ステージIIIの切除不可能な局所進行性非小細胞肺がんに対するデュルバルマブ逐次投与の治験

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治験名

白金製剤を用いた根治的同時化学放射線療法の後に進行が認められなかった切除不可能な局所進行性非小細胞肺癌患者(ステージ3)を対象としたMEDI4736逐次投与の国際多施設共同第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(PACIFIC)

治験概要

この臨床試験は、切除不可能なステージIII非小細胞肺がん患者さんを対象に、同時化学放射線療法の後にMEDI4736(デュルバルマブ)の有効性を評価する国際共同試験です。

疾患解説非小細胞肺がん

国立がん研究センターのがん統計によると2014年に肺がんに罹患した人は、約11万5000人です。男性は、50代くらいから増加し始め、70歳前後をピークに、その後は減少します。女性は、80代前半までは同様ですが、80代後半に再び増加します。

肺がんは、気管支や肺胞の細胞ががん化した悪性腫瘍で、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つの組織型に分けられます。非小細胞肺がんは、さらに扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんの3つに分類されます。このうち腺がんが肺がん全体の60%を占め、次いで扁平上皮がん、大細胞がんと小細胞肺がんの順に、割合が少なくなります。

特に非小細胞肺がんでは特定の遺伝子変異にあわせた治療薬ができたことで、治療法も異なるため、組織型や遺伝子変異を見極めることが必要になっています。

治験薬デュルバルマブ

デュルバルマブは、抗PD-L1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。

免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。

がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 非小細胞肺がん(局所進行性、切除不可能、ステージIII)と確定診断されている患者さん
  • 少なくとも2サイクルの白金製剤を含む化学療法と放射線療法の同時併用を受けた患者さん
  • WHO Performance Statusが0又は1の患者さん
  • 余命が12週間以上期待できる患者さん
  • 年齢:18歳以上の患者さん
  • 性別:男女
対象とならない人
  • 過去に何らかの抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体の曝露を受けた患者さん
  • 現在または過去に自己免疫疾患を罹患、または免疫不全の既往がある患者さん
  • 活動性出血性素因またはB型肝炎やC型肝炎またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含活動性感染などの重度またはコントロール不良な併発疾患を有する患者さん
  • 症候性うっ血性心不全、コントロール不良の高血圧、不安定狭心症などのコントロール不良な併発疾患を有する患者さん
  • 先行の化学放射線療法によるCTCAEグレード3以上の毒性から回復していない患者さん
  • 現在または過去に炎症性腸疾患(例:クローン病、潰瘍性大腸炎)が確認された患者さん

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。

PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、日本国内では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP) 」という厳しいルールに基づき、行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで進められます。治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを正しく理解しましょう。

試験詳細

試験の名称白金製剤を用いた根治的同時化学放射線療法の後に進行が認められなかった切除不可能な局所進行性非小細胞肺癌患者(ステージ3)を対象としたMEDI4736逐次投与の国際多施設共同第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(PACIFIC)
試験の概要切除不可能なステージ3非小細胞肺癌患者を対象とした同時化学放射線療法の後にMEDI4736の有効性を評価する国際共同試験
疾患名非小細胞肺癌
試験薬剤名MEDI4736
用法・用量MEDI4736静脈内投与。第1日目から最長12カ月まで又は早期中止まで。2:1の比(MEDI4736:プラセボ)
対照薬剤名プラセボ
対照薬用法・用量プラセボ静脈内投与。第1日目から最長12カ月まで又は早期中止まで。2:1の比(MEDI4736:プラセボ)
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン無作為化、有効性試験、並行割付、二重盲検
目標症例数
適格基準
  • 非小細胞肺癌(局所進行性、切除不可能、ステージ3)と確定診断されている
  • 少なくとも2サイクルの白金製剤を含む化学療法と放射線療法の同時併用を受けた患者
  • WHO Performance Statusが0又は1
  • 余命が12週間以上期待できる
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 過去に何らかの抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体の曝露を受けた患者
  • 現在又は過去に自己免疫疾患を罹患、または免疫不全の既往がある患者
  • 活動性出血性素因又はB型肝炎やC型肝炎又はヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含活動性感染などの重度又はコントロール不良な併発疾患を有する患者
  • 症候性うっ血性心不全、コントロール不良の高血圧、不安定狭心症などのコントロール不良な併発疾患を有する患者
  • 先行の化学放射線療法によるCTCAEグレード3以上の毒性から回復していない患者
  • 現在又は過去に炎症性腸疾患(例:クローン病、潰瘍性大腸炎)が確認された患者
主要な評価項目
主要な評価方法
副次的な評価項目
副次的な評価方法
予定試験期間

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより