再発・難治性のホジキンリンパ腫に対するペムブロリズマブの治験

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治験名

ホジキンリンパ腫患者を対象としたMK-3475とブレンツキシマブ ベドチンを比較する第III相試験

疾患解説:古典的ホジキンリンパ腫

悪性リンパ腫は、ヒトの免疫機能を担う白血球のうちのリンパ球ががん化する血液のがんです(図1)。国立がん研究センターのがん統計によると2014年に悪性リンパ腫に罹患した人は、約28500人です。1985年には10万人あたり5.5人だったのが、2019年には18.7人、2013年には20.2人となり年々増え続けています。女性より男性に多く、発症のピークは70歳代です。
悪性リンパ腫は、大きくホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つに大別されますが、細かくは80種類くらいの病型に分類されます。さらにホジキンリンパ腫は、古典的ホジキンリンパ腫と結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫に分類されます(図2)。
主な初期症状は、頭頸部や鎖骨上窩のリンパ節にできる痛みのないリンパ節の腫れやしこりです。発熱、体重減少、大量の寝汗など全身症状があらわれることもあります。

図1 造血幹細胞と血液の分化

図2 悪性リンパ腫の主な病型と臨床分類

病型臨床分類
悪性リンパ腫非ホジキンリンパ腫成熟B細胞腫瘍慢性リンパ性白血病/ 小リンパ球性リンパ腫
リンパ形質細胞性リンパ腫
脾辺緑帯リンパ腫
粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫(MALTリンパ腫)
節性辺縁帯リンパ腫
濾胞性リンパ腫
マントル細胞リンパ腫低から中
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
バーキットリンパ腫/白血病
成熟T細胞/NK細胞腫瘍T細胞大型顆粒リンパ球性白血病
成人T細胞白血病・リンパ腫(くすぶり型、慢性型)
菌状息肉症/セザリー症候群
原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫低から中
末梢性T細胞リンパ腫,非特定型
腸症関連T細胞リンパ腫
未分化大細胞リンパ腫
肝脾T細胞リンパ腫
成人T細胞白血病・リンパ腫(急性型、リンパ腫型)中から高
節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型
血管免疫芽球性T細胞リンパ腫
急速進行性NK細胞白血病
ホジキンリンパ腫結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫
古典的ホジキンリンパ腫結節性硬化型
混合細胞型
リンパ球豊富型
リンパ球減少型

造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版を参考に作成

治験薬: MK-3475(ペムブロリズマブ)

MK-3475(ペムブロリズマブ)は、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫と診断された患者
  • ブレンツキシマブ ベドチンまたはブレンツキシマブ ベドチンを含むレジメンによる前治療歴がある場合は、その前治療で奏効(CR、PR)が得られた患者
  • CTスキャンで二方向以上からの正確な測定が可能な病変が1つ以上ある患者で、最大径が15mm超、または短径が10mm超
  • バイオマーカー解析のため、評価可能なリンパ節のコア生検または切除生検による保存検体または新たに採取した生検検体をスクリーニング時に提出可能な患者
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0または1の患者
  • 適切な臓器機能がある患者
  • 妊娠する可能性のある女性患者は、治験薬の最終投与後120日(MK-3475の投与を受けた患者)または治験薬の最終投与後180日(ブレンツキシマブ ベドチンの投与を受けた患者)まで適切な避妊法を使用することへの同意
  • パートナーが妊娠する可能性のある男性患者は、治験薬の初回投与から最終投与後180日まで、適切な避妊法を使用することへの同意
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • ブレンツキシマブ ベドチンの有効成分または添加剤などに対し、過敏症がある患者
  • 現在、他の治験薬を用いた治験に参加しており治験薬の投与を受けている、あるいは治験薬初回投与前4週間以内に他の治験薬を用いた治験に参加しており治験薬の投与を受けたまたは治験としての医療機器を用いた患者
  • 免疫不全と診断された患者、または治験薬の初回投与前7日以内に全身性ステロイド療法または他の免疫抑制剤による治療を受けた患者
  • 治験薬の初回投与前4週間以内にモノクローナル抗体を用いた治療を受けたか、4週間以上前に投与されたモノクローナル抗体製剤による有害事象から(グレード 1以下またはベースラインまで)回復していない患者
  • 治験薬の初回投与前4週間以内に化学療法、低分子の分子標的治療薬の投与または放射線療法を受けたか、前治療による有害事象から(グレード1以下またはベースラインまで)回復していない患者
  • 5年以内に同種造血幹細胞移植を受けている患者
  • 3年以内にホジキンリンパ腫以外の進行性または治療を要する悪性腫瘍がある患者
  • 臨床的に活動性の中枢神経系への転移かつまたは、がん性髄膜炎がある患者(過去に脳転移に対して治療を受けた患者は、画像評価で安定[すなわち、治験薬初回投与前4週間以内の再画像検査(再画像検査はスクリーニング期間中に実施すること)によって疾患進行の兆候がない場合]、および臨床的に安定していて、かつ少なくとも治験薬初回投与前14日以内にステロイドを使用していない患者の場合は、本治験に参加できる可能性がある)
  • 活動性の自己免疫疾患があり、2年以内に疾患修飾薬、コルチコステロイドまたは免疫抑制剤による全身治療を必要とした患者
  • 肺臓炎を合併、もしくはステロイド投与が必要な(非感染性の)肺臓炎の既往がある患者
  • 静脈内投与による全身療法を必要とする、活動性感染がある患者
  • 治験の実施に影響を与える可能性があると判断された精神疾患または薬物乱用障害がある患者
  • 妊娠中または授乳中の患者、およびスクリーニング来院から治験薬最終投与後180日までの治験期間中に本人またはパートナーの妊娠を希望する患者
  • 抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗CD137抗体、抗CTLA-4抗体(イピリムマブを含む)、OX-40またはT細胞の同時刺激またはチェックポイント経路を特異的に標的とする、その他の抗体あるいは薬剤による治療歴のある患者
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染歴のある患者
  • 活動性のB型肝炎(HBV)感染またはC型肝炎(HCV)感染のある患者
  • 活動性の結核の既往がある患者
  • 治験薬の初回投与前30日以内に生ワクチンを投与した患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。

PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

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※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。

試験概要詳細

試験の名称ホジキンリンパ腫患者を対象としたMK-3475とブレンツキシマブ ベドチンを比較する第III相試験
試験の概要本試験は、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫患者を対象としたMK-3475の治療効果を評価する試験である。
被験者は、MK-3475又はブレンツキシマブ ベドチン、のいずれかに割り付けられ、3週間間隔、35コースまで投与される。
本試験の主要目的は、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫患者において、MK-3475の投与がブレンツキシマブ ベドチンの投与と比較して、無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)を延長することである。
疾患名再発及び難治性古典的ホジキンリンパ腫
試験薬剤名 MK-3475(ペムブロリズマブ)
用法・用量 MK-3475、200mgを3週間の各投与コースの1日目に静脈内投与を35コースまで投与
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン無作為化、実薬対照比較試験
目標症例数300
適格基準
  • 再発(直近の治療後に生じた疾患進行)又は難治性(直近の治療によってCR又はPRが得られない状態)の古典的ホジキンリンパ腫と診断された患者。
  • ブレンツキシマブ ベドチン又はブレンツキシマブ ベドチンを含むレジメンによる前治療歴がある場合は、その前治療で奏効(CR 又はPR を達成した)が得られた患者。
  • 定義される測定可能病変[スパイラルコンピュータ断層撮影(CT)スキャンによって二方向以上からの正確な測定が可能な病変が1つ以上ある]がある患者。最大径が15mm超、又は短径が10mm超であること。
  • バイオマーカー解析のため、評価可能なリンパ節のコア生検又は切除生検による保存検体又は新たに採取した生検検体をスクリーニング時(Visit 1)に提出可能な患者。
  • ECOG Performance Statusが0又は1の患者。
  • 適切な臓器機能を有する患者。
  • 妊娠する可能性のある女性患者は、治験薬の最終投与後120日(MK-3475の投与を受けた患者)又は治験薬の最終投与後180日(ブレンツキシマブ ベドチンの投与を受けた患者)まで適切な避妊法を使用することに同意しなければならない。
  • パートナーが妊娠する可能性のある男性患者は、治験薬の初回投与から最終投与後180日まで、適切な避妊法を使用することに同意しなければならない。
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • ブレンツキシマブ ベドチンの有効成分又は添加剤等に対し、過敏症を有する患者。
  • 現在、他の治験薬を用いた治験に参加しており治験薬の投与を受けている、あるいは治験薬初回投与前4週間以内に他の治験薬を用いた治験に参加しており治験薬の投与を受けた又は治験としての医療機器を用いた患者。
  • 免疫不全と診断された患者、又は治験薬の初回投与前7日以内に全身性ステロイド療法又は他の免疫抑制剤による治療を受けた患者。
  • 治験薬の初回投与前4週間以内にモノクローナル抗体を用いた治療を受けたか、4週間以上前に投与されたモノクローナル抗体製剤による有害事象から(Grade 1以下又はベースラインまで)回復していない患者。
  • 治験薬の初回投与前4週間以内に化学療法、低分子の分子標的治療薬の投与又は放射線療法を受けたか、前治療による有害事象から(Grade 1以下又はベースラインまで)回復していない患者。
  • 5年以内に同種造血幹細胞移植を受けている患者。
    注:5年以上経過している患者については、GVHD の症状がなければ適格とする。
  • 3年以内にホジキンリンパ腫以外の進行性又は治療を要する悪性腫瘍を有する患者。
    注:ただし、皮膚の基底細胞癌、皮膚の扁平上皮癌及び根治的治療を受けた子宮頚部上皮内癌の患者を除く。
  • 臨床的に活動性の中枢神経系(CNS)への転移かつ/又はがん性髄膜炎を有する患者。過去に脳転移に対して治療を受けた患者は、画像評価で安定[すなわち、治験薬初回投与前4週間以内の再画像検査(再画像検査はスクリーニング期間中に実施すること)によって疾患進行の兆候がない場合]、及び臨床的に安定していて、かつ少なくとも治験薬初回投与前14日以内にステロイドを使用していない患者の場合は、本治験に参加できる可能性がある。
  • 活動性の自己免疫疾患を有し、2年以内に疾患修飾薬、コルチコステロイド又は免疫抑制剤による全身治療を必要とした患者。
  • 肺臓炎を合併、もしくはステロイド投与が必要な(非感染性の)肺臓炎の既往を有する患者。
  • 静脈内投与による全身療法を必要とする、活動性感染を有する患者。
  • 治験の実施に影響を与える可能性があると判断された精神疾患又は薬物乱用障害を有する患者。
  • 妊娠中又は授乳中の患者、及びスクリーニング来院から治験薬最終投与後180日までの治験期間中に本人又はパートナーの妊娠を希望する患者。
  • 抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗CD137抗体、抗CTLA-4抗体(イピリムマブを含む)、OX-40又はT細胞の同時刺激又はチェックポイント経路を特異的に標的とする、その他の抗体あるいは薬剤による治療歴のある患者。
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染歴のある患者。
  • 活動性のB型肝炎(HBV)感染又はC型肝炎(HCV)感染のある患者。
  • 活動性の結核(TB:Bacillus tuberculosis)の既往を有する患者。
  • 治験薬の初回投与前30日以内に生ワクチンを投与した患者。
主要な評価項目無増悪生存期間(PFS)
主要な評価方法約40か月までのPFSを評価する
主要な評価項目全生存期間(OS)
主要な評価方法約40か月までのOSを評価する
副次的な評価項目奏効率(ORR)
副次的な評価方法約40か月までのORRを評価する
予定試験期間2016年5月~2019年12月

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより