進行性/転移性非小細胞肺がんの未治療患者さんを対象としたペムブロリズマブとプラチナ製剤併用化学療法の治験

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治験名

PD-L1発現陽性の進行性又は転移性非小細胞肺癌の未治療患者を対象としたMK-3475とプラチナ製剤併用化学療法の全生存期間を比較する無作為化非盲検第III相試験(Keynote 042)

治験概要

この試験では、PD-L1発現陽性の非小細胞肺がん患者さんをMK-3475(ペムブロリズマブ)の35コース投与またはプラチナ製剤併用化学療法(標準化学療法)(カルボプラチン+パクリタキセルまたはカルボプラチン+ペメトレキセドを3週間間隔投与を4~6コース)に無作為化され、治療を受けます。非扁平上皮がん患者さんのプラチナ製剤併用療法群は、4~6コース完了後、ペメトレキセドの維持療法を実施することができます。試験の主要仮説は、MK-3475(ペムブロリズマブ)は、標準化学療法と比較し、全生存期間(OS)を延長するというものです。

疾患解説非小細胞肺がん

国立がん研究センターのがん統計によると2014年に肺がんに罹患した人は、約11万5000人です。男性は、50代くらいから増加し始め、70歳前後をピークに、その後は減少します。女性は、80代前半までは同様ですが、80代後半に再び増加します。

肺がんは、気管支や肺胞の細胞ががん化した悪性腫瘍で、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つの組織型に分けられます。非小細胞肺がんは、さらに扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんの3つに分類されます。このうち腺がんが肺がん全体の60%を占め、次いで扁平上皮がん、大細胞がんと小細胞肺がんの割合な少なくなります。

特に非小細胞肺がんでは特定の遺伝子変異にあわせた治療薬ができたことで、治療法も異なるため、組織型や遺伝子変異を見極めることが必要になっています。

治験薬ペムブロリズマブ

MK-3475(ペムブロリズマブ)は、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。

免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。

がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 測定可能病変を1つ以上もつ患者さん
  • 3か月以上の生存が見込まれる患者さん
  • 進行性または転移性非小細胞肺がんに対する全身化学療法の治療歴がない患者さん。術後補助療法として化学療法を受けている場合は、少なくとも転移性と診断される6か月前に完了している患者さん
  • ECOG Performance Statusが0または1の患者さん
  • 適切な臓器機能が保持された患者さん
  • 悪性腫瘍の既往歴がない患者さん。ただし、皮膚の基底細胞がん、表在性膀胱がん、皮膚の扁平上皮がん、または子宮頸部上皮内がんは除く。また、根治的治療により治療開始から5年間無再発の悪性腫瘍は除きます
  • ホルマリン固定腫瘍組織検体を提出できる患者さん。悪性腫瘍に対する全身療法を受ける前に採取した腫瘍組織検体は不可です
  • 組織学的または細胞学的に進行性または転移性の非小細胞肺がんと診断された患者さん
  • PD-L1発現陽性が確認された患者さん
  • 妊娠の可能性がある患者さんは、尿または血清妊娠検査を実施し、陰性でなければならず、スクリーニング時からMK-3475の最終投与後120日まで、および治験実施計画書に規定した化学療法の最終投与後180日まで、適切な二重避妊法を使用しなくてはなりません
  • 妊娠の可能性があるパートナーがいる男性患者さんは、スクリーニング時(来院1)からMK-3475の最終投与後120日まで、および治験実施計画書に規定した化学療法の最終投与後180日まで、適切な二重避妊法を使用しなくてはなりません
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:男女
対象とならない人
  • EGFR感受性遺伝子変異型、またはEML4/ALK遺伝子転座陽性の患者さん
  • 他の治験薬または医療機器を用いた臨床試験に参加している、または治験薬初回投与前30日以内に他の臨床試験に参加した患者さん
  • 中央判定機関により、腫瘍組織検体でPD-L1発現の評価ができない患者さん
  • 扁平上皮がん患者さんで、術後補助療法としてカルボプラチンおよびパクリタキセルの併用療法の投与歴がある患者さん
  • 治験薬初回投与前3日以内に全身性のステロイド療法を受けている患者さん、または他の免疫抑制剤による治療を受けている患者さん。ただし、連日投与によるステロイド補充療法は許容されます
  • 非小細胞肺がんに対して外科的切除または化学放射線療法による根治的治療の適応となる患者さん
  • 試験期間中、全身性または局所性の他の抗がん剤治療が必要であることが予測される患者さん
  • 全身性の細胞傷害性化学療法、生物学的療法または治験薬初回投与前3週間以内に大手術を受けた患者さん、もしくは治験薬初回投与前6か月以内に30Gyを超える放射線療法を受けた患者さんおよび7日以内に30Gy以下の緩和放射線療法を受けた患者さん
  • PD-1、PD-L1、PD-L2、CD137またはCTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球抗原4)を標的とした抗体薬の治療歴のある患者さん(イピリムマブやその他のT細胞補助刺激因子またはT細胞チェックポイント経路を標的とした抗体または薬剤を含む)。
  • 中枢神経系(CNS)への転移または癌性髄膜炎を合併している患者さん
  • 活動性の自己免疫疾患を合併している患者さん、または全身性のステロイド治療や免疫抑制剤を必要とする疾患のある患者さん
  • 同種組織/臓器の移植歴のある患者さん
  • 経口/静脈内投与のステロイド治療を必要とする間質性肺疾患の既往のある患者さん
  • 治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンを投与したまたは投与する予定の患者さん。ただし、生ワクチンを含まない季節性のインフルエンザワクチンは許容されます
  • 全身性の静脈内投与による治療を必要とする活動性の感染症のある患者さん
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)(HIV1/2抗体)の既往のある患者さん
  • 活動性のB型肝炎またはC型肝炎のある患者さん
  • 違法薬物を乱用している(遊び目的も含む)または物質乱用(アルコールを含む)の既往歴(1年以内)のある患者さん

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

全身状態(Performance Status)は、患者さんが自分で身のまわりのことをどこまでこなせるかを表す尺度です。ECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンス ステータス(ECOG PS)

ECOG Performance Statusは、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。

PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、日本国内では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールに基づき、行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで進められます。治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを正しく理解しましょう。

試験詳細

試験の名称PD-L1発現陽性の進行性又は転移性非小細胞肺癌の未治療患者を対象としたMK-3475とプラチナ製剤併用化学療法の全生存期間を比較する無作為化非盲検第III相試験(Keynote 042)
試験の概要本試験はPD-L1発現陽性の非小細胞肺癌患者をMK-3475の35コース投与又はプラチナ製剤併用化学療法(標準化学療法)(カルボプラチン+パクリタキセル又はカルボプラチン+ペメトレキセドを3週間間隔投与を4-6コース)に無作為化され治療を受ける。
非扁平上皮癌患者プラチナ製剤併用療法群は、4-6コース完了後ペメトレキセドの維持療法を実施することができる。
本試験の主要仮説は、MK-3475は、標準化学療法と比較し、OSを延長することである。
疾患名非小細胞肺癌
試験薬剤名MK-3475
用法・用量MK-3475、200mgを3週間間隔、35コースまで静脈内投与
対象薬剤名カルボプラチン+パクリタキセル(+ペメトレキセド;オプション)
用法・用量カルボプラチンAUC5又は6とパクリタキセル200mg/m^2をDay1から3週間間隔で最大6コース静脈内投与後、オプションでペメトレキセド500mg/m^2を静脈内投与(非扁平上皮癌のみ)
対象薬剤名カルボプラチン+ペメトレキセド(+ペメトレキセド;オプション)
用法・用量カルボプラチンAUC5又は6とペメトレキセド500mg/m^2をDay1から3週間間隔で最大6コース静脈内投与後、オプションでペメトレキセド500mg/m^2投与(非扁平上皮癌のみ)
試験のフェーズフェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン無作為化非盲検実薬対照試験
目標症例数1240
適格基準
  • 測定可能病変を1つ以上有する患者。
  • 3ヵ月以上の生存が見込まれる患者。
  • 進行性又は転移性非小細胞肺癌に対する全身化学療法の治療歴がない患者。術後補助療法として化学療法を受けている場合は、少なくとも転移性と診断される6ヵ月前に完了している患者。
  • ECOG Performance Statusが0又は1の患者。
  • 適切な臓器機能が保持された患者。
  • 悪性腫瘍の既往歴がない患者。ただし、皮膚の基底細胞癌、表在性膀胱癌、皮膚の扁平上皮癌、又は子宮頸部上皮内癌は除く。また、根治的治療により治療開始から5年間無再発の悪性腫瘍は除く。
  • ホルマリン固定腫瘍組織検体を提出できる患者。悪性腫瘍に対する全身療法を受ける前に採取した腫瘍組織検体は不可。
  • 組織学的又は細胞学的に進行性又は転移性の非小細胞肺癌と診断された患者。
  • PD-L1発現陽性が確認された患者。
  • 妊娠の可能性がある患者は、尿又は血清妊娠検査を実施し、陰性でなければならず、スクリーニング時からMK-3475の最終投与後120日まで、及び治験実施計画書に規定した化学療法の最終投与後180日まで、適切な二重避妊法を使用しなくてはならない。
  • 妊娠の可能性があるパートナーがいる男性患者は、スクリーニング時(来院1)からMK-3475の最終投与後120日まで、及び治験実施計画書に規定した化学療法の最終投与後180日まで、適切な二重避妊法を使用しなくてはならない。
  • 年齢:18歳以上 性別:両方
除外基準
  • EGFR感受性遺伝子変異型、又はEML4/ALK遺伝子転座陽性の患者。
  • 他の治験薬又は医療機器を用いた臨床試験に参加している、又は治験薬初回投与前30日以内に他の臨床試験に参加した患者。
  • 中央判定機関により、腫瘍組織検体でPD-L1発現の評価ができない患者。
  • 扁平上皮癌患者で、術後補助療法としてカルボプラチン及びパクリタキセルの併用療法の投与歴がある患者。
  • 治験薬初回投与前3日以内に全身性のステロイド療法を受けている患者、又は他の免疫抑制剤による治療を受けている患者。ただし、連日投与によるステロイド補充療法は許容される。
  • 非小細胞肺癌に対して外科的切除又は化学放射線療法による根治的治療の適応となる患者
  • 試験期間中、全身性又は局所性の他の抗がん剤治療が必要であることが予測される患者。
  • 全身性の細胞傷害性化学療法、生物学的療法又は治験薬初回投与前3週間以内に大手術を受けた患者、若しくは治験薬初回投与前6ヵ月以内に30Gyを超える放射線療法を受けた患者及び7日以内に30Gy以下の緩和放射線療法を受けた患者。
  • PD-1、PD-L1、PD-L2、CD137又はCTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球抗原4)を標的とした抗体薬の治療歴を有する患者(イピリムマブやその他のT細胞補助刺激因子又はT細胞チェックポイント経路を標的とした抗体又は薬剤を含む)。
  • 中枢神経系(CNS)への転移又は癌性髄膜炎を合併している患者。
  • 活動性の自己免疫疾患を合併している患者、又は全身性のステロイド治療や免疫抑制剤を必要とする疾患を有する患者。
  • 同種組織/臓器の移植歴を有する患者。
  • 経口/静脈内投与のステロイド治療を必要とする間質性肺疾患の既往を有する患者。
  • 治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンを投与した又は投与する予定の患者。ただし、生ワクチンを含まない季節性のインフルエンザワクチンは許容される。
  • 全身性の静脈内投与による治療を必要とする活動性の感染症を有する患者。
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)(HIV1/2抗体)の既往を有する患者。
  • 活動性のB型肝炎又はC型肝炎を有する患者。
  • 違法薬物を乱用している(遊び目的も含む)又は物質乱用(アルコールを含む)の既往歴(1年以内)を有する患者。
主要な評価項目全生存期間
主要な評価方法2.5年までの全生存期間を調査する。
副次的な評価項目無増悪生存期間
副次的な評価方法2.5年までの中央画像判定機関が評価した無増悪生存期間を調査する。
予定試験期間2014年10月~2019年7月

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより