高リスクステージ2悪性黒色腫に対するペムブロリズマブの治験

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治験名

KEYNOTE-716

高リスクステージ2悪性黒色腫の術後患者さんを対象にペムブロリズマブとプラセボを比較する無作為化二重盲検第3相試験

治験概要:

高リスクステージ2悪性黒色腫に対する治験。完全切除手術を受けた患者さんが対象です。
ペムブロリズマブとプラセボを比較して、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
登録予定数は、954人。
フェーズは、第3相臨床試験。
試験デザインは、無作為化、他施設共同、並行群間、クロスオーバーまたは再投与(パート1:二重盲検、パート2:非盲検)。
試験群:ペムブロリズマブ
対照群:プラセボ
無再発生存期間、無遠隔転移生存期間、全生存期間、有害事象、有害事象による投薬中止の患者数などで評価します。

疾患解説:悪性黒色腫

国立がん研究センターのがん統計によると2017年に皮膚がんに罹患した人は、約1600人です。悪性黒色腫は、皮膚がんの一種で、メラニン色素を作るメラノサイトががん化したもので、白人に多く、日本人では10万人あたり1~2人といわれています。男女差はなく、男女ともに60歳くらいから高齢になるに従い増加傾向にあります。
紫外線、外的刺激などが誘因といわれますが、はっきりとした発症原因は不明です。
悪性黒色腫の早期症状には、非対称性、輪郭がギザギザしている、色むら、長径が6mm以上、色・形・症状が変化しているという5つの特徴があります。
見た目や顕微鏡による観察、予後の観点から悪性黒子型、表在拡大型、結節型、末端黒子型の4つの病型に分類されます。このうち、悪性黒子型は高齢者多く、日本人にもっと多いのが末端黒子型で、白人に多い表在拡大型も近年日本人にも増加しています。

治験薬:ペムブロリズマブ

ペムブロリズマブは、抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害剤の1つです。
免疫チェックポイント阻害薬は、がんに対して、免疫細胞が本来の力を発揮できるようにする薬です。最終的には、免疫の力でがんを攻撃し、治療効果を発揮します。
がん細胞の表面に発現しているPD-L1とがん細胞を攻撃する免疫細胞(T細胞)に発現しているPD-1が結合すると、免疫細胞は、がん細胞を攻撃しなくなってしまいます。この仕組みを「免疫チェックポイント機構」といい、この仕組みが働かないように開発されたのが、免疫チェックポイント阻害薬です。

主な治験参加条件

対象となる人
  • ステージ2Bまたは2Cの悪性黒色腫であると新たに確定診断され、外科的に切除された患者
  • 外科的に完全切除した後、悪性黒色腫に対する治療を受けていない患者
  • 最後の外科的切除から12週間以内に本治験で無作為化された患者
  • 治験担当医師による画像評価で遠隔転移を認めない患者
  • 全身状態(Performance Status:PS)が0または1、LPSスコアが50以上(16歳以下の患者)もしくはKPSスコアが50以上(17歳の患者)の患者
  • 治験薬初回投与前に手術による毒性または合併症から十分に回復している患者
  • 男性患者の場合:
    投与期間中および治験薬の終投与後少なくとも120日間、本治験実施計画に詳述する避妊法を用いることおよび精子を提供しないことに同意した男性患者
  • 女性患者の場合:
    妊娠しておらず、授乳中でなく、かつ以下の条件のいずれかを満たす女性患者:・妊娠可能な女性に該当しない。または・妊娠可能な女性であるが、投与期間中および治験薬の終投与後少なくとも120日間、本治験実施計画に記載する避妊法を用いることに同意した患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
対象とならない人
  • 過去5年以内に進行性または治療が必要な他の悪性腫瘍がある患者
    注:根治的治療を受けた皮膚の基底細胞がん、皮膚の扁平上皮がん、上皮内がんの患者は組入れ可能である
  • 免疫不全状態と診断された患者、または治験薬初回投与前7日以内に長期全身性ステロイド療法(プレドニゾロン換算で10mg/日超)や他の免疫抑制療法による治療を受けた患者
  • 大手術を受けていた場合は、治験薬初回投与前に前治療による毒性または合併症から回復していない患者
  • 無作為割付け前72時間以内の尿妊娠検査の結果が陽性であった妊娠可能な女性。尿妊娠検査の結果が陽性であった場合または陰性と確認できない場合、血清妊娠検査を行う必要がある
  • 抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2の薬剤または他の補助刺激性または共抑制性T細胞受容体を標的とした薬剤の治療歴がある患者
  • 過去に悪性黒色腫に対する全身性の治療を受けた患者
  • 治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンの接種を受けた患者
  • 現在他の治験薬の治験に参加している、または治験薬初回投与前4週間以内に他の治験薬の治験に参加したもしくは治験用の医療機器を用いた患者
  • ペムブロリズマブの添加剤に対する重度の過敏症がある患者
  • 過去2年以内に全身性の治療を要した活動性の自己免疫疾患がある患者
  • 間質性肺疾患/肺臓炎を合併、もしくはステロイド投与が必要な間質性肺疾患/肺臓炎の既往がある患者
  • 全身性の治療を必要とする活動性の感染症がある患者
  • HIV感染の既往がある患者
  • B型肝炎または活動性のC型肝炎がある患者
  • 活動性の結核の既往がある患者
  • 治験担当医師の判断により、治験結果に影響を与える、患者の治験の完遂を妨げる、または、患者の治験の参加が患者の利益とならないと考えられるあらゆる疾患、治療歴または臨床検査値異常の既往または合併がある患者
  • 治験の実施に影響を与える可能性があると判断された精神疾患または薬物乱用障害がある患者
  • 妊娠中または授乳中の女性患者、もしくはスクリーニング時来院から治験薬終投与後120日までに妊娠を希望する女性患者またはパートナーの妊娠を希望する男性患者
  • 同種組織/臓器の移植歴がある患者

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)

パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。米国の腫瘍学の団体が決めたECOG、Karnofsky、WHOなどの基準があります。

ECOG パフォーマンスステータス


PS 0全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える
PS 1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業
PS 2歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす
PS 3限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
PS 4全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす

出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)

Karnofsky パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
正常の活動が可能。特別な看護が必要ない100正常。疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし
90軽い臨床症状はあるが、正常活動可能
80かなり臨床症状あるが、努力して正常の活動可能
労働することは不可能。自宅で生活できて、看護はほとんど個人的な要求によるものである。様々な程度の介助を必要とする70自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
身の回りのことを自分できない。施設あるいは病院の看護と同等の看護を必要とする。疾患が急速に進行している可能性がある40動けず、適切な医療および看護が必要
30全く動けず、入院が必要だが死はさしせまっていない
20非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10死期が切迫している
0

WHO パフォーマンスステータス


スコア患者の状態
0全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える
1肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2歩行可能で、自分の身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3限られた身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす
4全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす
5死亡

出典:国立がん研究センター東病院「患者さん向け治験情報」より

治験情報に関する注意点

治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。

治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。

治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと

※ここに掲載した多くの情報は、JAPIC-CTIUMIN-CTRに登録された情報を元にし、一般の人でもわかりやすく解説しています。

試験概要詳細

試験の名称高リスクStageII悪性黒色腫の術後患者を対象にMK-3475(ペムブロリズマブ)とプラセボを比較する無作為化二重盲検第III相試験(KEYNOTE-716)
試験の概要本治験は2つのパートで構成され、完全切除された高リスクStageIIの悪性黒色腫を有する12歳以上の患者を対象とし、MK-3475(ペムブロリズマブ)とプラセボの安全性および有効性を評価する
パート1の患者は二重盲検下でMK-3475群又はプラセボ群に無作為に割り付けられ、最大17コースの投与を受ける
プラセボ群に割り付けられた患者又はMK-3475群に割り付けられ疾患再発若しくは不耐容により中止せずに17コースの投与を完了後6ヵ月以内に再発が認められなかった患者は、パート2(非盲検)の適格性基準に従って、再発後に最大17又は35コースのMK-3475の投与を受けることができる
主要仮説:MK-3475はプラセボと比較して無再発生存期間(RFS)を延長する
疾患名悪性黒色腫
試験薬剤名ペムブロリズマブ
用法・用量パート1(術後薬物療法):
・MK-3475[成人:3週間間隔で200mgを静脈内投与、又は小児:3週間間隔で2mg/kg(最大200mg)を静脈内投与]
パート2(クロスオーバー/再投与):
・MK-3475[成人:3週間間隔で200mgを静脈内投与、又は小児:3週間間隔で2mg/kg(最大200mg)を静脈内投与]
対照薬剤名プラセボ
用法・用量パート1(術後薬物療法):
・プラセボ(生理食塩水を3週間間隔で静脈内投与)
パート2(クロスオーバー/再投与):
・MK-3475[成人:3週間間隔で200mgを静脈内投与、又は小児:3週間間隔で2mg/kg(最大200mg)を静脈内投与]
試験のフェーズフェーズ3/phase3
試験のデザイン無作為化、他施設共同、並行群間、クロスオーバー又は再投与(パート1:二重盲検、パート2:非盲検)
目標症例数954
適格基準
  • AJCCガイドライン第8版に基づき組織学的/病理学的にStageIIB又はIICの悪性黒色腫であると新たに確定診断され、外科的に切除された患者
  • 外科的に完全切除した後、悪性黒色腫に対する治療を受けていない患者
  • 最後の外科的切除から12週間以内に本治験で無作為化された患者
  • 治験担当医師による画像評価で遠隔転移を認めない患者
  • ECOG Performance Statusが0又は1、LPSスコアが50以上(16歳以下の患者)若しくはKPSスコアが50以上(17歳の患者)の患者
  • 治験薬初回投与前に手術による毒性又は合併症から十分に回復している患者
  • 男性患者の場合:
    投与期間中及び治験薬の終投与後少なくとも120日間、本治験実施計画に詳述する避妊法を用いること及び精子を提供しないことに同意した男性患者
  • 女性患者の場合:
    妊娠しておらず、授乳中でなく、かつ以下の条件のいずれかを満たす女性患者:・妊娠可能な女性に該当しない。又は・妊娠可能な女性であるが、投与期間中及び治験薬の終投与後少なくとも120日間、本治験実施計画に記載する避妊法を用いることに同意した患者
  • 年齢:18歳以上
  • 性別:両方
除外基準
  • 過去5年以内に進行性又は治療(内分泌療法を含む)が必要な他の悪性腫瘍を有する患者
    注:根治的治療を受けた皮膚の基底細胞癌、皮膚の扁平上皮癌、上皮内がん(例:上皮内乳癌及び子宮頸部上皮内癌)の患者は組入れ可能である
  • 免疫不全状態と診断された患者、又は治験薬初回投与前7日以内に長期全身性ステロイド療法(プレドニゾロン換算で10mg/日超)や他の免疫抑制療法による治療を受けた患者
  • 大手術を受けていた場合は、治験薬初回投与前に前治療による毒性又は合併症から回復していない患者
  • 無作為割付け前72時間以内の尿妊娠検査の結果が陽性であった妊娠可能な女性。尿妊娠検査の結果が陽性であった場合又は陰性と確認できない場合、血清妊娠検査を行う必要がある
  • 抗PD-1、抗PD-L1、抗PD-L2の薬剤又は他の補助刺激性又は共抑制性T細胞受容体(CTLA-4、OX-40、CD137等)を標的とした薬剤の治療歴を有する患者
  • 過去に悪性黒色腫に対する全身性の治療(治験薬も含む)を受けた患者
  • 治験薬初回投与前30日以内に生ワクチンの接種を受けた患者
  • 現在他の治験薬の治験に参加している、又は治験薬初回投与前4週間以内に他の治験薬の治験に参加した若しくは治験用の医療機器を用いた患者
  • MK-3475の添加剤に対する重度(Grade3以上)の過敏症を有する患者
  • 過去2年以内に全身性の治療(疾患修飾薬、コルチコステロイド又は免疫抑制剤)を要した活動性の自己免疫疾患を有する患者
  • 間質性肺疾患/肺臓炎を合併、もしくはステロイド投与が必要な(非感染性の)間質性肺疾患/肺臓炎の既往を有する患者
  • 全身性の治療を必要とする活動性の感染症を有する患者
  • HIV感染の既往を有する患者
  • B型肝炎(HBs抗原陽性)又は活動性のC型肝炎[HCV RNA(定性)陽性]を有する患者
  • 活動性の結核の既往を有する患者(結核菌、Bacillus tuberculosis)
  • 治験担当医師の判断により、治験結果に影響を与える、患者の治験の完遂を妨げる、又は、患者の治験の参加が患者の利益とならないと考えられるあらゆる疾患、治療歴又は臨床検査値異常の既往又は合併を有する患者
  • 治験の実施に影響を与える可能性があると判断された精神疾患又は薬物乱用障害を有する患者
  • 妊娠中又は授乳中の女性患者、若しくはスクリーニング時来院から治験薬終投与後120日までに妊娠を希望する女性患者又はパートナーの妊娠を希望する男性患者
  • 同種組織/臓器の移植歴を有する患者
主要な評価項目有効性/efficacy
主要な評価方法RFS:無作為化から(1)治験担当医師が評価した再発[局所、所属リンパ節(浸潤性同側及び浸潤性局所領域を含む)又は遠隔転移を含む]又は(2)あらゆる原因(癌及び癌以外の死因の両方)による死亡までの期間
副次的な評価項目安全性/safety
有効性/efficacy
副次的な評価方法DMFS:無作為化から治験担当医師が評価した遠隔転移までの期間(遠隔転移とは、原発から遠隔臓器又は遠隔リンパ節に転移した癌と定義する)
OS:無作為化から原因を問わない死亡までの期間
有害事象
有害事象により治験薬の投与を中止した患者数
予定試験期間2020年8月19日~2011年10月12日

出典:医薬品情報データベースiyakuSearchより