再発・難治性多発性骨髄腫に対するイキサゾミブ併用療法の治験
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治験名
再発または難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした注射用プロテアソーム阻害剤投与後のイキサゾミブとレナリドミドおよびデキサメタゾン併用療法における有効性と安全性の多施設共同オープン試験
治験概要:
再発・難治性の多発性骨髄腫を対象とした治験。
注射剤のプロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブとカルフィルゾミブ)の投与後に、イキサゾミブ、レナリドミドおよびデキサメタゾン併用療法を行い、イキサゾミブの有効性と安全性を評価する第4相試験です。そのため、第1期と第2期で構成され、第1期で注射剤プロテアソーム阻害薬の併用療法を行い、第2期で経口薬のイキサゾミブの併用療法が行われます。
登録予定数は47人。
試験デザインは、国内、多施設共同、非盲検、単群試験。
フェーズは、第4相臨床試験。
第1期、第2期で構成され、
第1期:ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用またはカルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン併用
第2期:イキサゾミブ4.0mg+レナリドミド25mg+デキサメタゾン25mg併用
第1期の併用療法開始後、第2期の適格性を判定し、適格と判定された対象者が第2期の併用療法に組み入れられ、イキサゾミブ4.0mg+レナリドミド25mg+デキサメタゾン25mg併用療法の長期投与の有効性と安全性を評価します。
疾患解説:再発・難治性多発性骨髄腫
国立がん研究センターのがん統計によると、2014年に多発性骨髄腫と診断された人は、男性3488人女性3075人、合計6563人です。高齢者に多い病気なので、高齢者が増えている日本では増加しています。かつては人口10万人当たり3人ほどでしたが、現在は10万人あたり5人以上と増加傾向にあります。
多発性骨髄腫は抗体を作る形質細胞ががん化する病気で、高カルシウム血症、腎障害、貧血、骨病変などの症状が起きる病気です。赤血球、血小板、白血球など血液を構成する細胞のうちの白血球の1つであるB細胞から分化して作られる形質細胞ががん化することで起こります。
形質細胞ががん化してできた骨髄腫細胞は、骨髄内で異常に増殖するため、正常な造血機能が抑えられてしまいます。そのため、赤血球が不足すると貧血が起き、白血球が不足すると感染症、血小板の不足は出血するなどのさまざまな症状が起きます
新規薬剤の登場により、多発性骨髄腫は長期間にわたって病気をコントロールすることが可能になっています。

治験薬:イキサゾミブ
イキサゾミブは、プロテアソームという酵素を阻害する第3世代のプロテアソーム阻害薬です。
がん細胞が増殖するために分裂するとき、さまざまなたんぱく質が関与しています。細胞分裂が終わると、そうしたたんぱく質が不要になるため、プロテアソームという酵素が分解しています。
イキサゾミブは、このプロテアソームという酵素を阻害することで、がん細胞が分裂したときに発生する不要なたんぱく質を分解させず、がん細胞に蓄積させていきます。不要なたんぱく質が蓄積したがん細胞は、分裂することができなくなり、やがて細胞死が誘導されます。
プロテアソーム阻害薬は、第1世代のボルテゾミブ、第2世代のカルフィルゾミブ、第3世代のイキサゾミブの3剤があります。このうち、ボルテゾミブとカルフィルゾミブは注射剤ですが、イキサゾミブは経口薬です。
治験薬:ボルテゾミブ
ボルテゾミブは、プロテアソームという酵素を阻害する第1世代のプロテアソーム阻害薬です。
がん細胞が増殖するために分裂するとき、さまざまなたんぱく質が関与しています。細胞分裂が終わると、そうしたたんぱく質が不要になるため、プロテアソームという酵素が分解しています。
ボルテゾミブは、このプロテアソームという酵素を阻害することで、がん細胞が分裂したときに発生する不要なたんぱく質を分解させず、がん細胞に蓄積させていきます。不要なたんぱく質が蓄積したがん細胞は、分裂することができなくなり、やがて細胞死が誘導されます。
プロテアソーム阻害薬は、第1世代のボルテゾミブ、第2世代のカルフィルゾミブ、第3世代のイキサゾミブの3剤があります。このうち、ボルテゾミブとカルフィルゾミブは注射剤ですが、イキサゾミブは経口薬です。
治験薬:カルフィルゾミブ
カルフィルゾミブは、プロテアソームという酵素を阻害する第2世代のプロテアソーム阻害薬です。
がん細胞が増殖するために分裂するとき、さまざまなたんぱく質が関与しています。細胞分裂が終わると、そうしたたんぱく質が不要になるため、プロテアソームという酵素が分解しています。
カルフィルゾミブは、このプロテアソームという酵素を阻害することで、がん細胞が分裂したときに発生する不要なたんぱく質を分解させず、がん細胞に蓄積させていきます。不要なたんぱく質が蓄積したがん細胞は、分裂することができなくなり、やがて細胞死が誘導されます。
プロテアソーム阻害薬は、第1世代のボルテゾミブ、第2世代のカルフィルゾミブ、第3世代のイキサゾミブの3剤があります。このうち、ボルテゾミブとカルフィルゾミブは注射剤ですが、イキサゾミブは経口薬です。
治験薬:レナリドミド
レナリドミドは、セレブロンというたんぱく質と結合して効果を示す免疫調整薬です。免疫調整薬は、サイトカイン産生調整作用や造血器腫瘍細胞の増殖抑制作用、血管新生阻害作用をもつ薬剤です。
レナリドミドとセレブロンが結合すると細胞内の遺伝子発現を変化させ、がん細胞の増殖を抑制します。また、免疫細胞に働きかけることで免疫を賦活させる作用もあります。
現在、多発性骨髄腫に対する免疫調整薬は、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミドの3剤あります。
治験薬:デキサメタゾン
デキサメタゾンは、ステロイド系抗炎症薬の1つです。原因に関係なく炎症反応や免疫反応を抑制するお薬です。
主な治験参加条件
対象となる人 |
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対象とならない人 |
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パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)は、米国の腫瘍学の団体(ECOG)が決めた全身状態の指標で、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。
PS 0 | 全く問題なく活動できる 発病前と同じ日常生活が制限なく行える |
PS 1 | 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる 例:軽い家事、事務作業 |
PS 2 | 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない 日中の50%以上はベッド外で過ごす |
PS 3 | 限られた自分の身の回りのことしかできない 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす |
PS 4 | 全く動けない 自分の身の回りのことは全くできない 完全にベッドか椅子で過ごす |
出典:Common Toxicity Criteria Version2.0 Publish Date April 30, 1999 (JCOGホームページより引用)
治験情報に関する注意点
治験は、治療を兼ねた臨床試験のことです。薬の元となる物質を動物実験などで有効性や安全性を確認した上で、ヒトに対して使用しても同様に安全で治療効果が予測されるもので行われますが、治験の時点ではまだ有効性や安全性が十分に確認できているわけではありません。有効性や安全性が科学的に証明された治療が、標準治療で、新しい治療が必ずしも最良の治療ではないということを理解してください。その一方で標準治療が確立していない、または薬の耐性ができ、効果が期待できる薬がなくなった患者さんにとって治験は新しい治療選択となる可能性もあります。
治験は「ヘルシンキ宣言」に基づく倫理的原則と、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」を遵守して行われています。治験実施にあたり、日本では「医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)」という厳しいルールが定められています。これにより、治験に参加される方の利益が損なわれることがないよう、安全な手続きで治験は進められます。
治験情報を探すとき、治験を受けたいと思ったときは、まず治験とはどのようなものなのかを理解してください。
がんの治験情報をお探しの方に知ってほしい5つのこと
※ここに掲載した情報は、jRCT 臨床研究等提出・公開システム に登録された情報を元にし、がんプラスが独自に記事としてまとめ、提供しています。
※QLife「がん治験情報サービス」でご案内している治験とは異なります。
試験概要詳細
試験の名称 | 再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした注射用プロテアソーム阻害剤投与後のイキサゾミブとレナリドミド及びデキサメタゾン併用療法における有効性と安全性の多施設共同オープン試験 |
試験の概要 | 本臨床研究の被験薬はイキサゾミブであり、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者(RRMM)を対象とする。 本臨床研究の目的は、RRMM患者に対して注射用プロテアソーム阻害剤の投与後にイキサゾミブ、レナリドミド及びデキサメタゾン(IRd)の併用療法を行うことにより、プロテアソーム阻害剤の長期投与の有効性及び安全性を検討することである。本臨床研究は、第1期及び第2期で構成される。計画研究対象者数は、47例である。 研究対象者に以下の薬剤を投与する。 第1期はボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(VRd)併用、又はカルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(KRd)併用(各薬剤の添付文書に従い、標準的な用量を投与)、第2期はイキサゾミブ4.0 mg+レナリドミド25 mg+デキサメタゾン25 mg(IRd)を併用投与する。 第1期開始前検査実施後、研究責任者又は研究者の判断によりVRdの併用療法、又はKRdの併用療法を開始する。第1期治療中(3サイクル目の投与完了後)中に第2期の適格性を判定し、適格と判定された研究対象者を第2期に組み入れる。組み入れられた研究対象者はIRdの併用療法を開始する。 本臨床研究実施国は日本である。本臨床研究実施予定期間は39ヵ月(登録期間:12ヵ月、試験治療期間:最終登録例の登録日から27ヵ月後まで)である。研究対象者は治療期と追跡調査期間合わせて、複数回来院する |
疾患名 | 再発又は難治性の多発性骨髄腫 |
試験薬剤名 | イキサゾミブ、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、レナリドミド、デキサメタゾン |
用法・用量 | 第1期:ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン又はカルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン;各薬剤の添付文書に従い、標準的な投与を推奨する。第2期:イキサゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン;28日間を1サイクルとした1、8及び15日目にイキサゾミブ(4.0 mg)を、1~21日目にレナリドミド(25 mg)を、1、8、15及び22日目にデキサメタゾン(40 mg)を投与する |
試験のフェーズ | フェーズ4(第4相臨床試験) |
試験のデザイン | 国内、多施設共同、非盲検、単群試験 |
目標症例数 | 47 |
適格基準 |
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除外基準 |
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主要な評価項目 | 試験治療開始12ヵ月時点でのProgression-free survival(PFS)の研究対象者割合 |
主要な評価方法 | 試験治療開始12ヵ月時点のPFS 研究対象者割合は、第1期治療薬初回投与日を起算日とし、起算日から12ヵ月時点まで生存かつPDと判断されなかった研究対象者の粗割合とする。PFSは国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)の基準に従い評価する。IMWG基準では、PD:以下の項目いずれかが最も低下したときより25%以上増加;血清M蛋白が絶対量で0.5 g/dL以上の増加(もしM蛋白が5 g/dL以上からスタートした場合は1 g/dL以上の増加で再発と診断)、and/or尿中M蛋白が絶対量で200 mg/24 hr以上の増加があり、and/or血清や尿中でM蛋白が測定できない患者のみ:involved FLCとuninvolved FLCの差が絶対量で10 mg/dLの増加、血清や尿中でM蛋白が測定できず、FLCでも測定できない患者では骨髄の形質細胞が10%以上増加、新規の骨病変・軟部組織病変の出現、又は骨病変・軟部組織病変の増大、形質細胞疾患による高カルシウム血症 評価期間:12ヵ月 |
副次的な評価項目 | 試験治療開始からの全生存期間(OS) |
副次的な評価方法 | OSは、第1期治療薬初回投与日から死亡(死因は問わない)が確認された時点までの期間と定義する。生存例については、最終生存確認日又はデータカットオフ日のいずれか早い方をもって打ち切りとする 評価期間:最長39ヵ月 |
副次的な評価項目 | 試験治療開始からの無増悪生存期間(PFS) |
副次的な評価方法 | PFSは、第1期治療薬初回投与日からPDが最初に確認された日又は死亡(死因は問わない)のいずれか早い時点までの期間と定義する。PDと判断されていない生存例ではPDでないことが確認された最終日(最終無増悪生存確認日)をもって打ち切りとする 評価期間:最長39ヵ月 |
副次的な評価項目 | 最良部分奏効(VGPR)以上の研究対象者の割合 |
副次的な評価方法 | MWGの基準による最良部分奏効がVGPR以上の研究対象者の割合。IMWG基準では、PR(partial response):血清M蛋白が50%以上減少し、かつ24時間尿中M蛋白が90%減少又は200mg未満まで減少、M蛋白が検出されない場合、腫瘍由来FLCと非腫瘍由来FLCとの差が50%以上減少、FLCが検出されない場合は、ベースラインの骨髄形質細胞割合が30%以上であれば治療後に形質細胞が50%以上減少、上記に加え、ベースラインに軟部組織形質細胞腫瘤があればサイズが50%以上減少。VGPR(very good PR):血清及び尿中の免疫固定法が陽性だが電気泳動は陰性若しくは血清M蛋白が90%上減少し、かつ24時間尿中M蛋白が100mg未満。CR(complete response):血清及び尿の免疫固定法が陰性かつ軟部組織形質細胞腫瘤の消失かつ骨髄中の形質細胞の割合が5%未満 評価期間:最長39ヵ月 |
副次的な評価項目 | 完全奏効(CR)研究対象者における骨髄微小残存病変(MRD)の検出頻度 |
副次的な評価方法 | MRD検出頻度は、MRD判定が陰性のIMWGの基準によるCR研究対象者の割合と定義する。初回が陽性でも再検査で陰性の場合は、陰性として集計する 評価期間:最長39ヵ月 |
副次的な評価項目 | Best responseを達成又は維持した研究対象者の割合 |
副次的な評価方法 | Best responseは、試験治療開始後におけるIMWGの基準による最良総合効果の当該サイクルまでの累積研究対象者数とする 評価期間:最長39ヵ月 |
副次的な評価項目 | 全奏効率(ORR) |
副次的な評価方法 | ORRは、試験治療開始後におけるIMWGの基準による最良総合効果がPR以上(厳格な完全奏効(stringent complete response;sCR)、VGPR、PR)である研究対象者の割合とする 評価期間:最長39ヵ月 |
副次的な評価項目 | 試験治療開始12ヵ月時点でのイキサゾミブ継続率 |
副次的な評価方法 | 評価期間:12ヵ月 |
副次的な評価項目 | 奏功期間(DOR) |
副次的な評価方法 | DORはIMWGの基準により、最初にPR以上と判定されてからPDの効果判定に変更された日、又はあらゆる原因による死亡日のうち早い方までの期間とする 評価期間:最長39ヵ月 |
副次的な評価項目 | EORTC(QOL-C30及びQLQ-MY20)による健康関連(HRQoL) |
副次的な評価方法 | EORTC QLQ-30は機能の5尺度(身体機能、役割機能、情緒機能、認知機能、社会機能)、症状の9尺度疲労感、悪心・嘔吐、疼痛、呼吸困難、不眠、食欲不振、便秘、下痢、経済的困難)、全般的健康状態・生活の質に関する質問からなる。EORTC QLQ-30は28の質問(1:まったくない~4:とても多い、の4レベルから回答)と2つの質問(7点の数値的評価(1:とても悪い、7:とてもよい)から回答)からなる。素点を評価尺度0~100に変換する。機能尺度及び全般的健康状態・生活の質に関する質問は点数が高い程、症状尺度の質問は低い程、生活の質が良いことを示す;EORTC QLQ-MY20は4つの独立下位尺度、2つの機能的下位尺度(身体像、将来の展望)及び2つの症状下位尺度(疾患症状、治療の副作用)の、全20項目が含まれ、素点の平均を評価尺度0~100に変換する。将来の展望の項目:高ければ高い程に展望が良い。身体像:高ければ高いほど良い。疾患症状は高い程、兆候レベルが高いことを示す 評価期間:最長39ヵ月 |
副次的な評価項目 | 質調整生存年(Modified Quality Adjusted Life years:QALY)を用いた検討 |
副次的な評価方法 | EORTC QLQ-C30の全般的健康尺度を0~1に変換したものを効用値として、生存年を調整したものをmodified QALYとする 評価期間:最長39ヵ月 |
副次的な評価項目 | 医療資源の利用率(HCRU) |
副次的な評価方法 | HCRUは、1人月あたりのすべての外来受診日数及び入院日数を算出する。また、第1期及び第2期ごとに1人月あたりのすべての外来受診日数及び入院日数を算出する 評価期間:最長39ヵ月 |
副次的な評価項目 | Relative Dose Intensity(RDI) |
副次的な評価方法 | RDI:計画投与量と実投与量の比に100を乗じた数値で示される。実投与量は、開始時の実投与量×サイクル毎の実投与回数×治療サイクルの回数 評価期間:最長39ヵ月 |
副次的な評価項目 | 骨病変がみられた研究対象者の割合(骨評価) |
副次的な評価方法 | 評価期間:最長39ヵ月 |
副次的な評価項目 | 有害事象(TEAEs)の発現研究対象者数 |
副次的な評価方法 | 有害事象とは、医薬品が投与された研究対象者に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごと。必ずしも当該医薬品の投与との因果関係が明らかなもののみを示すものではない。TEAEsは医薬品投与後の有害事象を示す 評価期間:最長39ヵ月 |
予定試験期間 | 2018年3月13日~2021年5月31日 |