ステージ3B、4の非小細胞肺がん対するカナキヌマブの治験

治験名

CANOPY-2

PD-(L)1阻害薬および白金製剤をベースとする化学療法による治療歴のある非小細胞肺がん患者を対象に、ドセタキセルとカナキヌマブの併用投与の有効性および安全性をドセタキセルとプラセボの併用投与と比較し評価するランダム化、二重盲検、プラセボ対照、第3相試験

治験概要:

局所進行または転移性の非小細胞肺がんに対する治験。PD-(L)1阻害薬および白金製剤をベースとした化学療法による治療歴がある患者さんが対象です。 カナキヌマブ+ドセタキセル併用とプラセボ+ドセタキセルを比較して、有効性と安全性を評価する臨床試験です。 登録予定数は、240人。 フェーズは、第3相臨床試験。 試験デザインは、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験。 比較する対象は 試験群:カナキヌマブ+ドセタキセル併用 対照群:プラセボ+ドセタキセル併用 で主要評価項目は治験治療開始から42日間の用量制限毒性の発現率、全生存期間、副次的評価項目は奏効率、病勢コントロール率などで評価します。

疾患解説:非小細胞肺がん

国立がん研究センターのがん統計によると2014年に肺がんに罹患した人は、約11万5000人です。男性は、50代くらいから増加し始め、70歳前後をピークに、その後は減少します。女性は、80代前半までは同様ですが、80代後半に再び増加します。 肺がんは、気管支や肺胞の細胞ががん化した悪性腫瘍で、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つの組織型に分けられます。非小細胞肺がんは、さらに扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんの3つに分類されます。このうち腺がんが肺がん全体の60%を占め、次いで扁平上皮がん、大細胞がんと小細胞肺がんの割合な少なくなります。 特に非小細胞肺がんでは特定の遺伝子変異にあわせた治療薬ができたことで、治療法も異なるため、組織型や遺伝子変異を見極めることが必要になっています。

治験薬:カナキヌマブ

カナキヌマブは、IL-1βと特異的に結合するモノクローナル抗体です。 IL-1βと受容体の結合を阻害することで、IL-1βを介する腫瘍微小環境をすることで、がんの発症や進行を抑制すると考えられています。 心筋梗塞の既往があり、炎症性アテローム性動脈硬化症の患者を対象としたカナキヌマブの働きを評価したCANTOS試験の追加解析では、カナキヌマブが、肺がんの発症率と死亡率を低下させることが示されています。

治験薬:ドセタキセル

ドセタキセルは、イチイ科の植物の成分から開発されたタキサン系と呼ばれる微小管阻害薬です。 細胞が増殖するために細胞分裂を行うときに、微小管という物質がばらばらになる必要があります。ドセタキセルは、この微小管がばらばらにならないように安定化させ過剰に形成を起こすことで、細胞分裂を阻害して抗腫瘍効果を発揮する殺細胞性の抗がん薬です。 タキサン系は水に溶けにくいため、無水エタノール(アルコール)を含んだ液体に溶かして使用されますが、ドセタキセルはアルコールに溶かさずに使用できる薬もあります。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 組織学的に確認された局所進行性(ステージIIIB)または転移性(ステージIV)非小細胞肺がん患者
  • 局所進行性/転移性肺癌に対する各1レジメンの白金製剤ベースの化学療法およびPD-(L)1阻害薬による治療歴がある患者
  • 全身状態(performance status:PS)が0または1の患者
  • 評価可能な(測定可能または測定不能)病変を1つ以上ある患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 局所進行性/転移性非小細胞肺がんに対する治療として、ドセタキセル、カナキヌマブ(または他のIL-1β)を投与した患者、または1レジメンの白金製剤ベースの化学療法およびPD-(L)1阻害薬以外の全身療法を受けたことがある患者
  • EGFR遺伝子感受性変異および/またはALK転座が認められた患者
  • タキサン等の他のモノクローナル抗体またはこれらの薬剤の既知の添加物に対する重度の過敏症反応の既往

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータス  
PS 0 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない 100 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80 かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある 40 動けず、適切な医療および看護が必要
30 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10 死期が切迫している
0
WHO パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
0 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5 死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。 ※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称 PD-(L)1阻害薬及び白金製剤をベースとする化学療法による治療歴のある非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象に、ドセタキセルとカナキヌマブの併用投与の有効性及び安全性をドセタキセルとプラセボの併用投与と比較し評価するランダム化、二重盲検、プラセボ対照、第III相試験(CANOPY-2)
試験の概要 PD-(L)1阻害薬及び白金製剤をベースとする化学療法による治療歴がある進行性NSCLC患者を対象に、カナキヌマブとドセタキセルの併用における第III相試験での推奨用量を確認し(安全性導入パート)、ドセタキセルと併用投与した場合のインターロイキン1β(IL-1β)阻害薬の役割を評価する
疾患名 非小細胞肺癌
試験薬剤名 カナキヌマブ
用法・用量 カナキヌマブ皮下注射(Q3W)
試験薬剤名 ドセタキセル
用法・用量 ドセタキセル75mg/m2(Q3W)
対照薬剤名 カナキヌマブと外観同一のプラセボ
用法・用量 カナキヌマブと外観同一のプラセボ皮下注射(Q3W)
対照薬剤名 ドセタキセル
用法・用量 ドセタキセル75mg/m2(Q3W)
試験のフェーズ フェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン 多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験
目標症例数 240
適格基準
  • 組織学的に確認された局所進行性(ステージIIIB)又は転移性(ステージIV)NSCLC患者
  • 局所進行性/転移性肺癌に対する各1レジメンの白金製剤ベースの化学療法及びPD-(L)1阻害薬による治療歴がある患者
  • ECOG performance status(PS)が0又は1の患者
  • RECIST 1.1の固形がんの効果判定規準に基づく評価可能な(測定可能又は測定不能)病変を1つ以上有する患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 局所進行性/転移性NSCLCに対する治療として、ドセタキセル、カナキヌマブ(又は他のIL-1β)を投与した患者、又は1レジメンの白金製剤ベースの化学療法及びPD-(L)1阻害薬以外の全身療法を受けたことがある患者
  • EGFR遺伝子感受性変異及び/又はALK転座が認められた患者
  • タキサン等の他のモノクローナル抗体又はこれらの薬剤の既知の添加物に対する重度の過敏症反応の既往
主要な評価項目 安全性 / safety 有効性 / efficacy
主要な評価方法 パート1:安全性導入パート カナキヌマブとドセタキセルの併用投与開始後の最初の42日間におけるDLT の発現率 パート2:二重盲検、ランダム化、プラセボ対照パート OS
副次的な評価項目 有効性 / efficacy 探索性 / exploratory 薬物動態 / pharmacokinetics
副次的な評価方法 パート1:安全性導入パート RECIST 1.1に基づく治験責任/分担医師の評価によるORR、DOR、及びDCR カナキヌマブ/ドセタキセルの濃度及びPKパラメータ パート2:二重盲検、ランダム化、プラセボ対照パート RECIST 1.1に基づく実施医療機関の治験責任/分担医師の評価によるPFS、ORR、DCR、TTR、及びDOR EORTC QLQ-C30、QLQ-LC13、EQ-5D-5L カナキヌマブ/ドセタキセルの濃度及びPKパラメータ ベースライン時のADAの保有率及び投与期間中のADA発現率
予定試験期間 2019年1月23日~2021年8月19日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより