日本人を対象とした進行性肝細胞がんに対するカボザンチニブの治験
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治験名
抗がん剤による全身治療歴を有する日本人進行性肝細胞がん患者を対象としたカボザンチニブの第2相非盲検単群試験
治験概要:
進行性の肝細胞がんを対象とした治験。肝移植、外科的切除、ラジオ波焼灼療法など根治的治療の対象とならない日本人患者さんが対象です。
ソラフェニブの治療歴がある患者さんとソラフェニブの治療歴がない患者さんにわけ、カボザンチニブを投与して有効性と安全性を評価する第2相試験です。
登録予定数は32人。
試験デザインは、非盲検単群試験。
フェーズは、フェーズ2(第2相臨床試験)。
観察される対象は
観察群1:ソラフェニブの治療歴がある患者
関節群2:ソラフェニブの治療歴がない患者
で主要評価項目は、無増悪生存期間(24週時)、副次的評価項目は、無増悪生存期間、客観的奏効率、病勢コントロール、全生存期間などで評価します。
疾患解説:肝細胞がん
国立がん研究センターのがん統計によると2014年に肝臓がんに罹患した人は、約40000人強です。50代くらいから増加し始め、80代前後をピークに、その後は減少します。
肝臓がんは、肝臓の細胞ががん化した悪性腫瘍です。肝臓内にある胆管にできたがんは、肝内胆管がんといいます。
日本人の肝臓がんはウイルス性肝炎から発生することが多いのが特徴です。最近は、C型やB型の肝炎ウイルスに対する治療薬ができたことで、ウイルス性肝炎がかなりコントロールできるようになったため減少傾向にあります。
その一方で、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)など肝炎ウイルス以外の原因による肝臓がんが増加傾向にあるという報告もあります。
治験薬:カボザンチニブ
カボザンチニブは、RET、MET、VEGF 1、2、3受容体とマスト/幹細胞成長因子(KIT)、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT-3)、TIE-2(TEKチロシンキナーゼ、内皮細胞)、トロポミオシン-関連キナーゼB(TRKB)およびAXなど複数のチロシンキナーゼを標的とした分子標的薬です。
これらの受容体やチロシンキナーゼの活性を阻害することで、がん細胞の増殖と血管新生の阻害することで、がん細胞を破壊します。
主な治験参加条件
対象となる人 |
- 20歳以上である日本人男女
- 肝細胞がん患者
- 治験責任医師または治験分担医師により測定可能病変を認める患者
- 肝細胞がんに対する根治的治療(肝移植、外科的切除、ラジオ波焼灼療法など)の適応とならない患者
- 進行性肝細胞がんに対して1ラインまたは2ラインの抗がん剤による全身治療歴がある患者
コホートA:ソラフェニブによる治療歴がある患者
コホートB:ソラフェニブによる治療歴がない患者
(術後補助療法としての全身療法および局所療法はこれに含めない)
- 進行性肝細胞がんに対して抗がん剤による全身治療を実施した後に、放射線画像診断で肝細胞がんの増悪が認められた患者
- 前治療により発現した有害事象が臨床的に問題ではないまたは支持療法により安定している場合を除き、当該有害事象が有害事象共通用語規準のグレード1以下まで回復している患者
- 全身状態(performance status:PS)のスコアが0または1で、3か月以上の生存が見込まれる患者
- Child-Pugh分類Aの患者
- スクリーニング時に適切な臓器および骨髄の機能がある患者
- 活動性B型肝炎の患者の場合、実施医療機関の標準治療に従って抗ウイルス治療を受けている患者
- 以下のいずれかの条件を満たす女性
スクリーニング開始前に1年以上の閉経状態(自然閉経であり、他の医学的理由によらない)にある
避妊手術を受けている
妊娠可能な女性は、同意取得時から治験薬の最終投与4か月後まで、一つの非常に効果的な避妊法と有効な避妊法であるコンドーム(バリア法)を併用することへの同意
患者のライフスタイルに合致する(通常の生活習慣で性交渉をしない)場合は、同意取得時から治験薬の最終投与4か月後まで、性交渉を完全に避けることへの同意(周期的な禁欲法、コンドームのみ、抜去法、殺精子剤のみの方法および授乳性無月経を利用する方法は避妊の方法として適切ではない)
避妊手術(精管切除術)の有無にかかわらず、以下のいずれかの条件を満たす男性
試験治療の期間中および治験薬の最終投与4か月後まで有効なバリア法による避妊を行うことへの同意。パートナーが妊娠可能な女性の場合、一つの非常に効果的な避妊法を同時に使用すること。
患者のライフスタイルに合致する場合は、同意取得時から治験薬の最終投与4か月後まで、性交渉を完全に避けることへの同意(周期的な禁欲法、コンドームのみ、抜去法、殺精子剤のみの方法及び授乳性無月経を利用する方法は避妊の方法として適切ではない)
- 将来の治療に不利益を被ることなく、いつでも同意を撤回できることを理解したうえで、治験に関連した手順を実施する前に、自由意思で書面による同意を示すことができる患者
- 本治験の来院スケジュールおよびその他の治験実施計画書に規定された事項に従う意思があり、かつ遂行可能な患者
- 年齢:20歳以上
- 性別:両方
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対象とならない人 |
- 線維層状型または混合型肝がん(肝細胞がんと肝内胆管がんの混合型)と診断された患者
- Week 1 Day 1前14日以内に抗悪性腫瘍作用があるいずれかの薬剤の投与を受けた患者
- Week 1 Day 1前28日以内に放射線療法を受けた患者(骨転移に対する放射線療法はWeek 1 Day 1前14日以内)。Week 1 Day 1前42日以内に放射性核種(I-131またはY-90など)による治療を受けた患者。過去の放射線療法に起因する臨床的に問題のある合併症が持続している患者
- 本剤による治療歴がある患者
- Week 1 Day 1前28日以内に他の臨床試験用薬剤(抗悪性腫瘍作用がある既承認薬は該当しない)の投与を受けた患者
- 過去に脳転移または硬膜外転移が確認されている患者。ただし、放射線療法および/または手術(放射線手術を含む)により適切に治療され、かつWeek 1 Day 1前の少なくとも3か月間、症状が安定している場合は登録可。Week 1 Day 1時点で副腎皮質ステロイドによる治療を受けている場合は除外する
- 経口抗凝固薬または抗血小板薬による抗凝固療法を受けている患者(予防を目的とした低用量アスピリンおよび低用量の低分子量ヘパリンの使用は許容する。放射線画像診断で脳転移が確認されていない患者に対しては、治療用量のLMWHによる抗凝固療法を可とする。ただし、Week 1 Day 1前の少なくとも12週間は用量を変更していないこと、かつ血栓塞栓性イベントまたは抗凝固療法に起因する合併症の既往がない患者)
- 以下に該当するコントロール不良かつ臨床的に問題となる疾患を併発している、または直近の既往がある患者
心血管障害:
1:症候性のうっ血性心不全、不安定狭心症、重篤な不整脈
2:適切な降圧剤の投与にもかかわらず、収縮期血圧が150mmHgを超える、または拡張期血圧が100mmHgを超えるコントロール不良の高血圧
3:Week 1 Day 1前6か月以内に認められた脳卒中(一過性脳虚血発作を含む)、心筋梗塞、その他の虚血性イベント
4:Week 1 Day 1前3か月以内に認められた血栓塞栓性イベント
5:左室駆出率が50%以下
穿孔または瘻孔形成のリスクが高い胃腸障害:
1:胃腸へ浸潤する腫瘍、活動性の消化性潰瘍疾患、炎症性腸疾患、憩室炎、胆嚢炎、症候性の胆管炎または虫垂炎、急性膵炎、急性膵管閉塞、急性総胆管閉塞、胃幽門閉鎖
2:Week 1 Day 1前6か月以内に認められた腹部の瘻孔、消化管穿孔、腸閉塞、腹腔内膿瘍(腹腔内膿瘍はWeek 1 Day 1前に完全に治癒していることを確認する)
Week 1 Day 1前2か月以内に施行された大手術。大手術による創傷はWeek 1 Day 1のかヵ月前までに完全に治癒していなければならない。また、軽微な手術(例:単純切除術、抜歯)による創傷はWeek 1 Day 1の7日前までに完全に治癒していること。過去の手術に起因する臨床的に問題のある合併症が持続している場合は除外する
空洞性肺病変又は気管支内疾患
下大静脈、肺動脈または大動脈など(ただし、これらに限定されない)の主要な血管へ浸潤する病変。ただし、原疾患および/または肝内腫瘍による門脈系/肝血管系への浸潤および腫瘍塞栓は除外しない
Week 1 Day 1前3か月以内に認められた血尿、吐血、ティースプーン0.5杯(2.5mL)を超える喀血もしくは肺出血を示すその他の徴候・症状など臨床的に問題となる出血リスク、または可逆的な外的要因によらない臨床的に問題のある出血の既往
以下に該当する臨床的に重大な疾患など:
1:全身治療を要する活動性の感染症
2:ヒト免疫不全ウイルスへの感染が既知または後天性免疫不全症候群関連疾患
3:活動性のB型肝炎および/またはC型肝炎。ただし、抗ウイルス療法によりコントロールされている場合は除外しない
4:治癒していない重篤な外傷/潰瘍/骨折
5:吸収不良症候群
6:非代償性/症候性甲状腺機能低下症
7:血液透析または腹膜透析を要する状態
8:臓器移植の既往
- 出血を伴うまたは出血のリスクが高い胃/食道静脈瘤に対して、未治療であるまたは適切な治療を受けていない患者。出血を伴うまたは出血のリスクが高い胃/食道静脈瘤の既往歴がある患者で、実施医療機関の標準治療に従って適切な内視鏡的治療を受け、Week 1 Day 1前少なくとも6か月の時点で輸血または入院を要する消化管出血の再発を認めていない場合は除外しない
- 中等量または大量の腹水が認められる患者
- Week 1 Day 1前14日以内にFridericia法による補正QT間隔が500msec超であった患者
(QT間隔が500msec超であった場合、3分以上の間隔をあけ、1回目の検査から30分以内に合計3回となるよう追加の心電図検査を実施する。3回の心電図検査のQT間隔の平均値が500msec以下の場合は除外しない)
- 錠剤を嚥下できない患者
- 本剤の成分に対してアレルギーまたは過敏症の既往がある患者
- 授乳中の女性。スクリーニング期間中の血清妊娠検査が陽性の女性(授乳期の女性は、授乳を中止した場合であっても、本治験の対象から除外する)
- 過去に肝細胞がん以外の悪性腫瘍と診断され、Week 1 Day 1前2年以内に残存病変が確認された患者(表在性皮膚がんまたは限局性の低悪性度腫瘍が確認されている患者で、全身療法を実施せず根治したと判断される場合は除外しない)
- 内科的または精神学的に重篤な疾患があり、本治験実施計画書に従った治療の遂行が困難であると治験責任医師または治験分担医師が判断した患者
- 本剤の経口吸収または忍容性に影響を与えるおそれのある胃腸疾患または消化管手術の既往がある患者
- Week 1 Day 1前14日以内に強力なチトクロームP450(CYP)3A阻害剤またはCYP3A誘導剤の投与を受けた患者
- 不法薬物の使用、薬物乱用、またはアルコール依存症による入院またはその所見が認められる患者
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。
ECOG パフォーマンスステータス
PS 0 | 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 | 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 | 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 | 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
Karnofsky パフォーマンスステータス
| スコア | 患者の状態 |
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない | 100 | 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし |
90 | 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能 |
80 | かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能 |
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする | 70 | 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能 |
60 | 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要 |
50 | 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要 |
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある | 40 | 動けず、適切な医療および看護が必要 |
30 | 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない |
20 | 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要 |
10 | 死期が切迫している |
0 | 死 |
WHO パフォーマンスステータス
スコア | 患者の状態 |
0 | 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える |
1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など |
2 | 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす |
3 | 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
4 | 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす |
5 | 死亡 |
出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より
Child-Pugh分類
Child-Pugh分類は、肝障害度を示す指標です。脳症、腹水、血清ビリルビン濃度、血清アルブミン濃度、プロトロンビン活性値の5項目を1~3点で評価し、その合計点によりA~Cの3段階に分類します。もっとも障害度が低いのがA、高いのはCです。
ポイント | 1点 | 2点 | 3点 |
脳症 | ない | 軽度 | ときどき昏睡 |
腹水 | ない | 少量 | 中等量 |
血清ビリルビン値(mg/dL) | 2.0未満 | 2.0~3.0 | 3.0超 |
血清アルブミン値(g/dL) | 3.5超 | 2.8~3.5 | 2.8未満 |
プロトロンビン活性値(%) | 70超 | 40~70 | 40未満 |
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した多くの情報は、JAPIC-CTIやUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。
試験概要詳細
試験の名称 | 抗がん剤による全身治療歴を有する日本人進行性肝細胞癌患者を対象としたCabozantinibの第2相非盲検単群試験 |
試験の概要 | 本治験の被験薬はCabozantinibであり、日本人の進行性肝細胞癌患者に投与される。本治験はCabozantinibの有効性及び安全性を評価する
本治験は約32名の被験者が登録され、被験者はコホートA(17名以上)またはコホートB(15名以上)に割り付けられ、以下の治験薬を服用する。ソラフェニブによる治療歴を有する被験者はコホートAに、ソラフェニブによる治療歴のない被験者はコホートBに割付けられる
– Cabozantinib 60mg
すべての被験者は試験期間中、Cabozantinib錠を1日1回空腹時に服用する(食後2時間以上経過。また、投与後1時間は食事や間食を摂取しない)
本治験は日本で実施される多施設共同試験である。全体の治験期間は最長約3年である。被験者は治療期間および治験薬最終投与後の追跡調査期間に複数回来院する |
疾患名 | 進行性肝細胞癌 |
試験薬剤名 | カボザンチニブ |
用法・用量 | Cabozantinib 60mg(錠剤)を1日1回、空腹時に経口投与する。コホートAにはソラフェニブによる治療歴を有する被験者が、コホートBにはソラフェニブによる治療歴のない被験者が登録される |
試験のフェーズ | フェーズ2(第2相臨床試験) |
試験のデザイン | 非盲検単群試験 |
目標症例数 | 32 |
適格基準 |
- 同意取得時に20歳以上である日本人男女
- 組織学的又は細胞学的にHCCと診断された患者(過去の生検結果での確認を許容する)
- 固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン-改訂版 version 1.1(RECIST 1.1)に基づき、治験責任医師又は治験分担医師が測定可能病変を有すると判断した患者
- HCCに対する根治的治療(肝移植、外科的切除、ラジオ波焼灼療法など)の適応とならない患者
- 進行性HCCに対して1ライン又は2ラインの抗がん剤による全身治療歴を有する患者
コホートA:ソラフェニブによる治療歴を有する患者
コホートB:ソラフェニブによる治療歴のない患者
注:術後補助療法としての全身療法及び局所療法はこれに含めない
- 進行性HCCに対して抗がん剤による全身治療を実施した後に、放射線画像診断でHCCの増悪が認められた患者
- 前治療により発現した有害事象が臨床的に問題ではない又は支持療法により安定している場合を除き、当該有害事象が有害事象共通用語規準(CTCAE)4.03版のGrade 1以下まで回復している患者
- Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)performance status(PS)のスコアが0又は1であり、3ヵ月以上の生存が見込まれる患者
- Child-Pugh分類Aの患者
- スクリーニング時(Week 1 Day 1前10日以内)に適切な臓器及び骨髄の機能を有している患者:
好中球絶対数(ANC)が1,200/mm^3以上
血小板数が60,000/mm^3以上
ヘモグロビンが8g/dL以上
血清クレアチニンが基準値上限(ULN)の1.5倍以下又はCockcroft-Gaultの式を用いたクレアチニンクリアランス算出値が40mL/min以上
尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)が1mg/mg・Cr以下
総ビリルビンが2mg/dL以下
血清アルブミンが2.8 g/dL以上
アルカリホスファターゼ(ALT)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(AST)がULNの5倍以下
ヘモグロビンA1c(HbA1c)が8%以下(異常ヘモグロビンによってHbA1cが測定できない場合などは、空腹時血清グルコースが160mg/dL以下)
- 活動性B型肝炎の患者の場合、実施医療機関の標準治療に従って抗ウイルス治療を受けている患者
- 以下のいずれかの条件を満たす女性
スクリーニング開始前に1年以上の閉経状態(自然閉経であり、他の医学的理由によらない)にある
避妊手術を受けている
妊娠可能な女性は、同意取得時から治験薬の最終投与4ヵ月後まで、一つの非常に効果的な避妊法と有効な避妊法であるコンドーム(バリア法)を併用することに同意する
患者のライフスタイルに合致する(通常の生活習慣で性交渉をしない)場合は、同意取得時から治験薬の最終投与4ヵ月後まで、性交渉を完全に避けることに同意する。〔周期的な禁欲法(例:カレンダー法、排卵法、基礎体温法、排卵後を考慮した避妊法など)、コンドームのみ、抜去法、殺精子剤のみの方法及び授乳性無月経を利用する方法は避妊の方法として適切ではない。〕
避妊手術(精管切除術)の有無にかかわらず、以下のいずれかの条件を満たす男性
試験治療の期間中及び治験薬の最終投与4ヵ月後まで有効なバリア法による避妊を行うことに同意する。パートナーが妊娠可能な女性の場合、一つの非常に効果的な避妊法を同時に使用すること
患者のライフスタイルに合致する(通常の生活習慣で性交渉をしない)場合は、同意取得時から治験薬の最終投与4ヵ月後まで、性交渉を完全に避けることに同意する。〔周期的な禁欲法(例:女性パートナーのカレンダー法、排卵法、基礎体温法、排卵後を考慮した避妊法など)、コンドームのみ、抜去法、殺精子剤のみの方法及び授乳性無月経を利用する方法は避妊の方法として適切ではない。〕
- 将来の治療に不利益を被ることなく、いつでも同意を撤回できることを理解したうえで、治験に関連した手順(標準的な医療行為は除く)を実施する前に、自由意思で書面による同意を示すことができる患者
- 本治験の来院スケジュール及びその他の治験実施計画書に規定された事項に従う意思があり、かつ遂行可能な患者
- 年齢:20歳以上
- 性別:両方
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除外基準 |
- 線維層状型又は混合型肝癌(肝細胞癌と肝内胆管癌の混合型)と診断された患者
- Week 1 Day 1前14日以内に抗悪性腫瘍作用を有するいずれかの薬剤の投与を受けた患者
- Week 1 Day 1前28日以内に放射線療法を受けた患者(骨転移に対する放射線療法はWeek 1 Day 1前14日以内)。Week 1 Day 1前42日以内に放射性核種(I-131又はY-90など)による治療を受けた患者。過去の放射線療法に起因する臨床的に問題のある合併症が持続している患者
- 本剤による治療歴がある患者
- Week 1 Day 1前28日以内に他の臨床試験用薬剤(抗悪性腫瘍作用を有する既承認薬は該当しない)の投与を受けた患者
- 過去に脳転移又は硬膜外転移が確認されている患者。ただし、放射線療法及び/又は手術(放射線手術を含む)により適切に治療され、かつWeek 1 Day 1前の少なくとも3ヵ月間、症状が安定している場合は登録可とする。Week 1 Day 1時点で副腎皮質ステロイドによる治療を受けている場合は除外する
- 経口抗凝固薬(例:ワルファリン、直接トロンビン阻害剤及び第Xa因子阻害剤)又は抗血小板薬(例:クロピドグレル)による抗凝固療法を受けている患者(注:予防を目的とした低用量アスピリン(実施医療機関の治療指針に従う)及び低用量の低分子量ヘパリン(LMWH)の使用は許容する(日本では心保護を目的としたLMWHの使用は承認されていない)。放射線画像診断で脳転移が確認されていない患者に対しては、治療用量のLMWHによる抗凝固療法を可とする。ただし、Week 1 Day 1前の少なくとも12週間は用量を変更していないこと、かつ血栓塞栓性イベント又は抗凝固療法に起因する合併症の既往がない患者とする)
- 以下に該当するコントロール不良かつ臨床的に問題となる疾患を併発している、又は直近の既往を有する患者(ただし、これらに限定されない)
心血管障害:
症候性のうっ血性心不全、不安定狭心症、重篤な不整脈
適切な降圧剤の投与にもかかわらず、収縮期血圧が150 mmHgを超える、又は拡張期血圧が100 mmHgを超えるコントロール不良の高血圧
Week 1 Day 1前6ヵ月以内に認められた脳卒中(一過性脳虚血発作を含む)、心筋梗塞、その他の虚血性イベント
Week 1 Day 1前3ヵ月以内に認められた血栓塞栓性イベント
左室駆出率が50%以下
穿孔又は瘻孔形成のリスクが高い胃腸障害:
胃腸へ浸潤する腫瘍、活動性の消化性潰瘍疾患、炎症性腸疾患(例:クローン病)、憩室炎、胆嚢炎、症候性の胆管炎又は虫垂炎、急性膵炎、急性膵管閉塞、急性総胆管閉塞、胃幽門閉鎖
Week 1 Day 1前6ヵ月以内に認められた腹部の瘻孔、消化管穿孔、腸閉塞、腹腔内膿瘍(注:腹腔内膿瘍はWeek 1 Day 1前に完全に治癒していることを確認する)
Week 1 Day 1前2ヵ月以内に施行された大手術。大手術による創傷はWeek 1 Day 1の1ヵ月前までに完全に治癒していなければならない。また、軽微な手術(例:単純切除術、抜歯)による創傷はWeek 1 Day 1の7日前までに完全に治癒していること。過去の手術に起因する臨床的に問題のある合併症が持続している場合は除外する
空洞性肺病変又は気管支内疾患
下大静脈、肺動脈又は大動脈など(ただし、これらに限定されない)の主要な血管へ浸潤する病変。ただし、原疾患(HCC)及び/又は肝内腫瘍による門脈系/肝血管系への浸潤及び腫瘍塞栓は除外しない
Week 1 Day 1前3ヵ月以内に認められた血尿、吐血、ティースプーン0.5杯(2.5mL)を超える喀血若しくは肺出血を示すその他の徴候・症状など臨床的に問題となる出血リスク、又は可逆的な外的要因によらない臨床的に問題のある出血の既往
以下に該当する臨床的に重大な疾患など:
全身治療を要する活動性の感染症
ヒト免疫不全ウイルスへの感染が既知又は後天性免疫不全症候群関連疾患
活動性のB型肝炎及び/又はC型肝炎。ただし、抗ウイルス療法によりコントロールされている場合は除外しない
治癒していない重篤な外傷/潰瘍/骨折
吸収不良症候群
非代償性/症候性甲状腺機能低下症
血液透析又は腹膜透析を要する状態
臓器移植の既往
- 出血を伴う又は出血のリスクが高い胃/食道静脈瘤に対して、未治療である又は適切な治療を受けていない患者。出血を伴う又は出血のリスクが高い胃/食道静脈瘤の既往歴を有する患者で、実施医療機関の標準治療に従って適切な内視鏡的治療を受け、Week 1 Day 1前少なくとも6ヵ月の時点で輸血又は入院を要する消化管出血の再発を認めていない場合は除外しない
- 中等量又は大量の腹水が認められる患者
- Week 1 Day 1前14日以内にFridericia法による補正QT間隔(QTcF)が500msec超であった患者(注:QTcFが500msec超であった場合、3分以上の間隔をあけ、1回目の検査から30分以内に合計3回となるよう追加の心電図検査を実施する。3回の心電図検査のQTcFの平均値が500msec以下の場合は除外しない)
- 錠剤を嚥下できない患者
- 本剤の成分に対してアレルギー又は過敏症の既往がある患者
- 授乳中の女性。スクリーニング期間中の血清妊娠検査が陽性の女性(注:授乳期の女性は、授乳を中止した場合であっても、本治験の対象から除外する)
- 過去にHCC以外の悪性腫瘍と診断され、Week 1 Day 1前2年以内に残存病変が確認された患者(注:表在性皮膚癌又は限局性の低悪性度腫瘍が確認されている患者で、全身療法を実施せず根治したと判断される場合は除外しない)
- 内科的又は精神学的に重篤な疾患があり、本治験実施計画書に従った治療の遂行が困難であると治験責任医師又は治験分担医師が判断した患者
- 本剤の経口吸収又は忍容性に影響を与えるおそれのある胃腸疾患又は消化管手術の既往がある患者
- Week 1 Day 1前14日以内に強力なチトクロームP450(CYP)3A阻害剤又はCYP3A誘導剤の投与を受けた患者
- 不法薬物の使用、薬物乱用、又はアルコール依存症による入院又はその所見が認められる患者
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主要な評価項目 | 治験薬投与開始後24週時の無増悪生存率(24-week PFSR) |
主要な評価方法 | 24-week PFSRはWeek 25 Day 1+7日時点の無増悪生存率として定義される。PFSは治験薬の初回投与日から進行(PD)(RECIST 1.1に基づくIRC判定による)又は死亡(死因を問わない)のいずれか早い方までの期間と定義される。PFSはRECIST 1.1に基づくIRC判定により評価される。PD:経過中の最小の径和(ベースライン径和が経過中の最小値である場合、これを最小の径和とする)に比して、標的病変の径和が20%以上増加、かつ径和が絶対値でも5mm以上増加
評価期間:ベースライン~3年(最終被験者の登録後約2年間) |
副次的な評価項目 | 無増悪生存期間(PFS) |
副次的な評価方法 | PFSは治験薬の初回投与日からPD(RECIST 1.1に基づくIRC判定による)又は死亡(死因を問わない)のいずれか早い方までの期間と定義される。PD:経過中の最小の径和(ベースライン径和が経過中の最小値である場合、これを最小の径和とする)に比して、標的病変の径和が20%以上増加、かつ径和が絶対値でも5mm以上増加
評価期間:ベースライン~3年(最終被験者の登録後約2年間) |
副次的な評価項目 | 客観的奏効率(ORR) |
副次的な評価方法 | ORRはRECIST 1.1に基づくIRC判定による最良総合効果が完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)と判定され、かつ最初の判定から28日後以降に実施した後続の評価でCR又はPRが確定した被験者の割合と定義する。CR:すべての標的病変の消失。PR:ベースライン径和に比して、標的病変の径和が30%以上減少
評価期間:ベースライン~3年(最終被験者の登録後約2年間) |
副次的な評価項目 | 病勢コントロール率(DCR) |
副次的な評価方法 | DCRはRECIST 1.1に基づくIRC判定による最良総合効果がCR、PR又は安定(SD)と判定された被験者の割合として定義される。CR及びPRの判定は、最初の判定から28日後以降に実施した後続の評価による確定を必須とし、SDの判定は、SDが治験薬の初回投与日から8週(51日)以上維持されていることとする。CR:すべての標的病変の消失。PR:ベースライン径和に比して、標的病変の径和が30%以上減少。SD:経過中の最小の径和に比して、PRに相当する縮小がなくPDに相当する増大がない。評価期間:ベースライン~3年(最終被験者の登録後約2年間) |
副次的な評価項目 | 全生存期間(OS) |
副次的な評価方法 | OSは治験薬の初回投与日から死亡(死因を問わない)までの期間と定義する
評価期間:ベースライン~3年(最終被験者の登録後約2年間) |
予定試験期間 | 2018年7月9日~2021年3月31日 |
出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより