ステージ3/4悪性黒色腫に対するBMS-986205+ニボルマブ併用の治験

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治験名

未治療の転移性または切除不能悪性黒色腫患者を対象としてBMS-986205とニボルマブとの併用投与をニボルマブ単剤投与と比較する無作為化二重盲検第3相試験

治験概要:

未治療の転移性または切除不能の悪性黒色腫に対する治験。ステージ3または4の患者さんが対象です。
BMS-986205+ニボルマブ併用とニボルマブ単剤を比較して、無増悪生存期間、奏効率、全生存期間、安全性、忍容性などで評価する臨床試験です。
登録予定数は、700人。
フェーズは、3相臨床試験。
試験デザインは、無作為化二重盲検試験。
試験群:ニボルマブ+BMS-986205
対照群:ニボルマブ+プラセボ
無増悪生存期間、奏効率、全生存期間、安全性、忍容性などで評価します。

疾患解説:悪性黒色腫

国立がん研究センターのがん統計によると2017年に皮膚がんに罹患した人は、約1600人です。悪性黒色腫は、皮膚がんの一種で、メラニン色素を作るメラノサイトががん化したもので、白人に多く、日本人では10万人あたり1~2人といわれています。男女差はなく、男女ともに60歳くらいから高齢になるに従い増加傾向にあります。
紫外線、外的刺激などが誘因といわれますが、はっきりとした発症原因は不明です。
悪性黒色腫の早期症状には、非対称性、輪郭がギザギザしている、色むら、長径が6mm以上、色・形・症状が変化しているという5つの特徴があります。
見た目や顕微鏡による観察、予後の観点から悪性黒子型、表在拡大型、結節型、末端黒子型の4つの病型に分類されます。このうち、悪性黒子型は高齢者多く、日本人にもっと多いのが末端黒子型で、白人に多い表在拡大型も近年日本人にも増加しています。

治験薬:BMS-986205

BMS-986205は、IDO1阻害薬という種類のお薬です。
インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)は、免疫反応を調節する主要な免疫抑制酵素です。免疫監視機構を回避することにより、腫瘍の増殖を促します。BMS-986205はこのIDO1を阻害する開発中のお薬で、強力かつ選択的にIDO1を阻害します。

治験薬:ニボルマブ

ニボルマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • 全身状態(performance status:PS)が0または1の患者
  • ステージ3または4の悪性黒色腫
  • 未治療の患者
  • 測定可能な病変がある患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 活動性脳転移または軟髄膜転移
  • ぶどう膜または眼内黒色腫
  • 活動性の自己免疫疾患を合併しているまたはその疑いがある患者
  • 過去3 年以内の活動性悪性腫瘍(ただし、治癒したと判断される局所的に根治可能ながんを除く)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス  
PS 0 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない 100 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80 かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある 40 動けず、適切な医療および看護が必要
30 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10 死期が切迫している
0
WHO パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
0 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5 死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

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試験概要詳細

試験の名称 未治療の転移性又は切除不能悪性黒色腫患者を対象としてBMS-986205とニボルマブとの併用投与をニボルマブ単剤投与と比較する無作為化二重盲検第3相試験
試験の概要 未治療の転移性又は切除不能悪性黒色腫患者を対象として、ニボルマブ単剤投与と比較したBMS-986205 とニボルマブとの併用投与の有効性を検討する
疾患名 悪性黒色腫
試験薬剤名 BMS-986205
用法・用量 経口投与
試験薬剤名 ニボルマブ
用法・用量 静脈内投与
対照薬剤名 ニボルマブ
用法・用量 静脈内投与
試験薬剤名 プラセボ
用法・用量 経口投与
試験のフェーズ フェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン 無作為化二重盲検試験
目標症例数 700
適格基準
  • 18歳以上の男女
  • Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)performance statusが0又は1の患者
  • American Joint Committee on Cancer (AJCC) Staging Manual(第8 版)に従い組織学的に確認されたステージ3(切除不能)又はステージ4 の悪性黒色腫
  • 未治療(すなわち、切除不能又は転移性悪性黒色腫に対する全身抗がん療法歴がない)の患者
  • RECIST v1.1 基準に基づき、測定可能な病変を有する患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 活動性脳転移又は軟髄膜転移
  • ぶどう膜又は眼内黒色腫
  • 活動性の自己免疫疾患を合併しているまたはその疑いがある患者
  • 過去3 年以内の活動性悪性腫瘍(ただし、治癒したと判断される局所的に根治可能ながんを除く)
主要な評価項目 無増悪生存期間(PFS)
主要な評価方法
副次的な評価項目 奏効率(ORR)
全生存期間(OS)
全般的な安全性及び忍容性
副次的な評価方法
予定試験期間 2017年11月1日~2022年11月1日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより