未治療の転移性非小細胞肺がんを対象とするペムブロリズマブとシスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセドの治験

治験名

転移性非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除く)の未治療患者を対象に、MK-3475とシスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセドの併用投与をシスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセドと比較する無作為化二重盲検第III相試験(KEYNOTE-189)

治験概要

この治験は、転移性非小細胞肺がん(扁平上皮がんを除く)の未治療患者さんを対象に、MK-3475(ペムブロリズマブ)とシスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド、シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセドの有効性および安全性を検討する試験です。 患者さんは、MK-3475(ペムブロリズマブ)+ペメトレキセド+プラチナ製剤(治験担当医師選択のシスプラチンまたはカルボプラチン)の併用投与、または生理食塩水プラセボ+ペメトレキセド+プラチナ製剤(治験担当医師選択のシスプラチンまたはカルボプラチン)の併用投与のいずれかに無作為に割り付けられます。 主要な仮説は、MK-3475(ペムブロリズマブ)と化学療法の併用投与は、化学療法のみの投与と比較し、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を延長するというものです。

疾患解説非小細胞肺がん

国立がん研究センターのがん統計によると2014年に肺がんに罹患した人は、約11万5000人です。男性は、50代くらいから増加し始め、70歳前後をピークに、その後は減少します。女性は、80代前半までは同様ですが、80代後半に再び増加します。 肺がんは、気管支や肺胞の細胞ががん化した悪性腫瘍で、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つの組織型に分けられます。非小細胞肺がんは、さらに扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんの3つに分類されます。このうち腺がんが肺がん全体の60%を占め、次いで扁平上皮がん、大細胞がんと小細胞肺がんの割合な少なくなります。 特に非小細胞肺がんでは特定の遺伝子変異にあわせた治療薬ができたことで、治療法も異なるため、組織型や遺伝子変異を見極めることが必要になっています。

治験薬MK-3475(ペムブロリズマブ)

MK-3475(ペムブロリズマブ)は、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
    • 組織学的または細胞学的に非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)と診断され、IV期の病変を有する患者さん
    • EGFR阻害剤またはALK阻害剤の適応にならないことが確認された患者さん
    • 測定可能病変のある患者さん
    • 進行性または転移性非小細胞肺がんに対する全身療法の治療歴のない患者さん
    • 腫瘍組織検体を提出できる患者さん
    • 3か月以上の生存が見込まれる患者さん
    • ECOG PS が0または1の患者さん
    • 適切な臓器機能が保持された患者さん
    • 妊娠する可能性がある女性患者さんの場合は、治験期間中からペムブロリズマブの最終投与後120日または治験実施計画書に規定された化学療法の最終投与後180日まで、適切な避妊法を使用しなければなりません
・妊娠する可能性がある女性パートナーがいる男性患者さんの場合は、治験薬初回投与からペムブロリズマブの最終投与後120日または治験実施計画書に規定した化学療法の最終投与後180日まで、適切な避妊法を使用することに同意しなければなりません
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:男女
対象とならない人
  • 組織型が扁平上皮がん優位の非小細胞肺がん患者さん
  • 現在他の治験に参加し、治験薬の投与を受けている患者さん、または治験薬初回投与前4週間以内に治験薬の治験に参加し、治験薬の投与を受けたまたは医療機器を用いた臨床試験に参加し、医療機器を使用した患者さん
  • 治験薬初回投与前に: a)転移性疾患に対する全身性の細胞障害性化学療法を受けた患者さん b)抗腫瘍生物学的療法(例:エルロチニブ、クリゾチニブ、セツキシマブ)の投与を受けた患者さん c)大手術を受けた患者さん(初回投与前3週間以内)
  • 治験薬初回投与前6か月以内に30Gyを超える肺に対する放射線療法を受けた患者さん
  • 治験薬初回投与前7日以内に緩和放射線療法を完了した患者さん
  • 治験期間中に他の抗腫瘍療法が必要になると予測される患者さん
  • 治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンの接種を受けた患者さん
  • 臨床的に活動性の憩室炎、腹腔内膿瘍、消化管閉塞、腹部のがん腫症のある患者さん
  • 悪性腫瘍の既往歴のある患者さん。ただし、根治的治療により治療開始から5年間無再発の患者さんは除く。注:悪性腫瘍の5年間の無再発は、この治験への組み入れ対象の非小細胞肺がんは該当しない。また、外科的に治癒した皮膚の基底細胞がん、表在性膀胱がん、皮膚の扁平上皮がん、子宮頸部上皮内がん、または他の上皮内がんの場合も該当しません
  • 活動性の中枢神経系(CNS)への転移またはがん性髄膜炎を有する患者さん
  • 他のモノクローナル抗体(mAb)に対して重度過敏症反応の既往歴のある患者さん
  • シスプラチン、カルボプラチンまたはペメトレキセドの成分に対して過敏症のある患者さん
  • 過去2年以内に全身性の治療を要した活動性の自己免疫疾患をもつ患者さん
  • 慢性的に全身性のステロイドを使用している患者さん
  • アスピリンまたは他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(ただし、アスピリン1.3g/day以下の使用時は除く)を5日間(ピロキシカムなどの長時間作用型の薬剤では8日間)中断することができない患者さん
  • 葉酸またはビタミンB12補充療法を受けることができないまたは受けることを望まない患者さん
  • 他のPD-1、PD-L1、PD-L2を標的とした薬剤、または他の免疫制御受容体、メカニズムを標的とした抗体薬の治療歴のある患者さん。また、ペムブロリズマブの他の治験に参加し、ペムブロリズマブの投与を受けたことがある患者さん
  • 治療を必要とする活動性の感染症のある患者さん
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の既往歴のある患者さん
  • 活動性のB型またはC型肝炎のある患者さん
  • 治験の実施に影響を与える可能性があると判断された精神疾患または物質乱用障害のある患者さん
  • 同意取得時に違法薬物を乱用している(遊び目的も含む)または物質乱用(アルコールを含む)の既往歴(1年以内)のある患者さん
  • 症候性の腹水または胸水をもつ患者さん
  • 間質性肺疾患の合併または経口/静脈内投与のコルチコステロイド治療を必要とする肺臓炎の既往のある患者さん
  • 妊娠中の患者さん、授乳中の患者さん、または治験期間中に本人またはパートナーの妊娠を希望する患者さん

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

全身状態(Performance Status)は、患者さんが自分で身のまわりのことをどこまでこなせるかを表す尺度です。ECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンス ステータス(ECOG PS) ECOG Performance Statusは、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。
PS 0 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、日本国内では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールに基づき、行われています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで進められます。治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを正しく理解しましょう。

試験詳細

試験の名称 転移性非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除く)の未治療患者を対象に、MK-3475とシスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセドの併用投与をシスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセドと比較する無作為化二重盲検第III相試験(KEYNOTE-189)
試験の概要 本治験は転移性非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除く)の未治療患者を対象に、MK-3475とシスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド、シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセドの有効性及び安全性を検討する試験である。 患者はMK-3475+ペメトレキセド+プラチナ製剤(治験担当医師選択のシスプラチン又はカルボプラチン)の併用投与、又は生理食塩水プラセボ+ペメトレキセド+プラチナ製剤(治験担当医師選択のシスプラチン又はカルボプラチン)の併用投与のいずれかに無作為に割り付けられる。 主要仮説:MK-3475と化学療法の併用投与は、化学療法のみの投与と比較し、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を延長する。
疾患名 非小細胞肺癌
試験薬剤名 MK-3475
用法・用量 MK-3475:200mg静脈内投与、3週間間隔、シスプラチンまたはカルボプラチン;シスプラチン:75mg/m2静脈内投与、カルボプラチン:AUC5(Calvert式を使用する)静脈内投与、ペメトレキセド:500mg/m2静脈内投与
試験薬剤名 プラセボ
用法・用量 生理食塩水:200mg静脈内投与、3週間間隔、シスプラチンまたはカルボプラチン;シスプラチン:75mg/m2静脈内投与、カルボプラチン:AUC5(Calvert式を使用する)静脈内投与、ペメトレキセド:500mg/m2静脈内投与
試験のフェーズ フェーズ3/phase3
試験のデザイン 無作為化、二重盲検試験
目標症例数 646
適格基準
  • 組織学的又は細胞学的に非小細胞肺癌(非扁平上皮癌)と診断され、IV期の病変を有する患者。
  • EGFR阻害剤又はALK阻害剤の適応にならないことが確認された患者。
  • 測定可能病変を有する患者。
  • 進行性又は転移性非小細胞肺癌に対する全身療法の治療歴のない患者。
  • 腫瘍組織検体を提出できる患者。
  • 3ヵ月以上の生存が見込まれる患者。
  • ECOG PSが0又は1の患者。
  • 適切な臓器機能が保持された患者。
  • 妊娠する可能性がある女性患者の場合は、治験期間中からMK-3475の最終投与後120日又は治験実施計画書に規定された化学療法の最終投与後180日まで、適切な避妊法を使用しなければならない。
  • 妊娠する可能性がある女性パートナーがいる男性患者の場合は、治験薬初回投与からMK-3475の最終投与後120日又は治験実施計画書に規定した化学療法の最終投与後180日まで、適切な避妊法を使用することに同意しなければならない。
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
    • 組織型が扁平上皮癌優位の非小細胞肺癌患者。
    • 現在他の治験に参加し、治験薬の投与を受けている患者、又は治験薬初回投与前4週間以内に治験薬の治験に参加し、治験薬の投与を受けた又は医療機器を用いた臨床試験に参加し、医療機器を使用した患者。
    • 治験薬初回投与前に: a)転移性疾患に対する全身性の細胞障害性化学療法を受けた患者 b)抗腫瘍生物学的療法(例:エルロチニブ、クリゾチニブ、セツキシマブ)の投与を受けた患者 c)大手術を受けた患者(初回投与前3週間以内)
    • 治験薬初回投与前6ヵ月以内に30Gyを超える肺に対する放射線療法を受けた患者。
    • 治験薬初回投与前7日以内に緩和放射線療法を完了した患者
    • 治験期間中に他の抗腫瘍療法が必要になると予測される患者。
    • 治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンの接種を受けた患者。
    • 臨床的に活動性の憩室炎、腹腔内膿瘍、消化管閉塞、腹部の癌腫症を有する患者。
    • 悪性腫瘍の既往歴を有する患者。ただし、根治的治療により治療開始から5年間無再発の患者は除く。注:悪性腫瘍の5年間の無再発は、本治験への組み入れ対象の非小細胞肺癌は該当しない。また、外科的に治癒した皮膚の基底細胞癌、表在性膀胱癌、皮膚の扁平上皮癌、子宮頸部
上皮内癌、又は他の上皮内癌の場合も該当しない。
  • 活動性の中枢神経系(CNS)への転移又は癌性髄膜炎を有する患者。
  • 他のモノクローナル抗体(mAb)に対して重度過敏症反応の既往歴を有する患者。
  • シスプラチン、カルボプラチン又はペメトレキセドの成分に対して過敏症を有する患者。
  • 過去2年以内に全身性の治療を要した活動性の自己免疫疾患を有する患者。
  • 慢性的に全身性のステロイドを使用している患者。
  • アスピリン又は他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(ただし、アスピリン1.3g/day以下の使用時は除く)を5日間(ピロキシカムなどの長時間作用型の薬剤では8日間)中断することができない患者。
  • 葉酸又はビタミンB12補充療法を受けることができない又は受けることを望まない患者。
  • 他のPD-1、PD-L1、PD-L2を標的とした薬剤、又は他の免疫制御受容体、メカニズムを標的とした抗体薬の治療歴を有する患者。また、MK-3475の他の治験に参加し、MK-3475の投与を受けたことがある患者。
  • 治療を必要とする活動性の感染症を有する患者。
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の既往歴を有する患者。
  • 活動性のB型又はC型肝炎を有する患者。
  • 治験の実施に影響を与える可能性があると判断された精神疾患又は物質乱用障害を有する患者。
  • 同意取得時に違法薬物を乱用している(遊び目的も含む)又は物質乱用(アルコールを含む)の既往歴(1年以内)を有する患者。
  • 症候性の腹水又は胸水を有する患者。
  • 間質性肺疾患の合併又は経口/静脈内投与のコルチコステロイド治療を必要とする肺臓炎の既往を有する患者。
  • 妊娠中の患者、授乳中の患者、又は治験期間中に本人又はパートナーの妊娠を希望する患者。
主要な評価項目 無増悪生存期間(PFS)
主要な評価方法 RECIST 1.1に基づき治験開始から24ヶ月までの無増悪生存期間(PFS)を調査する
主要な評価項目 全生存期間(OS)
主要な評価方法 治験開始から24ヶ月までの全生存期間(OS)を調査する
副次的な評価項目 奏効率(ORR)
副次的な評価方法 RECIST 1.1に基づき治験開始から最大24ヶ月までの奏効率(ORR)を調査する
副次的な評価項目 奏効期間(DOR)
副次的な評価方法 RECIST 1.1に基づき治験開始から最大24ヶ月までの(DOR)を調査する
副次的な評価項目 安全性および忍容性
副次的な評価方法
  • 最大27ヶ月までのAEの発現例数を調査する
  • 最大24ヶ月までのAEによる中止例数を調査する
予定試験期間 2016年1月1日~2020年1月1日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより