ステージ3の悪性黒色腫に対するペムブロリズマブの治験

治験名

完全切除後の再発リスクが高いステージ3の悪性黒色腫患者に対する術後補助免疫療法としてのペムブロリズマブとプラセボを比較する無作為化二重盲検第3相試験

治験概要:

完全切除後の再発リスクが高い悪性黒色腫に対する治験。ステージ3の患者さんが対象です。 ペムブロリズマブとプラセボを比較して、術後補助療法として無再発生存期間、無遠隔転移生存期間、全生存期間などで評価する臨床試験です。 登録予定数は、900人。 フェーズは、3相臨床試験。 試験デザインは、二重盲検プラセボ対照無作為化試験。 試験群:ペムブロリズマブ 対照群:プラセボ 無再発生存期間、無遠隔転移生存期間、全生存期間などで評価します。

疾患解説:悪性黒色腫

国立がん研究センターのがん統計によると2017年に皮膚がんに罹患した人は、約1600人です。悪性黒色腫は、皮膚がんの一種で、メラニン色素を作るメラノサイトががん化したもので、白人に多く、日本人では10万人あたり1~2人といわれています。男女差はなく、男女ともに60歳くらいから高齢になるに従い増加傾向にあります。 紫外線、外的刺激などが誘因といわれますが、はっきりとした発症原因は不明です。 悪性黒色腫の早期症状には、非対称性、輪郭がギザギザしている、色むら、長径が6mm以上、色・形・症状が変化しているという5つの特徴があります。 見た目や顕微鏡による観察、予後の観点から悪性黒子型、表在拡大型、結節型、末端黒子型の4つの病型に分類されます。このうち、悪性黒子型は高齢者多く、日本人にもっと多いのが末端黒子型で、白人に多い表在拡大型も近年日本人にも増加しています。

治験薬:ペムブロリズマブ

ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。 免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。 がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • リンパ節転移したステージ3の悪性黒色腫が完全切除されており、転移1mm超のステージ3A、すべてのステージ3Bまたはステージ3Cと分類されている患者
  • PD-L1発現の評価のため、腫瘍検体を送付することができる患者
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0または1の患者
  • 適切な臓器機能がある患者
  • 悪性黒色腫の原発巣の手術を除く悪性黒色腫の前治療がない患者
  • 妊娠可能な女性患者は、治験薬投与期間中および治験薬最終投与後の120日間、治験担当医師が規定した適切な避妊法を使用する必要があり、これに同意できる患者
  • 生殖可能な男性患者は、治験薬投与期間中および治験薬最終投与後の120日間、治験担当医師が規定した適切な避妊法を使用する必要があり、これに同意できる患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 粘膜または眼の悪性黒色腫がある患者
  • ステロイド投与を要する肺臓炎の既往歴がある患者
  • 間質性肺疾患の既往歴がある患者
  • 別のがんの既往歴または併発するがんがある患者。ただし、5年間に無病であった患者または完全切除された非悪性黒色腫皮膚がんもしくは治療に成功した子宮頸上皮内がんなどの上皮内がんの既往歴がある患者は適格とみなす
  • 過去2年間に全身治療を要する活動性自己免疫疾患がある患者
  • 治療を要する活動性感染がある患者
  • 甲状腺機能亢進症または甲状腺機能低下症がある患者
  • 免疫不全と診断された患者
  • 治験薬初回投与前の7日以内に全身ステロイド療法またはその他何らかの免疫抑制療法を受けた患者
  • ヒト免疫不全ウイルス、活動性B型肝炎またはC型肝炎の既知の既往歴のある患者
  • 治験薬初回投与前の30日以内に生ワクチン接種を受けた患者
  • 何らかの抗CTLA4モノクローナル抗体または抗PD-1薬、抗PD-L1薬または抗PD-L2薬による前治療を受けた、もしくは他のペムブロリズマブ試験に参加した患者
  • 現在治験に参加して治験薬投与を受けている、治験薬初回投与前の4週以内に治験薬の試験に参加している、治験薬投与を受けている、または治験機器を使用している患者
  • 治験薬初回投与前および治験薬最終投与後の120日間に、妊娠中または授乳中の患者、妊娠を希望する女性患者、またはパートナーに妊娠を希望する男性患者
  • 患者が、本治験に直接従事する治験実施医療機関または治験依頼者のスタッフである場合、またはその近親者である場合は適格でないが、事前のIRB承認から特定の患者についてこの基準の例外とすることが許可された場合はこの限りでない

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。 ECOG パフォーマンスステータス  
PS 0 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない 100 正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90 軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80 かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある 40 動けず、適切な医療および看護が必要
30 全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10 死期が切迫している
0
WHO パフォーマンスステータス  
スコア 患者の状態
0 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2 歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5 死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。 治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。 治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。 がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと ※多くの情報は、出典であるJAPIC-CTIUMIN-CTRに情報がある場合はそこから、転載しています。 ※ここに掲載した情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。そのため、すべて情報を網羅しているものでも、情報に誤りがある場合もあります。

試験概要詳細

試験の名称 完全切除後の再発リスクが高いステージIIIの悪性黒色腫患者に対する術後補助免疫療法としてのMK-3475(Pembrolizumab)とプラセボを比較する無作為化二重盲検第III相試験(EORTC Melanoma Group)
試験の概要 本試験はステージIIIA(転移1mm超)、ステージIIIB及びステージIIICの悪性黒色腫の完全切除を受けた高リスク患者を対象に、pembrolizumabを用いた術後アジュバント療法が無再発生存期間(RFS)の改善をもたらすかどうかをプラセボと比較し、評価するものである。また、本試験はPD-L1陽性腫瘍の発現が認められた患者の部分集団に、pembrolizumabが無再発生存期間の改善をもたらすかどうかをプラセボと比較し、評価する。患者 は疾患の病期及び地域によって層別され、pembrolizumabもしくはプラセボが無作為に割り付けられる
疾患名 悪性黒色腫
試験薬剤名 MK-3475
用法・用量 200mg 3週間間隔 静脈内投与
対照薬剤名 プラセボ
用法・用量 3週間間隔 静脈内投与
試験のフェーズ フェーズ3(第3相臨床試験)
試験のデザイン 二重盲検プラセボ対照無作為化試験
目標症例数 900
適格基準
  • リンパ節転移した組織学的に確認されたステージIII皮膚悪性黒色腫が完全切除されており、転移1mm超のステージIIIA、すべてのステージIIIB又はステージIIICと分類されている患者
  • PD-L1発現の評価のため、腫瘍検体を送付することができる患者
  • ECOGパフォーマンスステータスが0又は1の患者
  • 適切な臓器機能を有している患者
  • 悪性黒色腫の原発巣の手術を除く悪性黒色腫の前治療がない(又は悪性黒色腫の原発巣に対するIFN投与を受けたことがあり、リンパ節転移のエビデンスが認められなかった)患者
  • 妊娠可能な女性患者は、治験薬投与期間中及び治験薬最終投与後の120日間、治験担当医師が規定した適切な避妊法(外科的に不妊術を受けた、異性間性交渉をしない等)を使用する必要があり、これに同意できる患者
  • 生殖可能な男性患者は、治験薬投与期間中及び治験薬最終投与後の120日間、治験担当医師が規定した適切な避妊法を使用する必要があり、これに同意できる患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 粘膜又は眼の悪性黒色腫を有している患者
  • ステロイド投与を要する肺臓炎の既往歴がある患者
  • 間質性肺疾患の既往歴がある患者
  • 別のがんの既往歴又は併発するがんがある患者。ただし、5年間に無病であった患者又は完全切除された非悪性黒色腫皮膚がん若しくは治療に成功した子宮頸上皮内がんなどの上皮内がんの既往歴を有する患者は適格とみなす
  • 過去2年間に全身治療(疾患修飾薬、副腎皮質ステロイド又は免疫抑制薬の使用)を要する活動性自己免疫疾患がある患者
  • 治療を要する活動性感染を有する患者
  • 甲状腺機能亢進症又は甲状腺機能低下症を有する患者
  • 免疫不全と診断された患者
  • 治験薬初回投与前の7日以内に全身ステロイド療法又はその他何らかの免疫抑制療法を受けた患者
  • ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、活動性B型肝炎又はC型肝炎の既知の既往歴のある患者
  • 治験薬初回投与前の30日以内に生ワクチン接種を受けた患者
  • 何らかの抗CTLA4モノクローナル抗体又は抗PD-1薬、抗PD-L1薬又は抗PD-L2薬による前治療を受けた、もしくは他のMK-3475試験に参加した患者
  • 現在治験に参加して治験薬投与を受けている、治験薬初回投与前の4週以内に治験薬の試験に参加している、治験薬投与を受けている、又は治験機器を使用している患者
  • 治験薬初回投与前及び治験薬最終投与後の120日間に、妊娠中又は授乳中の患者、妊娠を希望する女性患者、又はパートナーに妊娠を希望する男性患者
  • 患者が、本治験に直接従事する治験実施医療機関又は治験依頼者のスタッフである場合、又はその近親者(例:配偶者、親/法的保護者、兄弟姉妹又は子)である場合は適格でないが、事前のIRB承認(代表者又は指名された者)から特定の患者についてこの基準の例外とすることが許可された場合はこの限りでない
主要な評価項目 全ての患者の無再発生存期間(RFS)
主要な評価方法 最初の患者が登録されてから3年間の無再発生存期間を調査する
副次的な評価項目 PD-L1陽性腫瘍の発現が認められた患者の無再発生存期間(RFS)
副次的な評価方法 最初の患者が登録されてから3年間の無再発生存期間を調査する
副次的な評価項目 全ての患者の無遠隔転移生存期間(DMFS)
副次的な評価方法 最初の患者が登録されてから5年間の無遠隔転移生存期間を調査する
副次的な評価項目
副次的な評価方法 最初の患者が登録されてから5年間の無遠隔転移生存期間を調査する
副次的な評価項目 全ての患者の全生存期間(OS)
副次的な評価方法 最初の患者が登録されてから7年間の全生存期間を調査する
副次的な評価項目 PD-L1陽性腫瘍の発現が認められた患者のOS
副次的な評価方法 最初の患者が登録されてから7年間の全生存期間を調査する
予定試験期間 2015年7月1日~2025年7月1日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより