切除または局所焼灼法で完全奏功した肝細胞がんに対するペムブロリズマブの治験

治験名

KEYNOTE-937

外科的切除術または局所焼灼療法後に画像評価により完全奏効を示した肝細胞がん患者を対象に術後補助療法としてのペムブロリズマブの安全性および有効性をプラセボと比較する二重盲検第3相試験

治験概要:

肝細胞がんに対する治験。手術で完全切除または局所焼灼療法後に画像診断で完全奏功した患者さんが対象です。
術後補助療法としてペムブロリズマブとプラセボを比較して、無再発生存期間、全生存期間、安全性、忍容性などで評価する臨床試験です。
登録予定数は、950人。
フェーズは、3相臨床試験。
試験デザインは、無作為化、並行群間、二重盲検。
試験群:ペムブロリズマブ
対照群:プラセボ
無再発生存期間、全生存期間、安全性、忍容性などで評価します。

疾患解説:肝細胞がん

国立がん研究センターのがん統計によると2014年に肝臓がんに罹患した人は、約40000人強です。50代くらいから増加し始め、80代前後をピークに、その後は減少します。
肝臓がんは、肝臓の細胞ががん化した悪性腫瘍です。肝臓内にある胆管にできたがんは、肝内胆管がんといいます。
日本人の肝臓がんはウイルス性肝炎から発生することが多いのが特徴です。最近は、C型やB型の肝炎ウイルスに対する治療薬ができたことで、ウイルス性肝炎がかなりコントロールできるようになったため減少傾向にあります。
その一方で、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)など肝炎ウイルス以外の原因による肝臓がんが増加傾向にあるという報告もあります。

Child-Pugh分類

Child-Pugh分類は、肝障害度を示す指標です。脳症、腹水、血清ビリルビン濃度、血清アルブミン濃度、プロトロンビン活性値の5項目を1~3点で評価し、その合計点によりA~Cの3段階に分類します。もっとも障害度が低いのがA、高いのはCです。

ポイント1点2点3点
脳症ない軽度ときどき昏睡
腹水ない少量中等量
血清ビリルビン値(mg/dL)2.0未満2.0~3.03.0超
血清アルブミン値(g/dL)3.5超2.8~3.52.8未満
プロトロンビン活性値(%)70超40~7040未満
A5~6点
B7~9点
C10~15点

BCLC分類

BCLC病期分類は、全身状態とChild-Pugh分類(肝障害度)に基づき、ステージ0、ステージA~C、ステージDに大きく分類されます。ステージA~Cをさらに腫瘍数、結節数、門脈浸潤、全身状態により、早期:ステージA、中間期:ステージB、進行期:ステージCの3つの病期に分類します。

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ステージPSChild-Pugh
00A
A~C早期A0A~B1HCCか3結節≦3cm
中間期B0多結節
進行期C1~2門脈浸潤、N1、M1
D>2C

治験薬:ペムブロリズマブ

ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 肝細胞がんと確定診断された患者
  • 外科的切除術または局所焼灼療法後4週間以上経過後に適格性確認のための画像撮像を実施し、完全奏効が確認された患者。無作為化は、外科的切除術または局所焼灼療法施行日後12週間以内に行う必要がある
  • 組入れ前に画像診断により腫瘍がないことを確認された患者
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0の患者
  • 治験薬初回投与前7日以内のChild-Pughスコアが分類A(5~6ポイント)の患者
  • 治験薬初回投与前28日以内のAFP値が400ng/mL未満である患者
  • HBV感染患者の場合、治療中でコントロール良好であること
  • 治験薬投与開始前に、局所介入による毒性および/または合併症から十分に回復している患者
  • 治験に参加する男性患者の使用する避妊法は、避妊法に関する各国の規制要件に従うものとする
  • 治験に参加する女性患者は妊娠しておらず、授乳中でなく、かつ以下の条件のいずれかを満たす女性患者:
    -妊娠可能な女性に該当しない
    または
    -妊娠可能な女性であるが、非常に効果の高い避妊法を使用している、または望ましい通常の生活スタイルとして異性間接触を行っていない患者
    -妊娠可能な女性は治験薬投与後72時間以内に受けた高感度の妊娠検査が陰性でなければならない
  • 外科的切除術を受けた場合、スクリーニング期間中に、腫瘍組織検体を提出することができる患者
  • 適切な臓器機能がある患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 過去3年以内に進行性、または治療もしくは外科手術が必要な他の悪性腫瘍がある患者
  • 6か月以内に食道または胃の静脈瘤出血があった患者
  • 身体所見にて臨床的に明らかな腹水が確認できる患者
  • 6か月以内に肝性脳症であると臨床的に診断された患者
  • ラジオ波またはマイクロ波を用いた焼灼療法以外の局所治療を受けた患者
  • 間質性肺疾患/肺臓炎を合併、もしくはステロイド投与が必要な間質性肺疾患/肺臓炎の既往がある患者
  • 全身性の治療を必要とする活動性の感染症がある患者
  • 組入れ時に活動性のHBV感染とHCV感染を重複している患者
  • ヒト免疫不全ウイルス感染の既往がある患者
  • 活動性の結核の既往がある患者
  • 抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2の薬剤または他の補助刺激性または共抑制性T細胞受容体を標的とした薬剤の治療歴がある患者
  • 肝細胞がんに対する全身性の抗腫瘍療法を受けたことがある患者
  • 以下の併用禁止療法のいずれかを受けている患者
    がんに対する全身性の化学療法または生物学的療法
    本治験実施計画書で規定されていない免疫療法
    ペムブロリズマブ以外の治験薬
    放射線療法
    がんに対する手術療法
    免疫学的病因が疑われる有害事象に起因する症状を管理する目的以外での、全身性の糖質コルチコイド療法
  • 治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンの接種を受けた患者
  • 現在他の治験薬の治験に参加している、または治験薬初回投与前4週間以内に他の治験薬の治験に参加したもしくは治験用の医療機器を用いた患者
  • 免疫不全状態と診断された患者、または治験薬初回投与前7日以内に長期全身性ステロイド療法や他の免疫抑制療法による治療を受けた患者
  • ペムブロリズマブおよび/またはその添加物に対し重度の過敏症がある患者
  • 過去2年以内に全身性の治療を要した活動性の自己免疫疾患がある患者
  • 治験の実施に影響を与える可能性があると判断された精神疾患または薬物乱用障害がある患者
  • 妊娠中または授乳中の女性患者、もしくはスクリーニング時来院から治験薬最終投与後120日までに妊娠を希望する女性患者またはパートナーの妊娠を希望する男性患者
  • 同種組織/臓器の移植歴がある患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称外科的切除術又は局所焼灼療法後に画像評価により完全奏効を示した肝細胞癌患者を対象に術後補助療法としてのMK-3475の安全性及び有効性をプラセボと比較する二重盲検第III相試験(KEYNOTE-937)
試験の概要本試験は、外科的切除術又は局所焼灼療法後に画像評価により完全奏効を示した肝細胞癌患者を対象に術後補助療法としてのMK-3475の安全性及び有効性をプラセボと比較評価する
主要仮説として、1) MK-3475は、プラセボと比較して、盲検下の中央画像判定機関(BICR)の評価によるRFSに関して優越性を示す。2) OSで優越性を示す
疾患名肝細胞癌
試験薬剤名ペムブロリズマブ
用法・用量各コースの1日目に200mg, Q3W, 投与回数17回(約1年)
対照薬剤名プラセボ
用法・用量各コースの1日目、Q3W,、投与回数17回(約1年)
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン無作為化、並行群間、二重盲検
目標症例数950
適格基準
  • 画像診断学的及び/または病理学的に肝細胞癌と確定診断された患者 外科的切除術又は局所焼灼療法後4週間以上経過後に適格性確認のための画像撮像(胸部CT、腹部3相CT又はMRI、骨盤部CT又はMRI)を実施し、完全奏効が確認された患者。無作為化は、外科的切除術又は局所焼灼療法施行日後12週間以内に行う必要がある
  • 組入れ前に画像診断により腫瘍がないことを確認された患者
  • 治験薬初回投与前7日以内のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Status(PS)が0の患者
  • 治験薬初回投与前7日以内のChild-Pughスコアが分類A(5~6ポイント)の患者
  • 治験薬初回投与前28日以内のAFP値が400ng/mL未満である患者
  • HBV感染患者の場合、治療中でコントロール良好であること
  • 治験薬投与開始前に、局所介入(外科的切除術又は局所焼灼療法)による毒性及び/又は合併症から十分に回復している患者
  • 治験に参加する男性患者の使用する避妊法は、避妊法に関する各国の規制要件に従うものとする
  • 治験に参加する女性患者は妊娠しておらず、授乳中でなく、かつ以下の条件のいずれかを満たす女性患者:
    -妊娠可能な女性(WOCBP)に該当しない
    又は
    -WOCBPであるが、非常に効果の高い避妊法を使用している、又は望ましい通常の生活スタイルとして異性間接触を行っていない(長期継続的禁欲)患者
    -WOCBPは治験薬投与後72時間以内に受けた高感度の妊娠検査が陰性でなければならない
  • 外科的切除術を受けた場合、スクリーニング期間中に、腫瘍組織検体を提出することができる患者
  • 適切な臓器機能を有する患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 過去3年以内に進行性、又は治療(ホルモン治療を含む)若しくは外科手術が必要な他の悪性腫瘍を有する患者
  • 6ヵ月以内に食道又は胃の静脈瘤出血があった患者
  • 身体所見にて臨床的に明らかな腹水が確認できる患者
  • 6ヵ月以内に肝性脳症であると臨床的に診断された患者
  • ラジオ波又はマイクロ波を用いた焼灼療法以外の局所治療を受けた患者
  • 間質性肺疾患/肺臓炎を合併、若しくはステロイド投与が必要な(非感染性の)間質性肺疾患/肺臓炎の既往を有する患者
  • 全身性の治療を必要とする活動性の感染症を有する患者
  • 組入れ時に活動性のHBV感染とHCV感染を重複している患者
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既往を有する患者
  • 活動性の結核の既往を有する患者(結核菌、Bacillus tuberculosis)
  • 抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2の薬剤又は他の補助刺激性又は共抑制性T細胞受容体(CTLA-4、OX-40、CD137等)を標的とした薬剤の治療歴を有する患者
  • 肝細胞癌に対する全身性の抗腫瘍療法(治験薬を含む)を受けたことがある患者
  • 以下の併用禁止療法のいずれかを受けている患者
    がんに対する全身性の化学療法又は生物学的療法
    本治験実施計画書で規定されていない免疫療法
    MK-3475以外の治験薬
    放射線療法
    がんに対する手術療法
    免疫学的病因が疑われる有害事象に起因する症状を管理する目的以外での、全身性の糖質コルチコイド療法
  • 治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンの接種を受けた患者
  • 現在他の治験薬の治験に参加している、又は治験薬初回投与前4週間以内に他の治験薬の治験に参加した若しくは治験用の医療機器を用いた患者
  • 免疫不全状態と診断された患者、又は治験薬初回投与前7日以内に長期全身性ステロイド療法(プレドニゾロン換算で10mg/日超)や他の免疫抑制療法による治療を受けた患者
  • MK-3475及び/又はその添加物に対し重度の過敏症(Grade 3以上)を有する患者
  • 過去2年以内に全身性の治療(疾患修飾薬、コルチコステロイド又は免疫抑制剤)を要した活動性の自己免疫疾患を有する患者
  • 治験の実施に影響を与える可能性があると判断された精神疾患又は薬物乱用障害を有する患者
  • 妊娠中又は授乳中の女性患者、若しくはスクリーニング時来院から治験薬最終投与後120日までに妊娠を希望する女性患者又はパートナーの妊娠を希望する男性患者
  • 同種組織/臓器の移植歴を有する患者
主要な評価項目有効性 / efficacy
主要な評価方法無再発生存期間(RFS)を比較する
全生存期間(OS)を比較する
副次的な評価項目安全性 / safety
有効性 / efficacy
副次的な評価方法安全性及び忍容性を評価する
European Organization for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire(EORTC QLQ-C30)の全般的健康状態/QOLスケール及びEORTC QLQ-HCC18を用いて、QOLの悪化までの期間(TTD)とベースラインからのスコア変化量を比較する
EuroQoL-5 Dimension Questionnaire, 5-Level(EQ-5D-5L)healthy utility scoreを用いて健康効用値を検討する
予定試験期間2019/06/17~2022/07/23

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより