切除不能なステージ1または2Aの非小細胞肺がんに対するペムブロリズマブ+SBRTの治験

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治験名

KEYNOTE-867試験

医学的に切除不能な1期または2A期の非小細胞肺癌患者を対象にペムブロリズマブの併用または非併用下で体幹部定位放射線治療(SBRT)を実施した際の安全性および有効性を評価する無作為化プラセボ対照第3相試験

治験概要:

ステージ1または2Aの非小細胞肺がんに対する治験。切除不能な患者さんが対象です。
ペムブロリズマブ+SBRTとプラセボ+SBRTを比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、530人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、無作為化、並行群間、多施設共同、二重盲検試験。
試験群:ペムブロリズマブ+SBRT
対照群:プラセボ+SBRT
無イベント生存期間、全生存期間、死亡または遠隔転移までの期間、有害事象、有害事象による治験薬の投与中止などで評価します。

疾患解説:非小細胞肺がん

国立がん研究センターのがん統計によると2014年に肺がんに罹患した人は、約11万5000人です。男性は、50代くらいから増加し始め、70歳前後をピークに、その後は減少します。女性は、80代前半までは同様ですが、80代後半に再び増加します。
肺がんは、気管支や肺胞の細胞ががん化した悪性腫瘍で、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つの組織型に分けられます。非小細胞肺がんは、さらに扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんの3つに分類されます。このうち腺がんが肺がん全体の60%を占め、次いで扁平上皮がん、大細胞がんと小細胞肺がんの割合な少なくなります。
特に非小細胞肺がんでは特定の遺伝子変異にあわせた治療薬ができたことで、治療法も異なるため、組織型や遺伝子変異を見極めることが必要になっています。

治験薬:ペムブロリズマブ

ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 胸部CTおよびPETスキャンで1期または2A期の非小細胞肺癌と確認された患者
  • 併存する医学的疾患により、胸部外科手術が施行不可能な患者
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0~2の患者
  • SBRTの施行が可能な患者
  • 適切な臓器機能がある患者
  • 女性患者の場合、妊娠しておらず、授乳中でなく、かつ以下の条件のいずれかを満たす:
    妊娠可能な女性に該当しない。または妊娠可能な女性であるが、投与期間中および治験薬の最終投与後少なくとも120日間、治験実施計画書に詳述する避妊法を使用することに同意した女性患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2の薬剤または他の補助刺激性もしくは共抑制性T細胞受容体を標的とした薬剤の治療歴がある患者
  • 胸部への放射線療法を受けた患者。無作為割付けから5年以上前に対側乳房への放射線療法を受けた患者は組入れ可能である
  • 治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンの接種を受けた患者
  • 現在他の治験薬の治験に参加している、または治験薬初回投与前4週間以内に他の治験薬の治験に参加したもしくは治験用の医療機器を用いた患者
    注:治験のフォローアップ期間に移行している患者で、他の治験薬の最終投与から4週間以上経過している場合は組入れ可能
  • 免疫不全状態と診断された患者、または治験薬初回投与前7日以内に長期全身性ステロイド療法や他の免疫抑制療法による治療を受けた患者
  • 過去3年以内に進行性または治療が必要な他の悪性腫瘍がある患者
    ただし、根治的治療を受けた皮膚の基底細胞癌、皮膚の扁平上皮癌、上皮内がんの患者は組入れ可能である
  • ペムブロリズマブまたは治験薬の添加剤に対する過敏症がある患者
  • 間質性肺疾患/肺臓炎を合併またはステロイド投与が必要な間質性肺疾患/肺臓炎の既往がある患者
  • B型肝炎の合併が確認されているまたはC型肝炎の合併が確認されている患者
    注:規制当局により必須とされていない場合にはB型肝炎およびC型肝炎検査を実施する必要はない
  • 過去2年以内に全身性の治療を要した活動性の自己免疫疾患がある患者
    ただし、補充療法は、全身性の治療であっても許容される
  • 全身性の治療を必要とする活動性の感染症がある患者
  • HIV感染の既往がある患者
  • 活動性の結核の既往がある患者
  • 妊娠中または授乳中の女性患者、もしくはスクリーニング時来院から治験薬最終投与後120日までに妊娠を希望する女性患者またはパートナーの妊娠を希望する男性患者
  • 同種組織/臓器の移植歴がある患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※ここに掲載した多くの情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。

試験概要詳細

試験の名称医学的に切除不能なI期又はIIA期の非小細胞肺癌患者を対象にMK-3475の併用又は非併用下で体幹部定位放射線治療(SBRT)を実施した際の安全性及び有効性を評価する無作為化プラセボ対照第III相試験(KEYNOTE-867試験)
試験の概要本試験は、医学的に切除不能なI期又はIIA期の非小細胞肺癌患者を対象にMK-3475の併用又は非併用下で体幹部定位放射線治療(SBRT)を実施した際の安全性及び有効性を比較評価する
仮説1:SBRT+MK-3475はSBRT+プラセボと比較して無イベント生存期間(EFS)を延長させる
仮説2:SBRT+MK-3475はSBRT+プラセボと比較して全生存期間(OS)を延長させる
疾患名非小細胞肺癌
試験薬剤名SBRT+MK-3475
用法・用量体幹部定位放射線治療(SBRT)、約3日間間隔(Q3D)、3-5分割(腫瘍の部位による)2週間以内
ペムブロリズマブ200mg、3週間間隔(Q3W)点滴静注、17コース(約1年)
対照薬剤名SBRT+プラセボ
用法・用量体幹部定位放射線治療(SBRT)、約3日間間隔(Q3D)、3-5分割(腫瘍の部位による)2週間以内
プラセボ、3週間間隔(Q3W)点滴静注、17コース(約1年)
試験のフェーズフェーズ3/phase3
試験のデザイン無作為化、並行群間、多施設共同、二重盲検試験
目標症例数530
適格基準
  • 組織学的又は細胞学的に非小細胞肺癌と診断され、胸部CT及びPETスキャンでI期又はIIA期(AJCC分類第8版)の非小細胞肺癌と確認された患者
  • 併存する医学的疾患により、胸部外科手術が施行不可能な患者(担当医師が治験実施医療機関の各専門医からなるキャンサーボードと協議して決定する)
  • ECOG PSが0~2の患者
  • SBRTの施行が可能な患者
  • 適切な臓器機能を有する患者
  • 女性患者の場合、妊娠しておらず、授乳中でなく、かつ以下の条件のいずれかを満たす:
    妊娠可能な女性に該当しない。又は妊娠可能な女性であるが、投与期間中及び治験薬(MK-3475)の最終投与後少なくとも120日間、治験実施計画書に詳述する避妊法を使用することに同意した女性患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2の薬剤又は他の補助刺激性若しくは共抑制性T細胞受容体(CTLA-4、OX-40、CD137等)を標的とした薬剤の治療歴を有する患者
  • 胸部への放射線療法を受けた患者(食道、縦隔又は乳房への放射線療法を含む)。無作為割付けから5年以上前に対側乳房への放射線療法を受けた患者は組入れ可能である
  • 治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンの接種を受けた患者
  • 現在他の治験薬の治験に参加している、又は治験薬初回投与前4週間以内に他の治験薬の治験に参加した若しくは治験用の医療機器を用いた患者
    注:治験のフォローアップ期間に移行している患者で、他の治験薬の最終投与から4週間以上経過している場合は組入れ可能
  • 免疫不全状態と診断された患者、又は治験薬初回投与前7日以内に長期全身性ステロイド療法(プレドニゾロン換算で10mg/日超)や他の免疫抑制療法による治療を受けた患者
  • 過去3年以内に進行性又は治療が必要な他の悪性腫瘍を有する患者
    ただし、根治的治療を受けた皮膚の基底細胞癌、皮膚の扁平上皮癌、上皮内がん(例:上皮内乳癌及び子宮頸部上皮内癌)の患者は組入れ可能である
  • MK-3475又は治験薬の添加剤に対する過敏症(Grade3以上)を有する患者
  • 間質性肺疾患/肺臓炎を合併又はステロイド投与が必要な(非感染性の)間質性肺疾患/肺臓炎の既往を有する患者
  • B型肝炎の合併(HBs抗原陽性)が確認されている又はC型肝炎の合併[HCV RNA(定性)陽性]が確認されている患者
    注:規制当局により必須とされていない場合にはB型肝炎及びC型肝炎検査を実施する必要はない
  • 過去2年以内に全身性の治療(疾患修飾薬、コルチコステロイド又は免疫抑制剤)を要した活動性の自己免疫疾患を有する患者
    ただし、補充療法(チロキシン、インスリン、又は副腎不全若しくは下垂体不全に対する生理的用量のコルチコステロイド補充療法など)は、全身性の治療であっても許容される
  • 全身性の治療を必要とする活動性の感染症を有する患者
  • HIV感染の既往を有する患者
  • 活動性の結核の既往を有する患者(結核菌、Bacillus tuberculosis)
  • 妊娠中又は授乳中の女性患者、若しくはスクリーニング時来院から治験薬最終投与後120日までに妊娠を希望する女性患者又はパートナーの妊娠を希望する男性患者
  • 同種組織/臓器の移植歴を有する患者
主要な評価項目有効性/efficacy
主要な評価方法無イベント生存期間(EFS):無作為割付けからイベント(非小細胞肺癌の局所、領域若しくは遠隔再発)又は原因を問わない死亡までの期間
全生存期間(OS):無作為割付けから原因を問わない死亡までの期間
副次的な評価項目安全性/safety
有効性/efficacy
副次的な評価方法死亡又は遠隔転移までの期間(TDDM):無作為割付けから、最初に遠隔転移が記録された時点又は原因を問わない死亡のいずれか早い時点までの期間
安全性及び忍容性:有害事象、有害事象による治験薬の投与中止
Global Health Status/生活の質(QOL)、咳嗽、胸痛、呼吸困難及び身体機能のベースラインからの変化量:Global Health Status/QOL(EORTC QLQ-C30の項目29及び項目30)、咳嗽(EORTC QLQ-LC13の項目1)、胸痛(EORTC QLQ-LC13の項目10)、呼吸困難(EORTC QLQ-C30の項目8)及び身体機能(EORTC QLQ-C30の項目1~5)
予定試験期間2020年2月5日~2026年7月1日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより