MET変異陽性ステージ3B/4の非小細胞肺がんに対するテポチニブの治験

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治験名

VISION

METエクソン14スキッピング変異またはMET増幅がある進行(3B/4期)非小細胞肺がん患者を対象としたテポチニブの第2相単群臨床試験

治験概要:

METエクソン14スキッピング変異またはMET増幅がある非小細胞肺がんに対する治験。ステージ3Bまたは4の患者さんが対象です。 21日間を1サイクルとしてテポチニブ500mgを1日1回単剤投与して有効性、安全性、薬物動態などで評価する臨床試験です。 登録予定数は、120人。 フェーズは、2相臨床試験。 試験デザインは、単群、非盲検試験。 試験群:テポチニブ 客観的奏効率、奏功期間、客観的病勢コントロール率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性情報、QOL、薬物動態などで評価します。

疾患解説:非小細胞肺がん

国立がん研究センターのがん統計によると2014年に肺がんに罹患した人は、約11万5000人です。男性は、50代くらいから増加し始め、70歳前後をピークに、その後は減少します。女性は、80代前半までは同様ですが、80代後半に再び増加します。 肺がんは、気管支や肺胞の細胞ががん化した悪性腫瘍で、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2つの組織型に分けられます。非小細胞肺がんは、さらに扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんの3つに分類されます。このうち腺がんが肺がん全体の60%を占め、次いで扁平上皮がん、大細胞がんと小細胞肺がんの割合な少なくなります。 特に非小細胞肺がんでは特定の遺伝子変異にあわせた治療薬ができたことで、治療法も異なるため、組織型や遺伝子変異を見極めることが必要になっています。

治験薬:テポチニブ

テポチニブは、c-MET遺伝子を選択的に阻害する分子標的薬です。 MET遺伝子は、肝細胞増殖因子(HGF)と結合する受容体チロシンキナーゼで、がん細胞で過剰発現がみられるがん遺伝子の1つです。 MET遺伝子とHGFが結合すると、細胞増殖や運動性を増加させるシグナルを活性化し、腫瘍の形成や悪性化に関連があると考えられています。 テポチニブは、c-MET遺伝子を阻害することで、HGFとの結合を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。

主な治験参加条件

対象となる人
  • ステージ3B/4期の非小細胞肺がん患者
  • 未治療で1次治療として治験治療を受ける患者、または治療歴が2次治療以下の患者適切な検査法により、血漿および/または組織検体でMETex14スキッピング変異陽性と判定された患者
  • 適切な検査法により、LBx陽性によって、血漿検体でのMET増幅のみが陽性と判定された患者
  • LBxの結果で選定された12例を対象とする中間解析結果に基づき、適切な検査法により、TBx検査陽性によって、組織検体でのMET増幅のみが陽性と判定され、MET GCN増加が4以上の患者
  • 本治験のスクリーニング手順前に同意文書に署名した患者
  • 18歳以上の男性または女性
  • 測定可能病変がある患者
  • 全身状態(Performance Status:PS )0~1
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 活動性の脳転移病変がある患者。脳転移に対する前治療は、治験薬の初回投与より4週間以上前に完了していなければならない。薬物相互作用リスクの低い抗痙攣薬による対症療法により神経学的に安定している患者、またはステロイドの用量を漸減中の患者は本治験への参加に適格。未治療で無症候性の脳転移病変も1cm以下であれば適格
  • 過去に受けた抗癌療法で生じた毒性が、米国国立がん研究所の有害事象共通用語規準のグレード2以上から回復していない患者
  • 治験薬の初回投与前14日以内に輸血を必要とした患者
  • 抗EGFR療法に対する感受性を予測するEGFR活性変異の特性がある患者
  • 抗ALK療法に対する感受性を予測するALK再構成の特性がある患者
  • 治験薬の初回投与前21日以内に化学療法、生物学的療法、放射線療法、抗癌治療目的のホルモン療法、標的治療薬の投与、またはその他研究中の抗癌療法を受けた患者
  • 血液学的機能、肝機能、腎機能、心機能が不十分な患者
  • HGF/c-Metシグナル伝達経路を標的とした他の薬剤による前治療を受けた患者
  • 非小細胞肺がん以外の悪性新生物の病歴。ただし、根治的治療を受けた黒色腫以外の皮膚がん、子宮頚部上皮内がん、または根治的な治療を受けて5年以上疾患のエビデンスがない癌の病歴は例外とする

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータス  
PS 0 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない 100 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80 かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある 40 動けず、適切な医療および看護が必要
30 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10 死期が切迫している
0
WHO パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
0 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5 死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※ここに掲載した多くの情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。

試験概要詳細

試験の名称 METエクソン14 スキッピング変異又はMET増幅を有する進行(IIIB/IV期)非小細胞肺癌患者を対象としたtepotinibの第II相単群臨床試験(VISION)
試験の概要 この研究では、試験薬(テポチニブ)が肺癌の増殖および拡散をどの程度効果的に止めるかについて検討する予定である。また、この研究では、治験薬の安全性や副作用、身体がどのように治験薬を処理するか、治験薬が生活の質にどのように影響するかなど多くのことを測定する。 研究には、任意の薬理遺伝学的研究もあり、これはヒトの病気における遺伝学の役割を理解するために重要な方法である 遺伝子の違いがある人が特定の薬剤に反応する方法を変えることができるため、遺伝子は薬物の有効性に影響する
疾患名 進行(IIIB/IV期)非小細胞肺癌患者
試験薬剤名 tepotinib
用法・用量 21日間を1サイクルとしてTepotinib 500mgを1日1回単剤投与される
対照薬剤名
用法・用量
試験のフェーズ フェーズ2(第2相臨床試験)
試験のデザイン 評価項目の分類:有効性試験 介入モデル:単群 盲検化:非盲検 主要目的:治療
目標症例数 120
適格基準
  • 組織診により確定診断された進行(IIIB/IV期)NSCLC患者(扁平上皮癌及び肉腫様癌を含むすべての組織学的サブタイプ)
  • <li未治療で一次治療として治験治療を受ける患者、又は治療歴が二次治療以下の患者
  • 中央検査機関又は規制当局の基準を満たす適切な検査法により、血漿及び/又は組織検体でMETex14スキッピング変異陽性と判定された患者。このような患者では、追加検査のために十分な腫瘍組織及び/又は血漿の検体が要求される
  • 中央検査機関又は規制当局の基準を満たす適切な検査法により、LBx陽性によって、血漿検体でのMET増幅のみが陽性と判定された患者
  • LBxの結果にて選定された12例を対象とする中間解析結果に基づき、中央検査機関又は規制当局の基準を満たす適切な検査法により、TBx検査陽性によって、組織検体でのMET増幅のみが陽性と判定され、MET GCN増加が4以上である患者
  • 本治験のスクリーニング手順前に同意文書に署名した(又は代諾者が署名した)患者
  • 18歳以上の男性又は女性(又は自国の法規制で定められる成人年齢が18歳を超える場合には、当該年齢に達している男性又は女性)
  • RECIST第1.1版に基づく測定可能病変を有する患者
  • ECOG PSが0又は1の患者
  • 年齢:20歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 活動性の脳転移病変を有する患者(活動性の脳転移病変とは、神経学的安定が4週間未満である、及び/又は症候性である、及び/又はステロイドの投与を必要とする、及び/又は軟膜・髄膜疾患と定義する)。脳転移に対する前治療は、治験薬の初回投与より4週間以上前(定位放射線手術/ガンマナイフ療法は2週間以上前)に完了していなければならない。薬物相互作用リスクの低い抗痙攣薬による対症療法により神経学的に安定している患者、又はステロイドの用量を漸減中の患者は本治験への参加に適格とする。未治療で無症候性の脳転移病変も1cm以下であれば適格とする
  • 過去に受けた抗癌療法で生じた毒性が、米国国立がん研究所の有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)Version 4.03のGrade2以上から回復していない患者
  • 治験薬の初回投与前14日以内に輸血を必要とした患者
  • 抗EGFR療法に対する感受性を予測するEGFR活性変異の特性を有する患者
  • 抗ALK療法に対する感受性を予測するALK再構成の特性を有する患者
  • 治験薬の初回投与前21日以内に化学療法、生物学的療法、放射線療法、抗癌治療目的のホルモン療法、標的治療薬の投与、又はその他研究中の抗癌療法(局所への緩和的放射線療法を除く)を受けた患者
  • 血液学的機能、肝機能、腎機能、心機能が不十分な患者
  • HGF/c-Metシグナル伝達経路を標的とした他の薬剤による前治療を受けた患者
  • 非小細胞肺癌(NSCLC)以外の悪性新生物の病歴。ただし、根治的治療を受けた黒色腫以外の皮膚癌、子宮頚部上皮内癌、又は根治的な治療を受けて5年以上疾患のエビデンスがない癌の病歴は例外とする
主要な評価項目 有効性 / efficacy
主要な評価方法 RECIST(固形がんの治療効果判定規準)第1.1版及び独立判定委員会の判定に基づき、客観的奏効を決定する。客観的奏効は、治験薬の初回投与から最初に進行(PD)が確認されるまでの間に確定されたCR又はPRと定義する。CR:全ての標的病変及び非標的病変が消失。PR:ベースラインと比較して全ての病変の最長径の和(SLD)が30%以上縮小。PDは、ベースライン以降に記録された最小のSLDと比較してSLDが20%以上増加又は1以上の新規病変と定義する
副次的な評価項目 安全性 / safety 有効性 / efficacy 薬物動態 / pharmacokinetics
副次的な評価方法 治験責任医師の評価による客観的奏効 奏効期間 客観的病勢コントロール 無増悪生存期間 全生存期間 安全性情報 QOL(EORTC QLQ-C30、EORTC QLQ-LC13、EQ5D5L) 薬物動態
予定試験期間 2016年9月2日~2020年2月2日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより