PD-L1発現進行非小細胞肺がんに対するM7824の治験

治験名

PD-L1発現進行非小細胞肺がん患者を対象に、1次治療としてM7824をペムブロリズマブと比較する第2相、多施設共同、無作為化、非盲検、比較対照試験

治験概要:

PD-L1高発現の進行非小細胞肺がんに対する治験。ステージ4に対する全身療法を受けたことがない患者さんが対象です。 M7824とペムブロリズマブを比較して、有効性、安全性、薬物動態、薬力学などで評価する臨床試験です。 登録予定数は、300人。 フェーズは、2相臨床試験。 試験デザインは、無作為、並行群間比較 、非盲検。 試験群:M7824 対照群:ペムブロリズマブ 最良総合評価、無増悪生存期間、全生存期間、奏功期間、薬物動態、薬力学などで評価します。

疾患解説:非小細胞肺がん

国立がん研究センターのがん統計によると2014年に肺がんに罹患した人は、約11万5000人です。男性は、50代くらいから増加し始め、70歳前後をピークに、その後は減少します。女性は、80代前半までは同様ですが、80代後半に再び増加します。 肺がんは、気管支や肺胞の細胞ががん化した悪性腫瘍で、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つの組織型に分けられます。非小細胞肺がんは、さらに扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんの3つに分類されます。このうち腺がんが肺がん全体の60%を占め、次いで扁平上皮がん、大細胞がんと小細胞肺がんの割合な少なくなります。 特に非小細胞肺がんでは特定の遺伝子変異にあわせた治療薬ができたことで、治療法も異なるため、組織型や遺伝子変異を見極めることが必要になっています。

治験薬:M7824

M7824は、TGF-βtrapと抗PD-L1という2つの免疫療法を融合させた薬剤です。 TGF-βは、細胞から放出されるサイトカインの一種で、さまざまな作用により抗腫瘍免疫応答を阻害し、がん細胞の増殖や転移に抑制がきかない状態にします。 M7824は、このTGF-βtrapという作用で、免疫応答の阻害を抑制します。さらに、がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合を阻害する抗PD-L1作用で、免疫応答の抑制も阻害します。

対照薬:ペムブロリズマブ

ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 過去に進行非小細胞肺がんの確定診断を受けたことがある
  • 進行/ステージ4の非小細胞肺がんに対する全身療法をこれまで受けたことがない。ネオアジュバント/アジュバント療法の一環として、化学療法、生物学的療法、または放射線による治療を完了した場合は、転移性疾患が診断される6か月以上前に完了した場合に限り、組入れ可。過去に受けたネオアジュバント/アジュバント化学療法による毒性が、グレード1以下に回復していることが確認され、放射線毒性または過去の大手術の場合、患者の副作用または合併症が回復している
  • 測定可能病変がある
  • 3か月以上の生存が見込まれる
  • 登録前にPD-L1発現レベルを特定するため、保存腫瘍検体または初回投与前28日以内に新たに採取した生検検体が利用可能である
  • PD-L1発現が高レベルであることが、検査で特定されている
  • その他の適格基準を満たしている
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • EGFR変異、ALK転座、ROS1再構成、またはBRAF V600E変異がある腫瘍を持つ患者
  • 治験薬の初回投与前4週間以内に大手術を受けた患者、および治験薬の初回投与前6か月以内に30Gyを超える胸部RTを受けた患者
  • 治験薬またはこれら製剤中の成分に対する既知の重度の過敏症反応がある患者
  • 過去3年以内の悪性疾患の既往歴がある患者
  • その他の除外基準に該当しない

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。 ※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称 PD-L1発現進行非小細胞肺癌患者を対象に、1次治療としてM7824をペムブロリズマブと比較する第2相、多施設共同、無作為化、非盲検、比較対照試験
試験の概要 PD-L1高発現の進行NSCLC被験者に対する1次治療として、M7824の単剤投与をペムブロリズマブと比較して評価する
疾患名 非小細胞肺癌
試験薬剤名 M7824
用法・用量 試験のDay1から病勢進行までの期間、M7824を1回当たり1200mg、2週ごとに静脈内投与する
対照薬剤名 ペムブロリズマブ
用法・用量 試験のDay1から病勢進行までの期間、ペムブロリズマブを1回当たり200mg、3週ごとに静脈内投与する
試験のフェーズ フェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン 割り付け:無作為 介入モデル:並行群間比較 盲検化:なし(非盲検) 主要目的:治療
目標症例数 300
適格基準
  • 過去に進行NSCLCの確定診断を受けたことがある
  • 進行/ステージIVのNSCLCに対する全身療法をこれまで受けたことがない。ネオアジュバント/アジュバント療法の一環として、化学療法、生物学的療法、または放射線による治療を完了した場合は、転移性疾患が診断される6ヵ月以上前に完了した場合に限り、組入れ可とする。過去に受けたネオアジュバント/アジュバント化学療法による毒性が、グレード1以下に回復していることが確認されている。放射線毒性または過去の大手術の場合、患者の副作用または合併症が回復している
  • RECIST第1.1版に基づく測定可能病変を有する
  • 3ヵ月以上の生存が見込まれる
  • 登録前にPD-L1発現レベルを特定するため、保存腫瘍検体(採取後6ヵ月未満)または初回投与前28日以内に新たに採取した生検検体(骨生検を除く)が利用可能である
  • PD-L1発現が高レベルであることが、中央検査機関によるPD-L1検査またはPD-L1 IHC 22C3 pharmDxアッセイを用いた過去の検査により特定されている
  • その他の適格基準を満たしている
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 上皮成長因子受容体(EGFR)感作(活性化)変異、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)転座、ROS1再構成、またはBRAF V600E変異を有する腫瘍を持つ患者(標的療法が国内で承認されている場合)
  • 治験薬の初回投与前4週間以内に大手術を受けた患者、及び治験薬の初回投与前6ヵ月以内に30 Gyを超える胸部RTを受けた患者
  • 治験薬(M7824またはペムブロシズマブ)またはこれら製剤中の成分に対する既知の重度の過敏症反応を有する患者
  • 過去3年以内の(本治験の対象となる癌以外の)悪性疾患の既往歴を有する患者
  • その他の除外基準に該当しない
主要な評価項目 有効性 / efficacy
主要な評価方法 がん臨床試験の治療効果判定ガイドライン(RECIST 第1.1版)に基づき独立判定委員会が判定した最良総合評価(BOR)[期間:無作為化から、未確定BORの予定された最終評価までの期間、26ヵ月時点と予測される。] がん臨床試験の治療効果判定ガイドライン(RECIST 第1.1版)に基づき独立判定委員会が判定した無増悪生存期間(PFS)[期間:無作為化から、予定されたPFSの最終評価までの期間、37ヵ月時点と予測される。]
副次的な評価項目 安全性 / safety 有効性 / efficacy 薬物動態 / pharmacokinetics 薬力学 / pharmacodynamics
副次的な評価方法 米国国立がん研究所‐有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)第5.0版に基づく治験治療下で発現した有害事象(TEAE)及び治験薬と関連ありと判定されたAEの発現。[期間:無作為化から最終安全性追跡調査来院まで、約47ヵ月時点と予測される。] 全生存(OS)[期間:無作為化から最長49ヵ月時点まで] がん臨床試験の治療効果判定ガイドライン(RECIST 第1.1版)に基づき治験責任医師が判定した最良総合評価(BOR)[期間:無作為化から、未確定BORの予定された最終評価までの期間、26ヵ月時点と予測される。] がん臨床試験の治療効果判定ガイドライン(RECIST 第1.1版)に基づき治験責任医師が判定した無増悪生存期間(PFS)[期間:無作為化から、予定されたPFSの最終評価までの期間、37ヵ月時点と予測される。] がん臨床試験の治療効果判定ガイドライン(RECIST 第1.1版)に基づき独立判定委員会が判定した完全奏効(CR)または部分奏効(PR)からの奏効期間[期間:CRまたはPRから、予定評価項目までの期間、37ヵ月時点と予測される。] M7284の投与終了時濃度(Ceoi)[期間:投与期間中のWeek 1、3、5、7及び以降6週ごとの投与前検体、並びに投与期間中の6週ごとの、投与後30分以内の検体及び治験安全性追跡調査来院時まで(治験薬最終投与後の28日時点まで、最長47ヵ月時点まで評価する。)] M7284の投与間隔終了時濃度(C trough)[期間:投与期間中のWeek 1、3、5、7及び以降6週ごとの投与前検体、並びに投与期間中の6週ごとの、投与後30分以内の検体及び治験安全性追跡調査来院時まで(治験薬最終投与後の28日時点まで、最長47ヵ月時点まで評価する。)] 抗薬物抗体濃度で測定した免疫原性[期間:無作為化から治験安全性追跡調査来院までの期間(治験薬最終投与の28日後まで、最長47ヵ月時点まで評価する。)]
予定試験期間 2018年10月19日~2021年10月31日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより