2年) MK-3475及びINCB024360併用療法とEXTREMEレジメンにおいて、(EORTC QLQ-C30のスケールに基づく)全般的な健康状態/QoLスコアのベースラインからの平均変化量及び悪化までの期間(TTD)を評価し、比較する。(最大2年)
予定試験期間 2017年12月1日~2021年1月1日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより