ステージ3Bまたは4の非小細胞肺がんに対するセミプリマブ併用の治験

治験名

PD-L1発現率50%以上の腫瘍がある進行または転移性非小細胞肺がん患者の一次治療におけるセミプリマブ(抗PD-1抗体)、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法およびイピリムマブ(抗CTLA-4抗体)との併用療法とペムブロリズマブ単剤療法を比較する無作為化、第3相、非盲検試験

治験概要:

50%以上のPD-L1が発現している再発または転移性の非小細胞肺がんに対する治験。前肢治療を受けたことがないステージ3Bまたは4の患者さんが対象です。
セミプリマブ+イピリブマブ併用、セミプリマブ+化学療法+イピリブマブ併用とペムブロリズマブ単剤を比較して、無増悪生存期間などで評価する臨床試験です。
登録予定数は、585人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、無作為化、並行群間、非重盲検試験。
比較する対象は
試験群1:セミプリマブ+イピリブマブ併用
試験群2:セミプリマブ+化学療法+イピリブマブ併用
対照群:ペムブロリズマブ
で主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、客観的奏功率などで評価します。

疾患解説:非小細胞肺がん

国立がん研究センターのがん統計によると2014年に肺がんに罹患した人は、約11万5000人です。男性は、50代くらいから増加し始め、70歳前後をピークに、その後は減少します。女性は、80代前半までは同様ですが、80代後半に再び増加します。
肺がんは、気管支や肺胞の細胞ががん化した悪性腫瘍で、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つの組織型に分けられます。非小細胞肺がんは、さらに扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんの3つに分類されます。このうち腺がんが肺がん全体の60%を占め、次いで扁平上皮がん、大細胞がんと小細胞肺がんの割合な少なくなります。
特に非小細胞肺がんでは特定の遺伝子変異にあわせた治療薬ができたことで、治療法も異なるため、組織型や遺伝子変異を見極めることが必要になっています。

治験薬:セミプリマブ

セミプリマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

治験薬:イピリムマブ

イピリムマブは、抗CTLA-4抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 イピリムマブは、がん細胞を攻撃する活性化T細胞とT細胞を制御する制御性T細胞状に発現するCTLA-4と抗原提示細胞状に発現しているCD80とCD86との結合を阻害することで、がんを攻撃するT細胞を増強します。また、がん細胞を攻撃するT細胞を抑制する制御性T細胞を抑制することで、がん免疫反応を促進させます。

対照薬:ペムブロリズマブ

ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 再発性もしくは転移性非小細胞肺がんに対する全身治療を受けたことがない、ステージ3Bまたはステージ4の扁平上皮または非扁平上皮非小細胞肺がんであることが確認されている患者
  • 放射線治療歴のない、保管または試験中に採取したホルマリン固定、パラフィン包埋腫瘍組織サンプルが使用できる患者
  • 50%以上の腫瘍細胞にPD-L1の発現が確認されている患者
  • CTまたはMRIの画像上測定可能な病変が1つ以上ある患者。標的病変は、当該部位に疾患進行の記録がある場合は、放射線治療歴のある領域に存在するものでもよい
  • 全身状態(Performance Status;:PS)パフォーマンスステータスが1以下の患者
  • 予想される余命が3か月以上の患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 喫煙歴のない患者(生涯にタバコ100本以下の喫煙と定義)
  • 活動性または未治療の脳転移または脊髄圧迫がある患者
  • EGFR遺伝子変異、ALK遺伝子転座、ROS1融合の検査陽性の腫瘍がある患者
  • 同意取得前1年以内に脳炎、髄膜炎またはコントロール不良の発作が認められた患者
  • 間質性肺疾患(特発性肺線維症または器質化肺炎)、疾患管理を補助する免疫抑制用量のグルココルチコイドを必要とする活動性非感染性肺炎、または過去5年以内の肺炎の既往歴のある患者
  • 治験薬投与下で発現した免疫関連有害事象のリスクを示唆する全身免疫抑制療法を必要とする重大な自己免疫疾患の進行中または最近の徴候が認められる患者
  • これまでにいずれの時点でもidelalisib(ZYDELIG)による治療を受けたことのある患者
  • 無作為割り付け前14日以内に副腎皮質ステロイド治療を必要とする疾患がある患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。
※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称PD-L1発現率50%以上の腫瘍を有する進行または転移性非小細胞肺がん患者の一次治療におけるREGN2810(抗PD-1抗体)、プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法およびイピリムマブ(抗CTLA-4抗体)との併用療法とペムブロリズマブ単剤療法を比較する無作為化、第3相、非盲検試験
試験の概要本試験の主要目的は、50%以上の腫瘍細胞にprogrammed death ligand 1(PD-L1)が発現している進行した扁平上皮または非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者の一次治療におけるREGN2810(cemiplimab)とイピリムマブの併用療法(「REGN2810/ipi」)およびREGN2810と2サイクルのプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法とイピリムマブの併用療法(「REGN2810/chemo/ipi」)と、標準治療であるペムブロリズマブ単剤療法の無増悪生存期間(PFS)を比較することである
本試験の主な副次目的は、 50%以上の腫瘍細胞にPD-L1が発現している進行した扁平上皮または非扁平上皮NSCLC患者の一次治療における、REGN2810/ipiおよびREGN2810/chemo/ipiとペムブロリズマブ単剤療法の全生存期間(OS)を比較すること、並びに50%以上の腫瘍細胞にPD-L1が発現している進行した扁平上皮または非扁平上皮NSCLC患者の一次治療における、REGN2810/ipiおよびREGN2810/chemo/ipiとペムブロリズマブ単剤療法の全奏効率(ORR)を比較することである
疾患名非小細胞肺がん
試験薬剤名REGN2810/ipi: REGN2810とイピリムマブ併用
用法・用量静脈内投与
試験薬剤名REGN2810/chemo/ipi: REGN2810、化学療法およびイピリムマブ併用
用法・用量静脈内投与
対照薬剤名ペムブロリズマブ
用法・用量静脈内投与
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン無作為化、並行群間、非盲検試験
目標症例数585
適格基準
  • 再発性若しくは転移性NSCLCに対する全身治療を受けたことがない、組織学的または細胞学的にステージIIIBまたはステージIVの扁平上皮または非扁平上皮NSCLCであることが確認されている患者
  • 放射線治療歴のない、保管(5ヵ月以内)または試験中に採取したホルマリン固定、パラフィン包埋腫瘍組織サンプルが使用できる患者
  • 中央検査機関が実施した市販のアッセイにより50%以上の腫瘍細胞にPD-L1の発現が確認されている患者
  • RECIST 1.1基準に基づくコンピューター断層撮影(CT)または磁気共鳴映像法(MRI)の画像上測定可能な病変が1つ以上ある患者。標的病変は、当該部位に(画像上)疾患進行の記録がある場合は、放射線治療歴のある領域に存在するものでもよい
  • Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータスが1以下の患者
  • 予想される余命が3ヵ月以上の患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 喫煙歴のない患者(生涯にタバコ100本以下の喫煙と定義)
  • 活動性または未治療の脳転移または脊髄圧迫を有する患者
  • 上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子転座、C-rosがん遺伝子受容体チロシンキナーゼ(ROS1)融合の検査陽性の腫瘍を有する患者
  • 同意取得前1年以内に脳炎、髄膜炎またはコントロール不良の発作が認められた患者
  • 間質性肺疾患(特発性肺線維症または器質化肺炎)、疾患管理を補助する免疫抑制用量のグルココルチコイドを必要とする活動性非感染性肺炎、または過去5年以内の肺炎の既往歴のある患者
  • 治験薬投与下で発現した免疫関連有害事象(irTEAE)のリスクを示唆する全身免疫抑制療法を必要とする重大な自己免疫疾患の進行中または最近の徴候が認められる患者
  • これまでにいずれの時点でもidelalisib(ZYDELIG)による治療を受けたことのある患者
  • 無作為割り付け前14日以内に副腎皮質ステロイド治療(10mg/日を超えるプレドニゾンに相当)を必要とする疾患を有する患者
主要な評価項目固形がんの治療効果判定のためのガイドライン 第1.1版(RECIST 1.1)の評価に基づく盲検化された独立審査委員会(IRC)の評価によるPFS
主要な評価方法評価期間:最長32ヵ月まで
副次的な評価項目全生存期間(OS)
副次的な評価方法評価期間:最長32ヵ月まで
副次的な評価項目客観的奏効率(ORR)
副次的な評価方法評価期間:最長32ヵ月まで
副次的な評価項目治験薬投与下で発現した有害事象(TEAE)の発現率
副次的な評価方法評価期間:最長32ヵ月まで
副次的な評価項目用量制限毒性(DLT)の発現率
副次的な評価方法評価期間:最長32ヵ月まで
副次的な評価項目重篤な有害事象(SAE)の発現率
副次的な評価方法評価期間:最長32ヵ月まで
副次的な評価項目死亡率
副次的な評価方法評価期間:最長32ヵ月まで
副次的な評価項目臨床検査値異常の発現率
副次的な評価方法評価期間:最長32ヵ月まで
副次的な評価項目全生存期間
副次的な評価方法評価期間:12ヵ月
副次的な評価項目全生存期間
副次的な評価方法評価期間:18ヵ月
副次的な評価項目生活の質
副次的な評価方法評価期間:最長32ヵ月まで
欧州がん治療研究機構によるQOLに関する主な30の質問票(EORTC QLQ-C30)による評価
副次的な評価項目生活の質
副次的な評価方法評価期間:最長32ヵ月まで
QOLに関する肺がんの13の質問票(EORTC QLQ-LC13)による評価
予定試験期間

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより